運転資本とは?計算やマイナスの意味までわかりやすく解説!

運転資本とは

「運転資本(運転資金)ってどういう意味?」、「運転資本がマイナス?」と運転資本に対して、疑問に思ったことはありませんか。

運転資本は財務諸表を分析するのに欠かせないものです。会計上は利益が出ているのに、運転資本について理解していないと黒字倒産ということも。

そこで今回は、運転資本とは具体的にどのような意味なのか、また運転資本がマイナスになるとどうなるのかなど、運転資本がビジネスとどう関わっているのか詳しく解説していきます。

また、運転資本を用いた計算の方法も紹介していますので、参考にしてみてください。

運転資本(運転資金)とは

運転資本

運転資本(Working Capital)はWCとも表現され、企業が事業をするための営業資金のことを指します。具体的に言うと、仕入れ〜支払い・販売〜回収の間に現金回収のタイミングがずれ込むことがありますが、その期間(CCC)に補う立替金のようなものです。売掛金や棚卸資産(在庫)、買掛金などが該当します。

企業は何かしらの形で現金を調達しなければ、ビジネスを回すことができなくなります。というのも、売掛金が発生するという時点で、現金の入ってくるタイミングがずれ込むからです。

このように、運転資本はキャッシュフローに大きく影響しているのです。

ちなみに、運転資本と運転資金は広い意味で同じですが、運転資金は運転資本の中でも資金の部分を主に指します。

運転資本分析

運転資本分析とは、運転資本がどのようになっているかを分析することです。

ちなみにM&Aでは運転資本が企業価値に影響を与えるため、デューデリジェンスをする上でも重要になってきます。デューデリジェンスとは、投資やM&Aでの意思決定に必要な情報を得るために、対象企業の資産やリスクを調査することです。

デューデリジェンスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

運転資本は2種類ある?

運転資本には総運転資本正味運転資本の二つの考え方があります。

運転資本といえば、基本的に正味運転資本の意味で用いられることが多いです。総運転資本は流動資産全体正味運転資本は流動資産から流動負債を引いたものを指しています。

この記事では主に、正味運転資本の意味で使用しています。

また、これ以外にも流動資産から現金を省くパターンと省かないパターンも存在します。

運転資本がマイナスになると

ストックオプションで億万長者?!それでは、運転資本がマイナスになってしまうと良くないのでしょうか?

一見お金が足りないというイメージを持ってしまうかもしれませんが、実は必ずしも良くないという訳ではないのです。

次項から詳しく見てみましょう。

運転資本マイナスはどういう状況か

運転資本マイナスとは、買入債務(流動負債)よりも売上債権と棚卸資産(流動資産)の合計が膨れた状況のことを指します。

簡単な図にすると以下の通りです。

運転資本マイナス

運転資本がマイナスだと問題がある?

運転資本がマイナスなら問題があるかといえば、必ずしもそうではありません。

マイナスで良い場合

売上がほとんど現金のお店(いわゆる現金商売)の場合は、売上債権がないに等しいため、マイナスでもちゃんと回ります。

また、運転資本マイナスモデルのビジネスは沢山あります。例えば年間購読サービスなどもそうです。買入債務の支払いが売掛金回収の後にくるため、キャッシュは潤います。

マイナスで悪い場合

悪いのは、資金繰りが悪くなって運転資本がマイナスになってしまったという場合です。

例えば、売上が良くない状況が続いて支払いを先へ先へと延ばしてしまった場合によく起こります。

運転資本を使った計算

運転資金運転資本を用いて求められる数値がありますので、いくつかご紹介します。

運転資本比率(回転率)

運転資本比率は、運転資本が売上高に比べて適正かどうかを判断する指標になります。売上高に対してどれだけ運転資本があるかという話なので、売上高を運転資本で割って算出します。

運転資本回転期間

運転資本回転期間は、運転資本が何ヶ月分の売上高に相当するかを見ます。運転資本を一ヶ月分の売上高で割って算出します。日数で割ることもあります。

回転期間分析というものがあります。運転資本の回転期間分析では、所要運転資本を見直すことができるため、黒字倒産などのリスクを防ぐの役立ちます。運転資本としてだけでなく、売上債権、棚卸資産、仕入債務のそれぞれの勘定科目での回転期間分析も行なわれます。

運転資本を減らすと資金繰りが楽に?

資金繰り 計算資金繰りで苦しくなってしまったら、運転資本を減らすことを考えてみましょう。

運転資本を減らす方法

では、減らすには具体的にどうしたら良いでしょうか。大きくまとめると以下の3つです。

  • 売上債権を減らす
  • 棚卸資産を減らす
  • 買入債務を増やす

売上債権を減らすならば、回収までの期間を短くしてもらったり未回収分の催促をしてもらったりすることが方法として挙げられます。

棚卸資産を減らすには、在庫の整理をしたり必要以上に在庫を持たないようにしたりすると良いでしょう。また、すぐに売れる商品を扱うのも一つの手です。

買入債務を増やす方法としては、支払いまでの期間を長くしてもらうこと等が挙げられます。

運転資本を減らすことのメリット・デメリット

運転資本が多ければ多いほどビジネスの規模としては大きくなりやすいですが、余分なお金をかけないようにするなら運転資本を減らすべきでしょう。運転資本を減らすことによって、資金繰りは楽になっていきます。在庫を少なくしておけば維持費もかかりませんし、売れ残りで在庫が無駄になるリスクが軽減されます。

ただし、運転資本の中でも現金の部分を減らすと、売上が悪くなった時に現金が不足してしまうというリスクもあります。運転資本を減らすことはメリットばかりかといえばそうではなく、このようなデメリットもあるので注意しましょう。

資金繰りについてもっと詳しく知りたい方は、以下もご覧ください。

資金繰りとは?正しい意味や悪い状態を改善していく方法解説

おわりに

運転資本

ここまで運転資本についてご紹介してきました。

業種やその企業の状況によっても、運転資本を多くするべきか少なくするべきかは異なります。ただし、こまめに見直すことはどの企業にとっても大切です。

運転資本よりも利益の方が重視されがちですが、実は資金繰りを考える上ではとても重要なものです。たとえ利益がいくらあったとしても、運転資本を軽視してしまった先には倒産の危機も待ち受けているかもしれません。

起業している人やこれから起業を考えている人は特に、今後うまく経営していくためにも覚えておきましょう。