承継開業とは?メリット・方法・注意点・成功事例を解説

承認開業 引き継ぎ

「どうやって医院を開業しようかな?」なんて、お悩みではありませんか?

医院を開業するには、新規開業する以外にも、誰かの医院を引き継ぐ承継開業という方法があります。

どちらを選ぶべきかはケースによって異なるので、一概には言えません。

新規開業も承継開業もメリットがあるので、悩む人も多いはずです。

今回は、承継開業のメリットや方法、注意点をご紹介します。

承継開業についてしっかり理解して、自分に合った開業方法を見つけましょう。

承継開業とは

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承継開業とは、すでに開業している医院を引き継ぐことによって、開業を行うことです。

いわゆるM&Aの形式で行われ、医院の合併や買収を行うことによって開業を行う方法が一般的となっています。

承継開業以外には、新規開業で医院を開業することも可能です。

ただし、新規開業は、不動産契約や内装工事、医療機器の準備、スタッフの採用などコストがかかります。

承継開業なら、条件次第ではそれらのコストがかかりません。

したがって、医院を開業するなら、承継開業について一度考えてみてください。

まずは、承継開業を行って成功した事例について確認してみましょう。

承継開業の成功事例

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承継開業を行って、医院を最低限のコストで開業することに成功した事例をご紹介します。

Aさんは、東京都に住む外科医です。

42歳になり、「そろそろ自分の医院を開業したい」と考え始めます。

最近開業した友人の医師に話を聞くと、リタイア予定の医師の医院を承継して開業したと知りました。

「コストを抑えて開業できたから良かった」という友人の言葉で、Aさんは承継開業に興味を持ちます。

そこで、友人に紹介してもらった専門家に話を聞きに行きました。

話を聞いてみると、承継開業なら新規開業の半分程度のコストで済むと知り、Aさんは医院承継を行うことを決めます。

身近にリタイア予定の開業医はおらず、専門家に探してもらった結果、68歳の外科医Bの医院を引き継ぐことにしました。

Aさんは、Bさんの医院の内装をできるだけそのまま開業したので、開業コストを最低限に抑えることができたのです。

こうして、Aさんは開業費用に悩まされることなく、無事に承継開業できました。

このように、承継開業を行うことで、開業のコストを節約することができます。

専門家に相談することで医院探しもうまくいく可能性が高いので、身近にリタイア予定の医師がいなくても心配は不要です。

承継開業のメリットは、金銭面以外にも存在しています。

開業費用の節約というメリットも含めて、承継開業のメリットを具体的に見ていきましょう。

承継開業の3つのメリット

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承継開業を行うメリットとしては、以下の3つのようなものがあります。

メリット1.開業費用を節約できる
メリット2.患者を引き継ぐことができる
メリット3.スタッフの採用コストが減る

それぞれのメリットについて、順番に確認していきましょう。

メリット1.開業費用を節約できる

繰り返しになりますが、承継開業を行うことで、開業にかかる費用を節約できます。

開業にかかる費用とは、不動産契約や内装工事、医療機器の準備、スタッフの採用などの費用です。

具体的な金額はケースによりますが、例えば、内科なら7,000万円程度、整形外科なら8,000万円程度となっています。

承継開業を行うことで、この費用を半分程度に抑えることが可能です。

もちろん、承継開業の場合は、医院の購入費用が必要になります。

しかし、購入費用は開業費用に比べると安くなることが多いです。

承継開業は、金銭的なメリットが大きいと言えます。

メリット2.患者を引き継ぐことができる

承継開業を行うことで、承継する医院で診ている患者の治療を引き継ぐことが可能です。

新規開業すると、患者はゼロからのスタートになります。

しかし、承継開業なら、今までの患者がそのまま通ってくれることも多いです。

承継前に勤務をさせてもらい患者と顔を合わせることで、患者の不安を取り除いて引き続き通ってもらえる可能性が高まります。

メリット3.スタッフの採用コストが減る

承継開業を行うことで、承継する医院で雇っているスタッフの雇用を引き継ぐことが可能です。

新規開業すると、必要となるスタッフはすべて自力で集めなければなりません。

そうなると、募集にかかる費用や、面接にかかる時間などが必要となります。

しかし、承継開業なら、引き継ぐ医院で働いているスタッフをそのまま雇い続けることができる場合があるのです。

承継開業を行うなら、条件交渉の際にはスタッフの雇用についてもしっかり話し合いましょう。

ただし、承継開業はメリットばかりではなく、注意するべきこともあります。

ここからは、承継開業を行う際の注意点について見ていきましょう。

承継開業を行う際の注意点

承継開業を行う際には、以下のような注意点に気をつけなければなりません。

注意点1.開業までに時間がかかる場合がある
注意点2.希望通りの医院にできない可能性がある

それぞれの注意点について、順番に確認していきましょう。

注意点1.開業までに時間がかかる場合がある

承継開業を行う際には、時間がかかる可能性があります。

なぜなら、引き継ぐ予定の医院を見つけても、お互いが承継の条件に合意しなければならないためです。

交渉がうまくいかず条件が決まらなければ、最終契約までに時間がかかることもあります。

かかる時間はケースによりますが、一年から一年半程度が多いです。

したがって、時間に余裕を持って、開業を行うスケジュールを考えておくのが良いでしょう。

注意点2.希望通りの医院にできない可能性がある

承継開業は、新規開業に比べると、自分の希望通りの医院にできない可能性が高くなります。

なぜなら、例えば開業コストを抑えるために内装をそのまま引き継ぐ場合、自分の理想的な内装とは異なるかもしれないためです。

開業する医院について具体的なイメージが決まっているのなら、承継開業だと実現しきれないかもしれません。

したがって、自分の希望する医院は承継開業でもできるのかどうかについてをしっかり考えましょう。

承継開業のメリットと注意点を確認してみて、「新規開業と承継開業のどちらにするべきだろう?」とお悩みかもしれません。

ここで、新規開業と承継開業のどちらを選ぶべきか考えてみましょう。

新規開業と承継開業、どちらを選ぶべき?

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「結局、新規開業と承継開業のどちらを選ぶべきだろう?」なんて、お悩みの方も多いと思います。

新規開業を選ぶべきなのは、以下のような人です。

  • 開業したい医院の治療方針や経営方針が明確にある人
  • 開業資金に困っていない人

この2つの条件に当てはまるようであれば、新規開業を行うべきです。

承継開業を行うと、引き継ぐ医院の方針から大幅に変えることが難しい場合があります。

「自分の理想とする医院を作りたい!」という場合には、新規開業の方がやりやすいです。

ただし、新規開業には高額な開業資金が必要となるので、場合によっては銀行からの融資も活用しなければならないかもしれません。

新規開業は既に開業している医院を継ぐよりも、融資の条件が厳しくなることが多いです。

したがって、金銭的に余裕がない場合は、できるだけ自分の方針と近い医院を承継するという方法も視野に入れてください。

「新規開業よりも承継開業が良さそう」という人は、このまま承継開業を行う流れを見ていきましょう。

6.医院の承継開業を行うための5つのステップ

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医院の承継開業を行うためには、以下のような5つのステップが必要となります。

ステップ① 希望の確認
ステップ② M&Aアドバイザーの選定・契約
ステップ③ 売り手医院選び
ステップ④ 条件交渉
ステップ⑤ 最終契約・クロージング

それぞれのステップについて、順番に確認していきましょう。

ステップ① 希望の確認

まずは、どのような承継開業を行いたいかを考えなければなりません。

承継開業を行う際の希望について考えてみましょう。

例えば、「内装工事の費用を抑えるために既にイメージに近い医院を引き継ぎたい」などの希望が考えられます。

それによって、適切な医院も明確になってくるはずです。

承継開業を成功させるには、自分自身の希望を知ることから始まります。

ステップ② M&Aアドバイザーの選定・契約

希望が明確になったら、それを叶えてくれるM&Aアドバイザーを選び、契約を結びます。

承継開業は専門的なことも行わなければならないので、M&Aアドバイザーに依頼するべきです。

M&Aアドバイザーとは、承継開業の専門家で、承継開業を行うべきかどうかの相談から承継開業の完了までサポートしてくれます。

M&Aアドバイザーの選び方は、後ほどご紹介するので確認してみてください。

ステップ③ 売り手医院選び

M&Aアドバイザーと相談しながら、売り手の医院を選んでいきます。

医院の探し方はM&Aアドバイザーによって異なりますが、例えば以下のような方法です。

  • M&Aアドバイザーに相談しているリタイア希望医師とのマッチング
  • M&Aアドバイザーの取引先からリタイア希望医師を探索

医院選びの際に参考になるのが、売り手側が作成した資料です。

医院の評価や分析が大まかに記載された匿名資料を見て、興味を持ったら秘密保持の契約を結んで詳細な資料を見ることになります。

ステップ①で確認した自分の承継開業の希望と照らし合わせながら、引き継ぎたい医院を探しましょう。

ステップ④ 条件交渉

引き継ぎたい医院が見つかったら、契約に向けて準備を行っていきます。

まずは、引き継いでもらいたい側と引き継ぎたい側の双方が合意している条件を明確にしなければなりません。

合意済みの条件がはっきりしたら、基本合意契約書を作成し、契約を結びます。

基本合意契約書での契約は必須ではありませんが、スケジュールが明確になったり、最終契約に前向きになったりすることがメリットです。

基本合意契約書を作成してから、医院訪問を行い、面談をして条件交渉を行うのが一般的な流れとなっています。

条件交渉では、最終契約までのスケジュールや代金の金額、支払い方法など条件を細かく決めていきましょう。

ステップ⑤ 最終契約・クロージング

条件をすべて決めて、双方が納得したら、最終譲渡契約書の締結によって契約は完了です。

譲渡対価の支払いや医院の引き渡しを行って、クロージングとなります。

承継開業について専門家に相談しよう

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承継開業は自分だけで行うことは難しいので、M&Aアドバイザーに相談するべきです。

M&Aアドバイザーに相談すれば、承継開業について総合的なサポートやアドバイスをしてもらえます。

承継開業を行うには、法律や会計、税務、経営、相手との交渉などさまざまな知識が必要です。

それらを自分だけですべて勉強して承継開業を行うのは厳しいと考えられます。

専門的なことを考える場面も多く、適切な判断をして承継開業を成功させるためには、M&Aアドバイザーは重要となります。

「承継開業をしてみよう」と考えているのなら、まずはM&Aアドバイザーに相談してみるべきです。

多くのM&Aアドバイザーは初回の相談は無料で行っています。

承継開業を成功させるために、M&Aアドバイザーの選び方について確認しておきましょう。

7−1.M&Aアドバイザーを選ぶ5つのポイント

承継開業を成功させるためには、良いM&Aアドバイザーを選ぶことが必要です。

M&Aアドバイザーは、会計事務所や税理士事務所、経営コンサルティング会社などといったところから選ぶことができます。

M&Aアドバイザーを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

  • ポイント1.機密保持や業務内容・報酬について明確な契約ができるか?
  • ポイント2.経験や実績が豊富か?
  • ポイント3.法律・会計・税務・経営・交渉理論の専門知識があるか?
  • ポイント4.仲介型ではなく、アドバイザー型か?
  • ポイント5.営業力のあるM&Aアドバイザーか?

それぞれのポイントについて、順番に見ておきましょう。

ポイント1.機密保持や業務内容・報酬について明確な契約ができるか?

承継開業を成功させるためには、機密保持は非常に重要です。

もしも承継開業の過程で機密情報が流出してしまうと、承継は失敗してしまいます。

承継予定の医院のスタッフや患者に承継開業をすることを伝えるのも、適切なタイミングで行わなければならないのです。

また、アドバイザーの業務内容や報酬について曖昧なところがあると、後からトラブルになりかねません。

契約をする前に、明確な契約を結んでもらえるかどうかについて、しっかり確認しましょう。

ポイント2.経験や実績が豊富か?

医院の承継開業を行った経験や実績が豊富なM&Aアドバイザーを選びましょう。

M&Aアドバイザーは、医院の承継をメインにしている人だけではありません。

例えば、飲食店の店舗売却をメインにしているアドバイザーもいるのです。

Webサイトを見れば、どのような種類のM&Aを得意としているのか判断できます。

M&Aアドバイザーを選ぶ際には、医院の承継開業の経験や実績を確認をするようにしましょう。

ポイント3.法律・会計・税務・経営・交渉理論の専門知識があるか?

承継開業を行うには、幅広い分野の知識が必要となります。

必要となる知識は、法律や会計、税務、経営、交渉理論など幅広いものです。

もしも、法律だけに詳しいM&Aアドバイザーに依頼してしまうと、医院を引き継ぐ相手との交渉がうまくいかないかもしれません。

したがって、どの分野についても最低限の知識を持っているM&Aアドバイザーを選ぶべきです。

幅広い知識を持っているかは、Webサイトを見たり実際に相談したりするときに確認しましょう。

ポイント4.仲介型ではなく、アドバイザー型か?

M&Aアドバイザーを選ぶ際には親身になって相談に乗ってくれる人を選ぶべきです。

M&Aアドバイザーには、『仲介型』『アドバイザー型』といった2つのパターンがあります。

仲介型のM&Aアドバイザーとは、売り手と買い手の双方から中立的な立場で会社売買を成立させる人です。

したがって、リタイア予定の医師の意向に沿うように、承継開業を進めようとするケースも出てくるかもしれません。

一方で、アドバイザー型のM&Aアドバイザーは、売り手・買い手の一方のみから依頼され、依頼主の意向に沿うように会社売買を成立させます。

承継開業をして医院を引き継いでもらいたいときは、アドバイザー型の方が親身に寄り添ってくれるのでおすすめです。

ポイント5.営業力のあるM&Aアドバイザーか?

M&Aアドバイザーを選ぶ際には、営業力のある人を選ぶべきです。

M&Aアドバイザーは、専門性が高いアドバイザー営業力の強いアドバイザーに分かれます。

M&Aの成功には法律や会計、税務などさまざまな専門性を要求されますが、それだけでは十分ではありません。

幅広い専門性を持った上で、最適な後継者候補を探す営業力やネットワークが必要です。

専門知識は必要に応じて士業に任せることもできるので、ネットワークが広く営業力のあるM&Aアドバイザーを選びましょう。

まとめ

医院を開業するには、新規開業と承継開業といった2つの方法があります。

それぞれにメリットとデメリットが存在しているので、自分に合った開業方法を選ぶべきです。

承継開業を考えているなら、まずはM&Aアドバイザーに相談してみましょう。