3つの時効に注意!遺産相続と時効の基本をわかりやすく解説!

配偶者控除 申告期限 遺産相続

遺産相続に時効という考え方はあるのでしょうか?

答えは、イエスです。

しかし、一般的な時効の考え方とは違い、少し注意するべき点がたくさんあります。

時効とは「法律上、決められた期間経過すると、正当でないものでも正当になる」といった決まりです。
これが遺産相続にどのように関わってくるのか、わかりやすく解説してみたいと思います。

遺産分割請求権 遺産分割協議に時効はない

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まず、遺産相続の時効と聞いて、大半の方は「遺産相続できなくなるのではないか?」と考えられると思いますが、それは違います。

遺言書がない場合は

遺言書が見つからない場合は、遺産分割協議という「財産をどのように分割するのか」という話し合いが持たれます。
また、この話し合いをすることを求める権利を「遺産分割請求権」と言います。

これは相続人全員が持っている権利です。

遺産分割協議や遺産分割請求権には、期限が定められておらず、時効はありません。

つまり、被相続人が亡くなってから、どれだけ長い期間が空いていたとしても勝手に遺産分割が決定されることはなく、いつでも協議を行うことができるのです。

しかし、遺産分割をしないままだと共同相続という状態になってしまいます。
土地や預貯金も含めて相続人全員で権利を有しているという状態になるため、早めに解消させることが好ましいとされています。

遺言書がある場合など

逆に、遺言書などで遺産の分割が示されている場合、相続人が法定相続分の遺産を受け取ることができない場合があります。

不当に遺産が少なかった場合に、相続人が最低限認められている相続分を請求する権利があります(遺留分減殺請求)。

この請求ができる期限は一年となっていますので、遺言が執行される場合などは注意してください。
遺留分減殺請求の時効についてはのちほど詳しく説明していきます。

遺産相続に関わる時効は3つある

まず、遺産分割協議や請求権に時効がないことはおわかりいただけたかと思います。

しかし、だからといって遺産相続に関わる手続きをいつまでも放置していると、後で取り返しのつかない事態になりかねません。
遺産相続に関わる時効は、3つあります。

  • 受け取る遺産が不当に少ない場合の請求(1年)
  • 相続放棄するかどうかを決めるまで(3ヶ月)
  • 相続税の申告期限(10ヶ月)

それぞれ順を追って説明していきましょう。

1. 遺留分減殺請求ができるのはわずか1年

例えば「子供のうち1人に全財産を相続させる」という遺言があったとします。
そうすると、配偶者や他の子供は遺産を一切受け取ることができなくなってしまいますよね。

そこで、このような不当に受け取る遺産が少ない場合、遺留分減殺請求という手続きができます。
遺留分というのは、相続人に認められている最低限の相続分です。

この遺留分減殺請求ができる権利は一年間という時効があります!

最悪の場合は裁判もあり得る

遺留分減殺請求ができるのは、相続の開始(被相続人が亡くなったタイミング)、または不当があったこと(遺贈や死因贈与など)を相続人が知ってから1年の間と決められています。

さきほどの例で言えば、遺言を知ってから1年以内ということになります。

また、遺言内容など不当があるという事実を知らなかったケースにおいても、相続の開始から10年経過してしまうと、遺留分減殺請求自体ができなくなってしまいます。

また、遺留分減殺請求を起こすケースというのは、すでに財産が相手に渡ってしまっていることになります。
そのため、実際に請求をするということになれば裁判などで争わざるを得なくなることもあり、時間が経過しすぎると余計に解決が難しくなるでしょう。

先に、遺産分割協議は期限がないことをお伝えしましたが、注意しなければいけないことがおわかりいただけたかと思います。

2. 相続放棄するかどうかを決める期限は三ヶ月

次に、相続放棄の期限です。

相続放棄は読んで字のごとく、相続する遺産の受け取り自体をやめておくということです。
被相続人(遺産を遺す側の方)が借金を多く抱えていたり、相続税を支払えないような場合に相続放棄される方もいらっしゃるでしょう。

また、借金の額が多く、財産の全てをプラスマイナスすると負債の方が多くなってしまうような場合には限定承認という、相続人が債務を被ることがないようにできる方法もあります。

相続放棄や限定承認をするための熟慮期間は3ヶ月と定められています。

相続放棄、限定承認をしたい場合は、家庭裁判所に必要書類の提出が必要です。
早めに対処するようにしましょう。

相続放棄や限定承認しないとどうなる?

もし3ヶ月経過しても相続放棄や限定承認をしない場合、自動的に単純承認となります。
単純承認とは、マイナス分も含む全ての財産を相続人が相続することを言います。

3ヶ月経過してから「誰も知らない多額の借金があった!」ということが発覚しても、単純承認になっていれば相続せざるを得ません。
また、単純承認を一度してしまうと、後から相続放棄や限定承認には変えられません。

被相続人の方が亡くなってから3ヶ月しか期間はありませんので、速やかに財産の調査を行うことをオススメします。
また、相続放棄はひとりの相続人でもできますが、限定承認となる場合は相続人全員の合意が必要となりますので、よりスピーディな対応が求められます。

3. 相続税の申告期限は10ヶ月!

相続税 申告期限

相続税の納付と申告は、相続人が相続(被相続人が亡くなったこと)を知った次の日から数えて10ヶ月以内にする必要があります。

実際には、相続税には基礎控除額というものが設定されており、実に9割以上の方が相続税を支払いする必要はありませんでした。
しかし、税制改正が行われたことで基礎控除額が大幅に引き下げられ、相続税の申告が必要になる方の割合が増えたと考えられます。

そこで、相続税の控除をするための特例などがいくつかあるのですが、当然10ヶ月以内の申告が必要になってくるわけですね。

遺産分割協議は早めに

相続税免除の特例を受けるためには、結果的に納付する相続税の金額がゼロだったとしても、申告は必須となります。

しかも、相続人が複数いる場合、遺産相続の結果がハッキリしていないとこの特例などは活用できないことになります。
つまり、遺産分割協議がしっかりと完了していることがまず重要なのです。

最初に述べたように、遺産分割協議や遺産分割請求権には期限がありませんが、実質的には相続税の申告までに済ませておかなければかなり大変なことになるのは目に見えています。

また、一度に相続税を納付できないような場合、分割で納付する申請をしたりと手を打っておかなければならないことがいくつもあります。

遺産分割協議は早め早めに対応することをオススメします。

さいごに

今回は相続税に関わる3つの時効を解説しました。

相続放棄や限定承認は3ヶ月、相続税の申告は10ヶ月、遺留分減殺請求は1年と、それぞれ意外にも短い期間となっていることがおわかりいただけたことかと思います。

相続は、遺産の計算から始まり、遺産分割の話し合い、相続するかどうかの決定、相続税の節税などなど、トラブルがなくともやらなければならないことが山のようにあります。
時間が過ぎてしまって取り返しのつかないことになるよりもまず、専門家に相談しスピーディに解決することが求められるでしょう。