ANRI 佐俣アンリ氏 x 元Kaizen Platform 河西智哉氏 x フリークアウト/イグニス 佐藤裕介氏がタッグを組む、インキュベーションプロジェクト「SEEED」始動

日本に新たなスタートアップのインキュベーションプロジェクト「SEEED」が誕生した。今回、Pedia Newsでは、佐俣アンリ氏と佐藤裕介氏に、スタートアップインキュベーションプロジェクトをはじめる経緯などを伺った。

スタートアップの聖地シリコンバレーでDropboxやAirbnbといった世界で注目される企業を輩出する、名門インキュベーターのYコンビネーター(Y Combinator、YC)。2005年の設立以降、1,000社以上のスタートアップを支援してきた。

Yコンビネーターの特徴は、その支援プログラムにある。倍率数パーセントと言われる厳しい選考を通過したものだけが参加を認められ、3か月間シリコンバレーに滞在し、Yコンビネーターのメンバーやメンターから直接アドバイスを受けることができる。また、最近では、投資家側から事業テーマを選定、複数のPMF仮説を提案、検証するための方法論を設定することでスピーディーに実行するという動きも出始めている。

Yコンビネーターの卒業生には、Airbnb、Dropboxなど、世界中で活躍する名高いスタートアップが多数知られる。そのため、Yコンビネーターのプログラムに採択されプログラムを完遂するだけで、投資家からの注目度が高まることもある。

一方、国内に目を向けると、20代を中心とした若手起業家が注目される中、総務省の調査によれば、国内の25歳未満かつ大学在学中の起業家数は2007年の2,600人から2012年には700人と、起業家の母数は減少傾向にある。

その中、本日(11月7日)、日本に新たなスタートアップのインキュベーションプロジェクト「SEEED」が誕生した。

「SEEED」は、独立系ベンチャーキャピタルANRIの佐俣アンリ氏、ANRIに新しくアソシエイトとして参画した元Kaizen Platformのリードエンジニア河西智哉氏、そして、フリークアウト、イグニスの創業から携わる佐藤裕介氏という、スタートアップの創業からグロースまでを知る3名によるものだ。

今回のインキュベーションプロジェクト「SEEED」について、佐俣氏は、すでに今回のプロジェクトに近い形でドローンやシェアリングエコノミー事業の立ち上げをしてきたことを明かし、

双方の事業で、極めて優秀な起業家ではあるが彼らに足るような規模になる事業に取り組めていないことが課題であった。

試験的に事業のヒントを提供したところ、世界規模で拡大するマーケットのニーズを掴むためにもがく中で大きな事業を作り出し結果として起業家としての成長も顕著であった。

ゼロからの手探りになることに躊躇がないわけではなかったが、彼らの成長を今の事業ポテンシャルと見ると安易なプランで小規模EXITを目指すより起業家としても投資家としても遥かに良いリターンを得ていると感じている。

と述べた上で、

以前から佐藤裕介と事業についてロングディスカッションを重ね、投資などをしてきた。

河西はANRIのアソシエイト募集を行った際に1番に応募が来た。極めて優秀なハッカーかつ、ポール・グレアムへのリスペクトについて話していく中で、単にアソシエイトとして一緒に働くよりも事業の見立てと立ち上げを通して一緒に働いたほうが双方に学ぶが出るのではないかと思い今回の流れになった。

と語った。

一方、佐藤氏は、本プロジェクトの重要性について、

①「長期で見れば確実に大きくなる事業テーマを選ぶこと」

まずこれによって、腰を落ち着けて製品開発に取り組むことができます。テーマ自体が正しければ、あとは止めなければいい、というだけです。

②「続けるための方法論を理解すること」

正しいテーマでも、途中でお金が尽きてしまえばどうしようもありません。創業、シード資金を調達してから次の資金調達までの短い期間に、複数のプロダクトマーケットフィット仮説を検証し、少数の初期顧客が大好きになる製品を展開しなければなりません。このプロセスは経験によって効率化できる部分が多いと思っています。

③「打席数を最大化すること」

限られた資金の中で、どの顧客セグメントに、どのような価値を提供するか、という仮説を複数持ち、検証するには開発スピードが全てです。テーマが正しければ、PMFする仮説は必ず存在します。そこに行き当たるまで、勝ち筋を絞っていく = 空振りする打席数を増やすためには、速度をあげていくしかありません。製品を初期バージョン開発を我々がサポートすることで、この数を引き上げることが可能です。

と述べた上で、

だからこそ、これらをスキップさせたい。

投資家のビューがもちろんすべて正しい、というのは全く無く、起業家の熱量が全てではあるが、視点を拡げる役割になりたいと思う。

と説明した。

「SEEED」では、佐俣氏、河西氏、佐藤氏の3名がそれぞれ10アイデアずつ事業案を持ち寄り、起業家や起業予備軍にプレゼンし、事業とチームをマッチングさせる。事業の内容が決まれば、それぞれの事業に合わせて、複数のPMF仮設の中から最適なものを用いて検証しスピーディーに事業を立ち上げていく。まさに「日本版Yコンビネーター」といえよう。

気になる参加対象者は、それぞれの事業案に最適な起業家像があるため多様な年齢やバックグランドを求めるようだ。また求めるものは「大きな事業を作ることに対しての情熱、そのために提供することができる自分のリソース(時間、特定業界経験、ネットワーク等)、明確なコミットメント」(佐俣氏)という。実際、ANRIではこれまで21歳から50歳の起業家に投資し、それぞれの生きてきたキャリアと志向性にあった事業に専念している。

なお、「SEEED」の第1回目は12月4日(日)に開催予定。

スタートアップとしての新たな起業家人生を歩むものには、ぜひこのインキュベーションプロジェクト「SEEED」の門を叩いてもらいたい。

インキュベーションプロジェクト「SEEED」