相続税評価額の調べ方は?財産ごとの評価方法を解説

不動産 相続登記

相続が発生したら、引き継ぐ財産の金額に応じて相続税がかかります。

「自分が相続する財産の金額はどれくらいなんだろう?」なんて疑問に思っていませんか?

実は、相続財産の金額を計算するには、財産の種類によってはそのときの評価額を確認しなければならないのです。

例えば、土地や建物、株式などの財産を相続するなら、評価額の計算が必要となります。

今回は、相続税を計算するにあたって評価額を算入しなければならない財産や評価方法をご紹介します。

財産の評価方法を知って、自分がどれくらいの金額の財産を相続するのか確認してみましょう。

1.相続税の評価額とは

相続税 計算方法

相続税の評価額とは、相続税を計算する際に必要となる財産の価格のことです。

国税庁の決めた方法に基いて、相続税の評価額は決まります。

具体的には、相続が起きたタイミングで換金したらいくらになっていたかを考えるというのが原則です。

ただし財産によって評価方法が異なるので、まずは評価額を算出しなければならない財産を確認しましょう。

1−1.相続税の計算に評価額が必要な財産

相続税を計算するときに、評価額の算出が必要なのは以下のような財産です。

  • 土地
  • 建物
  • 生命保険契約
  • 株式
  • 投資信託

それでは、これらの評価額の計算方法を詳しく見ていきましょう。

2.土地の相続税の評価額を計算しよう

事業継承 節税

土地を相続する際の評価額は、大まかな金額を自分で算出することができます。

土地の評価額を出す方法は、以下の2つの方法です。

  • 路線価方式で評価する方法
  • 倍率方式で評価する方法

それぞれの評価方法について、順番に見ていきましょう。

2−1.路線価方式で評価する方法

路線価方式とは、道路に面する宅地1平方メートルあたりの価額から評価額を算出する方法です。

市街地など路線価が決められている宅地は、路線価方式で評価します。

路線価は1平方メートルあたりの価格なので、これに土地の面積をかけることで評価額の算出が可能です。

土地の面積は、毎年4月から5月頃に送られる固定資産税の納税通知書に記載されています。

路線価は毎年変わるので、国税庁のホームページで最新のものを確認するようにしましょう。(参考:路線価 – 国税庁

 

(引用:平成29年分 財産評価基準書 27008 – 路線価図|国税庁

路線価図を見てみると、土地が面している道路上に「450C」「380D」などの表記があるはずです。

この数字の部分は、1平方メートルあたりの路線価で単位は1,000円となっています。

例えば450Cなら、1平方メートルあたりの単価が45万円ということです。

土地の評価額は、固定資産税の納税通知書で確認した土地の面積と、路線価に書かれていた金額をかければ、算出が可能です。

土地の面積 × 路線価の金額 = 土地の評価額

したがって、450Cの土地を100㎡相続するというときには、以下のように評価額を算出できます。

100㎡ × 45万円 = 4,500万円

自分のケースでの土地の評価額はどれくらいになるのか、路線価図を見ながら計算してみましょう。

借りている土地は評価額が下がる

路線価図の後半部分のアルファベットは借地権割合です。

借地権割合は、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%となっています。

相続する土地が借りているものなら、路線価を使って求めた評価額に借地権割合をかけることになるのです。

例えば、先ほどの450Cの路線価で100㎡の土地の場合を考えてみましょう。

Cは70%なので、以下のように評価額を算出できます。

45万円 × 100㎡  × 70% = 3,150万円

この3,150万円が、借地の場合の評価額です。

2−2.倍率方式で評価する方法

「路線価図を調べたけれど、自分の土地に路線価が見つからない。。」というときは、倍率方式で評価します。

倍率方式とは、固定資産税評価額に一定の評価倍率をかけて評価額を算出する方法です。

固定資産税評価額は、市町村から送られてくる固定資産税納税通知書や、役所の固定資産課税台帳で確認することが可能です。

固定資産税評価額は3年に1度改定されるので、相続税を計算する際には固定資産課税台帳で最新のものを確認しましょう。

評価倍率は、国税庁のホームページで調べることができます。(参考:路線価図・評価倍率表 – 国税庁

路線価が決められていない土地を相続するなら、まずは固定資産税評価額と評価倍率を確認してみてください。

3.建物の相続税の評価額を計算しよう

土地 相続税 家屋 遺産相続 不動産

建物の評価額は、固定資産税評価額と同じです。

したがって、固定資産税評価額を調べれば、相続税の計算に必要な建物の評価額もわかります。

ちなみに、建物が建築中であるというときに評価額を求める計算式は、「建築費用 × 0.7」です。

最新の固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書や、市町村の固定資産課税台帳で確認しましょう。

4.生命保険契約の相続税の評価額を計算しよう

相続税対策 生命保険

生命保険を契約していた権利も、場合によっては相続する財産となるので評価額の算出が必要となります。

相続財産となるのは、亡くなった人が他の人に生命保険をかけていて、保険料を負担していた場合です。

保険料を負担していたなら、解約すれば解約返戻金が支払われることになるので、その権利が相続の対象となります。

そのときの生命保険契約の評価額は、相続が起きたときに解約した場合の解約返戻金となります。

ただし、正確な評価額の算出には、前納した保険料や配当金を加算し、解約時に源泉徴収される所得税などを差し引かなければなりません。

しかし、自分だけで相続税の申告に使える具体的な評価額を求めることは難しいです。

生命保険契約の評価額を正確に知りたい場合は、税理士に相談に行ったり、保険会社に問い合わせたりしましょう。

5.株式の相続税の評価額を計算しよう

非上場株式 株価

株式は、『上場株式』と『非上場株式』によって評価額の算出方法が変わります。

上場株式とは、上場企業の株式のことで、非上場株式とは、非上場企業の株式のことです。

5−1.上場株式の場合

上場株式の場合は、次の4つのうちの最も低い金額が株式の評価額です。

  • 相続日の終値
  • 相続日当月の終値の月平均額
  • 相続日前月の終値の月平均額
  • 相続日前々月の終値の月平均額

上場株式を相続するときには、4つの金額をそれぞれ確認してみましょう。

5−2.非上場株式の場合

非上場株式の場合は、株式の算出方法が非常に複雑です。

以下のような流れで評価額を決めていきます。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定
評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定
評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定
評価手続き4.特定の評価会社の判定

順番に見ていきましょう。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定

まずは、評価したい非上場株式について、大株主か少数株主かを判断しなければなりません。

大株主とは、経営権を持っている株主のことです。

大株主の場合は原則的評価方式で株式評価がなされ、これには類似業種比準方式と純資産価格方式、これら2つの併用方式があります。(次の見出しから説明していきます。)

一方で、少数株主は、特例的な株式評価である配当還元方式での評価です。

配当還元方式とは、株式を所有することで受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

つまり、今、株主に配当をするならいくら出せるのかを計算します。

少数株主が用いるのは以下の計算式です。

配当還元価格 = ( 1株あたりの過去2年間の平均配当金額 / 10% ) × ( 1株あたりの資本金の額 ÷ 50 )
大株主の場合は、このまま次の手続きを見ていきましょう。

評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定

評価会社の会社規模の大小に応じて、大会社、中会社、小会社に区分して評価をします。

大会社とは、従業員数が70人以上の会社です。

従業員数が70人未満の会社の場合は、以下のようになります。



(引用:取引相場のない株式等の評価(会社規模の判定基準の見直し等) – 国税庁

中会社はその中でも、大・中・小で区別されることに注意が必要です。

評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定

大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価格方式の併用方式、小会社は純資産価格方式で、価格を算定します。

ただし、大会社と中会社は純資産価格方式を選ぶこともでき、小会社は併用方式を選ぶことも可能です。

類似業種比準方式使用の際の類似業種比準価額の比率 (図表でのL) は、大会社は100%、中会社はさらに大・中・小と区分したうえで、大は90%、中は75%、小は60%となり、小会社は50%となります。

類似業種比準価格は、国税庁のホームページで確認してください。

(参考:平成29年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)- 国税庁 )

会社規模別の評価方法は以下です。

会社規模 評価方法
大会社  類似業種比準価格

又は、純資産価格

中会社  類似業種比準価格 × L +純資産価格 × ( 1 – L )

又は、

純資産価格 × L + 純資産価格 × ( 1 – L )

小会社  純資産価格

又は、

類似業種比準価格 × 0.5+純資産価格 × (1 – 0.5)

評価手続き4.特定の評価会社の判定

特定の評価会社とは、評価会社の資産の保有状況、営業状態などが一般の評価会社とは異なると認められる会社のことです。

それぞれの状況に応じた評価方法が定められています。具体的な区分と評価方法は以下です。

区分 内容 評価方法
比準要素数1の会社 比準要素数1の会社の株式とは、類似業種比準方式で定められた以下の3つの金額のうち、いずれか2つの金額が0の会社で、なおかつ、直前々期末を基準にしてそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上の金額が0である会社

・1株当たりの配当金額
・1株当たりの利益金額
・1株当たりの純資産価額

 純資産価格方式

又は、

L = 0.25とする併用方式

株式保有特定会社 課税時期において評価会社の総資産に占める株式などの保有割合が50%以上の会社  純資産価格方式
土地保有特定会社 課税時期における評価会社の総資産に占める土地などの保有割合が70%(中会社及び一定の小会社は90%)以上の会社  純資産価格方式
開業後3年未満の会社など 以下のいずれかに該当する会社

・課税時期において開業後3年未満の会社
・直前期末を基とした1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価格がいずれも0の会社

 純資産価格方式
開業前又は休業中の会社 開業前の会社とは、会社設立の登記は完了したが、事業活動を始めていない会社

休業中の会社とは、課税時期において相当長期間にわたって休業中うの会社

 純資産価格方式
清算中の会社 解散手続が完了し、課税時期において清算段階にある会社  清算分配見込額の複利現価による評価方式

非上場株式の評価額を決める方法は以上となります。

非上場株式の評価は複雑で、慣れていなければ難しいので、少しでも不安がある方は税理士などの専門家に相談しましょう。

非上場株式について詳しく知りたい方は、『非上場株式の譲渡や相続の方法・評価額について徹底解説!』を読んでみてください。

6.投資信託の相続税の評価額を計算しよう

非上場株式相続

投資信託の評価方法は、『上場投資信託』と『それ以外の投資信託』で異なります。

上場投資信託とは、証券取引所に上場している投資信託のことです。

まずは、上場投資信託の場合を見ていきましょう。

6−1.上場投資信託の場合

上場投資信託の場合は、次の4つのうちの最も低い金額が評価額です。

  • 相続日の終値
  • 相続日当月の終値の月平均額
  • 相続日前月の終値の月平均額
  • 相続日前々月の終値の月平均額

上場投資信託を相続するときには、4つの金額をそれぞれ確認してみましょう。

6−2.上場投資信託以外の場合

上場していない投資信託の評価額を出すためには、以下の計算式を使います。

相続が起きた日の1口当たりの基準価額 × 口数 = 投資信託の評価額

例えば、相続が起きた日の1口あたりの基準価格が12,000円で5,000口 の投資信託を相続する場合は以下のようになります。

12,000円 × 5,000口 = 60,000,000円

具体的な評価額の算出には、相続が起きた日に解約したら源泉徴収される所得税の額や、解約手数料などを差し引きます。

相続税の申告に用いる評価額については、税理士に正確な金額を出してもらうのが良いでしょう。

7.相続税の評価額について税理士に相談しよう

事業継承 相談

ここまで見てきたように、財産の正確な評価額や相続税の計算は複雑なので、税理士に相談するべきです。

相続税に強い税理士に相談すれば、財産の評価を正確に行えるだけではなく、相続税を節税できることもあります。

税理士に節税のための制度や特例を活用してもらえば、相続財産の評価額を下げられる可能性は高いです。

しかし、もしも相続税について詳しくない税理士に頼んでしまうと、そのような節税について提案してもらえないかもしれません。

そうなると、相続税が高額になってしまいます。

相続税について相談する際には、相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは、相続案件に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

また、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

ほとんどの税理士は、最初の相談は無料で行っているので、まずは無料相談に行ってみましょう。

8.相続税節税のために土地の評価額を下げる方法

最後に、土地の相続税の評価額を下げる方法を確認しておきましょう。

小規模宅地等の特例を利用すれば、土地の相続税評価額を大幅に下げることができます。

小規模宅地等の特例を利用して節税しよう

小規模宅地等の特例を使うことによって、相続税を節税できる場合があります。

小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の宅地は、その評価額を下げて相続税の負担を軽くするというものです。

一定の条件を満たせば、決まった面積まで評価額から50%〜80%の減額ができます。

もしも相続税評価額が1億円の自宅敷地を相続したなら、小規模宅地等の特例を使えば2000万円の評価額にできるのです。

小規模宅地等の特例を活用できるのは、原則として、亡くなった人の配偶者か、同居していた家族と決められています。

他にもさまざまな条件がありますが、ケースによって異なるので一概には言えません。

宅地を相続するときには、税理士に自分が小規模宅地等の特例を使えるかどうか確認しましょう。

小規模宅地等の特例を使うために必要な書類

小規模宅地等の特例を利用するときには、相続税申告書とあわせて以下のような書類の提出が必要となります。

書類1.住民票の写し
書類2.戸籍謄本
書類3.遺言書か遺産分割協議書の写し
書類4.相続人全員の印鑑証明書

他にも場合によって必要な添付書類が増えることもあるので、事前に税務署や税理士に相談するのが良いです。

小規模宅地等の特例を利用したいなら、最低限、これらの書類は準備するように意識しておきましょう。

小規模宅地等の特例について詳しくは、『小規模宅地等の特例とは?土地を相続するときの節税対策!』を読んでみてください。

まとめ

土地や建物、株式などの一定の財産を相続するときには、相続税を計算するために評価額を算出しなければなりません。

大まかな評価額の算出は自分でもできるので、まずはどれくらいの相続税が発生するのか概算してみましょう。

具体的な財産の評価額や節税対策については、税理士に相談するのが良いです。