相続税について丁寧に解説!計算方法から利用できる控除までご紹介

相続税

相続が起きると、相続税が発生することがあります。

相続は一生のうちに限られた回数しか起こらないので、相続税については詳しくない人が多いです。

「相続税はどれくらい納めれば良いのだろう。。」と不安に思っているのではないでしょうか?

まずは、自分に相続税が発生するのかを知るべきです。

そして、相続税が発生するのであれば、相談できる税理士を探すのが良いでしょう。

今回は、相続税について計算方法を中心に丁寧に解説します。

相続税が発生するなら、早めに税理士に節税対策や相続税申告の相談に行って相続を成功させましょう。

1.相続税とは

相続税 とは

相続税とは、相続が発生したときに納める税金です。

相続で取得した財産の金額にもとづいて、税金が課されます。

相続税がどのような財産にかかるのか確認しておきましょう。

1−1.相続税がかかる対象

相続税は、誰かが死亡したことによって取得する財産に課税されます。

例えば、現金や預貯金、有価証券、家屋、土地、貸付金などが課税対象です。

他にも、自動車や骨とう品、生命保険金、死亡退職金にも相続税がかかります。

例外として、仏壇や墓石、神棚といった仏具や礼拝道具は課税対象になりません。

ただし、換金性があると考えられる効果な仏壇や墓石などは仏具や礼拝道具でも課税される場合があるので注意が必要です。

課税対象の財産を引き継ぐなら、相続税を計算してみましょう。

2.相続税の計算には3ステップある

廃業 相続 手順

相続税を計算するためには、以下のような3つのステップが必要となります。

ステップ1.相続財産総額の計算
ステップ2.基礎控除額の計算
ステップ3.実際の相続税の計算

ステップ1とステップ2を行えば、相続税の申告が必要かどうかがわかります。

相続財産の総額が基礎控除額を超えたときのみ、相続税が発生するためです。

まずは、相続税の申告を行わなければならないのかを計算してみましょう。

3.ステップ1.相続財産総額の計算

相続税 計算

最初に、その相続で引き継ぐこととなる相続財産の総額を計算します。

そのためには、相続人それぞれが手に入れたすべての財産の価格を明らかにすることが必要です。

現金や預貯金だけなら総額を出すのは難しくありませんが、土地や株式については相続が発生したときの評価額を計算しないといけません。

自分で計算することもできますが、複雑な計算になるかもしれないので、知識がない人は税理士などの専門家に任せる方が良いでしょう。

それぞれの相続人が相続した財産の総額をすべて合計すれば、相続税を計算するための相続財産の総額が計算できます。

4.ステップ2.基礎控除額の計算

基礎控除額 計算 

ステップ1で計算した相続財産の総額から基礎控除額を引けば、相続税の対象となる金額を計算できます。

基礎控除額とは、誰でも無条件に適用できる相続税の控除制度のことです。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めることができます。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の人数 )= 相続税の基礎控除額

例えば、配偶者1人と息子2人がいる場合は、以下のようになります。

3,000万円 + (600万円 × 3人 )= 4,800万円

相続人が3人なら、基礎控除額は4,800万円です。

相続財産の総額が基礎控除額におさまれば、相続税は発生しません。

基礎控除額を計算するために、法定相続人の人数を知る方法も見ておきましょう。

4−1.相続人の確認方法は?

相続税の基礎控除額を計算するために必要となる法定相続人については、誰がなれるか法律で決められています。

まず、亡くなった人に配偶者がいれば必ず相続人です。

そして、配偶者以外に親族がいる場合には、配偶者に加えて、①子ども、②父母や祖父母、③兄弟姉妹の順番に相続人になります。

①の子どもがいれば、配偶者と子どもが法定相続人です。

①の子どもがいなければ、配偶者と父母や祖父母が法定相続人となります。

①の子どもと②の父母や祖父母がいなければ、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人です。

「法定相続人についてもっと詳しく理解したい」という人は、『法定相続人の範囲と順位とは?音信不通の親戚がいる時の対処法を紹介』を読んでみてください。

5.ここで、相続税の申告が必要かを確認しよう

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遺産総額と相続税の基礎控除額がわかれば、相続税の申告が必要かどうかを確認できます。

ステップ1の相続財産の総額から、ステップ2で求めた相続税の基礎控除額を差し引けば、課税される金額を求められるのです。

相続財産の総額 − 相続税の基礎控除額 = 課税される金額

先ほどの例で言えば、基礎控除が4,800万円だったので、4,800万円以上の相続財産があれば相続税の申告が必要です。

逆に、預金や土地・家などの不動産の評価額など、相続財産をすべて合わせても4,800万円より少ないのなら、相続税の申告は不要になります。

もしも相続税の申告が必要になったときは、相続が起きてから10ヶ月以内に相続税の申告を行わなければなりません。

相続税の申告を行う人は、このまま実際に相続税がいくらになるのかを計算してみましょう。

6.ステップ3.実際の相続税の計算

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相続人それぞれが納めなければならない相続税を知るためには、まずはすべての人で負担する相続税の総額を計算します。

そのためには、課税される金額を各相続人が法律で決められた分だけ手に入れたと仮定して進めていかなければなりません。

各相続人が法律で決められた割合通りに財産を取得したときのそれぞれの相続税額を求め、その合計で相続税の総額を計算します。

このときの法律で決められた分の割合のことを、法定相続分といいます。

① 法定相続分で財産総額を分ける

法定相続分は以下のようになっています。

配偶者と子ども  配偶者=1/2 子供=1/2
配偶者と直系尊属(父母や祖父母)  配偶者=2/3 直系尊属=1/3
配偶者と兄弟姉妹  配偶者=3/4 兄弟姉妹=1/4
配偶者がいないとき  子供が全額を相続(2人なら1/2ずつ)

この法定相続分の通りに、課税される金額を相続人ごとに分けます。

ここでは、実際にどのように財産を分けるのかとは無関係なことに注意が必要です。

② 各相続人の相続税額を計算する

以下の相続税率を先ほど計算した相続人ごとに分けた財産の金額にかけて、相続税額を計算します。

法定相続分通り分けた金額 税率 控除額
 1000万円以下 10% 0円
 3000万円以下 15% 50万円
 5000万円以下 20% 200万円
 1億円以下 30% 700万円
 2億円以下 40% 1700万円
 3億円以下 45% 2700万円
 6億円以下 50% 4200万円
 6億円超 55% 7200万円

金額が1000万円を超えれば控除額があるので、計算した相続税額から差し引きます。

そして、それぞれの相続税額をすべて足したものが相続税の総額です。

③ 相続税の総額を各相続人で分ける

計算した相続税の総額を、実際に相続する割合に応じて相続人それぞれが負担することになります。

負担に応じて割り振ったそれぞれの相続税額が、申告しなければならない税額です。

それぞれの負担する相続税から、場合によって一部の金額を控除できることがあるので確認しておきましょう。

相続税の控除1.配偶者控除

配偶者の相続税は、配偶者控除によって1億6000万円まで控除されます。

ただし、配偶者控除を利用するなら確定申告を必ず行わなければなりません。

相続税がかからなければ申告手続きは本来は不要なので、配偶者控除を使うなら忘れないようにしましょう。

相続税の控除2.未成年控除

満20歳未満の相続人は、次の計算式によって求められる金額を控除することができます。

10万円 × 満20歳になるまでの年数 = 相続税の未成年控除額

満20歳になるまでの年数が1年未満の端数になるなら、切り上げます。

相続人に未成年がいるなら、控除を利用するようにしましょう。

相続税の控除3.障害者控除

日本国内に住所がある相続人で障害者か特別障害者の場合、それぞれの計算式によって求められる金額を控除することができます。

障害者と特別障害者の場合で計算式が異なり、障害者の場合は以下です。

10万円 × 満85歳になるまでの年数 = 相続税の障害者控除額

特別障害者の場合は以下です。

20万円 × 満85歳になるまでの年数 = 相続税の特別障害者控除額

いずれも満85歳になるまでの年数が1年未満の端数になるなら、切り上げます。

相続人に障害者がいるなら、控除を利用するようにしましょう。

相続税の控除4.外国税額控除

外国にある財産を取得したときに、外国で相続税に相当する税金が課されたなら利用できる控除です。

外国で納めた税金の額だけ、日本での相続税が控除されます。

相続税の控除5.相次相続控除

今回の相続開始前10年以内に、亡くなった人が相続で財産を手に入れて相続税が課されていたなら、一定金額が控除できます。

控除額は、以下の計算式で求めることが可能です。

A ×{ C / (B – A)} ×{ D / C }× {(10 – E) / 10 }= 相次相続の控除額

A = 亡くなった人が前の相続で手に入れた財産に課された相続税の金額

B = 亡くなった人が前の相続で手に入れた財産の金額

C = 相続人全員が今回の相続で手に入れた財産の金額

D = その相続人が今回の相続で手に入れた財産の金額

E = 前の相続から今回の相続までの経過年数 (1年未満の端数は切り捨て)

計算方法が複雑なので、10年以内に相続が連続したというときは、税理士に相談してみましょう。

相続税の控除6.生命保険金の控除

生命保険金には非課税となる枠があります。

以下の計算式で求められる金額までは、非課税枠の範囲内となり相続税がかかりません。

500万円 × 法律で決まっている相続人の数=保険金の非課税枠

例えば3人の子供が相続人であるというときは、「500万円 × 3人=1,500万円」となって1,500万円までは非課税です。

生命保険金を受け取るなら、忘れずに利用しましょう。

相続税の控除7.葬儀費用の債務控除

債務控除とは、相続する財産からマイナスとなる債務を差し引くことです。

差し引ける債務は例えば、借金や葬儀費用となっています。

ただし、すべてが葬儀費用として債務控除できるわけではないので気をつけてください。

葬儀費用として債務控除が認められているのは、以下のような費用です。

  • お通夜や仮葬式、本葬式、埋葬料、火葬料、納骨などにかかった費用
  • 死体の捜索、死体もしくは遺骨の運搬にかかった費用

葬式費用として、戒名代やお布施、心付、お車代は債務控除できるとされています。

また、初七日などの法事にかかる費用や、香典返しの費用、墓石や墓地の購入費用は債務控除の対象となりません。

具体的にどの費用が控除されるのかは、税理士に確認しましょう。

「相続税がいくらからかかるか自分でしっかり確認したい」という人は、『相続税はいくらからかかる?計算方法をわかりやすく解説』も読んでみてください。

7.【番外編】相続税対策ができないか確認しよう

成年後見制度を利用するなら専門家に相談しよう 相続税 実数値

相続税は、特例や制度を上手く活用すれば節税できることがあります。

例えば、小規模宅地等の特例や生前贈与の制度を利用した節税はよく行われるので確認しておきましょう。

ご紹介する節税方法以外にもさまざまな節税方法があります。

したがって、相続税対策については税理士に相談するのが良いです。

小規模宅地等の特例で節税する

自宅や事業用の宅地を相続するときには、小規模宅地等の特例で節税できる場合があります。

小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の宅地は、その評価額を下げて相続税の負担を軽くするというものです。

一定の条件を満たせば、決まった面積まで評価額から50%〜80%の減額ができます。

もしも相続税評価額が1億円の自宅敷地を相続したなら、小規模宅地等の特例を使えば2000万円の評価額にできるのです。

生前贈与の制度を利用して節税する

以下の制度を活用して財産を生前贈与すれば、相続税を節税できます。

  • (1)暦年課税制度
  • (2)相続時精算課税制度
  • (3)扶養義務者からの贈与

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)暦年課税制度で節税する

暦年課税制度とは、毎年合計で110万円までは贈与税がかからないというものです。

したがって、110万円までの範囲内で毎年財産を渡していけば、相続する財産を減らすことができます。

相続財産を減らすことによって、相続税もおさえることが可能です。

110万円におさまるなら特に贈与税を申告する必要もありません。

暦年課税制度を利用して相続する財産を減らして相続税の基礎控除の範囲内におさえれば、相続税はかからなくなります。

また、相続税の税率は相続財産が多ければ多いほど高くなる仕組みです。

したがって、基礎控除の範囲内におさまらなくても、相続財産を減らせば税率を下げることができます。

(2)相続時精算課税制度で節税する

相続時精算課税制度は、贈与してくれる者が1人あたり2500万円までが課税されなくなるものです。

(2500万円を超えた部分については、20%の贈与税がかかります。)

贈与された財産は相続が起これば、贈与時の値段で相続財産とあわせて計算しなければなりません。

既に贈与税を支払った分は税金の対象から差し引かれます。

値上がりしそうな財産を持っているときに活用すれば、贈与時の値段で相続税を計算できるので節税が可能です。

相続時精算課税制度については、「相続時精算課税制度を利用すると節税可能!メリットや手続きを解説」で詳しく解説しています。

(3)扶養義務者からの贈与で節税する

扶養義務者からの贈与とは、夫婦や親子、兄弟の間で生活費や教育費を渡す場合には課税されないというものです。

生活費は、具体的に仕送りや賃貸料、治療費などです。

教育費には学費だけではなく教材費や通学のための交通費も含まれます。

生活費や教育費としてお金を贈与することで、贈与税を納める必要なく相続時の財産を減らすことが可能です。

相続税対策については、「相続税対策7選!生前対策・マンション購入などの節税方法を解説」で詳しく解説しています。

8.相続税について税理士に相談しよう

相続税 税理士

相続税については、相続税に強い税理士に相談するべきです。

税理士に相談すれば、相続税の計算や申告を行ってくれたり、さまざまな節税対策を提案してくれます。

しかし、税理士なら誰でも良いというわけではありません。

税理士には法人税や所得税など相続税以外にも分野がさまざまあるので、相続税専門の税理士を選ぶことが大切です。

相続税について詳しくない税理士を選ぶと、節税対策の知識が十分ではなく、納める相続税が高くなってしまいます。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは、相続案件に関わった経験が豊富で幅広い知識がある人を選ぶことです。

また、相談に行ったときに話しやすいと感じる人にした方が、何でも質問できるので安心して任せられます。

多くの専門家は最初の相談は無料で受け付けているので、まずは無料相談に行ってみましょう。

9.相続税についてのQ&A

相続税 Q&A

相続税についてのよくある疑問点をまとめておくので、確認しておきましょう。

Q1.相続税を申告したり納付したりする期限は?

相続税の申告や納付は、相続が起きてから10か月以内に行うことになっています。

例えば、2月7日に相続が起きたなら、その年の12月7日が申告期限です。

申告期限の日が土曜日、日曜日、祝日なら、これらの日の翌日が期限となります。

Q2.相続税を計算するための土地の評価方法は?

土地を評価するためには、路線価方式や倍率方式と呼ばれる方法で評価額を計算しなければなりません。

適切な評価額を出すのは難しいので、相続税に強い税理士や不動産鑑定士に土地の評価をお願いするべきです。

専門家に土地の評価を依頼すれば、制度を上手く活用して評価額を抑え、相続税を節税することができます。

Q3.相続税についての法律は改正されることがある?

税金に関する法律は毎年改正が行われています。

相続税についての法律も改正されており、平成25年度改正では基礎控除額が減額となりました。

相続税を計算する際には、最新の情報を国税庁のホームページで確認したり、税理士に相談するべきです。

Q4.相続税に時効はある?

相続税にも時効は存在しており、支払い義務が消滅することがあります。

相続税が発生していることを知らなかった相続人は、相続が起こってから5年間で支払い義務が消滅します。

相続税の発生を知っていて納税をしなかった相続人は、相続が起こってから7年間で支払い義務が消滅します。

しかし、税務署に調査されて相続税を申告していないことが発覚した場合には追加の税金も支払わなければならなくなります。

相続税の時効を狙うことはやめておき、もしも申告期限に間に合わなかったときはすぐに税理士に相談しましょう。

Q5.相続税はいくらからかかる?

ケースによって何円から相続税が発生するのかは異なります。

基礎控除額以上の相続財産を引き継ぐときには、相続税が発生する可能性が高いです。

相続税の計算に自信がないときは、早めに税理士に依頼しましょう。

Q6.相続税が払えないときはどうすれば良い?

相続財産が不動産ばかりというときなど、現金の相続が少ない場合には相続税が払えない可能性があります。

そのようなときは、不動産など現金以外の相続財産を売却して現金にするというのが方法の1つです。

他にも相続を放棄してしまったり、延納したりする方法が考えられます。

相続税の支払いに不安があるときは、税理士に相談してみましょう。

Q7.相続税の延納制度とは?

相続税の延納制度とは、相続税を現金一括で支払うことができないときに利用できる制度です。

原則として5年以内であれば、相続税を分割して支払うことができます。

ただし、担保の提供などの条件を満たす必要があったり、利子税がかかったりすることに注意が必要です。

延納制度を使いたいと考えているときは、まずは税理士に相談してみましょう。

まとめ

亡くなった人の財産を受け継ぐと、相続税が発生することがあります。

基礎控除額よりも多い相続財産があるときには、相続税の申告と納付をしなければなりません。

相続税の計算や申告は自分だけで行うのは難しいので、税理士に依頼することが良いでしょう。

相続税に強い税理士に相談して、相続を成功させてください。