【遺言書完全ガイド】自筆証書遺言書や公正証書遺言書の書き方を解説

遺言書

遺言書を書く方法は、自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の3つの方法があります。

いずれの方法であっても正しい書き方をしなければ遺言書としての効力は発揮できません。

「どうすれば自分の思いを家族に残すことが出来るの?」と疑問に思う人も多いはず。

今回の記事では、3つの種類の遺言書の書き方を分かりやすく解説。

また、遺言書の持つ効力や、より自分の遺志を相続人にはっきりと伝える方法も紹介しています。

自分の意志を相続人に伝え、揉めずに遺産分割をしてもらえるような遺言書を作成しましょう。

遺言書の8つの効力

遺言書 効力

遺言書の主な効力は相続財産の分割に関することです。

しかし、残した財産を誰にいくら渡すかを決めること以外にも、特定の人を相続人から外すことも出来ます。

遺言書によって何を決めることが出来るのか、8つの効力を詳しく確認していきましょう。

1.相続の割合等の指定

遺産分割の割合を遺言書によって自由に決めることが出来ます。

例えば法律で決まっている法定相続分では、相続人が妻と息子2人の場合、妻が2分の1、息子が4分の1ずつと決まっているのです。

しかし、遺言書に長男に自宅を、次男に別荘を、残りはすべて妻に相続させるなど、具体的な遺産分割方法をと決めることが出来ます。

2.相続人の排除

相続財産を渡したくない人の相続権をなくすことが可能です。

法定相続人というのは法律で決まっていますが、虐待や侮辱をされたなどで相続財産を渡したくない人がいる場合に排除できます。

遺言書に排除したい相続人を明記することで、死亡後、他の相続人によって、その相続人を排除する手続きが家庭裁判所にて行われます。

この手続きをもって相続財産を渡したくない人の相続権を亡くすことが出来るのです。

3.遺産分割方法の指定と分割の禁止

遺産分割方法の指定をしたり、遺産の分割を禁止することが可能です。

遺産分割を禁止する場合には、相続開始時から5年を超えない期間のみ効力が発揮されます。

相続が家族のトラブルの種になることは少なくありません。

冷却期間を設けるという意味で、すぐに相続手続きをしないように指示することが出来るのです。

4.遺贈に関する指定

基本的に相続財産は法定相続人に相続されますが、遺言書で指定があれば遺贈することが可能です。

遺贈とは、法定相続人以外の人や団体に相続財産を渡すことを言います。

例えば、遺言書を通して愛人やお世話になった人などに自分の財産を渡すことが出来るのです。

5.内縁の妻と子の認知

婚姻していない女性との間にできた子(非嫡出子)を遺言書で認知することが出来ます。

認知とは、正式に自分の子どもであると認めることです。

認知をすることで、非嫡出子を自分の子どもとして相続人に加えることが出来ます。

6.後見人の指定

法定相続人が未成年の場合、第三者を後見人を指定することで財産管理などを任せることが可能です。

通常未成年者の財産管理は親権者を持つ人が行いますが、自分の死亡によって親権者がいなくなる場合もあります。

こういった場合に、自分の信頼できる後見人を指定しておくことができるのです。

7.相続人相互の担保責任の指定

担保責任の負担者や負担の割合を遺言書によって指定することが可能です。

自分が残した財産に欠陥があった場合、相続人に担保責任が発生します。

例えば、相続したある土地だけが荒れていて価値がない場合など、整備するために相続人同士が負担しあうのです。

このような場合に、だれが担保責任を負担するのかを指定することが出来ます。

8.遺言執行者の指定もしくは指定の委託

相続財産を引き継ぐ際に、名義変更などの実務的な手続きを行う人(遺言執行者)を指定したり、指定を第三者に委託することが出来ます。

遺言執行者が具体的に行うことは、預金の名義変更や不動産の相続登記の事務手続きです。

相続手続きを行うのにふさわしい人を指定することで、揉めずに円滑に相続を進めてもらうことができます。

遺言書には3つの種類がある

終活 遺言書 包括寄贈 書いてみた

遺言書とは、自分が死んでしまった後、残した財産を誰にいくらの財産を渡すかを決めることが出来るものです。

遺書と混合する人も多くいますが、遺書と遺言書は違うものです。

遺書は自分の死後、自分の思いや気持ちを伝えたり、葬式の方法など実現してほしいことをお願いする文書で、自由な形式で書くことが出来ます。

遺言書は、法的な効力を持ちます。そのため厳格な様式に従って作成されていないと効力を発揮しません

そして、その遺言書には3つの種類があります。

自筆で作成する自筆証書遺言書、公証人へ遺言を伝え公証人が作成する公正証書遺言書、そして自筆で作成した遺言書を公証人に存在を公証してもらう秘密証書遺言書の3つです。

それぞれで、書き方や費用、遺言書の有効性が異なります。どの形式で遺言書を残すべきなのかを考えるために、それぞれの遺言書の書き方を見ていきましょう。

自筆証書遺言書の書き方

遺言書 自筆

自筆証書遺言書は、遺言書の全文・日付・氏名を自筆で書き、押印すれば作成できます。

自分で文字が書けて、押印することが出来れば簡単に作成出来ることが最大の特徴です。

また、費用は一切かからず、所定の書式もないので自由に書くことができます。

一方、書き方を間違えると無効になる危険がありますので注意が必要です。

また、自筆証書遺言書を相続人が開封するときには検認を家庭裁判所にて行わなければなりません。

では、実際の書き方を見ていきましょう。

1.どの遺産を残すか整理し、すべて記載する

財産目録を見れば、どの財産を指しているのか分かるような財産目録を作成しましょう。

財産目録とは、残す財産をすべて洗い出し、その価値を一覧にしたものです。

遺言書 自筆 目録

参考:裁判所ホームページ

土地であれば登記簿、預金であれば銀行名・支店名・口座番号など、詳細まで書くようにして下さい。

また、すべての財産を書き出すことで、書かれていない財産の扱いをめぐって相続人同士の争いを防ぐようにしましょう。

漏れがないように注意しても出てきてしまう場合もあります。

書き出した相続財産に漏れがあってもトラブルにならないよう、「ここに指定のない財産はすべて妻に渡す」などの記載があると良いでしょう。

2.相続人の範囲を確認する

相続財産を全て書き出したら、相続人の範囲を確認しましょう。

法定相続人は誰なのかを明らかにし、法定相続人の名前は遺言書に全員登場させるようにします。

相続の順番としては、必ず1番初めに配偶者を書きます。

3.必ず手書きで書く

自筆証書遺言書は「その全文、日付及び氏名を自筆」することが規定されています。

代筆、音声、映像など、手書きでない場合にはすべて無効となりますので注意しましょう。

これは、遺言書の偽造を防ぐために定められています。

手書きだったら何で書いても大丈夫ではありますが、鉛筆やシャープペンシルだと消える可能性があるので、ボールペンでの自筆がオススメです。

また、できれば和紙などの丈夫な紙を選びましょう。

4.遺言書を書いた日付を明記する

自筆証書遺言書には、遺言書を書いた日付を記載することも規定されています。

必ず年月日を記載しましょう。

もし、遺言書が複数発見された場合、一番新しい遺言書を有効とするために年月日は必要なのです。

5.署名と押印をする

自筆証書遺言書には、署名と押印することも規定されています。

署名は、戸籍に記載されている通りの姓名を自筆し、実印で押印しましょう。

また、書いた紙を入れる封筒にも封印をしておくと、明けていないことの証明になるのでオススメです。

6.遺言執行者の選任はしてもしなくても良い

遺言執行者の選任はしてもしなくてもどちらでも良いです。

遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な事務手続きを行う人のことです。

もし選任する場合は、信頼できる弁護士などの専門家にお願いをしましょう。

公正証書遺言書の書き方

遺言書 公正証書

公正証書遺言書は、遺言者が公証役場の公証人に遺言の内容を伝えて、公証人がその内容を遺言書に落とし込む方法です。

自分1人で書く自筆証書遺言書とは違って、専門家のチェックが入るので無効になることがありません

また、相続人が発見した際に検認が必要ないことも特徴です。

一方、作成をするのに時間と費用が掛かってしまうこと、内容を秘密にできないというデメリットもあります。

公正証書遺言書の作成費用は以下の通りです。

遺言書に書く財産の総額 作成費用
100万円未満 5,000円
100万円以上、200万円未満 7,000円
200万円以上、500万円未満 11,000円
500万円以上、1,000万円未満 17,000円
1,000万円以上、3,000万円未満 23,000円
3,000万円以上、5,000万円未満 29,000円
5,000万円以上、1億円未満 43,000円
1億円以上、3億円未満 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円以上、10億円未満 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円以上 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

作成費用は、相続財産の総額にかかってくるわけではなく、相続人や受遺者ごとに相続させたい財産の価格に応じた手数料が必要です。

それでは、実際の作成方法をみていきます。

1.遺言書の内容を考え、メモに残す

どういった遺言書を残したいのか内容を考え、原案を作成しておきましょう。

具体的には、相続財産と相続人の洗い出しを行い、誰にどの財産を渡したいかを考えます。

それを元に公証人と一緒に正しいフォーマットに落とし込んで遺言書を作成していきます。

2.公証役場に連絡をして、電話で相談

公証役場に連絡をして、自分で作った原案の内容を伝えます。

公証人が内容を確認し、遺言書作成のために必要な書類を伝えてくれます。

最寄りの公証役場は、日本公証人連合会のホームページで確認しましょう。

3.必要な書類を準備する

公証人から伝えられた作成するために必要な書類を準備します。

公証役場によっては、準備する書類が異なる場合がありますが、一般的に必要なものは以下の通りです。

(1)遺言者の実印
(2)本人の印鑑証明
(3)遺言者と相続人との続柄を証明する戸籍謄本
(4)遺贈する人がいる場合は、受遺者の住民票
(5)通帳のコピー
(6)不動産の登記簿謄本や固定資産税評価証明書

4.公正証書遺言書の作成時に立ち会ってもらう証人2人を決める

公正証書遺言書の作成には2名以上の証人が必要です。

証人は誰でもなれるわけではなく、以下の条件にあてはまる人は証人になれませんので注意しましょう。

(1)未成年者
(2)推定相続人や受遺者、これらの配偶者や直系血族者
(3)公証人の配偶者、四親等内の親せき、書記や使用人

もし、証人に適した人を見つけられない場合には、公証役場で紹介してもらえます

その場合、証人に対する日当が発生しますので、紹介してもらうときに確認しましょう。

自分の知り合いにも遺言書の内容を知られたくないのであれば、紹介してもらうこともオススメです。

5.遺言者・証人で公証役場へ行く

公証人と証人と日程調整を行い、公証役場へ行きます。

そこで公正証書遺言書を作成をしていくのです。

遺言者が伝える内容を公証人が文字に落とし込んでいくという作業を、証人が見守ることになります。

出来上がった公正証書遺言書の内容を確認し、間違いがなければ遺言者・公証人・証人の全員が署名と押印をします。

公正証書遺言書の正本が遺言者に手渡され、手数料を現金で支払います。

秘密証書遺言書の書き方

遺言書 秘密

秘密証書遺言書とは、自分で書いた遺言書を公証役場へ持っていき、本人のものであることを明確にするものです。

遺言者が遺言の内容を知られたくない場合に利用されます。

しかし、公証人が内容を確認することが出来ないため、不備があって無効になってしまう可能性が高いです。

また、作成費用として一律11,000円かかることもデメリットとなります。

さらに、開封の際には相続人が家庭裁判所で検認の申立てが必要です。

それでは書き方を見ていきましょう。

1.どの遺産を残すか整理し、すべて記載する

財産目録を見れば、どの財産を指しているのか分かるような財産目録を作成しましょう。

財産目録とは、残す財産をすべて洗い出し、その価値を一覧にしたものです。

遺言書 自筆 目録

参考:裁判所ホームページ

土地であれば登記簿、預金であれば銀行名・支店名・口座番号など、詳細まで書くようにして下さい。

また、すべての財産を書き出すことで、書かれていない財産の扱いをめぐって相続人同士の争いを防ぐようにしましょう。

漏れがないように注意しても出てきてしまう場合もあります。

書き出した相続財産に漏れがあってもトラブルにならないよう、「ここに指定のない財産はすべて妻に渡す」などの記載があると良いでしょう。

2.相続人の範囲を確認する

相続財産を全て書き出したら、相続人の範囲を確認しましょう。

法定相続人は誰なのかを明らかにし、法定相続人の名前は遺言書に全員登場させるようにします。

相続の順番としては、必ず1番初めに配偶者を書きます。

3.自由な書き方で内容を記載する

自筆証書遺言書と違って、秘密証書遺言書は自筆である必要はありません。

パソコンや代筆でも認められていますが、署名と捺印は本人が行いましょう

4.遺言書を書いた日付を明記する

秘密証書遺言書には、遺言書を書いた日付を記載することも規定されています。

必ず年月日を記載しましょう。

もし、自筆証書遺言書が複数発見された場合、一番新しい遺言書を有効とするために年月日は必要なのです。

5.封筒に入れて封印する

遺言書を書き終えたら封筒に入れて捺印と同じ印鑑で封印をしましょう。

6.公正証書遺言書の作成時に立ち会ってもらう証人2人を決める

秘密証書遺言書の作成には2名以上の証人が必要です。

証人は誰でもなれるわけではなく、以下の条件にあてはまる人は証人になれませんので注意しましょう。

(1)未成年者
(2)推定相続人や受遺者、これらの配偶者や直系血族者
(3)公証人の配偶者、四親等内の親せき、書記や使用人

もし、証人に適した人を見つけられない場合には、公証役場で紹介してもらえます

その場合、証人に対する日当が発生しますので、紹介してもらうときに確認しましょう。

自分の知り合いにも遺言書の内容を知られたくないのであれば紹介してもらうこともオススメです。

7.遺言者・証人で公証役場へ行く

公証人と証人と日程調整を行い、公証役場へ行き、手数料11,000円を支払います。

その際、自分が遺言者である旨と氏名、住所を口頭で伝えます。

もし代筆をしてもらった場合は、代筆者の氏名と住所も伝える必要がありますので注意しましょう。

公証人は遺言書が本人のものであることを確認し、遺言者の住所・氏名・日付を封書に記入します。

そこに遺言者・公証人・証人の全員が署名と捺印をして作成は完了です。

遺言書は遺言者に返却されます。

遺言書の保管方法

遺言書 保管

ここまでは遺言書の書き方を説明してきましたが、書いた遺言書をどこに保管するのか悩んでいる人は多いです。

特に自筆証書遺言書と秘密証書遺言書は、遺言書の内容は誰にも知られないメリットがある一方、自分で保管方法を考える必要があります。

自宅で保管をしたり、身近な相続人に預ける人もいますが、この保管方法は出来るだけ避けて下さい

何故なら、自宅で保管をしていると、紛失したり消失する可能性があります。

自宅の場合、分かりにくい場所に隠そうとするため、死後発見してもらえないこともあるのです。

また、相続人へ預けると勝手に中を見られてしまったり、改ざんや遺棄されることもあります。

このようなことがあると、自分の残した意志を相続人へ伝えることが出来ません。

そこで遺言書の保管場所として選ばれている場所を2つご紹介します。

1.銀行の貸金庫

最も遺言書の保管場所として適しているのは銀行の貸金庫です。

ほとんどの都市銀行、地方銀行の支店に貸金庫が備わっています。

その支店で口座を持っていれば貸金庫を借りることが出来ますので、気軽に預けることが可能です。

貸金庫の費用は、一番小さい引き出しタイプであれば年間2万円程度で借りることが出来ます。

自分が死亡した場合、銀行は口座と一緒に貸金庫を凍結し、相続人が相続手続きをしなければ開けることは出来ません。

そのため、貸金庫の鍵やカードをしっかり管理してさえいれば、遺言書の改ざんや遺棄されるリスクはゼロに等しいと言えます。

また、銀行の貸金庫は相続人によって発見されやすいです。

発見後は必ず開けるはずなので、遺言書の存在に気付いてもらえる可能性は高くなります。

2.専門家の事務所

信頼できる弁護士や行政書士がいる場合、その事務所に保管することも可能です。

遺言書の保管サービスを提供している弁護士行政書士は多くいます。

このサービスを利用することで、遺言書の内容を相談したり、自分の死後に検認手続きも任せることも出来るのです。

ただし、自分が死亡したことが遺言書を預けた専門家の事務所に伝わらない可能性があります。

そのため、身近な相続人に「自分が死亡した場合、すぐに○○さん(預けた専門家の事務所)へ連絡をしてほしい」と伝えておきましょう。

もし遺言書を破棄したり訂正したい場合はどうする?

遺言書 訂正

一度作成した遺言書を訂正することはいつでも可能です。

亡くなる時期を予測することは難しく、遺言書を作成してから数年経つと事情が変わることもあるでしょう。

例えば、財産の増減や法定相続人の増減などが考えられます。そのため、遺言書の訂正方法も知っておくべきです。

遺言書の訂正する方法は自筆証書遺言書の場合と公正証書遺言書・秘密証書遺言書の場合で異なりますので、それぞれ確認していきましょう。

1.自筆証書遺言書の場合

自筆証書遺言書の内容を訂正する場合は、いつでも修正することが認められています。

該当箇所に二重線を引いて訂正印を押して、書き加えることで訂正が可能です。

もし、2箇所以上訂正がある場合は、はじめから書き直す方が見やすくなるかもしれません。

はじめから書き直した場合、古い遺言書は破棄するようにしましょう。

2.公正証書遺言書と秘密証書遺言書の場合

公正証書遺言書と秘密証書遺言書の内容を訂正する場合には、また新たな遺言書を作成する必要があります。

以前につくったものを遺棄する必要はありません

原則的に複数の遺言書が見つかった場合、新しい日付のものだけに効力があると判断されるからです。

しかし、混乱を招かない配慮として、「以前作成した遺言書の内容は取り消す」という一言を入れておきましょう。

「妻1人に全財産を相続させたい」そんな時に知っておくべき遺留分の考え方

遺言書 財産分割

「愛する妻のために全財産を残したい」と考える人もたくさんいると思いますが、実は遺留分によって全財産を1人に相続させることは難しいのです。

遺留分とは、相続人が最低限相続できる相続財産のことです。

遺言書を残したとしても遺留分を排除することはできません。

「妻1人に全財産を相続させたい」という遺言書を残しても、他の相続人から遺留分減殺請求をされる可能性もあります。

(遺留分の考え方や遺留分減殺請求については、『遺留分減殺請求ってどうやるの?期限や遺留分の計算方法まで徹底解説!』にて詳しく解説していますので、確認して下さい。)

遺留分について生前に出来る対策をまとめましたので、1つずつ確認していきましょう。

1.遺留分減殺をする財産を指定しておく

遺留分対策で一番有効とされているのが、遺言書で遺留分減殺する財産を指定することです。

実は遺留分減殺請求をされた場合、どの財産から遺留分減殺するべきか、あらかじめ指定することが出来ます。

例えば、どうしても妻に家と土地を残したいと思っていても、息子が遺留分減殺請求で「家を共有してほしい」と言われると、従わなければなりません。

そうすると共同名義となった息子に家を乗っ取られてしまう可能性が出てくるのです。

そこで、減殺する財産を、まずは預貯金から遺留分を減殺し、足りなかったら不動産で遺留分を減殺するという指定をしておきます。

そうすることで、まずは預貯金から減殺されることになるのです。

このように遺言書で遺留分減殺する財産の優先順位を指定することで、最低限相続させたい財産を、相続させたい人に相続させることが出来ます。

2.生前贈与を理由に相続遺産を渡さないと記載する

遺留分の対象となる財産には生前贈与も含まれますので、生前贈与を理由に相続遺産を配分しないと遺言書に記載しましょう。

例えば、生前に与えた住居購入費用や結婚資金、事業資金などは生前贈与にあたるのです。

「長男には、住宅購入の資金として既に2000万円以上を生前贈与している」など、詳しい金額を明記することで納得を得ることが出来ます。

3.遺留分減殺請求をしないでほしい旨を付言事項で残す

遺言書に、遺留分減殺請求をしないでほしいという旨を付言事項で残すことが出来ますので、それを活用します。

付言事項とは、法的な効力が発生しませんが、自分の気持ちや願いを相続人に伝える部分のことです。

例えば相続財産のすべてを妻に残したい場合、何故そうしたいのか気持ちを伝え、それを相続人全に理解してほしいとお願いするのがオススメです。

ただし、付言事項には法的効力はないので、必ず従わなければならないわけではありません。

出来るだけ故人の思いを尊重してくれるとは思うものの、遺留分減殺請求をする権利は残っていることを覚えておきましょう。

生前に家族と相談しておこう

遺言書 相談

自分が残した相続財産が家族のトラブルを引き起こす種にならないよう、生前に家族や相続人に遺産分割について相談をしておきましょう

本来、遺言書は遺言者が自由に作成できるものなので、だれにも相談する必要はありません。

しかし、遺言書を作成することやその内容を生前打ち明けておくことで、自分の死後のトラブルを回避できる可能性が高くなるのです。

やはり、自分の気持ちは自分の口から話すことが一番伝わりますし、家族の思いを知ることも出来ます。

生前に遺産分割の割合の理由を話しておくことで、相続を始めるときに相続人たちにわだかまりなく遺言書通りに従ってくれるでしょう。

遺言書を書くなら専門家へ依頼しよう

デューデリジェンス 相談 弁護士

遺言書をせっかく書いても、正しく書いていないと無効となってしまい、自分の思いや願いが相続人に届かないかもしれません。

そういったことを防ぐために、遺言書を書く時には専門家へ相談することをオススメします。

遺言書を扱う専門家は、弁護士・司法書士・行政書士の3つの職業です。

どういった場合にどの専門家に相談するべきなのか、順番に確認していきましょう。

1.相続トラブルになる可能性がある場合には『弁護士』

遺産分割で家族内トラブルに発展した場合、解決に向けた対応が出来るのは弁護士だけです。

相続財産が多くトラブルになりそうだったり、指定したい遺産分割の内容で割合の多い人と少ない人が出てくる場合など、相続人から不満が出てくることがあります。

こうした場合には、遺留分減殺請求など紛争に発展する可能性があるのです。

もしトラブルに発展するかもしれないのであれば、解決に導いてくれる弁護士を頼るようにしましょう。

ただし、弁護士に依頼すると他の専門家よりも作成費用が割高になります。

弁護士に遺言書作成の相談をした場合の報酬費用は、20~300万円です。

遺言書に残す相続財産の大きさによって費用が変わるため、金額に大きな幅があります。

数百万円の預金と戸建てほどの一般的な財産であれば、20~30万円ほどで済ませることが出来ます。

2.相続財産に不動産が含まれるのであれば『司法書士』

不動産の相続手続きをすることができるのは、司法書士だけです。

不動産を相続するには、相続登記という名義変更の手続きが必要となります。

相続登記をするには、時間と手間がかかるため、司法書士に代理を頼む相続人は多いです。

そのため、初めから司法書士に遺言書作成を頼み、そのまま遺言書執行者として相続登記の代理を任せるとスムーズに手続きすることが出来ます。

司法書士へ遺言書作成の相談した場合の報酬費用は、10~20万円ほどです。

相続財産の大きさに関係なく、一律の料金体系を提示している事務所がほとんどです。

3.とにかく費用を安く抑えたいなら『行政書士』

相続財産でトラブルが発生する心配が一切なく、不動産の相続が発生しないのであれば、行政書士に相談することがオススメです。

行政書士に依頼するメリットは、他の専門家と比べて報酬費用が安いことです。

気軽に遺言書作成をしたい場合には行政書士に相談してみましょう。

行政書士へ遺言書作成の相談した場合の報酬費用は、6~15万円ほどです。

司法書士と同様に、相続財産の大きさに関係なく、一律の料金体系を提示している事務所がほとんどです。

まとめ

遺言書を書く方法は、自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の3つの方法があります。

しかし、いずれの方法でも正しい書き方をしなければ遺言書としての効力は発揮できません。

記事で説明している遺言書の書き方をしっかり確認して、必要であれば専門家を頼ることも大切です。

遺言書を書く際の注意点を押さえて、円満な遺産分割をしてもらえるような遺言書を作成しましょう。