事業承継における後継者問題の概要!事業承継やM&Aによる対策を解説

事業継承 相談

「後継者が決まっていないから事業承継できない」

このように考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

中小企業にとって、後継者不足はとても深刻な問題になっています。
実のところ、後継者がいない企業は7割にも上っており、経営者共通の悩みの種でしょう。

事業承継をする上での後継者の種類と、メリットやデメリットを紹介します。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営権を信頼できる親族や従業員または役員に引き継ぐことです。最近では、高齢化により身近に後継者が見つからないケースが増えており、M&Aによる事業承継の事例も増加しています。

経営者にとって、事業承継は会社を存続させるための最後の重要な仕事になります。また、事業承継では、経営権以外にも株式や不動産などの資産も引き継ぎの対象となります。後継者の育成にも時間がかかるため早めに準備しておくことが大切です。

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事業承継が増えている背景

今現在、日本では少子高齢化にともない、国内中小企業の2/3以上が後継者問題を抱えているといわれています。また、日本経済産業省の調査によると、2025年には、中小企業経営者の6割以上が70歳を超えると発表されており、さらに後継者問題が深刻化すると思われます。

このような背景から、事業承継の需要が高まっています。日本政府も、このことに危機感を感じており、「事業承継税制改正」など、事業承継を行いやすくするための環境づくりに力を入れています。

この後、後継者問題について、解決策と合わせて詳しく解説していくので参考にしてください。

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後継者問題とはどんなものがある?

後継者問題 種類
企業の業績が良いにもかかわらず、事業承継をスムーズに乗り切ることができない場合、会社としての体力は一気に低下します。そうなると、事業の存続も難しくなりますよね。

ただでさえ経営者としての手腕が必要なのに、人脈や人望、資金力なども備えた後継者が都合よくいるとは限りません。
まずは、後継者に関してよく見られる問題を見ていきたいと思います。

子供、親族が継いでくれない

本人が事業を受け継ぎたいと思わないケースが増えています。
生き方も多様化しており、すでに別の仕事に生きがいを見出している方に無理に継がせるというのは難しいかもしれません。

能力不足

経営者の手腕は、一朝一夕に備わるものではありません。
経験や知識はもちろんのこと、向き不向きもある上、従業員や取引先との関係も引き継ぐ必要がありますので、誰にでもつとまるわけはありません。

資金不足

事業承継をするとなると、贈与や相続、自社株の売却で経営権を譲り渡すことになるでしょう。
その際、やり方を間違ってしまうと莫大な税金が課せられることになり、結果として会社に負担を強いてしまったり、株式の分散からくる経営支配権の低下を招くことがあります。

事業承継の3つの方法 メリットとデメリット

次に事業承継の後継者ごとのメリットとデメリットを簡単に見てみましょう。
親族の場合と親族外の従業員の場合をご紹介します。

親族が後継者

親族へ承継する場合のメリットはなんといってもオーナーの子供(親戚)であるという点。

社員をはじめ、取引先や金融機関からも理解は得られやすいでしょう。
また、早めに手を打っておけば経営者としての育成にも十分時間をかけることができるでしょう。

親族であれば、経営権と所有が一体化したオーナー社長になりやすい環境があり、相続や贈与における税の負担も優遇される傾向にあります。

デメリットとしては、遺産相続の問題が生じやすいことです。
事前に相続人や親族の間で、後継者に指名することを合意してもらわなければ、相続財産として自社株が分散することもあります。また、親族内から経営者としての意欲や能力がある人を見つけることができないケースもあるでしょう。

従業員(親族外)が後継者

役員や社員を後継者に指名するのは、実務に長けた人間を見極められやすく、経営者として育成する時間も取りやすいでしょう。

デメリットとしては、親族の反対が出やすいことと、自社株を保有してもらうための資金がないことです。贈与するにしても、贈与税は最大55%となっており、いきなり自社株を後継者に渡すわけにはいかない仕組みになっているのです。

他社に株式、事業を譲渡する事業承継

他者に株式譲渡または事業譲渡することで事業承継する方法もあります。M&Aは主に大企業が利用しているように思われるかもしれませんが、最近では中小企業においても活発に行われています。

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株式譲渡は、自社のもつ株式を他社に売却することで事業承継を行います。会社の売却益は経営者個人に入ります。そのため、課される税金の種類は所得税なので、税率は20%と低いことがメリットといえます。しかし、株主が複数いる場合、調整が難しくなることがあります。事業譲渡は、会社を残し、事業に関する資産のみを他社に売却することです。デメリットとしては、売却益は個人ではなく会社に入るため、株式譲渡と比べると税率が高くなります。

中小企業における株式譲渡、事業譲渡については以下の記事を参考にしてください。

中小企業のための事業承継スキームまとめ|会社を後継者へ引き継ぐ方法

後継者が見つからない場合の解決策

後継者問題 解決策
後継者がどうしても親族や従業員から見つからない場合、手をこまねいている暇はありません。
もし経営者自身が体力的に引退しなければならなくなった時、後継者が誰もいないという状態では混乱が待っているのは当然です。

後継者がいなかった場合の対応方法としては以下のようなものがあります。

M&A(第三者への事業承継)

M&AはMergers & Acquisitionsの略です。
買収と合併という意味がありますが、自社株を売りに出して会社の所有を第三者に譲り渡すということになります。

事業が継続できるメリットがある他、経営者が事業のために保証人になっている場合なども組み換えが可能になり、ハッピーリタイアしやすいのがM&Aです。

M&Aの相手がなかなか見つからない場合もありますが、仲介専門の業者もあり、そういった業者に相談することができます。
現在ではM&Aを利用して引退するという経営者が増えています。

M&Aとは?その目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

事業承継でM&Aを行う方法

事業承継でM&Aを行うには以下のステップを踏みます。

  1. M&Aの目的と戦略など基本計画を検討
  2. M&Aアドバイザーの選定
  3. 買い手を選択
  4. M&A契約・グローシング
  5. 統合プロセス

M&Aの事業承継には準備にかなりの時間がかかるので事前に計画を立てておくことをお勧めします。また、スムーズにM&Aを行うためにも、専門家へ相談することを検討してみてください。

M&Aについて、詳しくは以下の記事を参照してください。

事業承継のためのM&Aとは?メリットや方法、注意点をご紹介

東京プロマーケット上場

外部から後継者を募る場合、上場企業であったほうが優秀な後継者を集めやすくなります。

上場するのは難しいのではないか、と思う方もいるかもしれません。

しかし、東京プロマーケットは東京証券取引所の市場の1つですが、上場するための基準がなく、ベンチャー企業や海外の企業など、様々なニーズに対応しています。そのため他の市場に比べ、上場の敷居は低いといえます。

また、後継者問題だけでなく、資金調達や連帯保証人に関する問題についても解決できる可能性があります。

東京プロマーケット上場による事業承継の対策について、以下で詳しく解説しているので参考にしてください。

事業承継対策として東京プロマーケットに上場を目指すのが実は有効!

廃業

後継者も見つからない、M&Aもできないという場合は、最悪廃業となります。
しかし、これまで継続してきた事業をやめ、従業員も解雇しなければならず、最後の手段です。

後継者問題には一刻も早く対応を

いかがでしたでしょうか?
経営者にとって、後継者問題はいつ起こってもおかしくない問題であり、どの面から見てもできるだけ早く手をつけておくことによって、格段にスムーズに対応しやすくなることが多いです。

きっちりと資産や事業を守り引き継いでいくためにも、専門家にも相談しながら大きな計画を持って対処しましょう。