学生スタートアップから急成長し、100人の壁を超えていくジラフ社の組織化プロセスとは?

買取価格比較サイト「ヒカカク!」、スマホ乗り換えのLINE相談サービス「携帯かえるくん」、匿名質問サービス「Peing-質問箱-」等を運営する株式会社ジラフのサービスは月間合計4,000万人以上。学生スタートアップからはじまった当社は、誰もが知る人気企業から優秀な人材を採用し続ける急成長企業へと変貌した。その組織化と採用のポイントについて代表取締役社長の麻生氏にお話を伺いした。

ジラフアイキャッチ

役員レベルのコアメンバーは初期にすべて採用しつくした

正田 圭
今、スタッフの方は何人くらいでしょうか?
麻生
今は契約社員やアルバイト、業務委託の人も入れると80人くらいいます。そのうちフルタイムの社員は50人くらいです。
正田 圭
どんなふうに学生スタートアップから、ここまでのきちんとしたスタートアップ企業になったのですか?
麻生
スタッフが20人くらいまでは僕とGREEから転職してくれたCOOの柴田という人間の二人でチームを回していました。その後に今は執行役員として営業部長をしている者が営業マンとして商社から転職してきました。その彼がごりごり営業をしてくれたので、僕が営業を離れられたのです。その時に黒字化がやっと出来て、そこから1.3億資金調達しました。その中でシリアルアントレプレナーの佐々木という人間がいて、彼はポケラボという会社で100人規模のところまで経営サイドで関わっていました。その彼と組織としての形を作っていきました。例えば、こういう風に組織を分けようとか、こういう人材を取るべきとか、責任の所在を会社の中の各職務で分割していく話などをしてくれたり、実際に彼も手を動かしてくれました。そういうふうにやっていく中で会社が徐々に組織化されていきました。
正田 圭
採用はすごく上手くいっているイメージがあります。最近にあった採用での苦労や失敗は何かありますか?
麻生
あるビジネスSNSを使って採用をやろうとしていた時期がありました。それを使った時に、意外とあまりうまくいきませんでした。原因は、媒体自体の求心力があまりなく、拡散された中で見た人がくるというサービスだったからかなと感じています。成果も少しは出ていて、価格は今考えると安かったのですがその当時の経済状況から考えると難しいなと。そこで、メディアとして、今はTwitterに移して活動していますが、そこでゆるく会えたりしています。例えば、フォローされていなくても認知されていれば会いやすいので、活動のリーチ範囲を広げていったのがうまくいったかと思っています。

あとは、例えば、なんとなく今はメルカリがみんなが入りたい会社じゃないですか。そんな会社になっていけばいくほど採用しやすくなると感じています。

初期段階から大事にしていることは、中核の執行役員以上の8人を厚くすることです。人事責任者は一番あとに入ったのですが、それ以外は組織化していないときから採ってます。30人時点で中核メンバーはすべて採っていて、そのあとに増えたメンバーはそのリーダーの下の人を採っていったので、ちゃんとした流れでやれたのかなと思っています。

創業期にいた人ほど結果を出し続ける組織

正田 圭
創業期の頃についてお伺いしたいです。初期はなかなかいい人がうまく採れなかったりして、大学生を育てていく会社が多いと思うのですが、中核の役員クラスをがっつり引き抜いていく方がおすすめですか?
麻生
初期は採用できないのは確かにそうです。だけど、若いけどすごく仕事ができる人はいます。第二新卒くらいの25~27歳くらいの人です。そういう人たちを 採りに行くというのがやり方です。創業期に参画した凄腕のエンジニアの人は僕の二個上、COOは僕の一個上です。社会人になって1年くらい経験があり、すごく仕事できるけどなぜか会社に属してないとか、転職しようとしているタイミングで会えたというのはあります。そういう人は全員残って、今でもパフォーマンスを出しています。創業期にいる人が会社で結果を出せなくなるのはよくあるのですが、うちは逆で、最初にいた人ほど優秀で結果を出しているという組織です
正田 圭
それはなぜなのですか?
麻生
やっぱり創業期に入る人たちって、高い給料を出していたわけでもないです。それでもやりたいと思って情熱を持っている人は長期的目線を持っている人であり、僕はスタートアップで結果を出しやすいと思います。スキルだけで処理しようと思っても、いろんな仕事が繋がってたりします。僕もスキルがあったわけではないですけど、社長をやりながらいろんな仕事してたのでそういうことができる人ほど結果を出していて、今くらいの規模になってもあまり変わってないです。もちろんメスを入れたいところはいろいろあって、専門性を持ってる人の仕事は分割していきたいです。しかし、常にやっぱり整理仕切れない仕事というのが結構あって、そういうのをうまく扱える人たちが仕事ができる人だと思います。例えば、今はきちんと要件を決めて、作るというやり方になってますけど、仕様書をちゃんと作っていない状態から作ってくれるエンジニアはめちゃくちゃ優秀だなと思っていました。尚且つ、そんなスタートアップに興味を持って入ってきて、今も残っている人が優秀だと思います。
正田 圭
初期の頃、どんな雰囲気の下に働いていましたか?
麻生
単純に学生スタートアップは環境が劣悪な場合が多いです。池袋近くの雑司が谷というところでやってたのですが、普通なら暗くて寄らないところです。夜の7時半には周りの店が全部閉まる暗い街です。給料はその当時安くてみんな前職よりもダウンして、それでも遅くまで仕事している状況下で頑張れる人たちでした。僕はその時に、「こういう理由だから働いたほうがいい」とモチベートをほぼしてないです。でもみんな自発的に仕事がしたいから集まるという空気感が作れていたのは、規模が大きくなるほど薄まっていくものだと思っています。今はどうしたらみんなのパフォーマンスが上がるのだろうと考えたりするのですが、その時はそういうのは全くなく、それでもめちゃくちゃ仕事をする人が集まってました。習熟してどんどん仕事ができるようになって、僕が1言ったことが10理解されるというチームでやっていました。
正田 圭
初期の頃は採用が特に難しいと思います。失敗やトラブルは特になかったのですか?
麻生
基本的にこれは僕らの世代だからかもしれないですが、初期からエンジェル投資家が参加してくれており、採用についても相談出来たのであまり失敗しませんでした。うちの場合、某上場IT企業経営者が初期の段階にエンジェルとして入ってくれています。彼に「こういうときにどうしたらいいですか?」と聞くと答えが返ってくるのでそれにある程度忠実にやっていました。よく「スタートアップのリスクをとれ」みたいな話がありますが、リスクを変な形で受け入れない方がいいです。例えば実力がわからない人を社内で一番いい給料でいきなり雇ったりしないで、まずは業務委託などで一回働いてもらったりとか、そもそも契約で言うなら、社員という概念はなくて、みんな業務委託で仕事してたのです。
正田 圭
要領がとてもいいですね。
麻生さんインタビュー1

これがジラフの組織体系!

正田 圭
組織体制を考え始めたのはどのあたりからですか?
麻生
会社を作り始めて2年くらいで黒字化した頃です。その後に佐々木が投資家兼メンバーとして入ってきて、「組織とはこうなるんだ」といろいろ教えてもらいました。僕は大学で経営組織論を勉強していたので、世の中の製造業はこういう組織になるのはわかってたのですが、スタートアップに当てはまるかわからないと思ってやっていました。ただスタートアップはスタートアップなりに、こういうふうにやるとか因数分解していって、それに対しては忠実にやっていました。
正田 圭
今はどんな組織体系になっていますか?
麻生
まず、取締役会があり、監査役がおり、執行役員が7名います。そこの中に事業ごとに、営業責任者や開発責任者など機能ごとの部長がいて統括部長と呼んでいます。営業統括、開発統括、管理統括、財務戦略、管理統括の下に人事部や広報があり、あとはプロダクト統括部があります。事業部制にはしていないのですが、職能別の基本的な組織になっていて、事業責任者がいてそこにみんなが集う感じになっています。

あとは2週間に一回予算ミーティングをしていて、各事業での計画の達成に対してどんな施策があるなどを振り返ります。組織ミーティングも2週間に一度行っていて、そこで人員に関わる議論をしています。それは予算ミーティングとセットに考えているので、経営を最大化するためにこういう指標をもたないといけないから、今、人員をとってこうやろうみたいな感じでなるべく上の一番大事なところから下ろしてくるイメージでやっています。

正田 圭
麻生さんは会議には全部出席しているのですか?
麻生
はい、経営上重要なMTGにはでます。議事録もかなり書いてます。普段の実行部隊からは離れているけど、会議に参加はきちんとするようにしています。
正田 圭
結構一ヶ月あたりの社内会議は多いのですか?
麻生
組織、予算ミーティングが二週に一回あって月に四回くらいです。あとは必要であれば臨時で適宜やってます。

サービスごとに事業部を分けない理由とは?

正田 圭
それぞれのサービスごとに事業部を分けたりしていますか?
麻生
サービスごとに事業部というのは作っていません。
正田 圭
普通はサービス毎に分けそうですが、サービス毎に分けない理由はどうしてなのでしょうか?
麻生
サービス毎に分けると、縦割りの組織になって全社の利益が損なわれるからです。それに、縦割りの組織にして失敗した会社の事例を結構聞くことがあるからです。
正田 圭
確かに、縦割りだと質問箱にばかり専念していて、ヒカカク!のことは全然知らないみたいな感じになりそうです。
麻生
そうですね。だから、そこを分けすぎないようにしています。ただ事業責任者には責任を負わせていて、そのためのリソースは社内である程度共有や移動はできるようにしています。ヒカカクの方で人が余っていたら、それをスマホのほうで使えるなどにはしてます。だから、社内人事はすごく流動的に動いています。場合によってはこれを週次などでリソース管理して動いてます。
正田 圭
イメージとしてはマトリックス的な組織なのでしょうか?
麻生
実際にはマトリックス組織にはしていないです。一旦集まっている「プロジェクト」という状態にして、エンジニアの移動は流動性を持たせていますし、実際ビジネス側の人間も流動的に動いています。
麻生さんインタビュー2

社内の雰囲気や交流はどうなっている?

正田 圭
それぞれの部門は社内でどのような配置になっていますか?
麻生
ビルの3階がほぼ開発メンバー、そしてマーケティング部と事業責任者がいます。4階がそれ以外です。営業とコーポレート部門とラボといっているのですけど、スマママーケットは検品のオペレーションを持っているのでそのチームが動いています。
正田 圭
組織ごとの交流は結構多いのですか?
麻生
組織ごとの交流でいうと飲み会は月1くらいでやっています。あとはミーティングで出会ったエンジニアは勝手に交流しています。それ以外はなんらかのチームに所属してるのでその中である程度やっている感じです。
正田 圭
ちなみにジラフさんは副業okでしょうか?
麻生
副業は禁止していないので、開発やってる人は別に仕事をしてたりします。

夜食代は全額会社負担!

正田 圭
ジラフ特有の制度などで工夫があれば教えてください。
麻生
この辺はお店がないのもあって、夜食支援制度をしています。21時以降仕事をする人には夜食代を出してます。宅配のUBER EATSみたいなのが頼めるようになっていて全額会社で経費負担しています。
正田 圭
それはどういうきっかけではじまったのですか?
麻生
周りに店がなくて、お腹がすいたから帰るという人が割といました。みんな若いので、会社でご飯出すのでがんばってみたいな感じではじまりました(笑)
正田 圭
へー、優しいですね。
麻生
まあそうですね。でも人によって受け取り方はそれぞれで21時までいる気がない人は「そこまで働けっていう制度なんですか?」と言われたりもしました。その時に、何かを発信する時はいろんな受け取り方をする人がいるんだと実感しました。普通に働いている人からすれば、純粋にご飯を支援されたら嬉しいという感覚なのですけど、発信の仕方を一歩間違えるだけでみんなそれぞれの感覚で受け取るんだと学びました。
正田 圭
そういう人がいると、どういうふうに対処するのですか?
麻生
「確かにそういう風に考えることもできるよね」と一旦、受け止めます。理解はしますけど、制度として実際に使う人がいるかどうかで制度の成果を判断すべきという考えだったので、使っている人が何人いるか様子を今みているところです。

あとは勉強会を開発部は毎週水曜にやっていて、それは業務時間にカウントしています。独自の研究テーマを持って行っていて、その書籍代は会社で出してます。

ストックオプションを活用した人事評価制度

正田 圭
人事評価はどうしてるのですか?
麻生
人事評価を昨年の末から半年かけて作り始めました。評価はバリュー評価と能力評価の二つになっていて、バリュー評価はうちのコアバリュー3つ(発明力、オーナーシップ、チームジラフ)に基づいて「言語化するとこういうことできてます」という感じで見ています。能力は職種別に用意してます。バリュー評価はエンジニアもビジネス側も共通してますけど、能力評価は職種別に違う項目になっています。それを作成して半年に一回それに基づいて評価することにしています。

あとちょっとだけキャッチーなのはバリューストックオプションというのを用意していて、バリューを素晴らしく体現して行動した人にストックオプションを与えるという制度を作っています。ただ運用自体が始めたばかりなのでその効果の判断はまだこれからです。そもそもストックオプションの価値をスタッフはわかってなかったりするので。

その説明会を開く必要があったり、そういうのを含めてコミュニケーションが必要だと思っています。コミュニケーションコストはそれなりに大きいと思いつつもそういう仕組みも取り入れていっています。

正田 圭
ストックオプションを渡すのは結構気分ですか?
麻生
テーブルを敷いていて、この株数を出すのは会社としてこういう期待値の人というのを決めています。そして、テーブルに歪みがないような形で運用していってます。
正田 圭
結構ちゃんと還元してあげてるんですね。
麻生
そうですね、一般的に出した方がいいと考えるスタートアップが多いと思うのです。会社によっては20%まで広げているところもあるようですし、僕らもなるべく上手く使いたいという気持ちがあります。
正田 圭
レアなケースでいうと、ある有名企業の経営者は4%しか渡してないとネットで叩かれていました。
麻生
それは会社によって違いますよね。会社として何を謳っているかによって違うと思います。そういう時にどう見られるかということ含めて、誤解というか解釈の曲解というのは常に存在するのである程度そこまで予期した仕掛けをしておかないといけないと思います。
正田 圭
今は、社内外の情報コントロールを大事にしなくてはいけないフェーズですよね。

社内に向けて情報発信はしてるんですか?

麻生
やっています。メールはないのですが、チャットワークで僕が情報発信しています。そこで日々考えていることや学んだことを発信してます。
正田 圭
そういうの大事ですね。
麻生
そうですね。サイバーエージェントの藤田さんが755でそういうのを発信して、スタッフがそれを見て社長が何を考えているか知るという話を聞いたことがあります。対面で全員に向けて話すよりも私もチャットツールなどを使ってやる方がやりやすいと感じています。それに対して「こう思いました」などコメント的なやり方もできます。後から入社した人がそこに入っても履歴を見ることができるので、そういう意味でも便利だと思います。
正田 圭
やっぱり急激に人が増えてる理由としてちゃんと仕組みが整ってるんですね。
麻生
そうですね。適宜いろいろな事柄に対処していくことになります。ただ、それ以前にそもそもどうしたいかを考え、対策をきちんととった方がいいと感じています。
麻生さんインタビュー3

今後の目標を教えてください

正田 圭
今後の事業展開はどんなところを目指していますか?
麻生
一つは質問箱に関していうと、結構グロースして収益も伸びています。アドネットワークの最適化をまずやっていますが、今後はC向けの有料サービスを開始する予定です。ちょっと突拍子もないことやる可能性もあります。ユーザーの方が結構いるので、その母数を活用して稼ぐ案をいくつか持っています。過去のSNS系のサービスを参考にしつつアイデアを実装していく予定です。
正田 圭
その他にもサービスはいくつかありますが、どこに一番比重を置いているのですか?
麻生
難しい質問ですけど、実態としてはフリマ事業にアクセルを踏んでいます。僕の考えとしては日本でメルカリが7000億で時価総額付いていて、フリマの領域が一番大きくなるという事実があるのにみんななぜかフリマをやっていないなと感じています。だからこそ楽天も未だにフリマに投資しているわけじゃないですか。なので、僕もフリマで勝負することを考えています。

正田 圭
これからますます楽しみですね!今日はどうもありがとうございました。
麻生
こちらこそありがとうございました。