「オンラボ・17期DemoDay」院内残薬の問題を解決する9lioneが最優秀賞・オーディエンス賞を獲得

オンラボ集合

平成30年10月8日、デジタルガレージは、OpenNetworkLab17期のデモデイを開催しました。同社のシードアクセラレータープログラムは、今年で8年目となります。

デジタルガレージが今までサポートしてきた会社は97社にもおよび、プログラム卒業生の資金調達率は60%を超えるなど、非常に高い実績を残している人気のプログラムです。

今17期には90社の応募があり、うち20%が海外からの応募者でした。また、今期の特徴として、女性ファウンダーやヘルスケア関連・マッチングプラットフォーム・訪日向けサービスが増加傾向にありました。

今回は、90社の中から書類審査と面談を通過した6社が3ヶ月間のプログラムを経てピッチを行ないました。最後に審査員とオーディエンスによる審査が行なわれ、9lioneが「最優秀賞」と「オーディエンス賞」をW受賞、KibunLogが「審査員特別賞」を受賞しました。

受賞した2社を含め、この6社のピッチの内容をご紹介します。

次回のOpenNetworkLabに参加したいと考えている方は、どのようなサービスがあるのか参考にしてください。

【最優秀賞・オーディエンス賞】9lione 医療関係のアマゾンを目指す

クリオネ1

まずは最優秀賞とオーディエンス賞をW受賞した9lione(クリオネ)。

クラウド管理システムで医薬品を簡単に管理できるサービスを展開しています。

ほぼ全ての医療機関が院内残薬の問題を抱えており、1店舗あたり500万円ものロスが発生しています。この金額は、個人で経営する薬局の営業利益に匹敵します。また、期限の切れた医薬品は廃棄しなければならないため、廃業の最大要因となっています。

この問題の原因は、医療機関のIT化が遅れており、2000品目にも上る医薬品を今も手書きやエクセルなどのアナログな手法で管理しているからです。

そのため、消費予測ができずに過剰な発注を繰り返してしまうのです。

この課題を解決するのが「9lione」です。

クリオネ2

OCR技術を活用した処方箋の読み取り機能によって、一錠単位でも管理可能になるほか、バーコード読み取りによる消費期限の管理、薬価改定の自動管理などもできます。また、消費データを元に発注提案を受けられ、最適なタイミングで最適な量のレコメンドを受けられるといった特徴があります。

既にβ版を導入した医療機関には、過剰な発注を75%削減できたと好評でした。この結果から、1店舗あたり380万円もの削減が可能になると予想されています。

また、トラクションについても、2週間のFAXによる事前申し込みで、91店舗もの医療機関が利用の希望を申し出ており、その注目度が伺えます。

今後については、膨大な在庫データを生かして、医薬品の売買プラットフォームになることを目指します。さらに、院内残薬が発生しても医療機関に売買を可能にする仕組みを作るほか、製薬会社にプラットフォームへ入ってもらうことで医薬品卸市場を獲得し、医療機関が欲しい物すべてを販売する、医療関係のアマゾンへと進化していきます。

【審査員特別賞】KibunLog 使いやすいアプリでメンタルの改善をサポート

キブンログ

次に、審査員特別賞のKibunLog。こちらは、メンタル改善サポートアプリです。

精神疾患の患者数は、日本で506万人、世界では3億人いると言われています。

精神疾患の治療では、血液検査の結果よりも患者の話す言葉の内容が治療に大きく影響します。今現在の代表的な治療法では、患者本人が落ち込んだ時の感情を書き出して分析するというものが一般的です。

しかし、自分の感情を表現するのが難しかったり、仕事中にイライラした都度感情を記入する時間がなかったりなど、患者の精神状態を正確に分析しにくいという課題があります。

キブンログ

このアプリのインターフェースは、自分の感情を書き出しやすいものになっています。その場で振り返りって自己分析をすることも可能で、ストレスの解消に繋がります。

また、精神疾患の患者同士がコミュニケーションを取れる仕組みも備えています。この疾患者同士の支え合いは、アメリカでは国の認定制度があり、日本でも重視され始めています。

プロモーションコストをかけずに3万7000ダウンロードを突破。質の高さや医学的な面で評価されています。

今後については、疾患の当事者(ユーザー)が自分で開設して運営収益を得ることができるオンラインサロンの開発を考えています。投薬より安く、根本的な治療を提案するプレミアムコースを開発中で、発祥の予防、通院診療のいらない治療の実現を目指していきます。

「Giftpack」遠距離のためのギフトサービス

ギフトパック

Giftpack」は、台湾とサンフランシスコを中心に5カ国で展開中のグローバルオンデマンド・ギフトサービスです。

遠距離にいる人とのコミュニケーションは取りづらく、時差や距離を克服するのは簡単なことではありません。そんな遠距離恋愛の人たちの悩みを解決するためのサービスです。

ユーザーはアプリやWEBサイトからクリックするだけで、遠方に住む人に最短3時間でギフトを届けることが可能です。

独自AIによるギフトアイデアの提案や、現地の配達人が歌や花火など+αの特別なギフト体験をお届けすることで、感情や想いを伝えることもできます。

特にミレニアル世代からの支持を集めており、現在は大手ライブ配信アプリやアパレルとの連携を進めています。

「えぶりPLUS」介護施設向けレクリエーション派遣マッチングサービス

エブリプラス

介護施設を利用する高齢者は一日の大半が余暇時間のため、介護施設の集客において、余暇時間を楽しく過ごすためのレクリエーションが重要です。しかし、業務優先度が低く、企画をする時間がない、内容のミスマッチなどの問題から、満足するレクリエーションを提供できていない現状があります。

えぶりPLUS」はこの課題を解決する、レクリエーション派遣マッチングサービスです。

サブスクリプション型のサービスで、派遣回数や内容によって料金が変わります。300種のレクリエーションで対応可能人数をデータベース化し、レクリエーション提供者への知識提供、VR旅行、寿司職人の派遣などを行ない、介護施設のレクリエーション効率化を計ります。各介護施設のニーズに合わせ、蓄積されたデータから最適なプランを提案することも可能です。

現在の累計開催回数は3500回を超え、大手介護施設、行政との商談も進めています。

「Signature」クラフトビール製造者と世界をつなぐマーケットプレイス

Signature

Signature」はクラフトビール醸造所と世界の消費者をつなぐマーケットプレイスです。

海外の酒類を販売する上で、海外で酒販免許を取得している輸入会社を通す必要があること、在庫リスクがあることなどが課題です。そのため、非常に効率が悪い市場となってしまっています。

こちらを利用すると、製造者は写真や動画で商品をアップするだけで、世界中のユーザーが購入可能になります。プラットフォーム側が酒販免許を取得しておくことで、輸入会社との手続きを効率化できます。また、事前注文形式を取ることで在庫リスクを無くせます。

さらに、世界で流行するクラフトビールや、自分のクラフトビールの流行地などの分析まで可能になります。

試験運用では、7割以上のユーザーがリピートし、そのうち半分が月一回以上購入しました。今後は、集まったビールの流行情報を元にD2Cモデルを検討しています。

「MEDICTION」中国からの医療ツーリズムの問題を解決

Medication

MEDICTION」は、中国から日本へ治療や健康診断などの目的で訪れる「医療ツーリズム」患者の面倒な手続きを、オンラインで解決するサービスです。

自国ではできない医療を求めて日本にくることを「医療ツーリズム」と呼びます。実はこのうち7割に当たる中国人がターゲットとなります。

現在の医療ツーリズムは手続きが煩雑であり、診断まで2ヶ月、治療まで3ヶ月かかります。そのため、治療を受けたい患者の大半が日本に来ることができないという現状です。

このアプリでは、アップロードしたカルテがAIに自動翻訳され、患者は受診したい医師とマッチングすることができます。その結果、診断までの効率が良くなります。また、メンバーは中国での医療経験があり、現地の優秀な医師とのコネクションがあるため、患者は安心してサービスを利用できます。

今後については、蓄積されたカルテデータを元に、保険サービスや医療相談サービスといった展開を考えています。

総評

17期のデモデイは、9lioneがオーディエンス賞と最優秀賞の両方を獲得するほど圧倒的でしたが、審査員からは、「どれも面白く、いかにサービスが進んでいるかの差だった」、「地に足のついたサービスが多く、前回よりもさらにレベルが上がっていた」などと、6社とも高い評価を得ていました。来期にも期待がかかりますね。

デモデイの最後には18期の応募受付が開始されました。支援内容は、事業ブラッシュアップ経営者、投資家メンターサービス、活動資金やオフィス環境の提供など、世界に通用するスタートアップを育成してきた実績のあるデジタルガレージだからこそできるプログラムです。応募期間は平成30年11月22日までとなっています。