相続税計算のため株式評価方法を知ろう!節税対策もご紹介

相続税計算

「株式を後継者に引き継ぎたいけれど、相続税が心配。。」なんて、お悩みではありませんか?

相続税は税率が最高55%と高額になりやすいので、節税対策を行うべきです。

株式の相続を行うなら、まずは株式の評価額を算出して、大まかな相続税額を計算してみましょう。

相続財産の金額によっては、節税対策を行えば相続税がかからなくなる可能性もあります。

今回ご紹介するのは、株式評価の方法や、大まかな相続税の計算方法、相続税の節税対策についてです。

大まかな相続税額を知った上で、どのような節税対策を行えば良いのか計画を練りましょう。

1.相続税を計算するために株式評価を行おう

相続税計算 株式評価

相続税を計算するためには、引き継いだ財産の総額が必要となります。

すべての財産の価格を足して総額を出すことから、相続税の計算は始まるのです。

その際に、株式については評価額を算出しなければなりません。

なぜなら、株式の価格は変動するので、買ったときの金額では相続税を計算できないためです。

株式の評価額を算出する方法は、上場株式の場合と非上場株式の場合で異なります。

まずは、上場株式の評価方法を確認していきましょう。

2.上場株式の評価方法

相続税計算 上場株式

上場株式とは、上場企業の株式のことです。

上場株式の場合は、次の4つのうちの最も低い金額が株式の評価額となります。

  • 相続日の終値
  • 相続日当月の終値の月平均額
  • 相続日前月の終値の月平均額
  • 相続日前々月の終値の月平均額

上場株式を相続するときには、4つの金額をそれぞれ確認してみましょう。

3.非上場株式の評価方法

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非上場株式とは、証券取引所に上場していない株式のことです。

非上場株式の場合は、評価方法が複雑になっています。

評価額を決めるには、以下のような手続きが必要です。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定
評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定
評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定
評価手続き4.特定の評価会社の判定

それぞれの手続きについて、順番に見ていきましょう。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定

まずは、評価したい非上場株式について、大株主か少数株主かを判断しなければなりません。

大株主とは、会社の経営権を持っている株主のことです。

少数株主とは、株式の配当からのみ利益を得ていた場合で、特例的な株式評価である配当還元方式で評価を行います。

配当還元方式とは、株式を所有することで受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

つまり、今、株主に配当をするならいくら出せるのかを計算します。

少数株主が用いるのは以下の計算式です。

配当還元価格 = ( 1株あたりの過去2年間の平均配当金額 / 10% ) × ( 1株あたりの資本金の額 ÷ 50 )

少数株主の人は、計算式にあてはめて評価額を出してみてください。

大株主の場合は、このまま次の手続きを見ていきましょう。

評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定

大株主の場合は原則的評価方式で株式評価がなされます。

原則的評価方式とは、『類似業種比準方式』と『純資産価格方式』、これら2つの『併用方式』のことです。

株式評価する会社を会社規模で、大会社、中会社、小会社に区分して評価方式を決めます。

大会社とは、従業員数が70人以上の会社です。

従業員数が70人未満の会社の場合は、以下のようになります。

卸売業
小売サービス
卸売業 小売サービス

(引用:取引相場のない株式等の評価(会社規模の判定基準の見直し等) – 国税庁

中会社はその中でも、大・中・小で区別されることに注意が必要です。

自分の評価したい株式の会社の区分を確認してみましょう。

評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定

大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価格方式の併用方式、小会社は純資産価格方式で、価格を算定します。

ただし、大会社と中会社は純資産価格方式を選ぶこともでき、小会社は併用方式を選ぶことも可能です。

類似業種比準方式使用の際の類似業種比準価額の比率 (図表でのL) は、大会社は100%、中会社はさらに大・中・小と区分したうえで、大は90%、中は75%、小は60%となり、小会社は50%となります。

類似業種比準価格は、国税庁のホームページで確認してください。

(参考:平成29年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)- 国税庁 )

会社規模別の評価方法は以下です。

会社規模 評価方法
大会社  類似業種比準価格

又は、純資産価格

中会社  類似業種比準価格 × L +純資産価格 × ( 1 – L )

又は、

純資産価格 × L + 純資産価格 × ( 1 – L )

小会社  純資産価格

又は、

類似業種比準価格 × 0.5+純資産価格 × (1 – 0.5)

表を見ながら、評価額を計算してみましょう。

評価手続き4.特定の評価会社の判定

最後に、特定の評価会社かどうかを確認しておきます。

特定の評価会社とは、評価会社の資産の保有状況、営業状態などが一般の評価会社とは異なると認められる会社のことです。

それぞれの状況に応じた評価方法が定められています。具体的な区分と評価方法は以下です。

区分 内容 評価方法
比準要素数1の会社 比準要素数1の会社の株式とは、類似業種比準方式で定められた以下の3つの金額のうち、いずれか2つの金額が0の会社で、なおかつ、直前々期末を基準にしてそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上の金額が0である会社

・1株当たりの配当金額
・1株当たりの利益金額
・1株当たりの純資産価額

 純資産価格方式

又は、

L = 0.25とする併用方式

株式保有特定会社 課税時期において評価会社の総資産に占める株式などの保有割合が50%以上の会社  純資産価格方式
土地保有特定会社 課税時期における評価会社の総資産に占める土地などの保有割合が70%(中会社及び一定の小会社は90%)以上の会社  純資産価格方式
開業後3年未満の会社など 以下のいずれかに該当する会社

・課税時期において開業後3年未満の会社
・直前期末を基とした1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価格がいずれも0の会社

 純資産価格方式
開業前又は休業中の会社 開業前の会社とは、会社設立の登記は完了したが、事業活動を始めていない会社

休業中の会社とは、課税時期において相当長期間にわたって休業中うの会社

 純資産価格方式
清算中の会社 解散手続が完了し、課税時期において清算段階にある会社  清算分配見込額の複利現価による評価方式

非上場株式の評価額を決める方法は以上となります。

非上場株式の評価は複雑で、慣れていなければ難しいので、少しでも不安がある方は税理士に相談しましょう。

ちなみに、非上場株式の相続手続きについても詳しく知りたい場合は、『非上場株式の譲渡や相続の方法・評価額について徹底解説!』を読んでみてください。

ここからは、算出した評価額から相続税額を計算する方法を見ていきます。

4.株式を相続する際の相続税の計算方法

相続税対策 申告 金額

株式の相続の際には、相続税を納める必要があります。

ただし、相続税を計算するときは、株式単体の金額ではなく、他の相続する財産すべての総額から計算をしなければなりません。

また、相続税には一定金額までは課税されないという基礎控除があることに注意してください。

基礎控除は、「3000万円 + (相続人の数 × 600万円) 」で計算した金額です。

したがって、相続税がかかる課税対象の金額は、以下のようになります。

株式評価額を含めた相続財産の総額 − 基礎控除額 = 相続税の課税対象の金額

課税対象の金額に相続税の税率をかければ、大まかな相続税額が計算できます。

相続税は以下の税率です。

相続財産の金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円
例えば、1,000万円が評価額の株式を含めて、3,500万円が課税対象の金額のときは、以下のように計算できます。
3,500万円 × 20% − 200万円 = 500万円

したがって、500万円が大まかな相続税の金額となります。

相続税の計算は複雑なので、申告の際には税理士に計算を依頼したほうが良いでしょう。

「具体的な相続税額を自分で計算したい」というときは、『相続税を計算してみよう!追徴課税についても解説』を読んでみてください。

5.株式を相続するなら節税対策をしよう

事業譲渡 選択基準 注意点 相続登記 相続税計算

「株式の相続税を計算してみたら、予想していたよりも高かった。。」と思った方もいると思います。

そのような場合には、節税対策を行うことで相続税額をおさえることができます。

例えば、株式を生前贈与すれば、相続する際に引き継ぐことになる金額を減らすことが可能です。

そうすることによって、相続税の対象となる課税金額を減らせます。

このように、簡単にできる方法でも効果はあるので、行える節税対策があるなら取り組むべきです。

それでは、株式を相続する際の節税対策について具体的に確認していきましょう。

6.株式を相続する際の節税対策

事業譲渡 目的 相続税計算

株式を相続する際に行える節税対策としては、以下のようなものがあります。

節税対策1.暦年贈与
節税対策2.相続時精算課税制度
節税対策3.退職金の支払い
節税対策4.生命保険の活用
節税対策5.高収益部門の子会社化

それぞれの節税対策について、順番に見ていきましょう。

節税対策1.暦年贈与

暦年贈与とは、毎年合計で110万円までは贈与税をかけずに贈与できるというものです。

したがって、110万円までの範囲内で毎年財産を渡していけば、相続する財産を減らすことができます。

株式を含め、相続財産を減らすことによって、相続税もおさえることが可能です。

110万円の贈与におさまるなら特に贈与税を申告する必要もありません。

暦年贈与の節税効果

暦年贈与を利用して相続する財産を減らして相続税の基礎控除の範囲内におさえれば、相続税はかからなくなります。

また、相続税の税率は相続財産が多ければ多いほど高くなる仕組みです。

したがって、基礎控除の範囲内におさまらなくても、相続財産を減らせば税率を下げることができます。

暦年贈与の注意点

暦年贈与を利用する際には、相続までの期間に注意が必要です。

相続が起きたとき、相続開始の時点からさかのぼって3年以内に贈与された財産には相続税がかかります。

せっかく暦年贈与をしても、相続が起こる前3年間の贈与には税金がかかるので期間に余裕を持って対策するべきです。

相続まで時間がありそうなときは、積極的に暦年贈与を行っていきましょう。 

節税対策2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、贈与してくれる者について1人あたり2,500万円までが課税されなくなるというものです。

2,500万円を超えた部分については、20%の贈与税がかかります。

贈与された財産は相続が起これば、贈与時の値段で相続財産とあわせて計算しなければなりません。

既に贈与税を支払った分は税金の対象から差し引かれます。

値上がりしそうな財産を持っているときに活用すれば、贈与時の値段で相続税を計算できるので節税が可能です。

相続時精算課税制度については、「相続時精算課税制度を利用すると節税可能!メリットや手続きを解説」で詳しく解説しています。

相続時精算課税制度の節税効果

値上がり傾向にある株や土地を所有しているなら、相続時精算課税制度を利用すれば値上がり分が節税できます。

例えば、財産の価格が贈与時は2,000万円で相続時は5,000万円になった場合、3,000万円分の節税が可能です。

また、収益をあげている不動産を持っていれば、早めに贈与すればするほど収益分の節税が可能です。

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度を利用すると、その相手からの贈与ではもう暦年課税制度を活用できなくなるので注意しましょう。

相続時精算課税制度を使う前に、長期的な贈与の計画をたてておくべきです。

また、財産が値上がり傾向にあるからといって、必ずしも値段が上がるわけではないことにも注意する必要があります。

節税対策3.退職金の支払い

もしも、被相続人が経営している非上場会社の株式を相続するなら、株価を下げることで相続財産を減らすことが可能です。

このとき、現経営者に退職金を支払えば、会社の利益を減らして株価を下げることができます。

なぜなら、非上場株式の株価を決める要素に利益があるためです。

退職金の支払いの節税効果

被相続人である現経営者がリタイアするときに退職金を支給すれば、相続する株式の株価を引き下げることができます。

経営者への退職金は、以下の計算式で求めることが可能です。

最終月額報酬額 × 在籍年数 × 功績倍率(2.5倍程度)= 経営者への退職金

経営者の在籍年数は長期間になることが多いので退職金も高額になりやすく、株価を大きく引き下げられることがあります。

具体的な節税効果はケースに応じて異なるので、税理士に相談してみましょう。

退職金の支払いの注意点

注意するべき点としては、退職金の支払いによる節税を活用できるタイミングは限られているということです。

後継者の準備不足のまま被相続人がリタイアすると会社経営が難しくなってしまいます。

したがって、被相続人である現経営者が高齢で、後継者の準備が整っているタイミングで行うべきです。

節税対策4.生命保険の活用

被相続人が経営している非上場会社の株式を相続する場合には、生命保険を活用することもできます。

生命保険を活用することで、現経営者の退職金を準備しながら株価の引き下げが行えます。

例えば、10年後にリタイアする予定なら、10年後に解約返戻金がピーク時期となる生命保険に加入すれば良いのです。

生命保険の活用の節税効果

1年間で支払う保険料が2,000万円の生命保険に加入したときを考えてみましょう。

このとき、10年間で支払う保険料は2億円となり、解約返戻金も2億円だとしたら、リタイアの段階で2億円の退職金が確保できます。

また、毎年支払っていく保険料の半分は会社の損金扱いになるので、毎年1,000万円ずつ損失が出て株価を引き下げることが可能です。

生命保険の活用の注意点

生命保険を活用する際に注意するべきこととしては、解約返戻金がピークの時期に解約しなければ損をしてしまう可能性があることです。

他にも、生命保険の種類によっては、支払った保険料を損金扱いにできないことがあります。

したがって、生命保険を活用するときには、相続税に強い税理士やファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

生命保険を活用した節税対策については、『相続税は生命保険で節税しよう!節税方法や計算例を解説!』で解説しています。

「もっと生命保険での節税対策について理解を深めたい!」というときは、読んでみてください。

節税対策5.高収益部門を子会社にする

被相続人の経営する会社に高収益部門があるなら、高収益部門を子会社化することで株価を下げられる可能性があります。

株式の評価額が下がることによって相続する財産金額も減るので、節税対策となるのです。

これは、会社の株価が上がる理由の1つに、高収益部門があることで毎年どんどん会社の純資産が増えているというものがあるためです。

株価を上げる理由となる高収益部門を会社から分離することで、株式評価する会社の株価を引き下げられます。

高収益部門の子会社化の節税効果

非上場株式の株価を決める際には、利益が影響しています。

したがって、高収益部門がなくなった会社は利益が出しにくくなるため、株価を大きく下げることができます。

具体的な節税効果はケースに応じて異なるので、税理士に相談してみましょう。

高収益部門の子会社化の注意点

高収益部門を子会社化する際に注意するべきことは、子会社化した後の会社経営について計画を入念にたてておくということです。

相続税を節税しようとするあまり、会社経営が傾くようなことにならないように気をつけましょう。

7.相続税や株式評価について税理士に相談しよう

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株式の評価額算出や相続税の計算は複雑なので、税理士に相談するべきです。

税理士に相談するメリットは、株式評価を正確に行えるだけではありません。

相続税に強い税理士に相談することで、相続税を節税できることもあります。

税理士に相続税節税のための制度を活用してもらえば、相続税額を下げられる可能性は高いです。

しかし、もしも相続税について詳しくない税理士に頼んでしまうと、そのような節税について提案してもらえないかもしれません。

そうなると、相続税が高額になってしまいます。

相続税について相談する際には、相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは、相続案件に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

また、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

ほとんどの税理士は、最初の相談は無料で行っているので、まずは無料相談に行ってみましょう。

まとめ

株式の相続が起こりそうなら、できるだけ相続税をおさえるためにも節税対策を行いましょう。

節税対策には、例えば毎年少しずつ贈与を行うものや、退職金を支払って株価を下げるものがあります。

行うべき節税対策はケースによって異なるので、税理士に相談してみてください。