相続した株式の相続税はいくら?株式評価方法や手続きも解説!

株式相続 税金

「株式を相続することになったけれど、相続税はいくらになるのだろう。。」なんて、お悩みではありませんか?

株式の相続税を計算するためには、株式の評価額を算出する必要があります。

なぜなら、株式は買ったときの金額ではなく、評価額を使って相続税を計算するためです。

そして、株式を含めた相続財産の総額を求めて相続税を計算します。

今回ご紹介するのは、株式の評価額を知って相続税額を計算する方法や、相続の手続きです。

株式の相続について理解して、安心して相続を行いましょう。

1.相続財産に株式があるときに行うこと

事業承継ガイドライン 注意点 相続財産

相続財産に株式があるときには、以下のようなことを行わなければなりません。

① 株式の評価額を算出
② 株式の遺産分割
③ 株式を含めた相続財産の相続税の計算
④ 相続税の申告と納付
⑤ 株式の名義変更手続き

まずは、相続する株式がいくらくらいなのか、評価額を確認してみましょう。

2.株式の評価額の計算方法

相続税の2割加算って?対象や計算方法をわかりやすく解説! 相続税計算

株式は、『上場株式』と『非上場株式』によって評価額の算出方法が変わります。

まずは、上場株式の評価額を出す方法を確認しましょう。

2−1.上場株式の評価額を計算する

上場株式の場合は、次の4つのうちの最も低い金額が株式の評価額です。

  • 相続日の終値
  • 相続日当月の終値の月平均額
  • 相続日前月の終値の月平均額
  • 相続日前々月の終値の月平均額

上場株式を相続するときには、4つの金額をそれぞれ確認してみましょう。

2−2.非上場株式の評価額を計算する

非上場株式の場合は、以下のような流れで評価額を決めていきます。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定
評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定
評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定
評価手続き4.特定の評価会社の判定

それぞれの評価手続きについて、順番に見ていきましょう。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定

まずは、評価したい非上場株式について、大株主か少数株主かを判断しなければなりません。

大株主とは、会社の経営権を持っている株主のことです。

大株主の場合は原則的評価方式で株式評価がなされ、これには類似業種比準方式と純資産価格方式、これら2つの併用方式があります。

少数株主とは、株式の配当からのみ利益を得ていた場合で、評価方法は特例的な株式評価である配当還元方式です。

配当還元方式とは、株式を所有することで受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

つまり、今、株主に配当をするならいくら出せるのかを計算します。

少数株主が用いるのは以下の計算式です。

配当還元価格 = ( 1株あたりの過去2年間の平均配当金額 / 10% ) × ( 1株あたりの資本金の額 ÷ 50 )
大株主の場合は、このまま次の手続きを見ていきましょう。

評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定

評価会社の会社規模の大小に応じて、大会社、中会社、小会社に区分して評価をします。

大会社とは、従業員数が70人以上の会社です。

従業員数が70人未満の会社の場合は、以下のようになります。

卸売業
小売サービス
卸売業 小売サービス

(引用:取引相場のない株式等の評価(会社規模の判定基準の見直し等) – 国税庁

中会社はその中でも、大・中・小で区別されることに注意が必要です。

評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定

大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価格方式の併用方式、小会社は純資産価格方式で、価格を算定します。

ただし、大会社と中会社は純資産価格方式を選ぶこともでき、小会社は併用方式を選ぶことも可能です。

類似業種比準方式使用の際の類似業種比準価額の比率 (図表でのL) は、大会社は100%、中会社はさらに大・中・小と区分したうえで、大は90%、中は75%、小は60%となり、小会社は50%となります。

類似業種比準価格は、国税庁のホームページで確認してください。

(参考:平成29年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)- 国税庁 )

会社規模別の評価方法は以下です。

会社規模 評価方法
大会社  類似業種比準価格

又は、純資産価格

中会社  類似業種比準価格 × L +純資産価格 × ( 1 – L )

又は、

純資産価格 × L + 純資産価格 × ( 1 – L )

小会社  純資産価格

又は、

類似業種比準価格 × 0.5+純資産価格 × (1 – 0.5)

評価手続き4.特定の評価会社の判定

特定の評価会社とは、評価会社の資産の保有状況、営業状態などが一般の評価会社とは異なると認められる会社のことです。

それぞれの状況に応じた評価方法が定められています。具体的な区分と評価方法は以下です。

区分 内容 評価方法
比準要素数1の会社 比準要素数1の会社の株式とは、類似業種比準方式で定められた以下の3つの金額のうち、いずれか2つの金額が0の会社で、なおかつ、直前々期末を基準にしてそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上の金額が0である会社

・1株当たりの配当金額
・1株当たりの利益金額
・1株当たりの純資産価額

 純資産価格方式

又は、

L = 0.25とする併用方式

株式保有特定会社 課税時期において評価会社の総資産に占める株式などの保有割合が50%以上の会社  純資産価格方式
土地保有特定会社 課税時期における評価会社の総資産に占める土地などの保有割合が70%(中会社及び一定の小会社は90%)以上の会社  純資産価格方式
開業後3年未満の会社など 以下のいずれかに該当する会社

・課税時期において開業後3年未満の会社
・直前期末を基とした1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価格がいずれも0の会社

 純資産価格方式
開業前又は休業中の会社 開業前の会社とは、会社設立の登記は完了したが、事業活動を始めていない会社

休業中の会社とは、課税時期において相当長期間にわたって休業中うの会社

 純資産価格方式
清算中の会社 解散手続が完了し、課税時期において清算段階にある会社  清算分配見込額の複利現価による評価方式

非上場株式の評価額を決める方法は以上となります。

非上場株式の評価は複雑で、慣れていなければ難しいので、少しでも不安があるなら税理士に相談しましょう。

非上場株式について詳しく知りたい方は、『非上場株式の譲渡や相続の方法・評価額について徹底解説!』を読んでみてください。

評価額がわかったら、それを用いて相続税額を計算する方法を確認してみましょう。

3.株式があるときの相続税額の計算方法

基礎控除額 計算 株式相続

株式の相続の際には、相続税を納める必要があります。

ただし、相続税を計算するときは、株式単体の金額ではなく、他の相続する財産すべての総額から計算をしなければなりません。

また、相続税には一定金額までは課税されないという基礎控除があることに注意してください。

基礎控除は、「3000万円 + (相続人の数 × 600万円) 」で計算した金額です。

したがって、相続税がかかる課税対象の金額は、以下のようになります。

株式評価額を含めた相続財産の総額 − 基礎控除額 = 相続税の課税対象の金額

課税対象の金額に相続税の税率をかければ、大まかな相続税額が計算できます。

相続税は以下の税率です。

相続財産の金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円
例えば、1,000万円が評価額の株式を含めて、3,500万円が課税対象の金額のときは、以下のように計算できます。
3,500万円 × 20% − 200万円 = 500万円

したがって、500万円が大まかな相続税の金額となります。

相続税の計算は複雑なので、申告の際には税理士に計算を依頼したほうが良いでしょう。

「具体的な相続税額を自分で計算したい」というときは、『相続税を計算してみよう!追徴課税についても解説』を読んでみてください。

4.非上場株式の相続手続き

株式相続 非上場株式

株式を相続するときに行うのは評価額の計算だけではありません。

ここからは、非上場株式を相続する際の4つの手続きについてご紹介します。

ステップ1.相続株式の調査
ステップ2.株式の遺産分割協議
ステップ3.株式の名義変更や買取請求・受渡請求
ステップ4.亡くなった人の準確定申告と相続人の相続税申告

それぞれのステップについて、順番に見ていきましょう。

ステップ1.相続株式の調査

相続される株式がどこにどれくらい存在しているのかを調査します。

非上場株式は、株券を発行している会社に直接問い合わせて調査しなければなりません。

なぜなら、非上場株式は、証券会社や信託銀行が管理をするものではないためです。

会社から決算の時期に送られてくる株主招集通知や案内状が届いていないかを探してみましょう。

ステップ2.株式の遺産分割協議

調査して存在がわかった株式を相続するために、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割を行わなければ、それぞれの相続人がどのように株式を所有することになるか明確に決まりません。

遺産分割協議を行わないままでは、次のステップに移ることができないのです。

遺産分割協議の手順としては、①相続人の確定、②相続財産の確定、③遺産分割協議書の作成というようになります。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で話し合って決めた内容を文書にしたものです。

それぞれの相続人が何をどのくらい相続するのか明記して、署名捺印を行います。

非上場株式の場合はその評価額を計算しなければならず、どのように株式を分割するのか決めにくいかもしれません。

その場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談しましょう。

遺産分割協議は原則としてやり直しは不可能なので注意してください。

ステップ3.株式の名義変更、買取請求・受渡請求

非上場株式の相続人が決まったら、株券を発行している会社に相続人を伝えて、株式名簿の書換を行います。

株式名簿を書き換えるために必要な書類は、株券発行会社によって異なります。

例えば、以下のような書類が必要です。

  • 株券(株券がある場合)
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本または戸籍全部事項証明
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍全部事項証明

これら以外にも必要となる場合があるので、会社側に確認をしましょう。

譲渡制限付株式の場合は、売渡請求が行われる

非上場株式会社では、譲渡制限付株式を発行していることもあります。

譲渡制限付株式とは、会社の承認がなければ他人に売り渡せない株式のことです。

譲渡制限付株式の場合は、会社から株式の売渡請求をされるかもしれません。

その場合、相続人は株式を相続するのではなく、売渡金を手に入れることになります。

相続で会社側が想定していない人が株主になって経営に参加することを防止するために、売渡請求が行えるようになっているのです。

ステップ4.亡くなった人の準確定申告と相続人の相続税申告

最後に、亡くなった人の準確定申告と、相続人の相続税申告を行わなければなりません。

亡くなった人の準確定申告

亡くなった人の死亡した年の所得は、相続人が申告して納税しなければなりません。

このことを準確定申告と言います。

亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を亡くなった人の住所地を所管する税務署に申告します。

相続人が2人以上いるときは、それぞれの相続人が連署で準確定申告書を提出しなければなりません。

相続人の相続税申告

相続をした人が納める相続税も税務署に申告することが必要です。

相続税の申告は、亡くなった人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内亡くなった人の住所地を所管する税務署で行います。

財産を手に入れた人の住んでいる場所を所管する税務署ではないことに注意してください。

申告期限までに申告をしなかったり、少額に偽って申告すると、本来の税金の他にも加算税や延滞税がかかることがあります。

相続税の申告期限までに、正しい相続税額を申告しましょう。

5.上場株式の相続手続き

株式相続 手続き

上場株式の相続手続きは、非上場株式を相続する手続きとは異なっています。

上場株式の相続は以下の5つの手続きです。

ステップ1.相続株式の調査
ステップ2.株式の遺産分割協議
ステップ3.相続人の証券口座の準備
ステップ4.株式の名義変更
ステップ5.亡くなった人の準確定申告と相続人の相続税申告

それぞれのステップについて、順番に見ていきましょう。

ステップ1.相続株式の調査

相続される株式がどこにどれくらい存在しているのかを調査します。

上場株式は、証券会社や信託銀行などが管理をしています。

亡くなった人の遺品の中に、証券会社や信託銀行から送られてきた書類があれば、そこへ問い合わせることで調査が可能です。

問い合わせることで、生きている間に持っていた株式の有無がわかります。

取引していた証券会社から取引残高報告書などが3ヶ月に1回送られてきているはずなので探してみてください。

遺品の中に特に株式に関する書類が見つからない場合には、証券保管振替機構を利用しましょう。

証券保管振替機構に登録済加入者情報の開示請求を行えば、亡くなった人が利用していた証券会社や信託銀行を知ることができます。

ステップ2.株式の遺産分割協議

調査して存在がわかった株式を相続するために、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割を行わなければ、それぞれの相続人がどのように株式を所有することになるか明確に決まりません。

遺産分割協議を行わないままでは、次の手続きに移ることができないのです。

遺産分割協議の手順としては、①相続人の確定、②相続財産の確定、③遺産分割協議書の作成というようになります。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で話し合って決めた内容を文書にしたものです。

それぞれの相続人が何をどのくらい相続するのか明記して、署名捺印を行います。

上場株式の評価額はインターネットで調べることが可能です。

評価額は変動するので、相続開始日の終値や、相続開始月の終値の平均値、遺産分割時等、相続人間で合意をした時点など評価する時期を定めなければなりません。

遺産分割協議は原則としてやり直しは不可能なので注意してください。

ステップ3.相続人の証券口座の準備

相続人が証券口座を持っていない場合は、証券口座を開設しなければなりません。

亡くなった人が証券口座を開設している証券会社に死亡を伝えれば、亡くなった人の所有株式と相続手続きの書類が発行されます。

今の日本では上場株式は電子化されており、株式を相続するのにも証券口座が必要なので注意してください。

ステップ4.株式の名義変更

相続人の証券口座があれば、名義変更(名義書換)をすれば証券口座へ株式は移動されます。

名義変更の具体的な手続きは、ステップ3で証券会社から発行された書類に書かれているはずです。

相続する株式の名義変更の際に必要な書類は?

名義書換に必要な書類は以下のようなものです。

  • 株式名義書換請求書
  • 取引口座引き継ぎの念書
  • 相続人全員が同意したという文書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書

他にも証券会社によっては、必要なものがあるかもしれません。事前に確認しておきましょう。

相続する株式の名義変更の期限は?

名義書換や名義変更に期限は基本的にありません。

しかし、この次の手続きには、死亡した日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。

それを意識したうえで名義変更の手続きを行わなければなりません。

ステップ5.亡くなった人の準確定申告と相続人の相続税申告

最後に、亡くなった人の準確定申告と、相続人の相続税申告を行わなければなりません。

亡くなった人の準確定申告

亡くなった人の死亡した年の所得は、相続人が申告して納税しなければなりません。それを準確定申告と言います。

亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を亡くなった人の住所地を所管する税務署に申告します。

相続人が2人以上いるときは、それぞれの相続人が連署で準確定申告書を提出しなければなりません。

相続人の相続税申告

相続をした人が納める相続税も税務署に申告することが必要です。

相続税の申告は、亡くなった人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内亡くなった人の住所地を所管する税務署で行います。

財産を手に入れた人の住んでいる場所を所管する税務署ではないことに注意してください。

申告期限までに申告をしなかったり、少額に偽って申告すると、本来の税金の他にも加算税や延滞税がかかることがあります。

相続税の申告期限までに、正しい金額を申告しましょう。

6.相続した株式を売却する方法

株式相続 売却

「相続した株式を売りたい」とお考えの際には、以下のような2つの売却方法があります。

方法1.売却してから現金で分ける
方法2.分割してから売却する
それぞれの売却方法について、順番に確認していきましょう。

方法1.売却してから現金で分ける

株式の売却方法としておすすめなのは、売却してから現金で分けるというものです。

代表者1人がすべての株式を相続し、それを売却してからそれぞれの相続人に現金を分配するという方法になります。

そうすることによって、相続人それぞれが証券口座を開設する手間を省けたり、株価の変動で不公平が出ないのです。

方法2.分割してから売却する

もう一つ考えられる株式の売却方法としては、先に株式をそれぞれの相続人に分割してから、各相続人が売却するというものです。

注意する点は、株式の相続人が何人かいるなら、それぞれの相続人が証券口座を作り名義書換をしなければならないということとなります。

したがって、分割してから売却するのは、手間がかかったり、株価の変動で相続人ごとに取得金額に差が出てきたりします。

それぞれの相続人が既に証券口座を持っていてあまり手間がかからないなら、株式を分割してから個人で売却しても良いでしょう。

7.株式の相続について税理士に相談しよう

株式相続 相続税2割加算の計算方法

株式の相続については、税理士に相談した方が良いでしょう。

株式の評価額算出や相続税の計算は複雑なので、税理士に相談するべきです。

相続税に強い税理士に相談すれば、株式評価を正確に行えるだけではなく、相続税の節税方法を提案してもらえます。

税理士に相続税節税のための制度や特例を活用してもらえば、相続税額を下げられる可能性は高いです。

しかし、もしも相続税について詳しくない税理士に頼んでしまうと、そのような節税について提案してもらえないかもしれません。

そうなると、相続税が高額になってしまいます。

相続税について相談する際には、相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは、相続案件に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

また、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

ほとんどの税理士は、最初の相談は無料で行っているので、まずは無料相談に行ってみましょう。

まとめ

相続財産に株式があるときは、相続税を計算するために評価額を算出する必要があります。

株式の評価額や相続税額の計算に不安があるなら、早めに税理士に相談に行きましょう。

相続税を計算するには株式以外の相続財産の金額も必要となり複雑なので、具体的な税額は税理士に計算してもらうべきです。