個人事業の廃業後に必要な経費を解説!税金が返ってくる「更生の請求」とは

個人事業の廃業後に必要な経費ってどうなるの?

個人事業を廃業する場合、廃業届を税務署に提出する必要があります。
ところが、廃業後も廃業に関わる後始末とも言うべき費用がかかってくることは少なくありませんよね。

そういった費用にはどのようなものがあるのでしょうか?

また、事業の形態や廃業後の費用については、特例として確定申告後にも経費に計上できるケースがあります。
今回は廃業後にかかる費用についての説明と、廃業後の経費の処理について解説をします。

廃業後にかかる必要経費とはどんなものがある?

廃業後にかかる必要経費とはどんなものがある?

個人事業を廃止する際には管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類を提出し、廃業する旨を伝える必要があります。

廃業後にかかる費用には様々ななものがありますが、一般的には以下のようなものが想定されます。

  • オフィス、店舗の清掃にかかる費用
  • 原状復帰の費用
  • 転居費用
  • 設備処分費用
  • 在庫の処分費用
  • 解約金、違約金など(フランチャイズ契約)
  • 従業員への給料、退職金
  • 事業廃止の代行などを行う専門家への報酬(弁護士、税理士、司法書士)

通常、事業を継続している場合は全て必要経費として計上できるものばかりです。

しかし、廃業をしてしまった場合は必要経費として計上できないことになります。

一方で廃業後の後処理として上記のような費用は必ずかかると言って良いものばかりです。
そのため、所得税法第63条で「事業を廃止した場合の必要経費の特例」というものが定められています。

これによって、所得税の軽減を図ることができるようになっていますので、廃業を考えている方は知っておくべきでしょう。

事業を廃止した場合の必要経費の特例

事業を廃止した場合の必要経費の特例

所得税法第63条には、特例について以下のように記載があります。

所得税法第63条 居住者が不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を廃止した後において、当該事業に係る費用又は損失で当該事業を廃止しなかつたとしたならばその者のその年分以後の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額が生じた場合には、当該金額は、政令で定めるところにより、その者のその廃止した日の属する年分(同日の属する年においてこれらの所得に係る総収入金額がなかつた場合には、当該総収入金額があつた最近の年分)又はその前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

このように「廃止しなかったとしたならば」経費として算入できていたものを、廃業後も算入できるという仕組みです。

対象となる費用はどういったもの?

対象となるのは、以下の2つの条件を満たすものです。

不動産所得、事業所得、山林所得が生じる事業の廃業後の費用
事業を廃止しなかった場合に経費として算入できたはずのもの

個人事業主の場合はほとんどが事業所得、不動産所得、山林所得に入っていることでしょうから、ほとんど問題はないと言えそうです。

また、必要経費として計上できたはずのものかどうかも重要なポイントになりますが、さきほど挙げた廃業後にかかってくる費用の一覧に当てはまるものであればほとんど特例として計上できることになるでしょう。

計上できない例

生活費、罰則金、事業主の借金返済金など

申告年はいつにすればいい?

基本的には廃業をした年(廃止年)または前年の確定申告分に必要経費を算入します。
廃業した年の分の確定申告で対応するということですね。

前年の確定申告分に算入した場合というのは以下のような状況です。

例えば2018年1月に廃業していれば2018年の3月が2017年分の確定申告時期となります。
そのため、廃業は2018年ですが2017年の確定申告に廃業後の経費を含めることができるというわけですね。

逆に、2018年3月を過ぎて廃業を行っている様な場合などは、2019年3月に確定申告する際、経費として計上ができるでしょう。

確定申告後に経費が計上された場合は「更生の請求」も可能

確定申告後に経費が計上された場合は「更生の請求」も可能

更生の請求とは、確定申告の際の所得税額が多い時などに利用できる制度です。

請求をすれば、納税額や還付金を修正でき、一旦確定申告と納税をした後に、支払い済みの税金を受け取ることができる場合があります。

タイミングの問題で廃業後の費用が確定申告後にかかってしまったような場合はこの制度を利用することができます。

更生の請求の方法は税務署や国税庁のサイトで入手できる「更生の請求書」を税務署に提出するということになります。

[手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手(国税庁HP)

更生の請求は確定申告から5年以内という規定がありますので、廃業後の経費があるという場合は早めの手続きをしておきましょう。

廃業時期は年末が有利?

今回解説した「事業を廃止した場合の必要経費の特例」というのは、必ずしも必要経費として認められるとは限りません。
そのため、基本的には税務署や税理士などに問い合わせをして事前に相談しておくのが得策でしょう。

ただし、そういった特例での申告が不安という場合は廃業日を年末近くまで先延ばしし、なるべく多くの必要経費を最初から計上できるようにするという方法もあります。

廃業日は任意で決められるものですので、特例の適用ができないことを考慮してこのような方法が勧められている場合があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

個人事業の廃業後には意外と経費がかかると同時に、廃業後の確定申告で考慮されることがおわかりいただけたかと思います。

ただし、このような特例が必ず認められるというわけではない点は注意しておきましょう。
より有利に廃業後の費用を計上するためには、税理士などの専門家に事前相談しておくというのも必要かもしれません。