孫に生前贈与すると節税になる!注意点や頼るべき専門家まで解説

代襲 孫 生前贈与

孫への生前贈与は節税対策の方法としてよく利用されています。

でも、「どうやって孫に生前贈与すれば良いのか分からない」という人も多いはず。

そこで今回は、教育資金や結婚・子育て資金などの贈与方法や、土地・不動産の贈与の方法を丁寧に解説しています。

また、生前贈与することで発生する贈与税についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

最後までしっかり読んで、孫に自分の財産を正しく生前贈与しましょう。

1.孫への生前贈与は節税になる

孫 生前贈与

生前贈与とは、相手に財産を無償で与えることです。

自分が死んでしまった後、子どもは相続人となりますが、孫は相続の権利を持ちません。

相続をさせるには遺言書で孫への相続を指定することも出来ます。

しかし、節税対策のために、孫へ生前贈与するケースが増えているのです。

また、生前贈与をすると贈与税がかかりますが、孫への生前贈与は優遇されています。

特例や非課税対象が多くあるので、確認してみましょう。

1-1.教育資金の贈与は非課税枠がある

孫へ教育資金として贈与をするとき、1人の孫につき1,500万円の非課税枠があります。

1回で与える必要はなく、500万円を3回に分けて渡すことも認められます。

教育資金として認められるものは、学校の入学金や授業料などの学費や塾や習い事などの課外活動費です。

ただし、孫は30歳までに教育資金を使い切らなければならないという制限がありますので注意しましょう。

1-2.結婚・子育て資金の贈与は特例がある

孫が小さい場合、子どもに結婚・子育て資金を贈与することで、1,000万円の課税価格控除を受けられる特例があります。

孫が大きくなり、結婚する歳になると、孫に対して結婚・子育て資金を贈与をして、同様の特例を受けることが出来るのです。

仮にひ孫が出来た場合も、同様の特例を受けることが出来ます。

1-3.住宅取得資金には非課税枠がある

子どもや孫に、住宅資金を贈与するとき、1人の孫につき1,200万円の非課税枠があります。

ただし、贈与を受ける者の条件がありますので確認しておきましょう。

・贈与時に満20歳以上でないといけない

・年の所得が2,000万円以下でないといけない

これらの条件を満たす子どもや孫には非課税枠を利用して生前贈与することが出来るのです。

仮にひ孫が出来た場合も、同様の特例を受けることが出来ます。

1-4.3年内の加算は孫は対象外になる

被相続人が亡くなった日から過去3年間に生前贈与された財産は、亡くなった時の財産(相続財産)として考える必要があります。

そのため、過去3年間に生前贈与された財産は相続税の課税対象となるのです。

これを、生前贈与の3年内加算のルールといいます。

しかし、このルールが適用されるのは、将来相続人となる人への生前贈与だけとなっています。

つまり、子どもがいる場合、孫は法定相続人ではないので、孫への生前贈与はこのルールに当てはまらないのです。

ただし、以下の場合は孫でも3年内加算ルールが適応されてしまうことがあります。

遺言書に孫に相続させることを書いた場合

このとき、孫は相続人になるので、ルールが適用されてしまいます。

生命保険の受取人を孫にしている場合

このとき、孫は相続人ではありませんが、被相続人の死亡によって得る財産が発生します。

そのため、相続人と同じ扱いとなり、ルールが適用されてしまうのです。

このように、注意点はあるものの、孫への生前贈与には多くのメリットがあります。

次の章からは、どのように生前贈与を行うのか、手順を詳しく見ていきましょう。

2.孫に教育金や結婚・子育て資金、住宅取得資金を生前贈与する方法

孫 生前贈与 方法

ここからは、具体的な生前贈与の方法を確認していきます。

非課税枠や特例のある、教育資金や結婚・子育て資金、住宅取得資金の贈与の方法をみていきましょう。

2-1.生前贈与専用の口座を作る

まずは、生前贈与専用の孫名義の口座を作りましょう。

贈与するのが教育資金であれば、教育資金だけをやりとりします。

「この口座に振り込まれた預金は教育資金に使います」という目的を明確化できるからです。

そのため、教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金はそれぞれ口座を作成することになります。

また、贈与された孫が自由にお金を利用できるように、預金通帳・印鑑・キャッシュカードの管理も孫(もしくは親権者)が行うようにしましょう。

もし、孫名義の預金通帳を作成し、お金を振り込んだだけで管理は本人が行っていた場合、その口座の預金は贈与になりません。

死後に相続財産の対象となってしまうので注意が必要です。

2-2.贈与契約書を交わす

生前贈与をするためには、贈与契約書を作成し、契約を交わしましょう。

作成例は以下の通りです。

贈与契約書

贈与者・田中太郎と、受贈者・田中一郎は、本日、下記の通り贈与契約を結んだ。

贈与者・田中太郎は、所有する下記の財産を、受贈者・田中一郎に贈与し、受贈者・田中一郎はそれを受諾した。

・現金 500万円

これは教育資金として、○○銀行(口座情報)へ、平成30年△月△△日までに、受贈者・田中一郎へ引き渡し、権利も移転する。

上記契約の証として、本契約書を作成し、贈与者・受贈者各1通保管する。

 

平成30年×月××日

贈与者 (住所)東京都世田谷区○○12-34
(氏名)田中 太郎 (印)

受贈者 (住所)東京都世田谷区○○12-34
(氏名)田中 一郎 (印)

作成のポイントは、「だれが・だれに・いつ・なにを・どうやって贈与するのか」を詳しく記入することです。

特に形式は決まっていませんので、手書きでもパソコンでも作成することが出来ます。

また、孫がまだ小さい場合は、親権者が代理で契約を交わすことも可能です。

贈与するたびに契約書を作成し、契約を交わすことで、贈与したことを証明することになります。

2-3.孫は領収書を保管する

贈与を受けた孫は、その財産を何に使ったのかを明らかにする必要があります。

そのため、使用する都度、領収書を保管しておかなくてはなりません。

領収書がない場合、課税対象となったり、特例を受けれなくなってしまう恐れがあります。

必ず、領収書を置いておくようにしましょう。

3.孫に土地・不動産を生前贈与する方法

孫 生前贈与 不動産
続いて、土地・不動産を孫に生前贈与する方法を確認していきましょう。

3-1.贈与契約書を交わす

まずは、贈与契約書を作成し、契約を交わします。

作成例は以下の通りです。

贈与契約書

贈与者・田中太郎と、受贈者・田中一郎は、本日、下記の通り贈与契約を結んだ。

贈与者・田中太郎は、所有する下記の財産を、受贈者・田中一郎に贈与し、受贈者・田中一郎はそれを受諾した。

<土地>
所在 東京都世田谷区○○
地番 23番4号
地目 宅地
地積 200.00平方メートル

<家屋>
所在 東京都世田谷区○○
地番 23番4号
種類 居宅
構造 木造セメント瓦葦2階建て
床面積 1階 80.00平方メートル
2階 60.00平方メートル

これを、贈与者・田中太郎は受贈者・田中一郎に対し、平成30年△月△△日までに引き渡し、その所有権移転登記手続きを行う。

所有権移転登記手続きに必要な一切の費用は贈与者・田中太郎が負担する。

また、本件不動産にかかる公租公課の負担は、所有権移転登記完了の日を基準とし、登記の日までは贈与者・田中太郎が負担し、その翌日以降からは受贈者・田中一郎が負担する。

上記契約の証として、本契約書を作成し、贈与者・受贈者各1通保管する。

 

平成30年×月××日

贈与者 (住所)東京都世田谷区○○1-23ー4
(氏名)田中 太郎 (印)

受贈者 (住所)東京都世田谷区○○1-23ー4
(氏名)田中 一郎 (印)

作成のポイントは、以下の通りです。

「だれが・だれに・いつ・なにを・どうやって贈与するのか」を詳しく記入する。

不動産の名義変更で発生する費用をどちらが負担するか明らかにする。

固定資産税の負担の期間を明らかにする。

以上、3つの点をしっかりと明記しましょう。

特に形式は決まっていませんので、手書きでもパソコンでも作成することが出来ます。

3-2.法務局で土地不動産の名義変更を行う

贈与契約を交わしたら、土地と不動産の名義変更を行います。

土地と不動産の名義変更は、法務局で所有権移転登記申請が必要です。

法務局は、名義変更をする土地と不動産の所在地を管轄する法務局でなければ申請することが出来ません。

管轄の法務局は、法務局のホームページから確認しましょう。

登記申請は、以下の流れに沿って行います。

①土地・不動産の評価額の算出
②登記申請書の作成
③登記申請書と必要書類の提出

土地・不動産の所有権移転登記は、一般的に専門家である司法書士に頼むことが多いです。

司法書士に頼むと、①から③まで全てを代行してくれます。

(司法書士については、『6.孫に生前贈与するなら専門家に相談しよう』で詳しく確認します。)

3-3.発生する費用を確認する

生前贈与による所有権移転登記には費用が発生します。

それぞれ確認をしましょう。

①登録免許税

土地・不動産の名義変更を行うときに必ず発生するのが登録免許税です。

登録免許税は、登記申請書に収入印紙に貼付して納めます。

贈与の場合、土地の評価額に対して2%の登録免許税が必要です。

例えば、5,000万円の土地を生前贈与した場合は、

5,000万円×2%=100万円 の登録免許税がかかります。

②不動産取得税

不動産取得税は、土地や不動産を取得した際に必ず発生する税金です。

贈与の場合、土地評価に対して3%の不動産取得税が発生します。

例えば、5,000万円の土地を生前贈与された場合は、

5,000万円×3%=150万円 の不動産取得税がかかるのです。

所有権移転登記後、県税事務所に土地・不動産を取得したことを申告し、その後3~6か月後に納付書が送られてきます。

(都道府県によっては自動で処理される場合もありますので、事前に確認しましょう。)

4.生命保険を使った暦年贈与の方法

孫 生前贈与 生命保険

ここまでは、預金や土地・不動産の生前贈与の方法をお伝えしましたが、この章では生命保険について詳しく説明していきます。

相続税対策の1つとして、生命保険を利用して孫に贈与の方法を考えている人もいると思います。

生命保険を利用した生前贈与とは、毎年現金を贈与し、それを保険料に充当して、受贈者が生命保険に加入すること。

つまり、孫の生命保険料を代わりに支払うことで生前贈与するのです。

贈与税は年間110万円までが基礎控除となっているので、その枠内で現金を渡せば贈与税が発生することはありません。

この生前贈与は、もちろん子どもに対しても出来ます。

しかし、孫に対して行うと、3年内加算のルールが適用されないことからより節税のメリットが大きくなるのです。

若いうちに現金を渡してしまうと有効に活用してくれるか心配、ということなく生前贈与できることも大きなメリットとなります。

生命保険を活用することで、目的に合わせた資金の活用が出来るのです。

5.孫に生前贈与するときの注意点

孫 生前贈与 注意点

孫への生前贈与の方法や活用方法をお伝えしてきましたが、孫へ生前贈与するときの注意点があります。

注意点を踏まえたうえで、生前贈与をするかを決めるようにしましょう。

5-1.土地・不動産の生前贈与は贈与税の課税対象

土地・不動産の生前贈与は特例がなく、たとえ、孫への贈与だとしてもそのままの額が贈与税の課税の対象となります。

土地・不動産の価格は大きいため、多くの場合、基礎控除である110万円を超えてしまうので、贈与税が発生してしまいます。

贈与税の申告については、税理士に依頼することをオススメします。

(税理士については『6-1.生前贈与するなら必ず税理士に相談しよう』に詳しく解説しています。)

5-2.贈与税の申告が必要

1月1日~12月31日の1年間で贈与があった場合、翌年の2月1日~3月15日までに贈与税の申告が必要です。

よく混同されますが、贈与税の申告をするのは贈与した人とではなく、贈与を受けた人です。

孫への生前贈与だとまだ孫が幼い場合がありますが、そのようなときには親権者が代理で申告することになります。

万が一、納める贈与税がなくても、基礎控除110万円を超えた場合には必ず申告はしなくてはなりません。

初めに説明した教育資金や住宅取得資金などの非課税枠や結婚・子育て資金の特例は、申告をして初めて適用されます。

そのため、申告をしなければ申告漏れになるばかりか、各節税対策の制度が使えなくなってしまい不利です。

申告のためには申告書を作成する必要がありますが、記入漏れや不備があっても、申告漏れとみなされてしまいます。

その場合、ペナルティとして罰金が発生してしまいますので、専門家である税理士に相談することをオススメします。

税理士については次の章で詳しく見ていきましょう。

6.孫に生前贈与するなら専門家に相談しよう

孫 生前贈与 注意点 継業 相談

最後に、孫に生前贈与を考えている際に相談すべき専門家を紹介します。

まず、生前贈与を考えている場合は必ず税理士に相談しましょう。

また、土地・不動産の生前贈与を考えている場合は司法書士に相談する必要があるかもしれません。

それぞれ、専門家に相談すべき理由と報酬相場を確認しましょう。

6-1.生前贈与するなら必ず税理士に相談しよう

孫への生前贈与を考えているのであれば、必ず税理士に相談してから生前贈与をするようにしましょう。

まずは税理士に相談するべき理由をお伝えします。

①税理士に相談するべき理由

「この贈与は教育資金だから非課税になるだろう」と思っていても、贈与の方法が間違っていると非課税対象の条件から外れていることもありえます。

孫への生前贈与は相続税の節税するのにとても有効なため、より効果的な贈与の方法を教えてもらえることも可能です。

事前に税理士からアドバイスをもらっておくと、「思わぬ税金が発生した」なんてことを防ぐことが出来ます。

また、基礎控除110万円を超えてしまうと贈与税の申告をしなければなりません。

贈与税の計算や申告は自分だけで行うことが不可能ではありませんが、とても複雑で時間もかかってしまいます。

さらに、申告内容に間違いがあった場合は、税務署に調査に入られると追加の税金を納めなければならないので注意が必要です。

しかし、税理士に相談すれば、節税対策をしながら相続税の計算や申告を代わりに行ってもらうことができます。

もしも、贈与税を申告してから税務署に調査に入られることになった場合でも、税理士に対応してもらうことが可能です。

税務署の対応に慣れている税理士なら、税務調査で追加の税金を発生させるリスクを抑えることが出来ます。

②税理士に相談したときの報酬相場

税理士に相談したときの報酬相場ですが、相談は時間で料金を設定している事務所が多いです。

多くの場合、1時間あたり5,000円程度で相談することが出来ます。

また、贈与税申告の代行をお願いした場合には、贈与した額によって相場は変動します。

以下の表を参考にしてください。

贈与額 報酬相場
100万円未満 3万円~5万円程度
300万円未満 5万円~10万円程度
500万円未満 10万円前後
1,000万円未満 12万円前後
2,000万円未満 15万円前後
3,000万円未満 18万円前後
5,000万円未満 25万円前後
5,000万円以上 28万円前後

当然、事務所によって報酬は変わりますので、事前に確認をしておきましょう。

また、報酬以外にも、必要書類の取得費用や申告のための交通費などは実費で請求されますので、注意して下さい。

6-2.土地・不動産を生前贈与するなら司法書士に相談すべき

孫に土地・不動産を生前贈与するなら、司法書士に相談するべきです。

まずは司法書士に相談するべき理由から確認していきましょう。

①司法書士に相談するべき理由

不動産を生前贈与するためには、土地・不動産の所有権移転登記をする必要があります。

この所有権移転登記が代理できる専門家は、司法書士しかいません。

所有権移転登記を自分で行うことは出来ますが、専門的な知識が必要なため時間と手間がかかってしまうのです。

特に、土地・不動産の評価価格を算出することが難しく、とても時間がかかってしまいます。

評価価格の算出を間違って記載してしまうと、支払う税金にも影響が出てくるので注意が必要です。

司法書士に所有権移転登記を頼むと、書類の作成や必要書類の取得、申告まですべて任せることが出来ます。

②司法書士に名義変更を代行してもらうときの報酬相場

司法書士に土地・不動産の名義変更について相談した場合、報酬の相場は3~15万円程度です。

ただし、名義変更する土地・不動産の数や評価額によって変わってくるので注意しましょう。

まずは、初回の相談時に対象の土地や不動産の情報を伝え、見積もりを出してもらうことがオススメです。

まとめ

今回は教育資金や結婚・子育て資金などの金銭の贈与の方法と土地・不動産の贈与の方法を解説しました。

税理士や司法書士などの専門家に頼りながら、孫に自分の財産を正しく生前贈与しましょう。