事業承継は不動産を活用して節税が可能!?相続税を安くする3つの方法

事業継承 節税

事業承継をするにあたって、不動産が活用できると聞いたことはありませんか?

「事業承継のために株価を下げたい」「事業承継にかかる税金を節税したい」というように考えているなら、不動産に目を向けましょう!

うまく不動産を活用することができれば、相続の際に節税することができます。

今回ご紹介するのは、事業承継で不動産を活用する方法や、不動産承継の流れです。

事業承継の際の不動産活用方法をしっかり理解して、事業承継の成功につなげましょう。

事業承継で不動産を活用する方法

事業継承

事業承継をするにあたって一番対策するべきなのは、相続税です。

事業承継では自社の株式を中心に現経営者のさまざまな財産を後継者に引継ぎます。

したがって、相続税がかなり高額になってしまうことも多いのです。

後継者に遺産を集中して相続させるときには特に相続税に注意する必要があります。

場合によっては数千万円を納めなければならないこともあるのです。

相続税を節税するためには、不動産を活用することが有効となります。

事業承継を考えたとき、不動産を購入すれば自社の株価を下げられます。

その方法を見ておきましょう。

節税方法1.不動産を購入して株価を引き下げる

不動産を購入することで自社の株式の評価額を下げることができる場合が多いです。

多くの企業は、純資産の金額を下げれば株価も下げることができます。

そのためには、所有している土地や建物の評価額を、現金で所有していた金額より下げるのが良いです。

一般的にそのまま現金を貯めているより、不動産を購入した方が評価額は下がります。

したがって、不動産を買えば株価を引き下げることができるのです。

もしも都心の賃貸物件を購入したのであれば、評価額は半額以下になることも多いです。

自社株の評価を下げることで、後継者に株式を譲る際の資金をおさえましょう。

購入した不動産を相続する場合には相続税が必要

購入した不動産を相続するとなった際には、相続税を納めなければなりません。

その場合、小規模宅地等の特例を利用すれば相続税を節税できることがあります。

土地の価格が高い都市部などに不動産を持っていると、それだけで相続税が高くなる可能性が高いです。

そうなると事業を引き継ぐ後継者への相続税の負担は大きくなってしまいます。

相続税をおさえるために、小規模宅地等の特例について確認しておきましょう。

節税方法2.小規模宅地等の特例を使う

株式譲渡  税金

小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の宅地は、その評価額を下げて相続税の負担を軽くするというものです。

利用するには、相続開始の直前に、死亡した人の居住用か事業用の宅地であることが必要となります。

そのうえで一定の条件を満たせば、決まった面積まで評価額から50%〜80%の減額が可能です。

相続税の申告期限まで相続人がその宅地で居住か事業を継続しなければなりませんが、適用できるなら大きな節税となります。

小規模宅地等の特例における減税率

小規模宅地等の特例を利用した場合の減税率は以下のようになっています。

宅地の種類 限度面積 減額の割合
 ① 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
 ② 特定事業用宅地等 400㎡ 80%
 ③ 特定合同会社事業用宅地等 400㎡ 80%
 ④ 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

最も減額割合が低い貸付事業用宅地等でも50%減額されるので、条件に当てはまるのなら積極的に活用するべきです。

宅地の種類と適用条件

特定居住用宅地等の主な適用条件は、以下のようになっています。

宅地の種類 相続人の被相続人との関係 適用条件
被相続人の居住用の宅地 配偶者 なし
被相続人の居住用の宅地 同居していた親族 相続開始から相続税申告期限までそこに居住し宅地を所有している
被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 同居していない親族 ①および②に該当する場合で、かつ③〜⑤の要件を満たす者

①被相続人に配偶者がいない
②居住用家屋に同居していた法定相続人がいない
③相続開始3年以内に自己または配偶者の持ち家に住んでいない
④宅地を相続税の申告期限まで所有している
⑤相続開始時に国内に住所かあるか、日本国籍

被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 配偶者 なし
被相続人と生計を一にする親族の居住用の宅地 生計を一にしていた親族 相続開始から相続税申告期限までそこに居住し宅地を所有している

特定事業用宅地等や特定合同会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等の主な適用条件は、以下のようになっています。

宅地の種類 適用条件
特定事業用宅地等 被相続人の事業用宅地 ・親族が取得し事業を引き継ぎ、相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告まで所有
特定事業用宅地等 被相続人と生計を一にする親族の事業用宅地 ・親族が取得し、相続開始直前から相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告まで所有
特定合同会社事業用宅地等 一定の法人の事業用に使用している宅地 ・親族が取得し、相続税申告期限にその法人の役員
・宅地を相続税申告期限まで所有し、事業を継続
貸付事業用宅地等 被相続人の貸付事業用宅地 ・親族が取得し、貸付事業を引継ぎ、相続税申告期限まで事業を継続
・宅地を相続税申告期限まで所有
貸付事業用宅地等 被相続人と生計を一にする親族の貸付事業用宅地 ・親族が取得し、相続開始直前から相続税申告期限まで貸付事業を継続
・宅地を相続税申告期限まで所有

以上のように、宅地の種類や相続人によって、適用条件が異なります。

利用できるのかどうか不安な場合には、税理士などの専門家に相談してみましょう。

小規模宅地等の特例を利用すれば、後継者に事業を引き継ぐ際の納税資金がかなり減ることになります。

平成30年度税制改正大綱で小規模宅地等の特例が改正

平成30年度の税制改正大綱で、小規模宅地等の特例について言及されています。

注意すべきポイントは以下の部分です。

貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。

(引用:平成30年度税制改正の大綱 – 財務省

改正によって、死亡する前3年以内に貸付事業をされていた宅地等は50%の減額が不可能になりました。

ただし、死亡する前に3年を超えて事業で貸付を行っていた被相続人が、亡くなる前3年未満に新しく貸付事業をした宅地等は可能です。

この改正は、平成30年4月1日以降に開始される相続から適用されるので注意してください。

貸付事業用宅地等の減額を受けるためには、貸付事業用宅地等を相続の3年以上前には購入しておく必要があります。

事業承継のために新しく人に貸すための不動産を購入する予定がある方は覚えておいてください。

節税方法3.不動産評価の見直しをする

不動産 相続登記

不動産評価を見直せば、自社の株式の評価額を下げられることがあります。

不動産の評価は相続税の金額に大きく影響するので、事業承継を行う前には見直しておくべきです。

土地や建物が気づかない間に含み益を生み出して株価を上げている場合があります。

含み益とは、所有している不動産などの価格が上がることで生まれる、会計帳簿に出てこない利益のことです。

土地や建物を不動産鑑定評価で見直せば、自社の株式の評価額を下げることができる可能性があります。

例えば、所有している収益不動産である賃貸マンションが空室率の高い地域にあるなら、収益は出しにくいです。

そのようなとき不動産鑑定士に評価を見直してもらえば、不動産の評価価格が下がるかもしれません。

それによって、株価も引き下げることができます。

適切な不動産評価をしてもらうことで、相続税を節税しましょう。

事業承継で不動産を活用する場合の注意点

みなし相続財産についての注意点・高く売れる会社の条件

事業承継で不動産を活用する場合には、以下のような注意点に気をつけなければなりません。

  • 注意点1.不動産を取得してから3年間は時価で評価される
  • 注意点2.不動産の価格が高騰する可能性がある
  • 注意点3.資産管理会社は中小企業経営承継円滑化法が適用されない

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

注意点1.不動産を取得してから3年間は時価で評価される

相続が始まる3年以内に法人が手に入れた不動産は、非上場株式の純資産価格方式で株価を計算する場合に注意が必要です。

不動産を購入したときの値段は時価となっており、購入から3年経つまでの株価算定でも時価で評価されます。

時価での計算では、株価を引き下げることはできません。

不動産を取得してから3年が経ってから、時価から相続税評価に変わるのです。

せっかく株価対策のために不動産を購入しても、3年間は路線価や固定資産税評価額での評価ができないため気をつけておきましょう。

路線価や固定資産税評価額は、売買した際の価格の7割から8割程度の金額です。

3年以内に相続が発生する可能性が高い場合には、不動産購入での株価引き下げは慎重に行ってください。

注意点2.不動産の価格が高騰する可能性がある

不動産の取得から3年が経過して時価での評価から相続税評価に変わったとしても、土地の価格が高騰している可能性があります。

株価を引き下げるために不動産を購入したのに、不動産の価格が上がってしまうと本末転倒です。

土地の価格が上昇しそうかどうかわからないときには、不動産鑑定士など専門家に相談してみるのも良いでしょう。

土地の価格が高騰しても対処できるようにするには、不動産全体の中で建物割合を高くするという手段があります。

建物割合は不動産を購入する際の売り主との交渉次第なので試してみるべきです。

3年経過したら必ず評価額が下がるわけではないということを理解しておきましょう。

注意点3.資産管理会社は中小企業経営承継円滑化法が適用されない

中小企業経営承継円滑化法の納税猶予制度が利用できない可能性があることにも注意が必要です。

この制度は、以下の条件にあたる会社は適用できません。

①上場会社
②中小企業者に該当しない会社
③風俗営業会社
④資産管理会社
⑤総収入金額が 0の会社、従業員数が0の会社

④の資産管理会社というのが重要となります。

資産管理会社とは、資産管理を目的としている資産保有型会社や資産運用型会社です。

それぞれ、株式や不動産が総資産に対して70%以上保有していたり、総収入に対して収入割合が75%以上の場合となります。

不動産の購入は株価を引き下げる効果がありますが、必要以上に不動産を所有しないように気をつけましょう。

事業承継税制については、「事業承継税制とは?適用要件や平成30年度改正のポイントも解説」の記事で詳しくご説明しています。

事業承継で不動産を活用できるか専門家に相談しよう

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事業承継で不動産を活用する際には、購入や相続のときに考えることがたくさんあります。

せっかく株価を下げるために不動産を購入しても、そのあとに価格が高騰してしまうなら意味がありません。

また、知らない間に適切な価格よりも高く評価額が算定されていることもあります。

専門家である不動産鑑定士に評価を頼むことによって、評価額を下げられる場合は多いです。

事業承継にあたって不動産の活用を考えているのであれば、不動産鑑定士に相談するのは良い方法となります。

不動産鑑定士は、不動産の適切な評価額や運用方法も相談できる国家資格を持った人のことです。

専門知識を活かしたアドバイスをもらうことができるので、気になる方は相談に行ってみましょう。

不動産承継の流れを確認!

事業継承 節税

最後に、不動産承継の流れを確認しておきましょう。

社長名義の不動産を後継者へ引継ぐ方法を知っておけば、スムーズに承継することが可能です。

不動産承継は、以下のような2つのステップで行われます。

ステップ1.遺産分割協議書の作成
ステップ2.不動産の相続登記

それぞれどのような手順が必要となるのか見ていきましょう。

ステップ1.遺産分割協議書の作成

相続人の中で誰がどの遺産を受け継ぐのかを決め、書面に残す必要があります。

遺産分割はいつまでに行わなければならないという期限はないです。

相続人全員が納得しているのなら、いつ行ってもかまわないことになっています。

しかし、社長の名義のままに財産を残しても、個人で自由に売却もできずメリットはありません。

もしも相続税の軽減措置を受ける場合には期限があるので、早めに遺産分割をしたほうが良いでしょう。

遺産分割は、遺言によって分割したり、相続人全員で話し合ったりして行われます。

どうしても話がまとまらない場合には、家庭裁判所で調停や審判を行うことが可能です。

遺産分割について話し合いが終わったら、遺産分割協議書に決まった内容を残して相続人全員が保管しておきます。

遺産分割協議は原則としてやり直すことはできないので、注意しておきましょう。

ステップ2.不動産の相続登記

遺産分割が終われば、不動産の所有権移転の登記が必要です。

不動産の登記をしていなければ、売買する際にスムーズに行えなくなってしまいます。

登記を行わなければ、相続人にさらに相続が発生してしまうかもしれません。

そうなると不動産の権利関係が複雑になってしまうので、早めに登記を行いましょう。

相続登記の申請は、不動産の住所地を管轄する法務局で行うことができます。

法務局へ直接申請書を持参する以外に、郵送やインターネットでの申請も可能です。

郵送の場合は、申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載して書留郵便で送ります。

申請方法や提出書類は遺産の分割方法によって異なるので、事前に最寄りの法務局で相談してから手続きを行うべきです。

不動産登記申請書の様式や記載例

不動産登記申請書の様式や記載例は、法務局のホームページで確認することができます。

(参考:不動産登記の申請書様式について – 法務局

不動産登記を行う際、原則として申請書に添付する書面は原本でなければならないことに注意が必要です。

住民票の写しも原本を添付しなければならず、コピーは認められていないので気をつけてください。

また、住民票の写しはマイナンバーの記載がないものを添付しなければなりません。

登記申請書についてわからないことがあれば、管轄の法務局や地方法務局に質問することができます。

慣れていなければ難しいので、不安がある場合は司法書士に依頼してください。

まとめ

不動産をうまく活用することができれば、株価を引き下げたり節税を行ったりすることができます。

事業承継をするにあたって、不動産の活用方法をしっかり理解しておくことは大切です。

適切に不動産を利用して、後継者が事業を引継ぎやすいようにしておきましょう。