M&Aでかかる手数料ってどれくらい?手数料の種類や相場を徹底解説

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「M&A仲介業者に依頼すると、一体いくらかかるのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。まず、M&A仲介業者に依頼するなら、最低でも200万円以上はかかると考えておきましょう。

ただし、実際には依頼するM&A仲介業者やM&Aでの取引額によって大きく手数料は変動します。「高い!」と思うかもしれませんが、M&Aを成功させるためには必要な費用と考えておくべきです。

今回は、M&A仲介業者に依頼する際にかかる手数料の種類や手数料の計算方法を丁寧に解説。また、M&A仲介業者を利用するメリット・デメリットや優秀なM&Aアドバイザーの選び方まで説明しています。

M&A仲介業者の手数料を理解し、心から納得できるM&Aを進めていきましょう。

M&A仲介業者に依頼する際にかかる主な手数料

M&A仲介業者に依頼する際にかかる主な手数料

M&Aを行うときにM&A仲介業者へ依頼するなら、最低でも200万円以上はかかると考えておきましょう。最低報酬額を200万円以上と設定していM&A仲介業者が多いからです。

しかし、手数料がいくらなのか明確に提示されていることはほとんどありません。なぜなら、M&A仲介業者によって報酬体系が異なるからです。

M&Aアドバイザーへ支払う手数料は5つの種類があります。

  1. 着手金
  2. 中間金
  3. 成功報酬
  4. デューデリジェンス費用
  5. リテイナーフィー

それぞれどのような手数料なのか、相場と一緒に確認していきましょう。

(1)着手金

着手金とは、M&A仲介業者に業務を依頼するために支払う手数料のことを指します。相場は、50万円~200万円程度です。

多くの場合、相談は無料で行ってくれます。相談では大まかな企業価値試算・M&A成立までのスケジュール等を教えてもらうことが可能です。

実際にM&Aに向けて動き出してもらうために必要な手数料と捉えましょう。着手金を支払うことで、企業価値評価・買い手候補探しなどを行ってくれます。そのため、M&Aが成立しなかった場合でも費用が戻ってくることはないので注意しましょう。

(2)中間金

中間金とは、M&Aの基本合意契約を結んだタイミングで支払う手数料です。基本合意契約とは、買い手候補が「問題がなければ買収します」と意思表示するために締結される契約を指します。そのため、基本合意契約が結ばれるとおおむねM&Aは成立すると見られているのです。

中間金は、成功報酬の一部という位置づけとなっています。そのため、成功報酬額の10~20%と設定している場合が多いです。

ただし、中間金も最終的にM&Aが成立しなかった場合費用が戻ってくることはありません。基本合意契約が結ばれるとほぼM&Aは成立すると言われていますが、結果的に成立しない可能性もあるので注意しましょう。

(3)成功報酬

成功報酬とは、最終契約を結びM&Aが成立したタイミングで支払う手数料のことを指します。成功報酬額は、取引額を元にレーマン方式という計算方法で決定されるのです。レーマン方式は複雑な計算式となるので、次の章で詳しく説明していきます。

また、最低手数料を設定されていることも多いので注意しましょう。最低手数料とは、取引額が少額であっても最低限支払わなければならない額のことです。

例えば、800万円で売却しても最低手数料が500万円だとしたら、500万円は少なくとも支払わないといけないのです。もちろん、最低報酬が売却額を上回る場合もあるので、どれくらいで売却できるのかも確認しておきましょう。

(4)デューデリジェンス費用

デューデリジェンス費用とは、M&Aにあたって行う企業調査のための費用です。デューデリジェンスとは、M&Aを行う対象企業の資産やリスクを財務・法務・税務など各方面から専門家が企業調査することを指します。

相場は10~80万円程度ですが、着手金や成功報酬に含まれていることも多いです。依頼をする前に、デューデリジェンス費用が別途かかるのか確認しておきましょう。

(5)リテイナーフィー

リテイナーフィーとは、M&A仲介業者に毎月支払うアドバイザー料のことです。月額報酬やリテイナー報酬と呼ぶこともあります。

リテイナーフィーを設定している場合、月々の相場は30万円~200万円です。リテイナーフィーは、着手からM&A成立まで支払い続けなければなりません。

かなり高額になる可能性が高いため、リテイナーフィーが必要か事前に確認するようにしましょう。

レーマン方式とは

レーマン方式とは

レーマン方式とは、M&Aにおいて移動する取引額をベースに一定の比率をかけて成功報酬を算出する方法のことです。M&Aの取引額が大きくなるほど高い手数料がかかるという仕組みになります。所得税や住民税が所得が多くなるにつれ高い税率を掛けた額になるのと同じです。

一般的に使われているレーマン方式の比率は以下のようになっています。

  • 5億円以下の部分:5%
  • 5億円超、10億円以下の部分:4%
  • 10億円超、50億円以下の部分:3%
  • 50億円超、100億円以下の部分:2%
  • 100億円超:1%

注目してほしいのは、比率を決める際の「~の部分」という点です。単純に、取引額×決められた割合=手数料とはなりません。例えば8億円なら、5億円までと残りの3億円で比率が変わります。

具体的な計算例を見ていきましょう。

レーマン方式の計算例

例えば、M&Aの取引額が7億円だったとします。

  • 5億円以下の部分:5%
  • 5億円超、10億円以下の部分:4%

となっていますので、計算式は以下のようになります。

  • 5億円以下の部分:5億円×5%=2,500万円
  • 5億円超、10億円以下の部分:2億円×4%=800万円
  • 2,500万円+800万円=3,300万円

合計3,300万円が成功報酬ということになるのです。少しわかりにくいですが、一度理解すると簡単に計算が出来ます。

着手金無料のメリットとデメリット

M&A仲介業者の中でも、着手金無料と着手金アリの業者がいます。着手金は一度支払うと戻ってこない手数料です。

しかし、安易に「着手金がない方がお得!」と言って着手金無料のM&A仲介業者を選ぶことは危険だといえます。なぜなら、着手金が無料なことによるデメリットもあるからです。

着手金無料のメリットとデメリットを確認していきましょう。

3-1.着手金無料のメリット

着手金無料だと気軽にM&Aを検討することが出来ます。

  • 将来の選択肢の1つとしてM&Aを検討したい
  • 事業承継問題に悩んでいるのでM&Aも検討してみたい
  • 企業評価をしてみて譲渡額が低いならM&Aはしたくない

など、経営者にとって様々な事情があるはずです。このように売却意志がまだ固まっていない状態でM&Aを検討したい経営者にとっては、着手金が無駄になってしまう可能性があります。

また、M&Aの検討を社内に隠したまま話を進めることが出来ることも着手金無料のメリットです。着手金を会社の経費として支払ってしまうと、経理担当などに何の費用なのか説明しづらいという問題があります。

M&Aを検討していること自体、社内に漏らしたくない経営者も多いです。このような理由からM&Aの検討に躊躇してしまう経営者もいますが、着手金無料だと気軽に具体的な検討を進めることが出来ます。

3-2.着手金無料のデメリット

着手金無料の場合、有益でないM&Aを薦められる可能性があります。なぜなら、M&Aが成立しなければ、M&A仲介業者は報酬が一切もらえないからです。

つまり、タダ働きをしていることと同じといえます。なんとしてでもM&Aを早く成立させて成功報酬を得ようと、強引にM&Aを進められてしまう可能性が高いのです。最終契約を結んだ後に「こんなはずじゃなかったのに」と後悔するかもしれません。

そもそも着手金は、企業評価を行ったり、買い手候補へのアピール資料を作成したりするために必要な活動費用です。自社に有益な働きをしてもらうために着手金を支払うと考えると、無駄金だと思わず支払うことが賢明といえます。

以上が着手金無料の場合のメリットとデメリットでした。まだM&Aをするか悩んでいる場合には、着手金無料のM&A仲介業者を選ぶべきです。

一方で、M&Aすることが決定していて売り手にも有益な買い手候補を紹介してほしい場合には着手金のあるM&A仲介業者を選びましょう。

M&A仲介業者を利用するメリット

M&A仲介業者を利用するメリット

M&A仲介業者を利用するメリットは、4つあります。

  1. シナジー効果の高い買い手を見つけやすい
  2. 買い手の信頼を得やすくする
  3. トラブルやリスクを防げる
  4. M&Aに関するノウハウを持っている

これらのメリットがあるからこそ、高い手数料を支払ってでもM&A仲介業者に依頼をするのです。それぞれ具体的に確認していきましょう。

メリット1.シナジー効果の高い買い手を見つけやすい

M&A仲介業者を利用することで、シナジー効果の高い買い手が見つかりやすいです。

シナジー効果とは、M&Aを行うことで単なる利益の合計だけでなく、大きな価値を生み出す効果のことをいいます。

  • 売り上げが増加する
  • コストの削減が出来る
  • 経営リスクを分散させることが出来る

など、M&Aを行うことで自社の強みをより高めることが出来る相手を探してもらえるのです。

たとえば、化粧品メーカーがECサイトを運営している企業に売却することで販売顧客が増え売り上げ増加に繋がるといったシナジー効果があります。M&A仲介業者は、ざまざまな業種・規模の買い手情報を持っているので、思わぬ買い手候補を探しマッチングしてくれるのです。

メリット2.経営者が本業に集中できる

M&A仲介業者を利用することで、経営者は本業に集中できます。M&Aは検討から成立まで3ヶ月~1年の期間がかかるため、その間M&Aにかかりきりになると本業がおろそかになってしまう可能性があるのです。

本業に支障が出て売り上げが下がると、企業価値を下げることにつながります。つまり、売却額も下がってしまうのです。M&Aは専門のM&A仲介業者に任せてしまって、経営者は本業に集中することでM&Aが成功しやすくなります。

メリット3.トラブルやリスクを防げる

M&A仲介業者を仲介することで、トラブルやリスクを防ぐことが出来ます。たとえば、知り合いの経営者同士だからといっても、M&Aを安易に2社で進めてはいけません。

交渉を進めていくうちに、多くの利害問題が発生して深刻な対立に発展する場合があります。そもそも、買い手はより低い価格で買収したいと考えますし、売り手は高い価格で売却したいと考えているのが当然のことです。

つまり、M&Aにおいて両者は対立関係にあるといえます。そこに、第三者としての意見を述べてくれるM&Aアドバイザーがいるだけで解決することも多くあるのです。

また、M&Aアドバイザーは考えられるトラブルを回避したり、リスクを最小限に抑えたうえで契約書を交わす手伝いをしてくれます。M&A仲介業者を仲介することで、トラブルやリスクを防ぎ、スムーズな交渉が出来るのです。

メリット4.専門知識やスキルを持つM&Aアドバイザーがいる

M&AアドバイザーはM&Aに関する専門知識やノウハウを使って、M&Aの成立に向けコンサルティングしてくれます。

以下が、M&Aアドバイザーの持つ専門知識やスキルです。

  • 会計・財務・法務などの専門知識
  • 営業力・交渉力・判断力などのコミュニケーションスキル
  • 業界動向・分析力などの情報収集力
  • 秘密保持やリスク洗い出しなどの業務管理能力

これらの専門知識やスキルを1から経営者が学ぼうと思うと膨大な時間がかかってしまいます。すでにこれらの専門知識やノウハウを習得しているM&Aアドバイザーに頼ることで、M&Aの成功が近づくはずです。

M&A仲介業者に依頼するとき知っておくべきこと

M&A仲介業者に依頼するとき知っておくべきこと

M&A仲介業者に依頼するデメリットは、手数料が発生することです。手数料の金額はM&A仲介業者によってさまざまですが、すでに述べた通り、200万円程度はかかることを覚えておきましょう。

なぜなら、最低報酬額を200万円以上に設定しているM&A仲介業者が多いからです。決して少額ではない手数料ですが、手数料を支払うことで得られるメリットは説明した通りたくさんあります。

しかし、未熟なM&Aアドバイザーが担当となった場合、以下の2つのデメリットが考えられます。

  1. 案件が途中で決裂してしまう
  2. 取引先や従業員に情報漏洩してしまう

それぞれ確認していきましょう。

デメリット1.案件が途中で決裂してしまう

未熟なM&Aアドバイザーが担当となった場合、案件が途中で決裂してしまう恐れがあります。買い手・売り手ともに「良い企業だ」と前向きに検討を進めていたにも関わらず、知識・スキル不足のM&Aアドバイザーの一言でM&Aが成立しないこともあるのです。

そうなると、せっかくの時間とお金が無駄になってしまいます。また1から買い手候補を探したり、交渉を行うことはとても大変です。

成功するために依頼したのにM&Aアドバイザーが未熟なせいで無駄な遠回りをしていては本末転倒になります。

デメリット2.取引先や従業員に情報漏洩してしまう

未熟なM&Aアドバイザーが担当となった場合、取引先や従業員にM&Aのことが漏洩してしまう可能性があります。機密情報の取り扱い方を理解しておらず、うっかり電話受付で「M&Aの件で・・」などと話してしまうM&Aアドバイザーもいるのです。

多くの経営者は、M&Aが成立した後もスケジュールが確定するまで従業員や取引先に公表したくないと考えます。M&Aの噂が流れると「企業の経営が危ないらしい」とマイナスの印象が付き、従業員が転職したり取引先が契約を打ち切ったりする可能性もあるからです。

そうなると、M&Aにおいても企業価値が下がり取引額が下がる可能性があります。このようなことが起きないよう、優秀なM&Aアドバイザーを選ぶ必要があります。

優秀なM&Aアドバイザーを選ぶポイント

優秀なM&Aアドバイザーを選ぶポイント

M&Aを検討するなら優秀なM&Aアドバイザーを選びましょう。M&Aの成功はM&Aアドバイザーにかかっていると言っても過言ではありません。

優秀なM&Aアドバイザーを選ぶポイントは以下の3つです。

  1. ネットワークが広い
  2. 自社と同じ規模のM&A実績や経験がある
  3. スピード感がある

1つずつ確認していきましょう。

ポイント1.ネットワークが広い

ネットワークの広いM&Aアドバイザーを選びましょう。ネットワークが広いとは、紹介できる買い手の情報をたくさん持っていたり、専門家とのつながりが豊富にあることです。

紹介できる買い手の情報がたくさんあればあるほど、M&A成立の確率は高くなります。なぜなら、買い手が買収したいと思う企業や事業は様々だからです。ベストな買い手を紹介してもらえるようなM&Aアドバイザーを選びましょう。

また、弁護士や公認会計士、税理士などの専門家とのネットワークが広いことも大切です。M&Aにあたって、専門知識は必要不可欠になります。

「どうすれば高く売れるのか?」「どうすればリスクが減らせるのか?」など、専門家からのアドバイスを受けることで、M&Aの成功率が上がるのです。必ずネットワークの広いM&Aアドバイザーを選びましょう。

ポイント2.自社と同じ規模のM&A実績や経験がある

自社と同じ規模のM&A実績や経験のあるM&Aアドバイザーを選びましょう。M&Aと言っても、数億円の大企業規模の取引をメインにしているアドバイザーや、スモールM&Aといわれる小規模事業者の取引をメインにしているアドバイザーもいます。

案件の規模が異なると、M&Aの進め方や成約のためのポイントが大きく異なります。M&A仲介業者のホームページを見ると、どのような規模のM&Aが得意なのか書かれていることが多いので参考にして下さい。

さらに無料相談時には、「今までどんなM&Aの成約実績がありますか?」と聞いてみましょう。実績や経験のある人は、あなたの企業と同じような案件を選んで詳しい話をしてくれるはずです。

ポイント3.スピード感がある

スピード感のあるM&Aアドバイザーを選びましょう。しっかりと次の段階を見据えた話を進めてくれるので、安心感があります。

問い合わせの返事の速度や打ち合わせの準備が出来ているかで判断しましょう。もちろん、相談者が理解できていないまま、次々に話を進めることをスピード感があるとは言いません。

質問や疑問をしても即座に解消してくれて、次のステップを見据えた話をしてくれる人のことをスピード感があると言います。M&Aに関する業務は本業ではないため、出来るだけ早く終わらせたいという経営者も多いはずです。

そのため、スピード感があるM&Aアドバイザーを選ぶようにしましょう。

まとめ

M&A仲介業者に依頼するなら、最低でも200万円以上はかかります。

しかし、実際には依頼するM&A仲介業者やM&Aでの取引額によって大きく手数料は変動することを覚えておきましょう。

優秀なM&Aアドバイザーの選び方を参考にして、M&Aを成功させましょう。