相続人の一人と連絡が取れない。遺産分割で音信不通・行方不明の時の対策方法

不動産分割 法定相続人

遺産相続のときには、必ず相続人同士で遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議は通常、相続人全員の合意が必要となりますが、相続人の中に行方不明者や音信不通になってしまっている方がいる場合は大変です。
こういった場合、裁判所に申し立てを行って遺産分割協議を進める方法があります。

相続税の納付期限は被相続人(遺産を遺す側の方)が亡くなってから10ヶ月です。
今回は相続人が行方不明などの場合の対応方法をご説明します。

通常の遺産分割の手続き

法廷 相続 解説

一般的な遺産分割の手順

一般的な遺産分割の流れは以下のようになっています。

相続遺産の調査

法定相続人の確定

相続を行うかどうか選択(3ヶ月以内)
単純承認・限定承認・相続放棄の中から

遺産分割協議(相続人同士で行う)

遺産分割協議書の作成(相続人全員の合意が必要)

名義変更、登記などの手続

相続税の納付(10ヶ月以内)

今回説明するケースのように、相続人の行方がわからない場合は遺産分割協議ができないということになります。
そのため、正しく遺産分割をできないという状態が続いてしまい、資産の相続に関することがらが決められません。

遺産分割協議についての説明

遺産相続の際には、遺産分割協議が必要です。
遺言書がない場合であっても、相続人は法定相続分の遺産相続の権利を有しているため、相続人同士で協議をするというルールが定められています。

また、相続人同士での協議の上であれば、遺産分割は法定相続分の通りでなくとも構いません。

法定相続人を確定する方法

相続する権利を持つ相続人をしっかりと調べて確定する必要があります。
被相続人(遺産を遺す側)の戸籍を全て調べ、法定相続人となる人が何人いるのかなどを確認します。

転籍や結婚・離婚を繰り返していた場合などは、家族も知らなかった子供、養子などの相続人が明らかになる場合もあります。

法定相続人を調べる方法

法定相続人を調べるには、亡くなった被相続人の戸籍謄本を取り寄せることになります。
被相続人が亡くなった本籍地からさかのぼり、出生時まで戸籍のあった本籍地に申請をします。
養子や子供の数、名前もここで明らかになります。
(子供がいなかった場合は兄弟・父母・祖父母が相続人となります)

また、相続人の名前や住所などは、戸籍の付票を取得することで明らかになります。
これにより、一般的には相続人に連絡を取ることが可能です。
戸籍謄本、戸籍の付票は郵送での申請もできます。

相続人が行方不明!どうする?

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相続人を調べる事はできても実際には連絡がつかないケースもあります。
連絡がつかない、行方がわからないという事でも相続の権利を失ったわけではありません。

結果、遺産分割協議が進まず遺産相続ができないままとなります。

そのため、以下の2つの場合に応じて対策を取る必要があります。

不在者財産管理人を選出する

相続人がいない、となっては話を進めることができないため、代理として不在者財産管理人を選任します。
この不在者財産管理人が連絡のつかない相続人の代わりの役目を果たします。

被相続人の親族で利害関係のない人を選出するか、弁護士や司法書士を候補者にすることもあります。

不在者財産管理人ができること

不在者財産管理人ができるのは「財産を現状のまま維持する行為(保存行為)」「 財産を利用・改良する行為」の2つです。

このため、遺産分割協議に参加して発言をする場合は上記の2つに含まれませんので、別途「権限外行為許可」という手続きをする必要があります。

また、遺産分割協議が終了した後も、財産を管理しておく必要があります。

不在者財産管理人の選出するには

不在者財産管理人選任の申立書という書類を、行方不明者が住んでいるとされる住所を管轄する家庭裁判所に提出します。
この場合、被相続人などの利害関係者や、検察官が申立てをします。

相続人の不利になることは認められない

当然と言えば当然ですが、不在の相続人に対して、不利な内容の遺産分割協議は裁判所に認められないことが多いです。
具体的には、遺産の総額が法定相続分を下回るような額は認められません。

そのため、遺産分割協議では不在になっている相続人の法定相続分が保証されるレベルで協議をまとめる必要があります。

弁護士や司法書士に依頼する場合の費用

弁護士や司法書士を不在者財産管理人とする場合、家庭裁判所には管理費用としてかかるであろうお金を事前に「予納金」として支払う必要があります。
このお金はケース・バイ・ケースですが、数十万円程度となりますので注意しましょう。

失踪宣告を申し立てる(生死が不明の場合)

法廷 相続 失踪申告
中には相続人の生死が不明の場合もあります。
こういった時には、失踪宣告の申立てをすることになります。

通常、行方不明になったとされる時から7年間、または災害や遭難などがあった場合は危難が去ってから1年間経過していれば、法律上死亡したものとされます。

失踪宣告の申立て

利害関係者が行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所に申請することで、失踪宣告の申立てができます。

家庭裁判所は「不在者捜索の公告」を官報に掲載し、通常は1年~1年半で失踪宣告されます。

相続税の納付期限は10ヶ月

しかしながら、相続税の納付期限が相続が開始されてから10ヶ月です。
失踪宣告を待っていては遺産分割協議もできないままになってしまうため、失踪してしまっている相続人がいる場合も、不在者財産管理人を選任して遺産分割協議を前に進める必要があります。

失踪宣告の後に現れた場合

失踪宣告がなされた後に本人が姿を現すケースもあります。
この場合、失踪宣告の取り消しを認められれば、一旦遺産分割した分も手元に残っている財産があれば返却する必要があります。

さいごに

今回のような事例はあまりないケースかもしれませんが、遺産相続をする場合には相続人全員でなければ前に進められないということが大きなポイントです。

相続人と連絡が取れなくなってしまった場合、そのまま放置していても全く問題は前に進みません。
しかし、相続税のには期限があります。
今回の事例のようになってしまった場合はいち早く家庭裁判所や弁護士、司法書士などに相談するのが良いでしょう。