法定相続情報証明制度とは?活用するメリットと手続き方法を解説

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法定相続情報証明制度とは、相続関係を一覧にした図に認証文を付けた写しを無料で交付してくれる制度のこと。

一度法定相続情報証明制度を利用すると、その後の相続手続きでは法定相続情報一覧図の写しだけで済ませることができるのです。

「法定相続情報証明制度を利用すれば便利なことは分かるけど、どうやって利用すれば良いのか分からない」という人のために、今回は手続き方法を詳しく解説。

他にも注意するべき点や再交付の方法など、法定相続情報証明制度を利用するにあたって確認しておきたいことを説明しています。

最後までしっかり読んで、法定相続情報証明制度を上手く活用し、楽な相続手続きを行いましょう。

1.法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度とは、法務局で必要書類を提出することで、相続関係を一覧にした図に認証文を付けた写しを無料で交付してくれる制度です

この写しを法定相続情報一覧図の写しと呼びます。

通常の相続手続きをしようと思うと、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、印鑑証明などの書類を、手続きのたびに提出しなければなりません。

一度法定相続情報証明制度を利用すると、その後の相続手続きでは法定相続情報一覧図の写しだけで済ませることができるのです。

平成29年5月末からスタートしたばかりの制度なので聞きなれない人も多いと思います。

法定相続情報証明制度を利用するメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット1.相続手続きの費用を節約できる

相続手続きをするときに必要な書類の取得料を節約することができます。

被相続人の相続遺産を引き継ぐためには様々な手続きが必要となり、そのたびに戸籍謄本や住民票などの提出が必要です。

戸籍謄本や住民票は取得するために1枚450円~750円ほどかかります。

相続人の人数分必要な場合もあるので、相続人の人数が多いほど手続きをするたびに費用が発生してしまうのです。

しかし、法定相続情報証明制度を利用すると法定相続情報一覧の写しは無料で発行されます。

何枚発行しても金銭的な負担は一切かからないのです。

メリット2.相続手続きの時間を短縮できる

法定相続情報一覧図の写しは、何枚でも無料で発行してもらえるので、相続手続きを一斉に開始することができます。

戸籍謄本などを提出する際、手続きが終わると返却してくれる機関がほとんどです。

そのため、多くの人は発行手数料がもったいないので、同時に手続きをせずに1つの手続きが終わって書類が返ってきたら次の手続きを・・というように1枚の書類を何度も利用します。

そうすると発行手数料は1回分で済みますが、手続きが多いほど時間がかかってしまうのです。

法定相続情報証明制度を利用すると、一度に複数の機関で手続きができて時間が短縮できます。

メリット3.相続登記と金融機関の相続手続きに利用できる

想定相続情報一覧図の写しは、相続登記や大手の金融機関の相続手続きに利用することができます。

不動産の相続登記や銀行口座の相続手続きにも、多くの必要書類を揃えなくてはなりません。

法定相続情報証明制度の利用することで、その書類の数も少なく済ませることができます。

しかし、金融機関によっては利用することができない機関もあります。

そのため、金融機関の相続手続きをする際は、事前に法定相続情報証明制度が利用できるか確認するようにしましょう。

メリット4.相続税の申告にも利用することができる

平成30年4月より、法定相続情報証明制度の利用範囲が拡大され、相続税の申告書の添付書類として法定相続情報一覧の写しを利用することができます。

これにより被相続人と相続人全員の戸籍謄本の代わりに、法定相続情報一覧の写しを提出することが認められるようになったのです。

2.利用する前に確認すべきこと

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メリットの多い法定相続情報証明制度ですが、利用する条件や利用する前に確認しておきたいこともあります。

順番に見ていきましょう。

2-1.被相続人と相続人が日本国籍でないと利用できない

被相続人と相続人の全員が日本国籍でないと利用することができません。

法定相続情報証明制度を利用するには、被相続人と相続人の全員分の戸籍謄本の提出が必要だからです。

被相続人および相続人のうち、1人でも外国籍で戸籍を用意することができないと全員がこの制度を利用できないので注意が必要です。

2-2.戸籍謄本などを1度は集めなければならない

法定相続情報一覧図の写しを取得するためには、一度は被相続人と相続人全員の戸籍謄本や住民票など公的書類を集めなければなりません。

1度集めて申請すれば、何枚もの法定相続情報一覧図の写しを無料で取得できます。

しかし、相続手続きに時間がかかっても良いという場合には、わざわざ法定相続情報証明制度を利用しなくても、取得した書類を利用して相続手続きすることができるのです。

2-3.法定相続情報一覧図を作成しなければならない

法定相続情報一覧図の写しを取得するためには、法定相続情報一覧図を自分で作成する必要があります。

もし代理人に作成を依頼すると、専門家への費用が発生してしまうので、何枚もの書類を揃えるよりも支払う費用が増えてしまう可能性がありますので注意しましょう。

(作成の方法は『3.法定相続情報証明制度の申請方法』で説明をしていきます。)

3.法定相続情報証明制度の申請方法

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注意点を確認して、法定相続情報証明制度を利用したい場合には法定相続情報証明制度の申請をする必要があります。

法定相続情報証明制度の申請の流れは、以下の通りです。

(1)必要書類の取得
(2)法定相続情報一覧図の作成
(3)申請書の提出

1つずつ詳しく確認していきましょう。

3-1.必要書類の取得

まずは必要書類を各所で取得しましょう。

必要な書類と取得場所、取得費用は以下の通りです。

書類名 取得先 取得費用 備考
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および除籍謄本 被相続人の本籍地の役所  戸籍謄本は一通450円
除籍謄本は一通750円
必ず必要
被相続人の住民票の除票 被相続人の最後の住所の役所   一通200~450円 必ず必要
相続人全員分の戸籍謄本 相続人の本籍地の役所  一通450円 必ず必要
申出人の氏名・住所を確認することのできる本人確認書類 手元  ー 必ず必要
相続人全員の住民票 相続人の住所の役所   一通200~450円 法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合
委任状 自分で作成  ー 代理人が申請する場合
申出人と代理人の関係が分かる戸籍謄本 代理人の本籍地の役所  一通450円 申出人の親族が代理人として申請する場合
資格者代理人団体所定の身分証明書の写し 手元  ー 資格者代理人が代理人として申請する場合
被相続人の戸籍の附票 被相続人の本籍地の役所  一通100~500円 被相続人の住民票の除票が取得できない場合

法務局が作成している、必要書類のチェックシートがあるので、利用しながら漏れのないように取得しましょう。

3-2.法定相続情報一覧図の作成

次に法定相続情報一覧図を作成していきます。

以下の記入例は、法定相続人が配偶者と子どもの場合です。

参考:法務局ホームページ

(1)記入する内容の確認

記入する内容は以下の通りです。

被相続人 氏名・生年月日・亡くなった時の住所・亡くなった年月日
相続人(全員) 氏名・被相続人との続柄・生年月日
※住所は任意のため、記入しない場合はフォーマットから住所を消しましょう。
作成者 作成日、作成者の氏名・住所・署名・押印

法定相続人が配偶者と子どもの場合の他にも、法定相続人が子どもだけの場合、法定相続人が両親の場合など様々なパターンがあります。

法務局ホームページに主な法定相続情報一覧図の様式と記載例が載っていますので、参考にしましょう。

(2)注意点

もし、相続放棄した人がいても、法定相続情報一覧図には、他の相続人と同じように記載しましょう。

相続する・しないに関わらず、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係を証明する一覧図が必要になるからです。

3-3.申請書の提出

必要書類の準備と法定相続情報一覧図の作成ができたら、申請書に記入をし、申請書を登記所(法務局)へ提出します。

(1)管轄の登記所を探す

提出する登記所は以下の管轄する登記所のいずれかを選択することが可能です。

・被相続人の死亡時の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地

管轄する登記所は法務局ホームページから確認して下さい。

(2)申請書の記入方法

申請書は、直接登記所へ行くか、法務局ホームページからダウンロードすることで取得できます。

以下の記入例を参考にしましょう。

参考:法務局ホームページ

記入するする内容は以下の通りです。

申出年月日 申請する日を記入。
被相続人 氏名・最後の住所・生年月日・死亡年月日を記入。
申出人 住所・氏名・連絡先・被相続人との続柄を記入し、氏名の横に押印。認印可。
代理人
(代理人が申請する場合のみ)
住所・氏名・連絡先を記入。
申出人との関係が法定代理人か委任による代理人か該当する方にチェック。
利用目的 該当する利用目的にチェック。
その他の場合は「株式の相続手続き」など、具体的な記入が必要。
必要な写しの通数と交付方法 必要な写しの通数を記入し、希望する交付方法にチェック。
被相続人名義の不動産の有無 被相続人名義の不動産の有無をチェック。
有をチェックした場合は、不動産所在事項または不動産番号の記入が必要。
申出登記所の種別 該当するものにチェック。
申出登記所の登記所名 具体的な申出登記所の登記所名を記入。

(3)申請書の提出

申請書を記入することができたら、必要書類と一緒に申請書を提出します。

提出する方法は、登記所へ行く郵送で取得するかのどちらかです。

直接登記所へ行く方が、申請書の不備などがあった場合にも窓口で対応することができるので、スムーズに手続きすることができます。

登記所へ行く場合は、申請書や必要書類と一緒に申出人の表示の欄に押印した印鑑を持参する必要があるので注意しましょう。

郵送の場合は、「郵送での交付を希望する」旨を記載し、申請書や必要書類と一緒に郵便切手を貼った返信用封筒を同封して下さい。

4.再交付の期限と方法

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法定相続情報一覧図の写しが追加で必要な場合には、再交付を受けることができます。

再交付を受けることができるのは、はじめの交付から5年間です。

また再交付を受けることができるのは、当初の申出において申請書に「申出人」と氏名を記載した人のみとなるので注意しましょう。

必要な資料は以下の通りです。

書類名 取得先 取得費用 備考
交付申出人の氏名・住所が確認できる本人確認書類  ー
委任状 自分で作成  ー 代理人が申請する場合
申出人と代理人の関係が分かる戸籍謄本 代理人の本籍地の役所  一通450円 申出人の親族が代理人として申請する場合
資格者代理人団体所定の身分証明書の写し 手元  ー 資格者代理人が代理人として申請する場合

必要な書類がそろったら再交付申出書を記入し、登記所へ再交付の申し出をします。

再交付申出書記入用紙 記入例

再交付の申し出は、はじめに申出をした登記所で受けることが可能です。

5.法定相続情報証明制度を申請するなら司法書士へ相談しよう

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法定相続情報証明制度の手続きを代行してくれる専門家を探しているのであれば、司法書士へ依頼しましょう。

法定相続情報証明制度の手続きは、弁護士、税理士、行政書士、土地家屋調査士などの専門家にも依頼することができます。

本制度の代行は、制度の手続き代行だけでなく、相続手続きのオプションとして提供されることが多いです。

そのため、不動産の相続手続きに必要な相続登記預金の名義変更などの代行オプションと捉えると良いでしょう。

法定相続情報証明制度を利用する人は、必ず何かしらの相続手続きをするはずです。

そして、これらの相続手続きを得意とするのは司法書士で、特に相続登記の代行ができるのは司法書士だけなのです。

事務所によって代行費用は異なりますが、法定相続情報証明制度の手続きは多くの事務所が1万~2万円程度で代行してくれます。

法定相続情報証明制度の手続きや相続手続きに不安がある人は、司法書士へ相談すると良いでしょう。

まとめ

法定相続情報証明制度とは、相続関係を一覧にした図に認証文を付けた写しを無料で交付してくれる制度のこと。

一度法定相続情報証明制度を利用すると、その後の相続手続きでは、被相続人と相続人の関係を証明する多くの書類の代わりに、法定相続情報一覧図の写しだけで済ませることができます。

記事の中で説明している注意事項を確認し、法定相続情報証明制度の手続き方法をしっかりと学んで下さい。

法定相続情報証明制度を上手く活用し、簡単に相続手続きを行いましょう。