資産承継の方法を確認!アドバイザーや税理士の選び方も解説

資産承継

「資産を引き継ぎたいけれど、どうすれば良いんだろう?」なんて、お悩みではないでしょうか?

資産承継をする際には、贈与税や相続税が発生することに注意しなければ、高額な納税資金が必要となります。

実は、贈与税も相続税も最高税率は55%にもなるのです。

場合によっては、渡す資産の半分以上の税額となってしまいます。

したがって、資産承継をするなら、節税対策を行って資産を引き継いだ相手の納税負担を減らすべきです。

今回は、資産承継の流れや税額の試算方法、節税対策についてご紹介します。

資産を引き継ぐための準備をしっかり行って、最低限の納税額で資産を渡しましょう。

1.資産承継とは

相続税の申告や納付期限はいつまで?期限を過ぎると罰則があるので要注意!

資産承継とは、所有している資産を誰かに引き継ぐことです。

自分が亡くなったときのことを想定して、生前に資産を贈与したり、遺言を書いて相続の準備をするなどの方法が考えられます。

資産承継の際に考えなければならないのは、贈与や相続を行うと税金が発生するということです。

したがって、節税のための制度や特例を活用するなど、納税資金対策も考えなければなりません。

まずは、税金のことも含めて、資産承継の流れを確認していきましょう。

2.資産承継の際に考えるべき4つのこと

株式譲渡 方法

資産承継を行う際には、以下の4つのことを考える必要があります。

ポイント1.資産状況と承継の方向性の確認
ポイント2.資産承継方法の決定
ポイント3.節税対策
ポイント4.贈与税や相続税の申告

それぞれについて順番に確認していきましょう。

ポイント1.資産状況と承継の方向性の確認

資産承継は、資産の保有状況や、自分自身がどのように資産を渡していきたいのかを確認することから始まります。

まずは、持っている資産をリストアップしましょう。

そのうえで、資産承継についての希望を明確にしておくことが大切です。

例えば、「土地は息子に譲り、株式は配偶者に譲りたい」「すべての資産を売却して均等に分けたい」などが考えられます。

誰にどのような財産を渡したいのかが決まっていなければ、承継方法を決めることもできません。

資産承継について方向性を定めてから、次のステップに移りましょう。

ポイント2.資産承継方法の決定

資産承継の方向性が決まったら、資産を渡すための方法を決めていきます。

資産を渡す方法は、例えば以下のようなものです。

  • 生前贈与
  • 遺言による相続
  • 生命保険の活用

どれか1つだけを選んで資産承継を行うのではなく、複数の方法をうまく組み合わせて資産を渡すのが良いでしょう。

なぜなら、資産承継には税金がかかりますが、複数の方法を活用することで節税できることが多いです。

例えば、生前贈与で生きているうちに資産を少しでも渡していけば、相続する資産が減ります。

それによって、生前贈与した分だけ相続税が節税できるのです。

そのような納税資金を抑えるための方法も、資産承継をするなら考える必要があります。

ポイント3.節税対策

どの資産承継の方法でも、納税のことまで考えておかなければなりません。

節税対策をしないまま資産承継を行うと、資産を引き継いだ人が贈与税や相続税などの税金を払えなくなる場合があります。

そうなると、せっかく資産を承継したのに、その資産を手放して納税することにもなりえるのです。

資産承継を行うなら節税対策を行いましょう。

具体的な節税対策については、後ほどご紹介します。

ポイント4.贈与税や相続税の申告

資産承継は、単に資産を渡せば終わりではなく、贈与税や相続税の申告まで行うことが必要です。

贈与税の申告手続きは、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに行います。

相続税の申告手続きも、財産をもらった人が行うもので、相続が起きてから10ヶ月後が期限です。

期限を過ぎてしまうと追加の税金が発生するので、できるだけ早めに申告を行ってください。

贈与税や相続税を申告するには、申告書を提出しなければなりません。

申告書を提出する場所は、資産承継を受けた人の住所を管轄している税務署です。

申告書以外の必要書類は、ケースによって異なるので事前に税務署に確認するようにしましょう。

( 贈与税や相続税の申告手続きについて、詳しくは『贈与税の完全版!税率・計算方法・申告手続きについて丁寧に解説!』『相続の全てが丸わかり!遺産分割の方法や名義変更に相続税申請方法など』をそれぞれ読んでみてください。 )

3.資産承継に使える6つの節税対策

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ここで、資産承継の際に活用できる節税対策について確認しておきましょう。

納税資金を抑えるために利用できる制度や特例は、例えば以下のようなものがあります。

贈与税対策1.暦年課税制度の活用
贈与税対策2.相続時精算課税制度の活用
贈与税対策3.生活費や教育費としての贈与の活用
相続税対策1.配偶者控除の活用
相続税対策2.生命保険の活用
相続税対策3.小規模宅地等の特例の活用

それぞれの制度や特例について、順番に確認していきましょう。

贈与税対策1.暦年課税制度の活用

暦年課税制度とは、毎年合計で110万円までは贈与税がかからないという贈与税の原則的な計算方法です。

したがって、生前贈与で財産承継を行う場合には、毎年110万円までに抑えて財産を渡せば、贈与税を納めなくても済みます。

相続での資産承継をメインに考えている場合でも、生前贈与を行えば相続する財産が減って、相続税の節税が可能です。

ただし、相続が起きたとき、相続開始の時点からさかのぼって3年以内に贈与された財産には相続税がかかります。

せっかく暦年課税制度を使っても、相続が起こる前3年間の贈与には税金がかかるので期間に余裕を持って対策するべきです。

贈与税対策2.相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税制度は、贈与してくれる者1人あたりにつき2500万円までが課税されなくなるものです。

ただし、贈与された財産は相続が起これば、贈与時の値段で相続財産とあわせて相続税を計算しなければなりません。

値上がりしそうな財産を持っているときに活用すれば、贈与時の値段で税額を計算できるので節税ができます。

注意するべきなのは、相続時精算課税制度は自分で選択して使うもので、一度使うと決めたら暦年課税制度は使えなくなることです。

どちらを利用して贈与を行うのかについては、財産の状況を確認しながら慎重に考えましょう。

( 相続時精算課税制度については、『相続時精算課税制度を利用すると節税可能!メリットや手続きを解説』で詳しく解説しています。

「値上がりしそうな財産を渡す予定がある」という人は、確認してみてください。)

贈与税対策3.生活費や教育費としての贈与の活用

夫婦や親子、兄弟の間で生活費や教育費を渡す場合には贈与税がかからないです。

生活費は、具体的には仕送りや賃貸料、治療費などとされています。

教育費には学費だけではなく教材費や通学のための交通費も含まれるので、場合によっては高額な節税が可能です。

もしも私立大学医学部に入学したり海外留学したりするときに活用すれば、数千万円もの贈与に税金がかからなくなると言えます。

ただし、生活費や教育費の贈与に贈与税がかからないのは、通常必要と認められる部分の金額までなので注意が必要です。

具体的な条件はありませんが、学費や賃貸料などは必要な金額のみを贈与するようにしましょう。

相続税対策1.配偶者控除の活用

配偶者控除とは、配偶者の納める税金の1億6000万円まで控除されるものです。

配偶者控除を使えば、配偶者が1億6000万円までの相続税を支払わなくても良くなります。

配偶者への遺産相続の割合を多くすることで、相続税を配偶者に多めに負担してもらうことが可能です。

それによって、他の人にかかる相続税を減らし、全員の相続税を節税できます。

しかし、配偶者に相続人がいるなら、配偶者が亡くなったときの相続についても考えておかなければなりません。

配偶者に相続が起きると、配偶者の相続人に高額な相続税が発生してしまうかもしれないのです。

配偶者に相続人がいるなら、そのような次の相続についても相続税対策を考えておくようにしましょう。

(「配偶者に資産を渡したい」という人は、『相続税の配偶者控除とは何?条件や計算方法を分かりやすく解説』も読んでみてください。)

相続税対策2.生命保険の活用

生命保険金には非課税となる枠があり、以下の計算式で求められる金額までは相続税がかかりません。

500万円 × 法律で決まっている相続人の数=保険金の非課税枠

例えば3人の子供が相続人であるというときは、「500万円 × 3人=1,500万円」となって1,500万円までは非課税です。

このとき、相続財産が現金5,000万円なら、生命保険を活用するとどうなるか考えてみましょう。

生命保険を活用した場合、1,500万円以上の保険金を受け取ることができるようにしておけば、相続税の対象となる金額は以下となります。

5,000万円 − 1,500万円=3,500万円

生命保険を利用せずに現金で5,000万円を相続をしてしまうと、課税金額はそのまま5,000万円です。

(「生命保険を活用して資産を渡したい」という人は、『相続税は生命保険で節税しよう!節税方法や計算例を解説!』も読んでみてください。)

相続税対策3.小規模宅地等の特例の活用

小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の土地は、評価額を下げて相続税の負担を軽くすることができるというものです。

一定の条件を満たせば、決まった面積まで相続税の対象となる評価額から50%〜80%の減額ができます。

例えば、自宅の土地の評価額が8,000万円だったら、小規模宅地の特例を使うと1,600万円の評価額となるのです。

もし、相続税率が55%だとしたら、土地にかかる税額が4,400万円から880万円に変わるので、節税効果は3,520万円になります。

ただし、小規模宅地等の特例は、必ず全員が使えるわけではないことに注意しなければなりません。

小規模宅地等の特例を利用する条件が、宅地の種類や相続人の立場によって決められているためです。

(「宅地を相続してもらうから条件などを詳しく知りたい」という人は、『小規模宅地等の特例とは何?土地を相続するときの節税対策!』を読んでみてください。)

4.贈与税と相続税の計算方法を簡単に確認!

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「そもそも自分の場合、どれくらいの税金がかかるのかな?」と、お悩みの方もいると思います。

ここからは、贈与税と相続税の計算方法を簡単に確認しておきましょう。

贈与税と相続税は税率や計算方法が異なるので、気をつけてください。

まずは贈与税の計算方法を見ていきましょう。

贈与税の計算方法

原則的な評価方法である、暦年課税制度を用いたときの計算方法を確認しましょう。

贈与税を計算するためには、以下の計算式を使います。

(贈与した財産の総額 − 110万円)× 贈与税の税率 − 控除額 = 贈与税額

贈与税の税率は、以下のようになっています。

110万円を差し引いた課税対象の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

例えば、1年間で贈与した財産の総額が500万円のときは、以下のように計算できます。

(500万円 − 110万円)× 20% − 25万円 = 53万円

贈与税は原則としては、以上のように計算することができます。

ただし、贈与税の計算は複雑なので、申告の際には税理士に計算を依頼したほうが良いでしょう。

「具体的な贈与税額をどうしても自分で計算したい」というときは、『贈与税の完全版!税率・計算方法・申告手続きについて丁寧に解説!』を読んでみてください。

次に、相続税の計算方法も確認しておきましょう。

相続税の計算方法

相続税を計算するときは、相続する財産すべての総額から計算をしなければなりません。

また、相続税には一定金額までは課税されないという基礎控除があることに注意してください。

基礎控除は、「3000万円 + (相続人の数 × 600万円) 」で計算した金額です。

したがって、相続税がかかる課税対象の金額は、以下のようになります。

相続財産の総額 − 基礎控除額 = 相続税の課税対象の金額

課税対象の金額に相続税の税率をかければ、大まかな相続税額が計算できます。

相続税は以下の税率です。

相続財産の金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円
例えば、3,500万円が課税対象の金額のときは、以下のように計算できます。
3,500万円 × 20% − 200万円 = 500万円

したがって、500万円が大まかな相続税の金額となります。

ただし、相続税の計算は複雑なので、申告の際には税理士に計算を依頼したほうが良いでしょう。

「具体的な相続税額をどうしても自分で計算したい」というときは、『相続税を計算してみよう!追徴課税についても解説』を読んでみてください。

税金の申告だけに限らず、資産承継を行う場合には専門家に相談すれば安心して資産を渡すことができます。

資産承継の専門家選びなどについても見ておきましょう。

5.資産承継について専門家に相談しよう

相続税対策 税理士

資産承継を行う際には、税理士に相談するべきでしょう。

なぜなら、資産承継を行うには、生前贈与から相続まで多くのことを考えなければならず、自分だけでは難しいためです。

税理士に相談することによって、円滑に資産承継を行うためのスケジュールや方法を提案してもらえたりします。

また、贈与税や相続税に強い税理士であれば、制度や特例にも詳しく、贈与税額や相続税額を下げられる可能性は高いです。

さらに、贈与税や相続税を計算して申告してもらうことで安心して資産承継が行なえます。

しかし、もしも贈与税や相続税について詳しくない税理士に頼んでしまうと、節税について提案してもらえないかもしれません。

したがって、資産承継について相談する際には、贈与税や相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

贈与税や相続税に強い税理士を選ぶポイントは、資産承継に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

他にも、税理士を選ぶ際には、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

ほとんどの税理士は、最初の相談は無料で行っているので、まずは無料相談に行ってみましょう。

無料相談に行く際には、わかる範囲で所有している資産をリストアップしたり、家族構成がわかるものを準備しておくとスムーズです。

ちなみに、資産承継については、『資産承継アドバイザー』という資格もあります。

税理士によっては資産承継アドバイザーも取得している可能性があるので、どのような資格か見ておきましょう。

【補足】資産承継アドバイザーになる方法や難易度は?

生命保険 受取人

最後に、資産承継アドバイザーについて確認しておきましょう。

資産承継アドバイザーになるには、一般社団法人 金融財政事情研究会が行う「金融業務2級 資産承継コース」に合格しなければなりません。

受験資格は特にないものの、遺産分割対策や納税資金準備、相続税の節税対策、相続手続きなど、合格には幅広い知識が必要です。

四答択一式の問題が30問、事例問題が10問の合計40問が出題され、100点満点中70点以上が合格基準となっています。

したがって、難易度は決して低くない資格です。

「資産承継についての相談相手を探している」というとき、資産承継アドバイザーの資格の有無を判断基準の1つにするのも良いでしょう。

まとめ

資産承継を成功させるには、資産の引き継ぎだけではなく、節税についてまで考えることが必要です。

税理士など専門家に相談すれば、資産を引き継ぐ方法や節税対策まで適切なやり方がわかります。

資産を引き継いだ人が納税資金で悩まされるようなことなく、円満に資産を引き継げるようにするべきです。