小規模宅地等の特例とは何?土地を相続するときの節税対策!

小規模宅地等

国税庁の発表によると、相続財産の金額の4割程度は土地が占めています。(参考:平成28年分の相続税の申告状況について|国税庁

「土地の相続には、小規模宅地等の特例を使えば節税できるらしい。。」なんて、気になってはいませんか?

実は、自宅の土地を相続するときには、小規模宅地等の特例を使えば評価額を8割引にできるのです!

自宅の土地だけではなく、事業用の土地も小規模宅地等の特例の対象となっています。

今回ご紹介するのは、小規模宅地等の特例を使うための要件や節税効果です。

土地を相続するなら小規模宅地等の特例をうまく使って、相続税を節税しましょう。

1.小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等

小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の土地の評価額を下げて相続税の負担を軽くできるというものです。

利用するには、相続開始の直前に、亡くなった人が住んでいたか事業に使っていた宅地であることが必要となります。

そのうえで一定の条件を満たせば、決まった面積まで評価額から50%〜80%の減額が可能です。

小規模宅地等の特例を使ったときに、具体的にどれくらいの金額が節税ができるのかを確認していきましょう。

2.小規模宅地等の特例の節税効果

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小規模宅地等の特例を利用した場合に減額される割合は、宅地の種類によって以下のようになっています。

宅地の種類 限度面積 減額の割合
 ① 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
 ② 特定事業用宅地等 400㎡ 80%
 ③ 特定合同会社事業用宅地等 400㎡ 80%
 ④ 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

土地の評価額が50%〜80%も減額されるので、条件に当てはまるのなら積極的に活用するべきです。

まずは、自分の相続する宅地がどの種類にあたるのかを確認してみましょう。

宅地の種類 説明
 ① 特定居住用宅地等  相続開始の直前に亡くなった人が住んでいた宅地
 ② 特定事業用宅地等  相続開始の直前に亡くなった人の事業に使われていた宅地
 ③ 特定合同会社事業用宅地等  相続開始の直前から相続税申告期限まで、一定の法人事業に使われていた宅地
 ④ 貸付事業用宅地等  相続開始の直前に亡くなった人の貸付事業(不動産貸付業や駐車場業、自転車駐車場業)に使われていた宅地

相続する宅地の種類がわかれば、減額される金額を計算できます。

2−1.小規模宅地等の特例を使った計算例

小規模宅地等の特例を利用したら、どれくらいの節税効果があるのかを計算してみましょう。

今回は、住宅として使っていた土地である、『特定居住用宅地等』を相続する場合で考えていきます。

例に使う土地の面積は300㎡で、評価額は5,000万円です。

特定居住用宅地等では、亡くなった人の自宅の土地が330㎡まで、80%の減額がなされます。

このときの計算例は以下です。

5,000万円 × 80%=4,000万円

したがって、今回の例では、相続する土地の評価額を4,000万円下げられるということになります。

また、限度面積を超える土地を相続する際には、計算式は以下となるので注意が必要です。

土地の評価額 × 限度面積 / 土地の面積 × 減額割合 = 特例適用後の土地の評価額

評価額は同じ5,000万円でも、限度面積である330㎡以上の400㎡の土地を相続するなら、計算例は以下です。

5,000万円 × 330㎡ / 400㎡ × 80%=3,300万円

したがって、限度面積を超える400㎡の土地を相続するなら、3,300万円が減額できるということになります。

3.小規模宅地等の特例の適用要件

会社売却 条件

小規模宅地等の特例は、宅地の種類や相続人によって、適用するための要件が異なります。

自分の相続する土地に、小規模宅地等の特例を使うための要件を確認してみましょう。

3−1,小規模宅地等の特例における宅地の種類

小規模宅地等の特例で用いられる宅地の種類は、『特定居住用宅地』と『事業用宅地』で適用の要件が異なります。

事業用宅地とは、特定事業用宅地等や、特定合同会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等です。

まずは、特定居住用宅地を適用するための要件を見ていきましょう。

3−2.特定居住用宅地の適用要件

特定居住用宅地等の主な適用要件は、以下のようになっています。

宅地の種類 相続人の被相続人との関係 適用条件
被相続人の居住用の宅地 配偶者 なし
被相続人の居住用の宅地 同居していた親族 相続開始から相続税申告期限までそこに居住し宅地を所有している
被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 同居していない親族 ①および②に該当する場合で、かつ③〜⑤の要件を満たす者

① 被相続人に配偶者がいない
② 居住用家屋に同居していた法定相続人がいない
③ 相続開始3年以内に自己または配偶者の持ち家に住んでいない
④ 宅地を相続税の申告期限まで所有している
⑤ 相続開始時に国内に住所かあるか、日本国籍

被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 配偶者 なし
被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 生計を一にしていた親族 相続開始から相続税申告期限までそこに居住し宅地を所有している

被相続人とは、もともと宅地を所有していた、亡くなった人のことです。

基本的に、配偶者が相続する場合には、特に何の条件もありません。

ただし、同居していた家族が相続するなど、配偶者以外の人が相続するときには条件があるので確認しておいてください。

また、「生計を一にする」というのは、生計を共にしているということを指します。

つまり、日常生活に使うお金を一緒にしていることで、同じ財布や銀行口座のお金で生活しているという意味です。

配偶者以外で自宅の土地を相続するなら、小規模宅地等の特例を使えるのか確認してみましょう。

3−3.事業用宅地の適用要件

事業用宅地の主な適用要件は、以下のようになっています。

宅地の種類 適用条件
特定事業用宅地等 被相続人の事業用宅地 ・親族が取得し事業を引き継ぎ、相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告まで所有
特定事業用宅地等 被相続人と生計を一にする親族の事業用宅地 ・親族が取得し、相続開始直前から相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告まで所有
特定合同会社事業用宅地等 一定の法人の事業用に使用している宅地 ・親族が取得し、相続税申告期限にその法人の役員
・宅地を相続税申告期限まで所有し、事業を継続
貸付事業用宅地等 被相続人の貸付事業用宅地 ・親族が取得し、貸付事業を引継ぎ、相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告期限まで所有
貸付事業用宅地等 被相続人と生計を一にする親族の貸付事業用宅地 ・親族が取得し、相続開始直前から相続税申告期限まで貸付事業を継続
・宅地を相続税申告期限まで所有

事業用の宅地については、どの種類の宅地を相続するにしても、事業を継続しておかなければならないように決まっています。

事業用の宅地を相続するのなら、事業をやめないようにしましょう。

4.小規模宅地等の特例を利用する手続き

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小規模宅地等の特例を利用するためには、宅地について遺産分割を完了することが必要です。

遺産分割をしたら、小規模宅地等の特例を利用する旨を書いた相続税の申告書を税務署に提出します。

注意すべき点は、小規模宅地等の特例を利用するなら、相続税が発生しなくても申告書を提出しなければならないことです。

小規模宅地等の特例を使うことによって、相続税がかからなくなっても、忘れずに申告を行いましょう。

それでは、申告を行う際に必要な添付書類をご紹介します。

4−1.小規模宅地等の特例に必要な添付書類

小規模宅地等の特例を利用する際には、相続税の申告書と一緒に以下のような添付書類を提出しなければなりません。

  • 住民票の写し
  • 戸籍謄本
  • 遺言書の写しか遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明

この際、戸籍謄本は、すべての相続人を明らかにするもので、相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたものを提出してください。

印鑑証明は、遺産分割協議書に押印している印鑑のものが必要です。

ただし、ケースによって具体的に必要な添付書類は異なってきます。

申告を行う前には、自分のケースで用意するべき書類を税務署に確認するようにしましょう。

5.小規模宅地等の特例について税理士に相談しよう

事業承継コンサルタント とは 流れ

土地の相続が発生するときには、税理士に相談するべきだと言えます。

なぜなら、具体的な土地の評価額の算出や相続税額の計算は難しいためです。

小規模宅地等の特例を使えるかどうかも相続税申告の際に厳しくチェックされるので、税理士に確認してもらったほうが安心して申告できます。

もしも小規模宅地等の特例を使えないとしても、他の節税対策を提案してもらえるかもしれません。

注意する点としては、相続税について強い税理士に相談しなければならないということです。

もしも相続税について詳しくない税理士に頼んでしまうと、特例や制度について提案してもらえないかもしれません。

そもそも税理士に小規模宅地等の特例について知識がない場合もあるのです。

そうなると、相続税が高額になってしまいます。

したがって、相続税について相談する際には、相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは、相続案件に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

また、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

最初の相談は無料で行っている税理士も多いので、まずは早めに相談に行ってみてください。

相続税についての税理士選びについては、『相続税なら税理士に相談しよう!報酬の相場や税理士の選び方を解説!』で詳しく解説しているので、読んでみてください。

6.小規模宅地等の特例についてのQ&A

事業継承 Q&A

小規模宅地等の特例についてのよくある疑問についてまとめました。

Q1.小規模宅地等の特例は二世帯住宅にも利用できる?
Q2.亡くなった人が老人ホームに住んでいたら適用できる?
Q3.駐車場に小規模宅地等の特例は利用できる?
Q4.小規模宅地等の特例は改正でどうなった?

それぞれについて順番に確認していきましょう。

Q1.小規模宅地等の特例は二世帯住宅にも利用できる?

二世帯住宅で小規模宅地等の特例を利用したい場合、条件が複雑になっています。

まずは、以下の3つの条件を確認してみてください。

  • 1棟の同じ建物に、親子が住んでいる状況である
  • 土地の名義人は親である
  • 子どもは親に対して家賃を支払っていない

配偶者なら、これらの条件を満たしている場合は、小規模宅地等の特例を利用できます。

配偶者以外の親族なら、相続が起きてから相続税の申告期限まで、その2世帯住宅に所有者として住んでいることが必要です。

ただし、以上の条件を満たしていても、小規模宅地等の特例を利用できないことがあります。

二世帯住宅に小規模宅地等の特例を利用できるかの判定は非常に厳密なので、事前に税理士に相談するべきです。

Q2.亡くなった人が老人ホームに住んでいたら適用できる?

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が老人ホームに住んでいても適用できます

ただし、老人ホームに入所していても小規模宅地等の特例を使うためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 介護が必要で老人ホームに入所したこと
  • 老人ホームに入ってから、自宅を新たに賃貸に出していないこと

老人ホームに入所していた場合には、相続税申告の際の添付書類に以下のものが増えます。

  • 亡くなった人の戸籍の附票の写し
  • 要介護認定証、要支援認定証、障害福祉サービス受給者証などの認定証
  • 老人ホームが福祉施設であることを示すもの

老人ホームが福祉施設であることを示すものとしては、入所する際の契約書の写しなどが考えられます。

亡くなった人が老人ホームに住んでいて、小規模宅地等の特例を使う際には、条件や必要書類が増えるので気をつけてください。

Q3.駐車場に小規模宅地等の特例は利用できる?

駐車場の敷地上に構築物があれば、小規模宅地等の特例を利用できます。

構築物とは、アスファルトや砂利、コインパーキングのための機械などのことです。

ロープをはっているだけの青空駐車場では、小規模宅地等の特例を利用できません。

駐車場は、貸付事業用宅地等にあたるので、減額率は50%、限度面積は200㎡となります。

駐車場を相続する際には、構築物があるかどうかを確認してみましょう。

ただし、貸付を行っていない部分があるのなら、小規模宅地等の特例はその面積については適用できません。

したがって、駐車場に自分の車を停めている場所があるのなら、その部分の面積には小規模宅地等の特例が使えないのです。

しかし、もしも自分の車を停めている場所が自宅の敷地とつながっているなら、特定居住用宅地と扱われる可能性があります。

駐車場に自分の車を停めているなら、小規模宅地等の特例を使おうと思っている土地の状況を確認してみましょう。

Q4.小規模宅地等の特例は改正でどうなった?

平成30年度の税制改正大綱で、小規模宅地等の特例について言及されています。

注意すべきポイントは、以下の部分です。

貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。

(引用:平成30年度税制改正の大綱 – 財務省

改正によって、死亡する前3年以内に貸付事業をされていた宅地等は50%の減額が不可能になりました。

ただし、死亡する前に3年を超えて事業で貸付を行っていた被相続人が、亡くなる前3年未満に新しく貸付事業をした宅地等は可能です。

この改正は、平成30年4月1日以降に開始される相続から適用されるので注意してください。

貸付事業用宅地等の減額を受けるためには、貸付事業用宅地等を相続の3年以上前には購入しておく必要があります。

相続税を節税するために土地の購入を考えているなら、気をつけたほうが良いでしょう。

Q5.土地を相続するときの相続税の金額はどれくらい?

土地の相続税を計算するには、土地の評価額を含めた相続財産の金額に応じて、以下のように税率が決められています。

相続財産の金額 税率 控除額
 1,000万円以下 10% 0円
 3,000万円以下 15% 50万円
 5,000万円以下 20% 200万円
 1億円以下 30% 700万円
 2億円以下 40% 1,700万円
 3億円以下 45% 2,700万円
 6億円以下 50% 4,200万円
 6億円超 55% 7,200万円

土地を相続する場合の相続税については、計算方法が複雑です。

詳しく知りたい方は、『相続税を計算してみよう!追徴課税についても解説』を読んでみてください。

まとめ

小規模宅地等の特例を利用すれば、土地の評価額を大幅に下げることが可能です。

小規模宅地等の特例を使って、相続税を節税しましょう。

土地を相続する際には相続税額の計算方法が複雑なので、まずは税理士に相談に行ってみてください。