事業承継において役員退職金で節税する方法!退職金利用で損金計上し株価対策が可能!

事業継承

「退職金を支払うことで節税効果がある」
「事業承継する上で退職金を有効に使う」

このようなことを聞いたことはありますか?

中小企業における事業承継は、非常に重大な問題です。
経営者自身が思ってもみないほど企業の資産価値や株式評価額などが上がってしまい、事業承継をする上で足かせになってしまうことがあります。

そこで、節税や株価対策につながり、事業承継をスムーズにできる方法をご紹介します。

役員退職金を支払うことのメリット

跡継ぎ 補助金 配偶者控除

役員退職金を支払うメリットは、2つあります。

まずは、社長個人の相続対策に利用できるという点。
次に、役員退職金を支払う会社側も、損金として計上できるため、株式の価値が下がるという点です。

役員は在任期間が長ければ長いほど、会社が支払える退職金が増え、退職金にかかる所得税も少なくて済みます。
長年勤め上げてきたオーナー社長は、しっかりと退職員を活用するのが良いのです。

経営者のメリット:相続税対策ができる
会社のメリット:株式評価額や純資産価額を下げることができる
後継者のメリット:会社の資産価値が下がり、事業承継しやすい

役員退職金はどう決まる?

事業再生ADR 費用

功績倍率と在任年数

まず、役員退職金の基本的な計算式がこちらです。

役員在任年数 × 功績倍率 × 最終報酬(月額) = 役員退職金

役員の退職金のあり方は役員退職慰労金規定で定めておく必要がありますが、このような式にのっとって計算されることが一般的です。

ここで重要なのが、功績倍率です。

会社への功績を示すもので、この倍率が高ければ高いほど退職金は多くなりますが、不当に高く設定すると、国税庁から指摘を受ける可能性があり、注意が必要です。

例として、以下の条件で計算をしてみましょう。

在任年数:25年
功績倍率:3.0
最終報酬:100万円
25 × 3.0 × 1,000万円 = 7,500万円

となります。

功績倍率に関しては過去の判例などから、以下の数字が妥当とされていますが、それぞれの個別の事情により異なるため、参考程度にお考えください。

【功績倍率の一例】
会長:3.0
社長:3.0
副社長:2.8
専務取締役:2.4
常務取締役:2.2
監査役:1.8
取締役:1.1

退職所得は税制面で有利?

退職金を受け取ったら、もちろん所得税が発生します。

実は退職金に関しては、退職金所得して優遇されているというのをご存知でしたか?
勤続年数に応じて控除額も増え、退職所得として計算される金額はかなり少ないので、税制上かなり有利です。

以下が、退職所得の計算方法です。

(役員退職金 - 退職所得控除額)× 0.5

【退職所得控除額】
勤続20年以上の場合:70万円 ×(勤続年数 - 20)+ 800万円
勤続20年以下の場合:40万円 × 勤続年数
(※勤続年数が1年または1年以下の場合は80万円)

つまり、長年勤続していればいるほど、退職金所得として控除される金額が増えるのです。
例えば、30年勤務していれば、1500万円までの退職金なら非課税となります。

では、さきほどの勤続25年で7,500万円という退職金だった場合の計算をしてみます。
実際に、いくらぐらい手元に残るのでしょうか?

勤続25年のため、所得控除額は1,150万円

(7,500万円 - 1,150万円)× 0.5 = 3,175万円

つまり、3,175万円が所得として課税されることになります。

次に、この金額から住民税と所得税をマイナスすると、それぞれ、以下のようになります。

住民税:317.5万円
所得税:990.4万円
合計税額:1,307.9万円実際に受け取ることになる金額7,500万円 - 1,307.9万円 = 6192.1万円

実際、7,500万円を受け取った今回の例では、約6,200万円もの現金が手元に残ることになります。
これが通常の所得税であれば、もっと目減りすることでしょう。

参考までに、勤続年数と退職金の関係を示した一覧表を以下に示しておきます。
退職金にかかる税金を大まかに把握したいという方は是非ご活用ください。

勤続年数別手取額一覧

退職金
(万円)
10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年
3,000 2,595 2,638 2,681 2,756 2,818 2,870 2,923
5,000 4,130 4,180 4,230 4,317 4,401 4,476 4,552
6,000 4,880 4,930 4,980 5,067 5,155 5,242 5,330
7,000 5,630 5,680 5,730 5,817 5,905 5,992 6,080
8,000 6,380 6,430 6,480 6,567 6,655 6,742 6,830
9,000 7,115 7,170 7,225 7,317 7,405 7,492 7,580
10,000 7,840 7,895 7,950 8,046 8,142 8,238 8,330
15,000 11,465 11,520 11,575 11,671 11,767 11,863 11,960
20,000 15,090 15,145 15,200 15,296 15,392 15,488 15,585

退職金利用で事業承継も節税

事業継承

後継者に事業承継する際には、自社株を譲渡することになります。

贈与であれば贈与税、売買譲渡あれば、買上げの資金が後継者に必要になったり、また相続で譲り渡すのは相続税の他、遺産相続問題に発展する可能性があり、非常に悩ましい問題です。

この事業承継のための資金がないため、事業承継のためのローンを借り入れる方もいます。

退職金をうまく活用すれば、株式の評価額を下げることにつながるため、自社株の移動がより容易になります。
贈与で自社株を移動する場合も、売却するという場合も、金額が少なくなればそれぞれ節税効果が見込めるということになります。

ただし、会社の規模によって会社の評価方式が変わります。
同族株主の企業の場合、類似業種批准方式と、純資産価額方式を一定の割合で組み合わせて評価することになりますので、注意が必要です。

会社の規模は、従業員の数(100人以上は大会社)や業種による売上高などによって変わります。

会社の規模 評価方式
大会社 「類似業種比準方式」
中会社(大) 「類似業種比準方式×0.9+純資産価額×0.10」
中会社(中) 「類似業種比準方式×0.75+純資産価額×0.25」
中会社(小) 「類似業種比準方式×0.60+純資産価額×0.40」
小会社 「類似業種比準方式×0.50+純資産価額×0.50」と「純資産価額」の低い方

類似業種比準方式は株式の配当と、利益や純資産から算出するのですが、赤字なってしまったような場合は純資産価額だけで算出することになり、株式評価額の引き下げに効果がない場合などもあります。

さいごに

このように、退職金というのは税制上優遇されているものである上、会社としては損金になります。

そのため、きっちりと計画的に活用すれば、事業承継をスムーズに進められる重要な要素となる他、節税効果も大きいでしょう。

早いうちに手を打っておくことをおすすめいたします。