会社の最後は売るか潰れるか。金沢で「連続起業家」を考える【pediasalon地方イベント】

会社の最後は売るか潰れるか

9月28日、金沢にて連続起業家コミュニティ「pedia salon」のサロン代表であり、当メディア(pedia news)の代表でもある正田圭の地方講演会が開催されました。

講演会では、正田が起業する上で経験した苦悩やトラブル、どのようにして会社を売却したのか、連続起業家としての体験を通してどのようなキャリアを歩んできたのかについて赤裸々に告白。

また、最後に、起業や会社売却を目指す参加者からの質問にも答えているので、そちらも注目です。

気になるイベントの様子を、レポートにまとめたのでご覧ください。さっそく、イベントの様子を見ていきましょう。

15歳で起業した時に困ったことは「名刺の作成」

はじめに、15歳で起業した正田が、最初に苦労したことについてお話を伺いました。

これまで何度も起業を繰り返し、順調な起業家人生を歩んできたように見えますが、はじめに苦労したこととは一体何なのでしょうか。

正田圭

正田圭(まさだ・けい)
15歳で起業。インターネット事業を売却後、M&Aサービスを展開。事業再生の計画策定や企業価値評価業務に従事。2011年にTIGALA株式会社を設⽴し代表取締役に就任。2017年12月より、「pedia」を運営。
著書に『サクッと起業してサクッと売却する』『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい』『15歳で起業したぼくが社⻑になって学んだこと』(いずれもCCCメディアハウス刊)がある。

正田:15歳で起業した時に、最初に困ったことは名刺の作成場所です。周りに起業家などいるはずもなかったので、相談できる相手もおらず、15歳の少年にとっては大きな悩みでした。

司会:その時は、どのように名刺を作成したんですか。

正田:学校にカードみたいなもの持っている同級生が何人かいたので、どこで作成するのか聞いてまわっていました。

「名刺持ってる?」と聞いていくと、 親にロータリー入れられて、たまにロータリーの名刺持ってたりするんですよ。

「それ何処で作るかわかる?」と聞いて、来月ロータリー行った時に聞いてくると言われたので、一ヶ月程待っていました。

「〇〇の名刺屋で作っている」と教えてくれたので、 名刺を作りに行ったのですが、当時ロータリーの名刺は金箔が入っている高級なやつでした。

金箔を入れるのが普通かどうかも判断できないので、名刺屋に持って行って「こんなのを作りたいんです」と言ったら「金箔を入れるんだねって」と聞かれたので、「はい!入れます!」と答えたら、3万円もしたので驚きましたね。

名刺作るのに3万円もかかったり、書類が増えてきて整理が必要になったり、名刺入はどこで買えるのかなど、当時は慣れないことばかりで大変でした。

司会:完全に手探りでのスタートだったんですね。

正田:はい。その様なことをやっている内に、会社の規模も大きくなってきたので、大人を雇うことが必要だと痛感。

その時も、人を雇ったことがなかったので、大人をどこで雇えばよいのか全くわかりませんでした。色々調べていると、求人広告やフリーペーパーで募集をかけられることを知り、とりあえず、広告代理店に行ってみました。

実際に広告代理店に出向いて、広告の出し方など聞いていたんですけど、対応してくれる営業マンを見て、「あれ、この人でいいんじゃないか」と思いました。

求人を出そうとしたら10万くらい取られるので 、あなたじゃダメなんですかと交渉を行い、何回か出向くうちに結局その営業マンが働いてくれることになりました。

それが最初に雇った営業マンで、結局10年くらいうちの会社にいたんですけど、これが初めて人を雇った経験です。

連続起業家になったきっかけは19歳の売却

連続起業家になったきっかけは19歳の売却

なぜ正田さんは連続起業家になろうと思ったのでしょうか。

そもそも連続起業家とは、英語で「シリアルアントレプレナー」とも言い、ベンチャー企業を立ち上げた後、事業を成長させて売却するというプロセスを繰り返す人のことをいいます。

今でこそ注目されつつありますが、正田さんが起業された時は、まだ、連続起業家といわれる人はあまりいなかったでしょう。それでは、なぜ連続起業家としてのキャリアを歩もうと思ったのでしょうか?

正田:僕が起業した時は、堀江貴文さんとか藤田晋さんなどが注目を浴び始めた頃なので、会社を作ってから5年後にはIPOさせるのが当たり前のカルチャーが存在していました。

なので、僕も最初は当然のようにIPOを目指していたんですね。

僕がやっていたのはSEOという事業で、GoogleやYahooで検索をかけた時に、なるべく上位表示させるテクニックを使って商売をしている会社。当時はSEOをやっている会社も少なく、IPOを目指せると思っていました。

とりあえず、IPO するためには監査法人と契約しないといけないと聞いたので、新日本監査法人という場所と契約して証券会社を探していました。

だけど、IPOの準備に取り組んでいる間に、SEO関連で後発の会社が2社ぐらい上場してしまい、IPOがかなり不利な状況になってしまったんですよね。

だから、他の策を考えるしかなくて、その時に会社を売るという選択肢があることを知り、最終的には会社を売却することに至ったんです。

司会:19歳の社長の会社がいくらで売れたのか・・・気になりますね(笑)

正田:実は1回で売却したわけではなく、SEOとホームページ制作の事業を2回に分けて売却。SEO事業を8000万で、ホームページ制作事業を7000万で売却して、合計1億5千万になりました。

会社を売却するためのアプローチの取り方

会社を売却するためのアプローチの取り方

会社の売却には多くの手続きをする必要があります。そのため、仲介会社などに依頼することが一般的。しかし、正田は個人で会社を売却しています。

ここでは、なぜ個人で会社を売却しようと思ったのか、その時苦労したこと、どのようなアプローチを取ったかについて答えていただきました。

正田:当時は、M&Aの仲介業者が出てきた時で、仲介業者にいくらで売れるか相談していました。

その際、仲介業者から9000万から1億ぐらいで売れると資料を渡されたのですが、 僕の中では年間3000万円ぐらい利益が出てたので、3年分と考えると少し物足りないかなと。

業者が提示した金額が正しいのか疑問に思ったので、自分で買い手の企業に直接アプローチしてみたところ、1度に売却すると大体1億ぐらいでした。仲介業者の言ってることも間違ってはなかったんですね(笑)

だけど、事業ごとに売れば高く売れるんじゃなかと思い、バラして売ったら1億5千万に。税率も結構低く抑えられたので、人に頼んで成功報酬を払うよりも自分で売って良かったです。

司会:個人で売却する手続きなど、どのように調べたんですか?

正田:売却のアプローチについて書いてある本はあまりなかったので、手探りで会社のお問い合わせフォームに売却したい旨を送ると、意外と返事が返ってくるんですよ。

司会:なるほど。初めて売却を行う上で、苦労したことはありますか?

正田:税金のシミュレーションですね。例えば株を売るのか、事業を売るのかによってもかかる税金が違ってきます。

残りはいくらなのかという、シュミレーションが思いのほか難しく、事業譲渡で売る際は純資産部分の計算が複雑で大変ですね。

シュミレーションに瞬時に答えてくれる人はなかなかいなくて、もう少しここら辺のことを瞬時に答えてくれる人がいたら助かるなと。

司会:売却してよかったことはありますか?

正田:売って良かったことは、従業員との定例ミーティングから解放されたことです。従業員とはあまり親しくなかったので。

プログラマー達は、社長は内容が全然わかってないと思っていましたし、僕もプログラマー達の話は本当に大事なことなのか分からない状態でした。

社員との間に溝があったので、人間関係のしがらみから解放されたのはよかったです。

気前良くお金をドブに捨てるやつはいない

ここで投資について質問がでてきたので、「銀行借り入れと投資は違うのか?」というトピックに移ります。

起業する際に、設立費や従業員を雇うための運転資金などを自己資金で賄えない場合、資金調達をしなければなりません。

資金調達には、銀行借入れ、他社からの出資、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資など、様々な方法があります。

ここでは、銀行借り入れと投資の違い、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるのは実際どうなのか、などの質問に答えていただきました。

正田:銀行借り入れには、当然ですが返済義務があります。

投資には返済義務はないですけど、リターンは出さないといけませんし、議決権は減るのでかなり性質は違います。

僕は銀行借り入れができるなら、今は利息が低いので銀行借り入れした方がいいと思います。

でも銀行がまだ事業を始めてまもないような人(会社)に対して、お金を貸してくれることは殆どないので、バランスを考える必要があります。

よく言われていることですが、銀行はローリスクローリターンなお金、投資はハイリスクハイリターンのお金です。時と場合によって、どっちを選ぶかは変わりますので、絶対的な正解というのはありませんね。

ただ、どっちも選べるような場合だったら、間違いなく銀行借り入れの方がいいと思います。

司会:銀行からお金を借りれない場合、ベンチャーキャピタルからの投資を受けた方がいいんですか?

正田:銀行からお金を調達できない時に選択肢に上がってくるので、例えば最近の調達事例だとクラシルという料理メディアの会社がソフトバンクから70億出資を受けました。

赤字で利益の見込みの無いベンチャー企業が銀行から融資を受けられるかというと、なかなか受けられません。そうなると投資を受けるしかないという結論になるんです。乱暴に言ったらこういう考え方ですね。

ベンチャーキャピタルの投資家たちは出資することのメリットとして、ハイリスクハイリターンを狙う感じですね。

ベンチャーキャピタル(VC)の投資家たちは、LPと呼ばれてる投資家たちからお金を預かっているので、彼らも投資家にお金を返さないといけません。

大体、償還期限が7年から10年なので、ベンチャー投資は7年で10倍にして返しますなどのお約束があります。それを達成するために投資をしているので、投資したお金が戻って来なそうだったら口も挟んできます。

そこは銀行、投資家に関わらず、成果がでなそうであれば、役員を出向させたり、事業に口を出し、 何か大きな意思決定をする時は必ずそのVCにお伺いを立てる様な契約になっていることもあります。

気前よくお金をドブに捨ててくれるような人は世の中にないですからね。

急激な成長は会社を買うことで起きる

急激な成長は会社を買うことで起きる

ここでは、正田が23歳の時に35億円の会社を倒産させたことについて語ります。

正田:年商と利益は全然違いますが、20歳ぐらいで1度お金がなくなり、そこから何をやったのかというと大学生のフリーペーパー事業をやり始めました。

その当時、名古屋で女子大生向けのフリーペーパーが流行ってたんですよね。女子大生のサークルが自分たちでフリーペーパーを作って楽しそうにやってたんです。

これは広告費をもらえたりするのではないかと思い、僕が広告つけたり、インターネットを絡めたりして事業化させました。

事業化したらIT系上場企業の子会社から買いたいという話がきて、それで売却することに。そこでまた手元にお金が入ってきたので、小規模な会社を買っては自分の会社に吸収させていくということをやり始めたんです。

23歳の時に、ようやくやりたかった不動産投資ができることに気づき、不動産投資を行い、年商35億までいきました。

利益は1億ぐらいだったんですけど、リーマンショックが起こりまして、不動産の価値が暴落、不動産のために使用していた融資を返済しろと催促が来る様になり最終的に全て畳みました。

司会:その時の心境はどうでしたか?

正田:それまで羽振りのいい生活を送っていて、その頃の拠点は名古屋だったんです。

東京の会社を一個買おうと思っていて、そこの会社を買ったら東京に拠点を移そうとやっていたので、贅沢な暮らしを送っていました。

それが半年で一気に状態が変わってしまったので、驚きを隠せませんでしたね。倒産と言いましたが、自己破産や民事再生ではなく、ゼロに戻っただけですね。

司会:急激な成長の背景には何があったんですか?

正田:会社を買ったからですね。その当時会社を買うのに楽しさを見出しており、 安く買える会社を見つけては買って、大きくさせることをやっていたので、なかなかリスキーでした。

特に不動産を理由に使えば銀行から借りやすいので、不動産の名目で借りたお金を事業の買収資金に回していました。財務バランス的にはかなりリスキーでしたね。

今振り返るとかなり綱渡りです。

あとは、不動産を買うときの融資はかなり受けやすかったので、不動産もよく分からずに買っていました。不動産投資は建物のことがよくわかっていないと収益予想が難しいんですよ。

僕はこれをよくわからないまま、銀行がお金を貸してくれるからやっている感じだったので、それが跳ね返ってきた感じです。

会社の最後は売るか潰れるか

イベントも終盤になり、参加者から様々質問が飛び交います。起業する上での悩みや、今の現状を打破する方法についての回答を見て行きましょう。

これから当たりそうなビジネスはあるか?

周囲が良いと思うものは、沢山の人がやって儲からなくなると思うので、なるべく人がやってないものをやれということに限りますかね。

今振り返ると良かったビジネスも、当時は何でこんなことをやるの?と真顔で聞かれてたので、人がやってないものにこそチャンスは多いのかもしれません。

会社の利益を上げる極意はありますか?

経営者の目線がやっぱり大事だと思います。

初年度の売上を1千万目指そうとしてる人と、5億目指そうとしてる人では、実現可能性などもありますが、5億を目指そうとした時点で目標のための頭の使い方も変わってくるので、経営者の目線はとても重要だと思います。

土建屋を畳むのにすごくお金がかかるのですが、どうすればよろしいでしょうか?

売却することがいいと思います。

会社って最後は売るか、潰れるか、の2択しかないので、そう考えると潰れるよりも売る方が手元に残るお金は多いです。僕は売る選択肢で良いと思います。

事業売却する上でどのように引き継ぎを行うのか?

事業を売る方法って大きく分けると二つで、事業譲渡と吸収分割になるんですね。

吸収分割という方法を使えば、契約関係が半強制的に引き継げるので、割と吸収分割というスキームを使って売る方が実務上多いです。

最後に

今回は、「pedia salon」地方講演の様子をお届けしました。

連続起業家として15歳から現在に至るまで、様々な会社の経営に携わってきた正田圭。

これから起業する上で、今の状態で尻込みするのではなく、先ずは飛び込んでみることが大切ということを強く実感させられるイベントでした。

イベント終了後は、参加者どうしでの意見交換や名刺交換などが始まり、イベント開始から終了まで終始その熱量に圧倒されました。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!