事業承継の問題点と成功させるためのポイントを解説!

事業承継 対象企業の要件・相続税・贈与税共通の要件 事業承継 贈与

事業承継は中小企業経営者にとっては頭の痛い問題ですよね。

「誰に相談すべきなのかわからない」
「事業承継が成功するとは思えない」

そんなネガティブな気持ちでいっぱいの経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに事業承継は大変な仕事です。
しかし、この仕事をこなせば経営者として次代に事業を引き継ぐことができ、場合によってはハッピーリタイヤも可能になります。
ぜひ事業承継に関する知識をつけて、積極的に事業承継に取り組んでください!

今回の記事では事業承継が難しい理由を分析し、成功させるためのポイントを細かく解説します。

3つの問題から見えてくる事業承継の難しさ

事業承継 難しさ
事業承継と言っても、実は考えなければならないことが山のようにあります。
そのため、できれば事業承継のことは考えたくないという気持ちになってしまうものですよね。

しかし、考えなければ考えない時間の間だけ現実は迫ってきます。
まるで試験勉強ののようなもので、問題を具体的に把握して先手を打っておくことが重要になります。

まずはどのようなことが問題になりがちか確認しましょう。

後継者不足で廃業も

なんと言っても事業承継の悩みの種ナンバーワンは後継者問題です。

日本政策金融公庫総合研究所のレポート「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」では、後継者がいないことによって廃業を考える事業者が非常に多いということがわかります。

事業承継廃業理由

このレポートによれば、60歳以上の経営者の50%以上が自分の代で廃業を予定しています。
そして、廃業予定企業の理由では3割弱が「後継者がいない」ということを一番の理由に挙げています。

もともと自分の代で終わりにしようとされている方も多いということになっていますが、おそらく後継者がいないためにそう考えている方もいることでしょう。

親族の場合は後継者としての資質が必要であったり、本人が継ぎたいという意志を持っているかどうかが重要になります。
従業員など親族外の後継者の場合も、経営者の器があるかどうかという点や資金の問題、経営者としての教育ができるかどうかがネックになりますよね。

このように事業承継では後継者不足がかなり大きな問題を占めていると言えるでしょう。

誰に事業承継するのか?

では、実際に事業承継をする後継者にはどんなパターンがあるのか見ていきましょう。

親族に事業承継する場合

基本的には親族に承継することを想定する方が多いでしょうし、税法上もその方が優遇措置を受けられやすくなっています。
同族経営などでしたら、赤の他人に承継するよりも親族に承継する方が家族の同意も得られ、スムーズに対応できるでしょう。

ところが、近年では特に「親の仕事は子が継ぐもの」という価値観は崩れつつありますよね。

子供をはじめ親族が皆自分の仕事に生きがいを感じていたり、事業経営をしたいと思わない方かもしれません。
逆に、本人にその意志があっても経営者としての能力が伴わないケースもあり、相当難しい問題です。

従業員などに事業承継する場合

企業内で勤め上げてきた従業員の場合はどうでしょうか。

能力さえ伴っていれば、社内での同意も得られやすく業務にも精通している場合がありますので、その点では安心できるでしょう。

しかし、まずは同族経営でしたら家族の了承や他の従業員の同意も得る必要があります。

また、現在オーナー社長が株式を保有している場合、自社株を後継者へ移譲する必要があります。
株式=支配権ですので、これがないと社長と言っても力がないことになってしまいます。

ところが、株式はポンと譲り渡すわけには行きません。
基本的には後継者が買い取りをするなどして引き継ぐ必要がありますが、前もって準備しておかないと十分な買い取り資金を持っていない場合も多々あります。

株式が分散してしまうと経営は安定しませんので、不安要素の方が大きくなってしまいます。

M&Aで事業承継する場合

親族内や従業員でも後継者が見つからない場合に増えているのがM&Aです。

M&Aといえば大企業や名のある企業が行うものというイメージが強いですが、実は中小企業同士で行うケースも非常に増えています。

事業承継先

こちらは社長在任期間ごとの事業承継のありかたのグラフです。
紫色の部分がM&Aによる事業承継となります。

また、ここ10年ほどの間では親族以外での承継やM&Aが急増しており、6割ほどが親族外、M&Aとなります。

現在ではM&Aでの事業承継を希望する会社と、事業承継をしたい会社をつなげるようなサービスも増えており、インターネット上から相談することができるようになっています。

まるでお見合いのように、会社を売りたい人と買いたい人をつなげて、M&Aを成功させてしまうということですね。

M&Aが成立する場合には、買い手側には十分な資金があることが必須ですので、後継者問題を考えることもなく、比較的短期で事業承継を終えることができます。

M&Aをすると会社の伝統などが変わってしまう可能性もありますが、会社経営者として事業用の負債なども含めて引き継げることになりますので、ハッピーリタイヤが容易です。

経営者だけで抱え込んでしまう

事業承継をすると言っても、実際には事業承継について詳しい経営者ほとんどいません。
なぜならば、今まで事業承継を経験したことのある方は少なく、専門ん知識となると非常に難しいからです。

そのため、具体的には事業承継を専門とする税理士や司法書士、弁護士などに相談をすることが必要になるでしょう。

ところが、中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の廃業に関するアンケート調査」によれば、廃業してしまった経営者はこのように答えています。

事業承継相談しない理由

つまり、最初から相談していない方が圧倒的に多かったことがわかります。

廃業するとなると、自分の事業用負債などはもちろん、従業員にも影響は大きいものです。
もし事業承継を本気で考えるならば、専門家への相談は必須と言っていいでしょう。

事業承継の抱えるリスク

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では、次に事業承継を行う場合に気をつけなければならないリスクを色々な角度から解説していきます。

遺産相続や贈与がスムーズにできない

まず、親族が後継者となる場合ですが、後継者にすべての財産を渡すことはできるのでしょうか?

答えはノーです。

遺産相続は遺言などである程度割合を本人が決めてしまえるものではありますが、相続人には最低限受け取ることができる財産というものが決まっています(法定相続分よりも少ない)。

そのため、自社株式を100%1人の人に譲り渡したいと思っても、株式分散してしまうことがあるのです(遺留分減殺請求など)。

こういった場合には会社として株主から自社株を買い戻したりして経営の安定を図る必要がありますが、会社の財務状況によって対応できる場合とできない場合があります。
税理士などに相談しておき、きっちりと対策を講じておく必要があります。

後継者選びや準備に時間がかかる

先程も述べたように、事業承継において後継者問題は非常に深刻です。

理想の後継者を見つけたとしても、本人に承継する自覚を持ってもらうところから始まり、経営者としての育成、社内や家族間での承認、取引先や金融機関で認知してもらうまで、相当な時間を要します。

また、親族であっても株式を譲り渡す場合には贈与税や相続税がかかることもあり、資金面でも節税対策をはじめとした長期的な準備が必要となってきます。

今はピンピンしている経営者の方も、いつ積極的に動けなくなるかわかりません。
いざという時のため、事業承継にかかる時間を逆算して早めに手を打っておかなければ取り返しのつかないことになりかねません。

事業承継後の融資について

オーナー社長の場合、金融機関の融資はほとんどの場合経営者への信用で行われています。
つまり、代替わりしてしまうと融資できないということにもなりかねません。

早めに後継者を育成し、しかるべき役員などの待遇とした上で主要な取引先へもしっかりと引き継ぎしてもらえるようにしておく必要があります。

事業継承を成功させるポイント

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では、ここまで見てきた事業承継におけるリスクや問題点を踏まえて、成功に導くための大きなポイントを解説していきましょう。

早めに事業承継に着手する

まず、すべての事業承継のパターンに言えることは絶対に時間がかかるということです。

経営者も永遠に経営者で居続けることはできません。
そのため事業承継に着手することは早すぎることはまずありません。

「具体的に何から始めれば良いのか?」

という方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは専門家に相談するということで良いのです。
専門家は会社の状況を詳しく調べたり、的確なアドバイスをして事業承継という大きな仕事の設計図を書いてくれる人を選びましょう。

引退後のプランを具体的に立てる

経営者としては、自分の引退後のことも考えておきましょう。

もちろん、思い入れのある事業であればあるほど身を引くことは考えたくはないでしょうが、いずれ訪れるその時のために先手を打っておくことが肝心です。

お金の問題だけでなく、どういった人生を送るのか、ということを思い描いておけば、自然と事業承継の計画をする時に具体的に考えがまとまりやすくなります。

後継者選びは厳しい目で

親族、従業員など、後継者選びは時間をかけて慎重に行いたいものです。

仕事の能力そのものは高くても、勤勉さに欠けるため経営者に向かない人もいるでしょうし、勤勉なだけでは務まらないのも事実です。

資質がある方であれば、しっかりと時間をかけて育成と準備をしていくべきですが、安易に後継者選びをしてしまうのはやめておきましょう。
一つの判断ミスが会社経営を不安定にさせることにもなりかねません。

きっちりと社外の専門家の目も入れて客観的に見る必要があると言えます。

M&Aも検討する

また、後継者候補に適任の方がいない場合は、やはりM&Aをするという手が一番でしょう。
もちろん廃業してしまう方法もありますが、選択肢は多く考えておく方が良いですね。

M&Aの場合は完全に自分の手から離れてしまいますので少し寂しく感じることもあるでしょうが、比較的短期で解決するため気楽な面はあると思います。

事業継承が成功した例

とある中小企業では「社長が70歳になったら引退する」と固く決めていたそうです。

その時、会社で働いている息子さんは40代。
バリバリの働き盛りですから、社長のイスを譲り渡すには若すぎず年配すぎずちょうどよい年頃でもあります。

それを大分以前から決めていたこともあって、後継者としての息子さんは社長になるためには何が必要かということを常に学んでいたと言います。

また、実際に引退する数年前から税理士や弁護士など事業承継に強い専門家に相談し、事業承継を行うために長期的な計画を立てていたと言います。

具体的には、後継者としての育成や資金確保、節税のプラン、息子さんを役員待遇に引き上げるまでの道のり、従業員や家族、取引先へ伝えるタイミングなど、事細かに立案したということです。

息子さんにスムーズに引き継ぎされた後も会社経営は安定し、元経営者の方は大きな心配ごともなく悠々自適にハッピーリタイヤできたそうですね。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

一般的な事業承継や後継者問題の難しいポイントを見ながら、事業承継を成功させる重要な点をご紹介しました。

もしまだ事業承継について何も着手されていない方は、一刻も早く準備だけでも始めてみることを強くオススメします。