薬局M&Aの相場は?売却の流れや成功のためのポイントを詳しく解説

薬局M&A

薬局M&Aとは、薬局を売買することです。

近年、業界全体で後継者不足の問題に悩まされており、薬局M&Aを活用して店舗を売却した数は2011年から2016年の間に約15倍にまで増加しています。

今後も少子高齢化により、M&Aよる売却に拍車がかかることが予想されます。

また、薬局業界は大手の薬局の市場シェアは約3%と個人経営の薬局の方が圧倒的に多く、低寡占市場となっています。

そのため、将来にわたり店舗を売りたい側の競争が激化し、本来の価格より低い値段で取引される可能性があるため、経営者の方は早めの決断が必要です。

しかし、「どうやって売却するのか?」「薬局って一体いくらで売れるの?」など、疑問に思う人も多いはず。

そこで今回の記事では、薬局を売却したときの相場や薬局売却の流れを丁寧に解説。

薬局を売却するメリットやデメリット、注意点についても説明しています。

最後までしっかり読んで、安心してリタイアできるように薬局M&Aを成功させましょう。

薬局M&Aとは

薬局 M&A
薬局M&Aとは、薬局を売買することです。

1980年代の医薬分業により、医師が患者の診察と薬の処方を行い、薬剤師が調剤を行うようになり、薬局創業ブームが起きました。

そのブームから40年が経ち、後継者不足の問題に悩まされている経営者が増えています。

そこで注目されているのが、薬局M&Aです。

M&Aの手法には、「株式譲渡」「株式交換」「事業譲渡」「会社分割」など、様々な手法があるため、それぞれの状況に合わせて選択することが重要になります。

M&Aとは?その目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

手続きなど煩雑化することもありますが、ただ廃業してしまうより、薬局M&Aを利用して売却をするほうが、まとまったお金を得て引退することが出来ます。

まずは、どれくらいの価格で売却することができるのか、確認していきましょう。

薬局M&Aの相場

薬局 M&A

薬局を売却しようと思っていても、「一体どれくらいの値段で売れるの?」と疑問に思う人もいると思います。

一般的には、譲渡価格=営業利益×3~5年分+純資産で計算されることが多いです。

営業利益とは、売り上げから経費を引いた利益のことを言います。

純資産とは、店舗や設備なども含めた薬局の持つ資産総額から負債移送額を差し引いた金額のことです。

一言で薬局と言っても、規模や場所によって価格は異なり、売り上げにも大きな差があります。

そのため、このような計算をして譲渡価格を決定をするのです。

薬局M&Aの事例

薬局  M&A

ここで実際にあった薬局M&Aの事例を見てみましょう。

【売り手】父の薬局を継いで2代目のAさん
【買い手】同じエリアで3店舗の薬局を経営するBさん

父の薬局を継いで2代目店主として薬局を営んでいたAさん。

Aさんには息子がいましたが、息子には好きな道を歩んでほしいと自分の代で薬局をたたもうと思っていました。

そんなときに薬局M&Aの話を聞いたのです。早速M&Aアドバイザーに相談しました。

一方、買い手となったBさんは、Aさんと同じ市で3店舗の薬局を営んでいます。

同じ地域で更に進出したいと考えていたBさんは、M&AアドバイザーからAさんの話を聞き、さっそく面談。

Aさんも大手チェーンよりは小規模店舗のオーナーに譲りたいと考えていたため、株式譲渡ですぐにM&Aが成立しました。

譲渡価格は2,000万円と納得のいく価格で売却することが出来たのです。

成立後、1ヶ月程度は引き継ぎのため薬局に行っていましたが、今ではすっかりのんびりと老後を楽しんでいるようです。

薬局M&Aのメリットとデメリット

薬局M&A メリットデメリット

薬局M&Aの事例や相場をお伝えしましたが、薬局M&Aを決定する前に、薬局を売却するメリットとデメリットを確認しましょう。

薬局売却のメリット1.後継者不足問題の解消が出来る

薬局M&Aの最大のメリットは、後継者不足問題が解消できることです。

全国では、後継者問題に悩まされている薬局がたくさんあります。

自分の子どもや従業員に継いでもらおうと思っても、資金不足や経営者のノウハウ不足などもあり、なかなか難しいのが現状です。

しかし、薬局M&Aを活用して売却することで、引き続き薬局を守ってもらうことが出来ます。

薬局売却のメリット2.対価を得て引退出来る

薬局を売却することで、まとまったお金を得て引退することが出来ます。

ただ廃業をしてしまうと、廃業にお金がかかってしまって手元に残るお金はないのです。

一方、薬局M&Aをすれば、売却価格を得ることが出来ます。

長年、頑張って経営してきた薬局です。

せっかくなので、引退のときには、対価をもらって引退しましょう。

薬局売却のデメリット1.医師の理解を得られない可能性がある

薬局の売却後、地域の医師との関係が希薄になる可能性があります。

地域に根差している薬局は、地元で開業している医師とのつながりは大変重要です。

もし、医師に薬局M&Aを理解してもらえなかった場合、売却後、売上が下がってしまう可能性があります。

薬局M&Aをするのであれば、事前にM&Aをする事情を話し理解してもらっておきましょう。

薬局売却のデメリット2.従業員が困惑するかもしれない

薬局の売却後、残った従業員が風土の違いから働きづらくなってしまう可能性があります。

実際に、「自分の勤務地が買収された」という事実にショックを受ける人は多いです。

事前に従業員に理解を得られるよう、経営者から話をするようにしましょう。

また、売却後は、買い手とのコミュニケーションを密に取り、従業員の働きやすい環境を一緒に作っていくことが重要です。

このように、薬局M&Aには、メリットとデメリットがあります。

両方の側面をしっかりと確認し、薬局を売却するかを決定しましょう。

薬局M&Aの流れ

薬局 M&A

大まかに薬局の売却までの流れは(1)事前準備(2)買い手選び(3)契約の3つの過程に分けることが出来ます。

契約の規模・複雑さなどによってケースバイケースですが、薬局の売却検討から契約の成立までの必要な時間は、大体3ヶ月~1年ほどです。

それでは、3つのステップに分けて、詳しい手順を確認していきましょう。

(1)会社売却の事前準備

①本当に薬局を売却をするべきか?

会社売却を決定する前に以下の3つについては検討しておく必要があります。

・他の選択肢はないか?
└事業継承であれば、後継者としての適任者がいないか?
└事業撤退であれば、発展の余地は本当にないか?

・どんな企業に買って欲しいか?
└規模や考え方などについて

②M&Aアドバイザーの選定・契約

薬局M&AのプロであるM&Aアドバイザーと契約をします。

経験と実績が豊富なM&Aアドバイザーをしっかりと選び、機密保持や業務内容・報酬で揉めないように契約を結びまましょう。

「会社売却の成功はアドバイザーによって決まる」というほど重要な存在なものです。

M&Aアドバイザーを選ぶときには、以下のポイントは必ずチェックしておきましょう。

・経験や実績が豊富か

・法律/会計/税務/経営/交渉理論の専門知識があるか

薬局M&Aは通常の企業のM&Aとは異なる部分もあるので、薬局M&Aを専門で扱う業者がオススメです。

(2)買い手選び

①提案資料の作成

決算書などの資料を提出し、それらを元にアドバイザーと一緒に買い手に対する提案資料を作成します。

アドバイザーが「あなたの薬局の価値」を分析してくれます。

そのためには、決算書などの資料の提出が求められます。

②買い手候補への打診

ノンネムシートと呼ばれる匿名の買い手の概要を使って買い手に打診していきます。

打診する前には必ず重要な資料を渡して良いか(ネームクリア)の確認が行われます。

③秘密保持契約

買い手候補が興味を示し、さらに詳細な情報を求められた場合、秘密保持契約を結びます。

このタイミングで薬局名や詳細な情報が買い手候補に開示されます。

④IM(Information Memoradum)の提示

秘密保持契約を結んだ後は、薬局名や事業内容・財務情報などを詳細に示したIM(インフォメーション・メモランダム)という資料を買い手に提示します。

買い手はIMに記載されている情報に基づいて、対象の薬局や事業の評価を行い、買収をするか検討します。

⑤トップ面談の実施

双方ともに売却・買収を進めたいということになれば、経営陣同士のトップ面談を行います。

売却・買収に至った経緯を話したり、経営方針など疑問を解消しあう場です。

疑問をなくす場としましょう。

(3)契約・クロージング

①意向表明書の提示

トップ面談で納得のいく相手だと判断された場合、買い手側より意向証明書が提出されます。

意向証明書とは、買収方法や買収価格などの提案がかかれた資料のことです。

また、同時にアドバイザーが双方の間に立ち、条件面の調整をおこなっていきます。

②基本合意契約書の締結

意向表明書に合意した場合、改めて双方で合意している条件が明記された基本合意契約書を作成し、締結します。

③買い手側によるデューデリジェンス

買い手は売り手の薬局をより詳細に把握するためにデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスとは、弁護士や税理士などが薬局店舗を監査をすることです。

デューデリジェンスは、出来るだけ店舗の実態を知り、リスクを予防・対策することを目的としています。

デューデリジェンスについては、「デューデリジェンスとはどういう意味?財務・労務・税務から方法を解説」にて詳しく解説しています。

④条件交渉

デューデリジェンスの結果で問題がなければ、様々な条件を細かく決定していきます。

また、最終的な売却価格はこの時点で決定します。

・従業員の処遇
・最終契約までのスケジュール
・売却価格の支払い方法

なども、この時点で決めるようにしましょう。

⑤最終契約・クロージング

最終譲渡契約書の締結によって薬局の売却契約は完結します。

しかし、実際には細かな手続きや引継ぎ作業などが終わるとクロージングとします。

薬局M&Aを成功させるための3つのポイント

薬局 M&A

ここまでは譲渡価格の相場や、薬局M&Aの流れについて見てきました。

「薬局M&Aを利用して薬局を売却をしたい!」と思うのであれば、押さえておきたい3つのポイントがあります。

1つずつ確認していきましょう。

ポイント1.自分の薬局の強みと弱みを知る

現在経営している薬局の強みと弱みをしっかりと把握しておきましょう。

立地や薬剤師の多さ、顧客の多さなど、薬局によって特徴はさまざまです。

買い手は、「この薬局を買うと自社にどのような効果があるか?」という点に注目します。

その効果を、売り手が理解しアピールする必要があるのです。

売却をする前に、客観的な目線で強みと弱みを整理しておきましょう。

ポイント2.適切なタイミングで売却をする

もし、経営難で売却を考えているのであれば、できるだけ早くM&Aアドバイザーに相談して下さい。

薬局M&Aは検討から売却成立まで、約3ヶ月~6ヶ月ほどの時間が必要となります。

そのため、その期間も経営を続けなければならないのです。

経営のピンチに陥ってから薬局M&Aを検討し始めてしまうと、タイミングが遅く、廃業という道を選ばなければなりません。

そのようなことにならないよう、できるだけ早い段階で薬局M&Aの検討を始め、M&Aアドバイザーに相談しましょう。

ポイント3.経営改善を行う

経理の不透明性や労務トラブルがある場合には、直ちに改善を行いましょう。

利益が上がっていても、こういった不透明な部分を見ると交渉が進まなくなります。

なぜなら、買い手側は買収によってリスクを抱えてしまうことになるからです。

利益が上がっていることは魅力ですが、経営改善を行うことで買い手が安心してくれます。

優秀なM&Aアドバイザーの選び方

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薬局M&Aをするのであれば、M&Aアドバイザーへの相談は不可欠です。

なぜなら、第三者目線がないと、交渉が不利に進んでしまう可能性があるからです。

また、薬局M&Aをするためには、多くの契約書や書類の作成、交渉をしなければなりません。

薬局の経営をしながら、薬局M&Aを進めることは想像以上に大変です。

スムーズに交渉を進め、薬局を売却するために優秀なM&Aアドバイザーを選びましょう。

この章では、優秀なM&Aアドバイザーを選ぶポイントを説明します。

7-1.薬局案件の経験が豊富

必ず薬局・ドラッグストアを専門にしている経験豊富なM&Aアドバイザーを選びましょう。

M&Aには、大企業の大型案件から、個人経営の飲食店などの小規模案件まで、さまざまな案件があります。

薬局M&Aは通常のM&Aとは異なり、特殊な業界のM&Aです。

そのため、必ず薬局・ドラッグストアのM&Aに精通した経験豊富なM&Aアドバイザーを選びましょう。

7-2.ネットワークが広い

紹介できる買い手の情報をたくさん持っているネットワークの広いM&Aアドバイザーを選びましょう。

買い手が買収したいと思う薬局はさまざまです。

そんな希望に応えることのできるM&Aアドバイザーにはネットワーク力が必要となります。

ベストの買収先を紹介してもらえるような、ネットワークが広いM&Aアドバイザーを選びましょう。

7-3.スピード感がある

しっかりと次の段階を見据えた話を進めてくれるようなスピード感のあるM&Aアドバイザーを選びましょう。

問い合わせの返事の速度や打ち合わせの準備が出来ているかで判断することが出来ます。

もちろん、相談者が理解できていないまま、次々に話を進めることをスピード感があるとは言いません。

質問や疑問をすぐに解消してくれて、次のステップを見据えた話をしてくれる人のことをスピード感があると言います。

多くの薬局M&Aは、3ヶ月~半年で売却が成立しています。

「何ヶ月経っても話が進まない」というときには、M&Aアドバイザーを変えることも視野に入れましょう。

薬局M&Aの3つの方法

薬局 M&A

ここまでは薬局M&Aの流れや注意点、アドバイザーの選び方を説明しました。

この章では、薬局M&Aの方法について説明していきます。

薬局M&Aには、事業譲渡、株式譲渡、薬局経営代行の3つの方法があります。

どの方法が適しているのか、確認してみて下さい。

また、M&Aアドバイザーに状況を説明して、一番良い方法を教えてもらうようにしましょう。

方法1.事業譲渡

事業譲渡とは、買い手が売り手の事業の一部もしくは全部を譲り受ける方法です。

例えば、薬局以外にも同じ企業でコンビニエンスストアを経営しているとします。

「薬局はもうたたみたいけど、コンビニエンスストアは続けたい!」という場合は、事業譲渡をします。

つまり、「薬局」という事業だけを譲渡するのです。

また、買い手が譲り受けたいものだけを選ぶことが出来ます。

そのため、負債などは譲り受けてもらえないこともあり得るのです。

方法2.株式譲渡

株式譲渡とは、売り手の株式を買い手に売却する方法です。

例えば、薬局だけを経営している場合には株式譲渡となります。

このとき、経営権だけでなく、資産・負債のすべてが譲渡されます。

売掛金や買掛金に関してもすべて引き継がれることになるのです。

方法3.薬局経営代行

薬局経営代行とは、薬品在庫だけを譲り渡す方法です。

内装設備や営業権などは元のオーナーの所有となり、買い手に貸し出して賃貸料を得ることが出来ます。

「自分が実務をすることは難しいけども、まだ収入を得たい」と考えている場合に適しています。

少しM&Aの毛色とは違いますが、近年増えてきている方法です。

薬局M&Aを考える際には、こちらの方法も選択肢として持っておくべきでしょう。

まとめ

薬局のM&Aは今後、供給過多になることが予想されるので、早めの決断が大切です。

また、スムーズにM&Aを行うためには、事前の準備が重要になってきます。

早めにや対策をしておき、安心してリタイアをできるようにしましょう。