【遺産相続トラブルまとめ】7つの事例と4つのトラブル対策を紹介

遺産相続 トラブル

遺産相続では、金銭が絡むのでトラブルが起きやすいです。

「どんなトラブルが起きるのか事前に知っておきたい」という人も多いはず。

今回は7つの遺産相続トラブルの事例を挙げながら、トラブルの回避方法も解説。

また、遺産相続トラブルに強い弁護士の選び方や報酬も、丁寧に説明しています。

最後までしっかり読んで、遺産相続トラブルが発生しないように対策をしましょう。

1.遺産相続でトラブルになる事例

遺産相続 トラブル 事例

遺産相続では金銭が絡むため、トラブルに発展することがあります。

遺産相続にまつわるトラブルは年々増えており、現在では年間17,000件も調停事件となっているのです。

どのようなトラブルが起きているのか、事例を7つ見ていきましょう。

1-1.土地や不動産に関するトラブル

まずは、土地や不動産にまつわるトラブルから見ていきましょう。

土地や不動産は分割することが難しく、また価値が分かりにくいので、トラブルに発展しやすいのです。

(1)トラブルの概要

被相続人 母親
相続人 息子2人と娘1人

母親が亡くなってしまい、子ども3人で母親名義の家を相続することになりました。

預金はほとんどなく、遺産のほとんどは母親名義の家です。

相続分を考えると、子ども3人は平等な割合になるので3分の1ずつとなります。

長男は、この家に長年同居し、最後は長男家族で協力をして介護もしてきました。

(2)両者の主張

長年同居してきた長男は「このまま引き続き暮らしたい」と主張。

長男にとっては、同居した家は過ごした時間も長く、思い出もたくさんあります。

しかし、他の相続人の2人は「売却してお金にしてから分配しよう」と主張をしました。

特に家への思い入れもなく、「3人のものなのだからお金に換えたい」というのは、最もな主張です。

(3)トラブルの原因

被相続人である母親の遺志が分からないため、両社の主張は平行線のままとなってしまいます。

同居していた家は遺産相続は揉める原因になりやすいです。

同居している親には、生前に誰に不動産を託したいのか兄弟に伝えたり、遺言書を残しておくことで、トラブルの回避できた可能性があります。

(4)トラブルの結果

最終的に、長男は他の2人に対して相続分相応を金銭で代償しました。

(これを代償分割と言います。)

長男は母親の家に住み続け、家の評価価格の3分の1ずつを弟と妹に現金で渡しました。

弟と妹は現金を手にすることが出来たので、円満解決となったのです。

1-2.預金に関するトラブル

預金に関するトラブルです。

いくらの預金が遺産の対象となるのか、はっきりと把握しないとトラブルへと発展してしまいます。

(1)トラブルの概要

被相続人 父親
相続人 娘2人

父親が亡くなり相続が発生した姉妹2人。

姉には子どもがおり、妹には子どもはいません。

家の中を整理していると、預金通帳の中から姉の子ども(孫)名義のものが出てきました。

(2)両者の主張

姉は、「これは、孫のために母が生前贈与してくれたものだ」と主張。

そのため、母親の遺産ではなく、分割対象ではないと言います。

一方、妹は「母が勝手に他人名義の口座を作っていただけだから、母の遺産となり、自分にももらう権利がある」と主張。

(3)トラブルの原因

トラブルの原因は、生前贈与である証拠がなかったことです。

一般的に、生前贈与をする際には、贈与契約を交わす必要があります。

また、贈与した財産の管理は、贈与された者(もしくはその親権者)がしなければならないのです。

しかし、今回のケースでは、口約束の生前贈与だったので、契約書はありません。

さらに、母親が孫名義の口座を管理していたので、ただの他人名義の口座とみなされてしまっても仕方がないのです。

(4)トラブルの結果

結局、孫名義の口座は母親の財産として扱われ、遺産分割の対象となりました。

残念ながら、姉と妹はこの件をきっかけに仲が悪くなってしまい、疎遠になってしまったのです。

1-3.後妻がいるときのトラブル

後妻と前妻の子どもが相続人となる場合は、トラブルに発展しやすいです。

内容や原因を確認していきましょう。

(1)トラブルの概要

被相続人 父親
相続人 妻(後妻)・前妻の子ども2人

父親が亡くなり、相続人は後妻と前妻の子ども2人となりました。

法定相続分に従うと、配偶者である後妻は50%、子ども2人はそれぞれ25%ずつです。

しかし、後妻との婚姻期間はたったの2年のため、子ども2人は納得がいきません。

また、父親の再婚には2人とも反対していたことから、ますますその配分に納得がいかなかったのです。

(2)両者の主張

後妻は、「法定相続分である50%を相続する」ことを主張。

一方、前妻の子ども2人は、「せめて3人平等に3分の1ずつ相続するべきだ」と主張します。

父親が再婚したのは、子ども2人が社会人として自立した後だったため、後妻と子ども2人は養子縁組をしていません。

そのため、後妻が死亡しても相続は出来ないのです。

(3)トラブルの原因

被相続人の生前に、後妻と子ども2人の間の溝が埋まらなかったことが大きなトラブルの原因です。

「後妻に父親の遺産を渡したくない」という思いから、こういった主張がなされます。

感情的な主張となってしまうため、こういった場合は被相続人が遺言書で遺産分割の内容を明記しておけば、子ども2人も納得したかもしれません。

(4)トラブルの結果

幸いにも、被相続人の残した財産は多くありました。

そのため、全員が3分の1ずつ相続したとしても、被相続と同居していた不動産と老後暮らすのに十分な額の預金だと主張。

後妻はその内容に納得をしました。

最終的には、それぞれ3分の1ずつを取り分とすることで落ち着いたのです。

1-4.内縁関係の者がいるときのトラブル

婚姻関係のない内縁関係の者がいる場合にも、トラブルは発生しやすいです。

内容や原因を確認していきましょう。

(1)トラブルの概要

被相続人 父親
相続人 娘2人

母親はすでに他界しており、法定相続人は娘の2人だけでした。

当然、遺産分割を平等に2分の1ずつ行う予定だった2人。

しかし、父親には長年同居する内縁の妻がいたのです。

(2)両者の主張

内縁の妻は、「自分にも相続権利がある」と主張。

長年同居してきた家や、被相続人の預金が使えないと生活が出来ないと言うのです。

しかし、娘2人は「家を売却するから、すぐに家から出ていってほしい。」と一銭も遺産を渡すつもりはありません。

(3)トラブルの原因

内縁者は法定相続人でないため、基本的には相続することが出来ません。

しかし、被相続人が遺言書を書き、「内縁の妻に家を遺贈する」等と遺志を残していればトラブルは起きなかったかもしれません。

また、生前に娘2人と良い関係が構築できていれば、特別縁故者としての主張をできた可能性もありました。

(4)トラブルの結果

残念ながら、内縁の妻は一切の財産を受けることは出来ませんでした。

家も奪われ、売却されてしまいました。

何も落ち度がなくても、婚姻関係にないというだけで相続権がないということは理解しておきましょう。

1-5.代襲相続が発生したことで起きるトラブル

法定相続人になるはずだった人が先に死亡していた場合、その子どもが相続することを代襲相続と言います。

例えば、被相続人には息子2人がいたのですが、長男が先に死亡してしまったとします。

長男に子どもがいた場合、その子ども(被相続人の孫)が相続をするのです。

このように代襲相続が発生したときにも、相続トラブルは発生しやすいので、詳しく確認しましょう。

(1)トラブルの概要

被相続人 母親
相続人 次男・三男・長男の娘

被相続人には息子が3人いましたが、相続発生時すでに長男が他界していました。

そのため、長男の娘が代襲相続により法定相続人となったのです。

長男はもともと他の兄弟と仲が悪くて疎遠だったため、長男の娘とはなかなか連絡を取ることが出来ません。

さらに連絡がついても、遠方のため遺産分割の話し合いに参加が出来ず、話し合いがスムーズに進まなかったのです。

(2)両者の主張

次男と三男は「早く遺産分割の話をしたい」と話合いの参加を促します。

一方、長男の娘は財産に興味がなく、話合いが面倒だと曖昧な返事しかせず、遺産分割の話し合いに参加しようとしません。

なかなか遺産分割が出来ず、相続税の申告や相続手続きが遅れてしまう可能性が出てきたのです。

(3)トラブルの原因

相続人同士が疎遠な関係だったことがトラブルの原因です。

通常であれば、兄弟姉妹や親子など、身近な関係の人が相続人となります。

しかし今回の場合は、相続人同士が叔父と姪という関係で、さらに長男が他の兄弟と生前から仲良くなかったことで、より距離のある関係だったのです。

(4)トラブルの結果

最終的に、次男と三男は弁護士を代理人にして再度連絡を取りました。

長男の娘にも代理人を立ててもらうように説得し、ようやく遺産分割の話し合いをスタートさせることが出来たのです。

このように遺産の取り合いだけでなく、遺産に興味がないという理由で遺産分割がスムーズに進まないケースもあります。

1-6.隠し子が発覚したことで起きるトラブル

被相続人が残した遺言書で隠し子が発覚するケースもあります。

また、遺産分割協議のあとに隠し子が現れることもあるのです。

このような場合、残された相続人と隠し子でトラブルになるケースは多くあります。

(1)トラブルの概要

被相続人 父親
相続人 配偶者・息子2人・(隠し子)

普段から仲の良かった相続人3人は、おおよそ法定相続分通りに母親が50%、息子2人はそれぞれ25%ずつの取り分で納得し、遺産分割協議を終えました。

しかし遺産分割協議の後、死んだ父親の隠し子だという女性が家にやってきます。

生前、父親から隠し子の話は一切されたことがなく、遺言書も残っていません。

(2)両者の主張

隠し子だという女性は、「私は被相続人の娘だ。非嫡出子であっても、血がつながっている限りは息子たちと同等の遺産をもらう資格がある」と主張。

一方、息子たちは「被相続人は認知していないから、遺産は一切渡せない」と譲りません。

確かに、隠し子がいた場合、生前に認知する、もしくは遺言書での認知がなければ、相続人として認められないのです。

しかし、「死後認知請求」という手続きを行うことで、実際に親子関係があるのかを第三者が調べることが出来ます。

この請求により、親子関係が認められると相続人としても認められるケースがあるのです。

(3)トラブルの原因

トラブルの原因は、生前もしくは遺言書によって、被相続人本人が認知を行わなかったことにあります。

最後まで家族に隠し子の存在を隠し通したかったのかもしれませんが、そういった事実を残したまま死亡してしまうと、相続人同士でトラブルとなってしまう可能性が高いです。

(4)トラブルの結果

死後認知の結果、相続権が認められました。

しかし、遺産分割協議のやり直しはせずに、相続分に相当する金銭を渡すことで解決したのです。

今回のケースで者、すでに遺産分割協議が終わっており、1からやり直すためには大変な労力がかかるため、やり直しの必要はないとされたのです。

(遺産分割協議から1か月以上経った後だと、やり直しをする義務はありません。)

ただし、相続税申告は法定相続人が増えたことで基礎控除が変更されます。

申告後だった場合、相続税の減額の申請を行うことが出来るのです。

このように法定相続人が増えた場合は、税理士に相談するようにしましょう。

1-7.明らかに偏った遺言書によるトラブル

遺言書では、遺言者によって遺産分割の内容を指定することが出来ます。

しかし、明らかに内容に偏りがある遺言書は相続人同士のトラブルの種になってしまうケースが多いです。

(1)トラブルの概要

被相続人 父親
相続人 娘3人

父親の残した遺言書には、長女にだけ優遇された内容が書かれており、次女・三女には全く配慮のない内容でした。

まったく相続分がないというわけではないのですが、次女と三女には不満が募ります。

(2)両者の主張

長女は、「遺言書があるのだから、それに従うべきだ」と主張。

それに対して、次女と三女は、「遺産分割協議をして、3人の納得する分割をしよう」と長女を説得します。

(3)トラブルの原因

法定相続分を考慮しない遺言書が残ったからです。

もし、そこに長女を優遇する理由が記載されていれば、他の2人も納得したかもしれません。

(4)トラブルの結果

次女と三女が代理人として弁護士をたて、長女を説得し、遺産分割協議をすることになりました。

遺言書の内容で遺産分割をしたい場合には、相続人全員の同意が必要です。

なかなか2人の話に耳を傾けなかった長女も、弁護士の話は受け入れてくれました。

完全に3等分というわけにはいきませんでしたが、遺言書の内容よりは良い相続分を引き継ぐことが出来たのです。

2.遺産相続トラブルを回避するための4つの対策

教育資金 一括贈与 事業承継ガイドライン 注意点 相続財産 

ここまでは7つの事例を見てきましたが、相続発生後、トラブルに発展しないためにできることを4つご紹介します。

相続人はできるだけスムーズに、納得のいく形で相続をしたいと思っているはずです。

これから紹介する4つの対策をしっかりと実行しましょう。

2-1.相続財産目録を作成し、配布する

他の相続人から隠し財産がないか不信感を持たれないように、相続財産目録を作成して全員に配布しましょう。

プラスの財産もマイナスの財産もすべて書き出すことがポイントです。

全員が相続財産の内容を把握することが大切になります。

また、できれば相続人以外の第三者に作成してもらうことで信頼性も上がります。

2-2.法定相続人の数を確認する

法定相続人の数を正確に把握しましょう。

法定相続人は自分たちだけだ、と思っていても、前妻の子どもや既に亡くなっている相続人の子どもなど、被相続人の戸籍をたどれば新たな法定相続人が出てくる可能性があります。

また、遺産分割協議には法定相続人全員が参加することが必須です。

認めたくない法定相続人がいたとしても、必ず声をかけるようにしてください。

(法定相続人については、『法定相続人の範囲と順位とは?音信不通の親戚がいる時の対処法を紹介』(に詳しく説明しています。)

2-3.法定相続分を計算する

法定相続分をしっかりと把握しておきましょう。

法定相続分は、民法で決められた相続分割の取り分のことです。

きっちりと法定相続分通りに分ける必要はありませんが、ある程度法定相続分に沿って分割することでトラブルの可能性を低くすることが出来ます。

(法定相続分については、『法定相続分の計算方法ってどうやるの?計算シミュレーションで丁寧に解説』に詳しく説明しています。)

2-4.遺産分割協議で第三者に立ち会ってもらう

遺産分割協議をするときに、第三者に立ち会ってもらうことで、冷静な話し合いができます。

特に、相続人同士の仲が悪かったり、財産を欲しがっている相続人がいる場合には、言い争いになる可能性もあるのです。

また、遺産分割協議では感情的になりがちです。

亡くなった被相続人への思いや、残された遺産への思いやこだわりが、それぞれの相続人ごとに異なります。

冷静な話し合いをするために、第三者の立ち会いは大変有効です。

3.遺産相続トラブルが発生しそうになったら弁護士に相談しよう

事業承継ガイドライン 専門家

遺産分割協議で相続人同士で意見の違いがあれば、早めに弁護士へ相談しましょう。

自分の意見が正しいと思っていても、相手には受け入れてもらえないこともあるのです。

特に、土地や家には思い入れがある相続人とそうでない相続人で意見が分かれることも考えられます。

感情的な対立に発展してしまうと、遺産分割だけでなく、家族関係も悪くなってしまう可能性があります。

このように関係がこじれてしまう前に、第三者目線で、法的根拠にもとづいた解決案を提示してくれる弁護士に頼ると心強いです。

4.弁護士に相談したときの費用の相場

株式売却 分割 税理士 公正証書遺言 費用 相続税 控除対象
弁護士に相談するとなったら、気になるのは費用の相場ですよね。

遺産相続トラブルについて弁護士に相談した場合、一概に「費用が何円かかる」と言い切るのは難しいです。

しかし、弁護士費用には目安の金額があります。

その目安を元に、弁護士費用を予測していきましょう。

弁護士への報酬費用はとても複雑ですが、平成16年3月まで使われていた報酬規定に沿った報酬体系を適応させている弁護士事務所は多いです。

表にまとめましたので参考にしてください。

初回の法律相談料  30分ごとに5000円~1万円
一般法律相談料  30分ごとに5000円以上2万5000円以下
獲得した相続財産額 着手金 報酬金
300万円以下の部分 8% 16%
300万円~3000万円以下の部分 5%+9万円 10%+18万円
3000万円~3億円以下の部分 3%+69万円 6%+138万円
3億円以上の部分 2%+369万円 4%+738万円

着手金とは、弁護士が動き出すタイミングで支払う費用のことで、返金されることはありません。

報酬金とは、相続の話がまとまった時点で発生する費用のことで、相続財産が0円となった場合には発生しない費用のことです。

その他にも、弁護士が遠方へ出張したり戸籍謄本の取得などで必要となった費用は、実費請求されます。

さきほどの表は、あくまでも目安なので、始めの相談時に必ず確認するようにして下さい。

弁護士へ相談する際には、高額な報酬が必要になることを覚えておきましょう。

5.優秀な弁護士を選ぶポイント

相続相談 リスクヘッジ

最後に、優秀な弁護士を選ぶ方法を説明していきます。

弁護士事務所のホームページなどを確認すると、その弁護士事務所がどの分野に強いのか強調されていることが多いです。

インターネットで検索するのであれば「遺産相続トラブル 地域名 弁護士」と検索すると簡単に弁護士事務所が出てきます。

次に、連絡を取り実際に相談してみましょう。

そこでチェックしたいポイントは3つあります。

①知りたいことを教えてくれるか
②質問にきちんと答えてくれるか
③自分が話しやすいと思えるか

この3点は、弁護士として依頼できるかを判断するポイントです。

これらのポイントを満たしている弁護士は、依頼者に寄り添って親身になってくれるでしょう。

また、以下の2つもチェックして下さい。

①経験と実績があるか
②ほかの専門家と連携が出来るネットワークがあるか

この2点は遺産相続トラブルに強い弁護士なのかを判断するポイントです。

特に相続では、さまざまな専門家の知識が必要となります。

相続トラブルが解決した後も、相続手続きや相続税申告のできる専門家を紹介してもらえるのかも確認しておくと安心です。

「相続に関することはこの弁護士に相談すれば解決してくれる」と思える強い味方を探すようにしましょう。

まとめ

金銭が絡む遺産相続では、仲の良い兄弟姉妹や親子でもトラブルが起きやくなってしまいます。

事例や回避方法を参考に、遺産相続トラブルが起きないように対策をすることが重要です。

万が一、トラブルに発展してしまった場合には、遺産相続トラブルに強い弁護士の選び方を参考にして、優秀な弁護士を味方につけましょう。