事業承継を行う際の留意点を解説!事業承継を考えるときにまず知っておきたい注意点

事業継承 留意点

事業承継を行う時に留意しておかなければならないのはどういったことでしょうか?

「承継」と「継承」では少しのニュアンスのレベルですが意味合いが異なります。

承継は受け継ぐ対象が「精神」や「事業」などである一方、継承は「財産」、「技術」、「義務」、「身分」などとなります。

どちらも引き継ぐという意味では同じですが、承継は抽象的なもの、継承は具体的なものという区分けになりそうです。
日本語は難しいですね!

事業承継とはどんな性質のもの?

不動産 相続登記 ケース 司法書士
公式な契約書や文書では「事業承継」が正しいとされています。

「承継」という言葉の中には抽象度が高い経営理念、精神、事業体といったものが総合的に含まれます。
そのため、事業継承というと少し違和感が残ります。

逆に、華道の家元を継ぐ場合は継承という言葉の方が合っているでしょうね。

また、任期が決まっている大会社の社長のような場合、次の社長に交代する時に「事業承継」と言うことはまずありません。
事業承継という言葉には、事業資産、会社の精神、事業サービスそのもの、従業員と言った事業の全てのものを受け継ぐという強い意味が込められていると考えるべきでしょう。

事業承継は経営者の最後で最大の課題

事業継承 留意点
ところで、このような事を考えてみた背景には、この記事をお読みの皆さんに少し考えていただきたいことがあるからです。

それは、

事業承継というのは非常に大変な仕事である

ということです。

単に社長のイスを他人に譲るだけであれば簡単です。
お金を譲るだけというのも、さほど難しくはないでしょう。
株式だけでも非常に簡単です。
技術を教え込むには時間がかかりますが、着実にできるでしょう。
人間関係を引き継ぐなら、交友関係を作ってあげると良いでしょう。
精神を教えるには、しっかりと語り合えば理解してもらえると思います。

しかし、事業承継となると、上記のものを全て同時並行で引き継がなければならないのです。

事業承継する側も大変ですし、後継者にとっても非常に大変です。
また、事業承継する事業体である会社にとっても一大イベントとなります。

この事業承継の手法を間違ってしまうと、会社は体力を失い、求心力を失い、信用も失ってしまい、立ち行かなくなってしまうこともしばしばあります。

ビジネスを長期に渡り存続させる鍵は事業承継

もちろん、ビジネスを立ち上げた創業者のエネルギーは偉大です。
何もないところから法人を興し、経営者としての仕事を人並み以上にこなしてきた方が多いでしょう。

しかし、経営者の最後にして最大の仕事は後継の育成です。
これは会社が一代限りで終わってしまうものなのか、長期にわたって存続するのかの大きな分かれ道です。

では続いて、事業承継を考える時に必ず必要になる注意点などを解説します。

1. 正確に承継する財産・資産を把握する

事業継承 留意点

自社株を把握する

中小企業の経営者の方は、ほとんどの場合が自身で株式を保有するオーナー社長であることでしょう。
オーナー社長ということは当然ですが非公開株式ですから、事業承継を行う際には必ずこの株式の所有権を移行させる必要があります。

次代の経営者が株式という支配権をしっかりと握っていなければ、手綱を持たない状態で疾走する馬にまたがっているようなものです。

ところが、株式はポンと渡してしまって良いようなものではありません。
通常、株式は後継者に譲渡することになるのですが、会社の業績が良い場合は株式評価額が高くなっていることがあります。

自社株は国税庁作成の「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて行われるのが一般的ですが、この金額を把握して置かなければなりません。

売買譲渡するのであればどれくらいの資金が必要か、贈与するのであれば贈与税はどれくらいかかるのか、などを知っておく必要があります。
また、株式評価額が下がるタイミングを見越して事業承継するという考えも必要ですね。

相続対策も行っておく

事業承継対策が経営者の生前に万全だった場合は問題ありませんが、相続で自社株を譲り渡すという方法もあります。
この場合ですが、遺言で自社株の全てを後継者に渡すと名言しておけば安心、というわけではありません。

相続人には一定の額を相続する権利がありますので、遺言で指定していることが100%執行されるとは限らないのです。

自社株を1人の後継者に集中させるのであれば、それ以外の相続人にはそれ相応の遺産を用意しておかなければトラブルの原因になるため、注意が必要ですね。

いずれの方法で自社株を譲り渡すにしても、税理士や弁護士など、専門家の視点が重要になることでしょう。
行き当たりばったりでは会社の存続も危ぶまれる事態になりかねません。

2. 事業承継で発生する税金の額

贈与税 相続税対策 節税
社長のイスを譲るという事自体は非常に簡単です。
制度上は1人の社員を役員にするのと何ら変わりはなく、そこには特に費用などもかからず、何の問題もないように思えます。

しかし、事業承継は社長の座を譲るだけの行為ではなく、経営者として事業体の資本をまるごと引き継ぐことになります。
この点はさきほど少し触れましたが、絶対に注意しなければならないことです。

つまり、会社という事業体の支配権=自社株式を持っているかどうかであるため、後継者には自社株式をしっかりと保有してもらう必要があります。

贈与税、相続税などを知る

自社株を実際に後継者へ譲り渡す際、売却による譲渡という方法もありますが、贈与をしたり相続することも多々あります。

その際、当然ですが贈与税、相続税がかかることになります。

例えば、現時点で自社株を全て相続したとすると、いくらぐらいの相続税がかかるのか考えたことはありますか?

この税金を支払うことができなければ後継者自身が困ることになってしまいますよね。

株式の評価額は、国税庁が細かくルールを決めており、会社の規模や株式の保有者に応じて「類似業種比準価額」、「純資産価額」といったものから算出することになっています。

自社の株式評価額を知っておき、それに応じて一番適切な対応を考え、対処するという流れを作る必要があることは押さえておきましょう。

3. 後継者以外の推定相続人への対応


少し先程も触れた問題ですが、事業承継は遺産相続問題でもあります。

早い段階で事業承継を完了させて何年も経過していれば問題ありませんが、相続も活用して事業承継をするような場合には要注意です。

例えば現経営者の総資産の8割が自社株で、相続人が5人いた場合はどうでしょうか?

1人の後継者へ事業承継させたい、ということで株式は1人に集中するようにしたものの、他の方々の遺産相続額が非常に少なくなる可能性があります。

こういった場合は遺産相続争いに発展してしまったり、株式そのものが後継者に正しく相続されないこともあるのです。

早い段階で手を打っておくことが有効

上記のような遺産相続争いに発展しないためには、生前贈与を活用したり、会社の財務状況を事業承継に向けてコントロールしたり、他の相続人のために資産を確保しておくことなどが有効です。

しかし、このような事は1年あればできるというような簡単なことではありません。
事業承継の準備というだけで何年も要するのは経営者の方であればおわかりいただけるでしょう。

しかも、会社の財務状況や経営者個人の資産、家族関係などは非常に多様ですから、この方法が絶対にうまくいく!という必勝法はないのです。

このような場合、前述の2つの注意点と共に専門的な知識と経験を有した税理士、弁護士などに事業承継専門の担当者として仕事を依頼し、きっちりとした承継対策を行う必要があります。

時間をかければかけるほど、緻密でより良い対策を講じることができるでしょう。

事業は人や国の命よりも長い

事業継承 留意点
人間の人生は戦国時代ならば50年、今なら長くて100年です。
経営者としての在任期間はその半分あれば長い方です。

一方で、会社という事業体は創業者が現場を去っても脈々と受け継がれ、長く続いていくことがあります。
会社によっては何百年と続き、一国の寿命よりも長く場合もあります。

実は、世界で最も古く、現存する企業は日本企業なのをご存知でしたか?
大阪府にある四天王寺を建立したことで知られる金剛組はなんと創業が西暦578年。

当時企業という概念はなかったと思いますが、現在は子会社となりながらもまだ存続しています。
きっと幾多の事業承継をスムーズに行ってきた結果なのでしょうね。

ご自身や後継者の代で会社が潰えてしまうか、後々まで続いていく企業となるかは、事業承継にかかっていると言っていいでしょう。