クラウンジュエルとは?敵対的買収を防ぐための発動要件や問題点について解説

クラウンジュエル

クラウンジュエルとは、敵対的買収を仕掛けられた際に、会社の事業や財産を売却し、買収者の意欲を減退させること。

敵対的買収を仕懸けれらた側が行う防衛策ですが、実際にはほとんど実施されたことがありません。というのも、クラウンジュエルには様々な難点があるからです。

この記事ではクラウンジュエルとは何か、発動するための要件や問題点について簡単に解説していきます。

クラウンジュエルとは

クラウンジュエル

クラウンジュエルとは、敵対的買収の防衛策の1つで、会社の持つ財産や資産、事業を第三者もしくは子会社に譲渡することで、敵対的買収を仕掛ける側の意欲をなくすこと目的とします。

このクラウンジュエルは、王冠についている宝石を外し、王冠自体の魅力を下げることに例えてこのように呼ばれています。

日本で実施された例はまだありませんが、2005年にライブドアがニッポン放送に敵対的買収を仕掛けた際、ニッポン放送側が子会社であるポニーキャニオンやフジテレビの株式を売却することをほのめかしました。

ライブドアの目的は、ニッポン放送の支配を通じてフジテレビの経営権を獲得することであったため、株式を売却し、支配権を放棄することで、買収意欲をなくそうという狙いがあったと思われます。

クラウンジュエルの導入要件

クラウンジュエル 導入要件

クラウンジュエルを行う際には、事業を譲渡するのか、財産を処分するのかによって違いがあります。重要な事業の一部、あるいは全てを譲渡する場合、株主総会で承認を得る必要があります。

なお、株主総会の承認には株主の3分の2以上の賛成が必要であり、事業や財産を譲渡することに株主はメリットを感じにくため、いくら敵対的買収の防衛策であるとはいえ、承認を得るにはかなり高いハードルがあります。

また、重要な財産の処分に関しては、取締役会議での決定により可能になります。事業譲渡に比べると比較的行いやすくなっているのが特徴ですが、決定を下した取締役は善管注意義務や忠実義務違反を問われる危険があるので注意が必要です。

クラウンジュエルの問題点

クラウンジュエル 導入要件

クラウンジュエルは上記でも述べたように、決断を下す取締役が善管注意義務や忠実義務違反を問われる可能性もあり、発動するにはかなりハードルが高いことが問題点です。取締役は株主から経営を任されている立場にあり、株主の利益を最大化することが求められます。

そのため、クラウンジュエルは会社の事業や財産を譲渡することで、会社にマイナスの影響を与える可能性があり、株主に損害を与えることにつながってしまうため、善管注意義務違反に問われることもあります。さらに、株主による代表提訴の可能性も否定できません。

これらの問題点から、実際にクラウンジュエルを発動することは現実的ではないのです。

仮に発動するのであれば、株主に対して発動する理由や目的について詳細に説明した上で、株主総会で承認してもらうための裏どりが必要になってきます。

また、現実問題として、敵対的買収の防衛策としては、クラウンジュエル以外の手段が取られるのが一般的です。以下では、クラウンジュエル以外の敵対的買収の防衛策について紹介していくので参考にしてください。

クラウンジュエル以外の敵対的買収の防衛策

クラウンジュエル

クラウンジュエルは発動するにはリスクが高く、現実的でないことがお分り頂けたと思います。ここではその他の防衛策について簡単に解説していきます。

ホワイトナイト

第三者に友好的に買収してもらうことをいいます。

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた会社と買収者に対抗して、友好的に買収・合併してくれる会社のことをいいます。買収を仕掛けられた会社が、友好的な企業の傘下に入ることで、敵対的買収者から防衛することを目的とします。

詳しくは以下を参考にしてください。

ホワイトナイトの意味とは?事例や問題点などを交えて解説

ポイズンピル

既存株主に新株を安く発行することで、敵対的買収者の持ち株比率を低下させることです。ライツプランとも呼ばれます。

あらかじめ株主に対して新株予約権を付与しておき、敵対的買収を受けた際に株主がそれを行使することにより、敵対的買収者の持ち株比率を低下させることができます。

また、支配権の獲得にかかるコストを増加させることで、買収の意欲を低下させることを目的とします。

パックマンディフェンス

敵対的買収を仕掛けてきた企業に対し、逆に買収を仕掛けることで防衛する手法のことをいいます。

パックマンディフェンスを行うには多額の資金が必要であり、事業や財産を売却して資金を集めたとしても、その後の経営に支障が出るためかなりリスクの高い手法です。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、敵対的買収を仕掛けられた企業の経営陣が解任された場合に、多額の賠償金を支払う契約を結んでおくことで、買収コスト引き上げ、買収意欲を減退させることを目的とします。

しかし、買収金額が巨額である場合はあまり効果を期待できません。

敵対的買収の防衛策について、もっと詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。

敵対的買収に対する10個の防衛策からコンサルタントの選び方まで解説!

まとめ

クラウンジュエル まとめ

敵対的買収の防衛策としての「クラウンジュエル」についてお話してきました。

実際に実行するためには株主の賛同を得なければならないなど、かなりハードルが高く、現実的でない対抗策ということは理解いただけましたか?