事業承継で会社を売却する前にすべき株主対策を解説!

従業員承継 金庫株

中小企業の非上場企業の経営者の方が、

「自社の株主は誰だろう?」

このような事を考える機会というのはあまりありませんよね。

基本的に非上場株式は譲渡制限があり、取引することも非常に少ないのが一般的ですので、それが普通の感覚かと思います。

ところが、事業承継をする場合やM&A、つまり会社の売却などを行うシーンにおいては、株主が誰でどれくらいの株を保有しているのかということが非常に重要になります。

特に、株主構成が把握できていない状況や、経営者が株式の保有をしっかりできていない場合は大問題です。従業員であった株主が退職して疎遠になっていたり、株主が亡くなって相続されているなど、散らばってしまっているとしたら大変です。

株式が分散しやすいのは成長戦略のある会社

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株式が分散しやすいのは、様々な財務対策などを行う機会の多い成長戦略のある会社です。

従業員のモチベーションアップのためや相続対策など、色々な対策を講じてきたことが株式の分散を招いてしまうことになります。

ところが、株式が分散していると、いざ会社を売却する(M&A)場合や新規上場する際に足かせとなってしまい、株式を必死になってかき集めなければならないという自体になります。

事業承継するなら株式の分散はNG

事業承継をする際も同様で、経営権の移譲をスムーズに行うためには株式の分散は絶対に最小限に抑えたいですね。

遺産相続が起こった時点で株式が分散しないように相続対策をすることも重要ですし、誰が具体的に株主なのかを把握しておくことが大事です。

株式が分散している場合に買い戻すのは非常に大変

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経営者で筆頭株主だからということで安心しきっていませんか?

自社株式を半数以上保有していない場合、経営者と言えども安心はできません。

中小企業の非上場企業なら、経営者は51%以上の株式を保有しておいた方が様々な場面でスムーズに物事を進めることができます。

特に、事業承継をする上では51%以上の株式保有は必須と言っても過言ではありません。

株式を買い戻すのは非常に大変な作業ですが、株主が誰なのかわからず、具体的な状況が把握できていないとなると事態は深刻です。

買い戻すどころか調査から開始しなければならず、手間がかかって仕方ありません。

株主名簿からたどり、退社済みの従業員や先代の親戚などにも確認していかなければならず、場合によっては面識のない人に当たることもあるでしょう。

非上場株式と言えども資産としてカウントされますので、相続で株主の保有者が変わっていることも多々あるのです。

株式が分散したまま会社を売却するとどうなる?

売り手である経営者、オーナー社長が会社を売却するという決断をした場合、株主に会社売却の説明をする必要があり、理解を求める必要があります。

この時点でかなり面倒なことはおわかりいただけるかと思いますが、経営者は少数株主に委任状を提出してもらった上で株式の譲渡契約を委任してもらう必要があるのです。

十分な株主の了承を得ることができない場合、どうなるのでしょうか?

それは、株主総会の特別決議ができないことになります。決議ができない場合、株式名義の変更もままならず、M&Aをして会社売却するという手続きの大きな障壁になってしまうのです。

もちろんM&A以外にも重要な決定をするのが株主総会の決議ですが、株式が分散しすぎている場合はそういった重要な決議をすることも非常に大変です。

株式が分散してしまう具体例

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では、具体的にどのような場合に株式は分散しやすいのでしょうか?

代表的な株式の分散例を見てみましょう。

遺産相続で親族に分散

非上場株式も有価証券ですから、当然資産となります。

例えば先代経営者が亡くなった時に、遺産相続で保有していた株式が相続人の間で分割されることが考えられます。現経営者が後継者となり、兄弟姉妹で株式を分け合って安心していても、兄弟姉妹のどなたかが亡くなったりすると、今度はその配偶者、甥や姪…と言った形で株式がどんどん受け継がれていくことになります。

お気づきだと思いますが、この時点で株式がどんどん分散してしまっています。

もちろん、親族経営の会社だったとしても経営に関係のない方がどんどん株式を保有してしまいますので、こういったことにならないよう意識的にコントロールすることが必要です。

今後遺産相続をする予定の経営者の場合は、株式以外に相続できる財産をしっかりと用意しておくことが重要です。

役職員に対する報酬

経営参加の意識を強くもってもらうため、または財産形成になるからと役員に株式を取得させることがあります。

もちろん、これはこれで会社経営を円滑に進めるためのテクニックなのですが、こういった方法も「過ぎたるは及ばざるが如し」と言って良いでしょう。

いつの間にか役職員の持ち分が多くなり、親族など他の株主と合わせると半数を超えてしまっていたなどということがないよう、コントロールが必要です。

共同経営者

共同経営者がいると株式は当然分散します。問題はそれから時間が経過した後です。仲違いしてしまったり、経営方針の違いが明確になるとトラブルの元ですね。

また、相続時に分散する場合と同じで、共同経営者がもし亡くなってしまったからと言ってその保有株式を返してもらうわけにはいきません。相手の相続人が遺産相続として株式を取得してしまいます。

この場合、共同経営者の相続人がどのような人であるかもわかりませんし、リスクは大きいと言って良いでしょう。

分散している株式を買い戻す方法

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このように非常に面倒で手間のかかる株式の分散を解決するための方法とはどのようなものでしょうか?

M&A、会社売却、事業承継をする前に取っておくべき株主対策を解説します。

他の株主から買い取る

一番スマートで直接的な方法です。事業承継を予定しているなら後継者が自ら株式を取得していきます。

取得したい人が会社に株主名簿の書き換え請求をして、自分のところに株式を集めておきます。株券そのものがない場合は株式の譲渡契約を結びます。

会社が他の株主から買い取る

会社自身が自社の株式を買い取ることもできます。

会社が会社の株式を保有するということになると、会社が保有している間は議決権がなくなり、経営者や後継者の持っている株式の割合というのは相対的に高まることになります。こういった形で会社が自社株を持つことを金庫株と言います。

例えば、経営者と後継者で31%しか株式を保有していなかったとします。しかし、40%を金庫株にしてしまうと、議決権のある株式は残りの60%だけになりますので、実質的に過半数を保有しているのと同じ理屈になります。

会社が新株を発行する

会社が新株を発行する方法も、相対的に議決権の割合を高めるための手法です。

経営者や後継者が持っている株式を増やせば、全ての分散した株式を集める必要はなくなります。

金庫株の方法などと組み合わせると有効かもしれません。ただし、新株の発行には株主総会の決議が必要になります。

非上場会社の経営には株式の集中が重要

株主は、株主総会における議決権の他、配当を受ける権利や株式を譲渡する権利などを持っています。

一般的な上場企業の株式であれば金融資産として売却もできるのですが、非上場株式は譲渡制限があり純粋な金融資産ではないとも言えます。

そのため、支配権を持つ株式の保有者と経営権を持つ社長を一致させておくことによって、株式の資産価値も高まり、会社運営がスムーズになることでしょう。

特に事業承継やM&Aの場面では株式が分散しすぎていることがないよう、事前に対策を講じておきましょう。株式の分散対策については専門家などに相談しながら要領良く行うことがおすすめです。