代表取締役・社長が死亡した際に必要な登記手続は?書類一覧や手続き方法を解説

代表取締役・社長が死亡した際に必要な登記手続は?

中小企業で代表取締役社長が亡くなってしまった場合、どのような対応が必要なのでしょうか?

社長が急死してまった場合にはいくつか必要な対応がありますが、今回の記事では非常に重要な登記手続きについて解説をしたいと思います。

何を登記しなければならないか

何を登記しなければならないか

代表取締役が死亡してしまった…という場合、役員の変更登記手続きが必要です。

会社というのは社会的、法的に認められた法人ですから、その責任者たる代表取締役が亡くなった以上、変更の手続きが必須となります。
この登記を放置している場合「登記懈怠(けたい)」とみなされ、100万円以下の過料の制裁が課される可能性もあります。

会社法第915条(変更の登記)
1. 会社において第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。

以上の条文にあるように、期限は2週間となっています。
ただし、2週間でスムーズに手続きできるのは、死亡してしまった代表取締役以外に取締役がいる場合です。

取締役が社長しかいない場合は一大事

急死してしまった社長その人が唯一の取締役だった、ということは往々にして有り得ます。
もちろん会社としては速やかに代表取締役を選任しなければなりませんが、非常に大きな問題が起こります。

取締役が1人もいない状況では、株主総会が招集できず、そのため代表を選任することすらできなくなるからです。

代表取締役の選任ができない問題

代表取締役社長が急死!
速やかに新しい代表取締役の選任が必要
代表取締役の選任をするには…

株主総会を開かなければならない
株主総会を開くためには…

株主の招集手続きをしなければならない
株主の招集を行えるのは取締役

取締役は亡くなった社長本人しかいない

このような事態を招くことになります。
会社法にも以下のように定められています。

会社法第296条
1. 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
2. 株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
3. 株主総会は、次条第4項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。

しかし、例外的な措置として「株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる(会社法第300条)」とあります。

例えば遺産相続の際に遺言者が示されており、株主の移行が速やかに完了すれば良いのですが、相続人複数おり遺産分割が終わっていないケースも十分に考えられます。
また、元々の株式が分散しているために株主の数自体が非常に多くなってしまっている場合、全員の同意を求めることが難しくなります。

こういった場合には裁判所に申立をすることで別途手続きができるようになってはいますが、相当時間を要することになり、その間に会社に与えるダメージは大きなものだと考えられます。
こういったことにならないよう、社長がまだ健在であるうちにもしもの時の対応をとっておく必要があると言えるでしょう。

代表取締役変更の登記に必要な書類の一覧

代表取締役変更の登記に必要な書類の一覧

登記に必要な書類の一覧です。
取締役会が設置されているかどうかで微妙に異なるため、注意が必要です。
代表者の死亡を証明する書類は、どれか1つがあれば問題ありません。

取締役会「非」設置会社

株式会社変更登記申請書
取締役の互選書
代表取締役の就任承諾書
取締役全員の印鑑証明書
代表者の死亡を証明する書類(戸籍謄本、除籍謄本、住民票など)
定款
別紙(登記すべき事項を記載したもの)
印鑑届書
委任状(代理人が申請する場合)

取締役会設置会社

株式会社変更登記申請書
取締役会議事録
代表取締役の就任承諾書
取締役及び監査役全員の印鑑証明書
代表者の死亡を証明する書類(戸籍謄本、除籍謄本、住民票など)
別紙(登記すべき事項を記載したもの)
印鑑届書
委任状(代理人が申請する場合)

事前に準備をしておくことが何よりも重要

事業承継にしても、遺産相続にしても、後継者問題にしても言えることですが、何よりも事前にリスクを回避するための準備をしておくことが重要です。

経営者として現在活躍されている方のほとんどは攻めの姿勢でこれまで仕事をこなされてきた方が多いでしょう。
しかし、社長という立場で企業を率いる身となった場合には、守りの姿勢が同じくらいに重要になります。

社長が急死してしまうような場合もその典型と言って良いでしょう。

遺産相続のための遺言書や事業承継を考えた経営をしていればさほど大きな問題にならない事も、今回の例のようにパニック状態になることもあります。

会社にとっての致命傷となるようなトラブルを防ぐためにも、事前に専門家などに相談し不測の事態に備えておくということが大事かもしれません。