事業承継後の消費税納付義務は?相続と生前贈与での比較

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事業者は、皆さんが消費税の納税義務があるわけではありません。
年間の売上高が1,000万円を超えるかどうかが課税事業者になるかどうかの切り分けです。

1,000万円以上の売上高の場合、免税事業者とはならず、消費税の納付義務が出てくることがあります。

こういった消費税の納税の仕組みは、事業承継をした場合にどのように引き継がれるのでしょうか?

今回は事業主の生きている間に後継者へ事業承継を行った場合と、事業主が亡くなったことによって生じる相続で後継者へ事業承継が行われた場合の違いにスポットライトを当てて解説してみました。

個人事業の事業承継

事業継承 個人事業
事業承継とは、営んでいる事業を後継者に引き継ぐことです。
中小企業・個人企業の場合もあれば、個人事業主の場合も事業承継をすることがあるでしょう。

今回は個人事業主の事業承継の場合に、消費税の扱いがどのようになるのかということに注目しました。

生前贈与にするのか 相続にするのか

事業承継には2つのパターンがあります。
経営者が健在な段階で手続きを済ませてしまう生前贈与による事業承継と、亡くなってから相続を経て行われる事業承継です。

実は、この2つには税法上様々な違いがあり、とても大きなメリットやデメリットがあることはあまり知られていません。

2つの状況で消費税の納付がどのように変わるのかを見てみましょう。

消費税の基本的な決まり

まずは消費税の基本的な仕組みを再確認しておきましょう。

年間の課税売上高が1,000万円以上であった場合に納税義務が生じます。
また、課税売上高が見られるのは2年前ということになっています。

つまり、個人事業者の課税期間である1月~12月の課税売上高が1,000万円を超えると、2年後に消費税が課税されます。
また、新規事業者は開業から2年以内は消費税の納付義務がありません。

ここが事業承継をする際の重要なポイントになります。

生前贈与の方が有利

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消費税のことだけで考えれば、事業承継は譲渡者が健在な間に生前贈与する方が有利です。

個人事業主が事業を譲り渡すということは、事業の廃止を意味します。
一方、事業を受け継いだ後継者の側からすれば事業の開業となります。

つまり、この場合は事業者として連続性があるわけではないので、2年間は納税義務が発生しないことになります。
また、売上高が1,000万円を超えることがなければその先ずっと消費税を支払う義務はありません。

相続で事業承継した場合のデメリット

事業者が亡くなったあとに相続で事業を引き継いだ場合の消費税はどうなるのでしょうか?

実は、相続を経て事業承継をすると、被相続人(事業を譲り渡す側の方)の課税売上高も引き継がれます。

例えば年の途中で相続することになった場合、売上高がすでに生前800万円あったとします。
そうすると、事業承継を受けた後継者がは200万円以上売り上げた時点で消費税を納付することが決定します。

正直、事業承継をしたばかりではうまく事業が回せないこともあり、トラブルも生じている可能性があるため、この消費税は痛手でしょう。

相続の場合も、事業の開業をしたことには違いありませんが、2年後にいきなり消費税の納付義務が生じる可能性がある点から、経営者の生前に事業承継をしておく方が有利な仕組みであると言えます。

一方で、贈与税としてかかる税金と、相続税としてかかる税金では、相続税の方が控除額が大きくなります。
そのため、色んな側面から相続にすべきか、贈与にすべきかと検討しなければなりません。

消費税に関する届け出

相続による事業承継の場合、もう一つ注意点があります。

事業主が生きている間に消費税の課税義務が生じていた場合、その事業者は課税事業者となります。
課税事業者になった個人事業主が相続によって事業を引き継いだ場合、売上高が1,000万円を下回っていたとしても消費税の納税義務が発生します。

こういった懸念がある場合は、免税事業者に戻してもらうために届け出をしておかなければなりません(消費税課税事業者選択不適用届出手続)。

このことを知らずに相続で事業承継をしてしまうと、後で大変なことにもなりかねません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
個人事業主の事業承継と消費税の関係について解説してみました。

事業を生前贈与で承継する場合には、もちろんメリットやデメリットなど考えるべき点が多々あります。
しかし一つ言えるのは、いずれにしても早い段階で先を見据えて準備をしておくべきであるということでしょう。

何歩も先を見つめておくことで、せっかくの財産や事業をしっかりと後の世代にスムーズに譲り渡すことができるのです。