LOI(基本合意書)とは?M&Aにおける締結の目的や内容を解説

LOI(基本合意書)とは

LOIとはLetter of Intentの略で、日本語では基本合意書と訳されます。

M&Aを進める中で出てくる契約書ですが、「LOIでは具体的にどのような契約を交わすの?」と疑問に思っている人も多いはず。

そこで今回の記事ではLOIの目的や内容、どの程度の拘束力があるかなどを詳しく解説。

最後までしっかり読んで、LOIについて理解を深め、M&Aを成功に役立ててください。

M&AにおけるLOIとは?

LOI(基本合意書)とは

LOIとはLetter of Intentの略で、日本語では基本合意書と訳されます。

Memorandum of Understandingの略でMOUと言われることもあります。

M&AにおいてのLOIは、交渉がある程度進んだ段階で、買主候補企業が基本的に買収するという意思を固めたことを表明するために締結する契約書です。

具体的には、買収の基本的な条件、デューデリジェンスの期間、対価の支払いのタイミングなどのスケジュール、独占交渉権などが盛り込まれます。

LOIの目的

LOI(基本合意書)とは

M&AにおいてLOIを交わす目的を買い手・売り手それぞれの立場から確認しましょう。

2-1.買い手にとっての目的

売り手に対して、「あなたの会社(事業)を買いたい」という意思表示をすることで、売り手が他の買い手候補との交渉をさせないという目的があります。

M&Aには多くの時間と費用が必要です。

特にデューデリジェンスによる売り手の内部情報を把握するには、相応の時間がかかってしまいます。

しかし、コストをかけたにも関わらず、売り手が他の買い手候補との交渉を進めてしまうと、大きな被害を被ることとなります。

そのため、デューデリジェンスで問題なければ買収をするという意思表示をすることで、他社の横やりを避けることが出来るのです。

デューデリジェンスについては、「デューデリジェンスとはどういう意味?財務・労務・税務から方法を解説」にて詳しく解説しています。

2-2.売り手にとっての目的

デューデリジェンスなどでよほどのことがない限り、買い手候補が会社や事業を買収するという約束を明確にする目的があります。

M&Aが成立がするまでに、買い手候補によるデューデリジェンスなどで会社の内部情報を開示することとなり、機密情報までもが漏洩してしまうリスクがあるのです。

内部の機密情報を知られてから「やっぱり、M&Aの話はナシで」と言われると、事業継続ですら難しい状況になるかもしれません。

そのようなリスクを避けるために、LOIで買収する意思表示が必要なのです。

さらに、デューデリジェンスにおいて知り得た情報は口外しないという秘密保持契約も同時に締結します。

LOIを締結するタイミングとは?

LOI(基本合意書)とは

M&AにおけるLOI締結は、基本的な買収条件について合意ができた段階で行います。

M&Aではまず、買い手と売り手のマッチングが行われ、秘密保持契約を締結したあと、トップ面談などを行っていきます。

統合計画の作成、買収価格の試算、買収スキームの検討、買収のスケジュールなど具体的な内容が決まり、「あとはデューデリジェンスを行うだけ」というときにLOIは締結するのです。

基本的にはデューデリジェンスで問題がなければ基本合意書に従い、最終契約へ進みます。

LOIに記載する7つの内容事項

LOI(基本合意書)とは

続いてLOIに記載すべき項目の詳細を詳しく見ていきましょう。

4-1.表明保証

表明証明とは、売り手が買い手候補へ開示した情報が真実であることを表明し、保証する条項です。

例えば、デューデリジェンスで提出する決算書などの書類や持っている不動産や株式が、適正あることなども表明証明の対象となります。

4-2.買収条件

現時点で確定している従業員の処遇や買収価格、買収方法などを記載します。

売り手にとって、これらが記載されていることで安心してデューデリジェンスで情報開示することが出来るのです。

しかし、買い手候補にとっては、デューデリジェンス後に買収条件を確定させたいため、詳細の明記を嫌がる傾向があります。

4-3.デューデリジェンスの実施期間

デューデリジェンスの実施期間を明記することで、その後の予定調整を行ったり、売り手にとってはいつまでたっても実施されず売り時を逃がしてしまうリスクを避けることができます。

もちろん明記されている実施期間と多少ズレが生じることもありますが、基本的にはその期間を目標にデューデリジェンスが実施されます。

4-4.独占交渉権とその期間

独占交渉権とは、一定期間他社とM&Aに関する交渉を行ってはいけないという内容が記載されています。

買い手候補は、M&Aで失敗しないためにデューデリジェンスでしっかりと売り手の実態調査をする必要があります。

もし独占交渉権を結んでおらず、競合他社が現れると十分な調査が出来ないまま慌てて最終買収契約を行わなければならないという事態に陥る可能性があるのです。

4-5.守秘義務

M&Aにおいて、互いに重要な企業秘密を公開することになる場面が多くあります。

特に、売り手はデューデリジェンスによって多くの秘密情報を開示する必要性がでてきます。

LOIとは別途で秘密保持契約書を締結することも多いです。

4-6.誠実交渉義務

LOIの締結から最終合意の契約締結まで、売り手と買い手は誠実に交渉する義務が発生することを規定します。

もちろんこの規定がない場合にも不誠実な交渉は許されませんが、あえて明記することでLOIの効力を高めることが出来ます。

4-7.法的拘束力や違約金

独占交渉権の規定は法的拘束力が認められる旨を明記しておきましょう。

また拘束力を強めるために、一定の違約金を認める旨の違約金条項を設けても問題ありません。

LOIは法的拘束力を持たせるべき?

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LOIには法的拘束力があるものとないものがあります。

どのような場合に法的拘束力を持たせるべきなのか確認しましょう。

5-1.基本的にLOIは法的拘束力を持たせない

基本的には、LOIには法的拘束力を持っていません

なぜなら、LOIの段階ではデューデリジェンスを終えていないため、買い手候補は「買収する意思」は伝えるものの、必ず買収するという約束は出来ないからです。

デューデリジェンスの結果によって交渉の余地を残しておく必要があるのです。

買収条件をハッキリさせたくない場合や、買い手候補がまだ他にいる場合には法的拘束力のないLOIを作成することをオススメします。

また、上場企業がM&Aの当事者となる場合には、LOIに法的拘束力を持たせないケースが多いです。

法的拘束力のないLOIに明記される約束事は努力目標となってしまう場合もあります。

しかし、LOIには法的拘束力がないとしても、取引内容の変更や修正を行う場合にはしっかりした理由がなければなりません。

理由なく基本合意を撤回することは許されることではありませんので、一定の効力は持っていると理解しておきましょう。

5-2.確度の高いLOIには法的拘束力を持たせることが多い

一般的なLOIには法的拘束力がないと言っても、中には法的拘束力を持つ場合もあります。

独占交渉権やデューデリジェンスの協力義務には法的拘束力を持たせるようにすることが一般的です。

確度の高いM&Aにおいては法的拘束力のあるLOIを締結すると、より実現の可能性が高まるのでオススメです。

また、書き方次第で意図せず法的拘束力を持たせてしまう場合がありますので、LOIを作成・締結するときには、細心の注意を払いましょう。

LOIの作成ポイント

LOI(基本合意書)とは

M&AにおいてのLOIに記載する内容は非常に重要です。

M&Aのケースごとに、LOIの作成ポイントを確認しましょう。

6-1.確度の高いM&Aの場合

LOI締結時にはほとんど買い手が決定している状態の場合には、LOIの内容に反映していくようにしましょう。

ポイント1.買い手候補に独占交渉権を与える

買い手候補に独占権を与えることで、前向きにM&A成立させたいという意思が伝わります。

ポイント2.LOI自体に法的拘束力を持たせる

法的拘束力を持たせることでLOIの効力が高まり、簡単に買収条件の変更やM&A自体が頓挫してしまうことを防ぐことが出来ます。

ポイント3.誠実交渉義務を定める

法的拘束力よりは効力が劣るものの、あえて誠実交渉義務の規則を明記することでLOIの効力を高めることが出来ます。

ポイント4.売買価格まで決める

売り手としては早い段階で売却価格を確定させたいので、LOI締結時に売買価格を明記してもらうことが安心感へと繋がります。

もし、他にも買い手候補がいる場合には適していないため注意してください。

6-2.買い手候補が複数ある場合

買い手候補が複数ある場合には、LOIの内容にもしっかり反映させておきましょう。

ポイント1.買い手候補に独占交渉権を与えない

1社へ独占交渉権を与えてしまうと長期間他の買い手候補との交渉が一切出来なくなってしまい、売り時を逃してしまう可能性があります。

ポイント2.LOIに法的拘束力を持たせない

法的拘束力を持ったLOIを締結してしまうと、他の買い手候補へ売却したい場合にLOIの規定を破ることとなってしまい、訴訟される恐れがあります。

ポイント3.買い手選定方法を記載する(入札形式など)

買い手候補は他に存在することを伝え、どのように選定するかを定めておくことで、のちのトラブル回避につながります。

今後、M&Aを進める中で自由度が高まるような内容にしておくことが望ましいです。

上場企業は法的拘束力の持つLOIを開示する義務がある

LOI(基本合意書)とは

上場企業がM&Aを行う場合、LOIの締結が金融商品取引所規則に基づく適時開示義務の対象となる可能性があります。

基本合意は上場会社の運営に関する重要な決定事項と解釈されるためです。

開示が必要となるのは、LOIの規定に法的拘束力がある場合です。

しかし、LOI締結時はまだ買収は未確定段階なので、買い手候補は開示を避けたいという要望はほとんどの場合に発生します。

一方で売り手は、買収金額や買収条件をどのように予定しているのかを早めに確定させておきたいため、買収価格を明記したLOIに法的拘束力を持たせたいという交渉が行われることが多いです。

その場合、買い手候補にとっては困難な立場となりますが、そもそも未確定段階で取引内容を公開することは売り手も嫌がります。

そのため上場企業がM&Aの当事者となる場合は法的拘束力がない旨をLOIに明記し、デューデリジェンスの後に取引内容を確定することを規定するケースが多いです。

このように、上場企業がM&Aをする際にはLOIの適時開示義務の対象となりうるので注意をしましょう。

LOIの相談は弁護士へ

LOI(基本合意書)とは

LOIの作成・締結の際には必ず弁護士へ相談しましょう。

LOIには自社に不利な規定はないか交渉すべきものはないかといったことは素人ではわからないことが多くあるからです。

契約の専門家である弁護士へ相談をするようにしましょう。

また、LOIにはM&A特有の知識や経験が必要となるため、以下の2点に注意して、より優秀な弁護士へ依頼をするようにしてください。

まず、企業法務の知識と実績を持つ弁護士を選ぶようにしましょう。

M&Aも含め、企業法務に強い弁護士だと、予想外の交渉にも強い味方でいてくれます。

次に、スピード感のあるかです。

売り手にとっても買い手候補にとっても、売り時や買い時を逃さないために早めにLOIを締結したいと思っています。

そのためスピード感をもって交渉を進めたり、LOIを作成する必要があるのです。

以上の点を踏まえ、優秀な弁護士を頼りながら穴のないLOIを作成・締結するようにしましょう。

まとめ

LOIとは、基本合意書のこと。

M&AにおいてLOIの内容は非常に重要です。

しっかり勉強をし、優秀な弁護士を頼りながら、自社の成長のためにM&Aを成功させましょう。