複数の相続人が遺産を共有する共同相続の基礎知識!共同相続は早く解消しないと大変

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相続人が複数いる場合、遺産の分割が問題になることが非常に多いですよね。
被相続人(遺産を遺す側の方)が遺言で相続分の割合や内容を定めている場合を除けば、遺産は相続人となる方々が全員で共有することになります。

土地などの不動産、預貯金などの債権は被相続人が亡くなった段階で「相続人全員の共有」となります。
このように、相続人が遺産を共有している状態を共同相続と言います。

共同相続とは?

相続人が複数いる場合の共同相続について、民法898条では以下のように記載されています。

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

相続人には相続権がありますので、当然このように「共同相続」という状態になります。
不動産などの遺産で考えるとわかりやすいのですが、誰か一人が所有しているのではなく、相続人全員がそれぞれ権利を有している状態ということになります。

共同相続は早く解決した方が良い

共同相続のままの状態では、遺産の売却や賃貸利用、相続人が亡くなってしまった場合など、非常に煩雑なケースが起こり得ます。
そのため、一般的には共有というわかりづらい状態はデメリットも多く、できるだけ解消した方が良いとされています。

共同相続の状態を解消するには、遺産分割協議という手続きをする必要があります。
遺産分割をしないままにしておくと、トラブルの原因になることもありますので、注意しましょう。

不動産の共同相続

例えばここに、1000㎡の土地という遺産があったとしましょう。
相続人は三人で、妻と子供が二人いた場合で考えてみたいと思います。

この場合、妻は1/2、子はそれぞれ土地の1/4の権利を持っていることになります。

しかし、実際にそれぞれ500㎡の土地や250㎡の土地に分割して相続されるかというと、そうとは限りません。
遺産分割の協議をしないままだと、一つの土地に対して複数人の権利者が存在するという状態になります。

共同相続のままだと起こる問題

共同相続 問題

1. 賃料収入を得る場合

賃貸不動産を共同相続した場合の賃料収入は、その権利の割合に応じて分配されなければなりません。
一時的に代表者が収入を受け取ることができても、相続人の持っている権利の分を分配することなります。

また、遺産分割の手続きをせずに不動産で賃料収入を得ようとした場合、共同相続人の持っている権利のうち、過半数の賛成がなければできません。(共有物の管理行為)

相続人が複数いる場合は意見がバラバラになってしまって同意が得られにくいことも考えられますね。

2. 売却などをする場合

もちろん、共同相続の状態では誰か1人が勝手に遺産を処分することができないようになっています。
相続人Aが土地を売却したくても、相続人Bが賃料の収入を得たいと考えていれば、売却はできないということになります。

万が一、共同相続人の1人が独断で不動産を売却してしまった場合も、ほかの相続人は移転登記の抹消請求をすることも可能です。
自分の持っている権利の分は所有権がありますので、このような請求ができるのですが、このケースでは売却された土地は第三者との共有という状態になってしまいます。

共同相続人だけでなく第三者まで入ってきてしまうと、非常に複雑になってしまうことが考えられます。
売却をする場合も早めに遺産分割をすることが重要でしょう。

3. 相続人が亡くなった場合

共同相続の状態で遺産分割をしないままにしておくと、共同相続人のうちのどなたかが亡くなってしまうケースもあります。
そうなると、亡くなった相続人の妻や子がさらに共同相続をすることになり、場合によっては一つの不動産で10人以上の方が権利を有するということもあり得ます。

意見の異なる権利者や面識のない権利者が出てきてしまうと、揉め事を引き起こしてしまう原因になりかねませんよね。
共同相続のまま何年も経過してしまうような場合には十分注意してください。

不動産の遺産分割の例

共同相続の状態を解消するためには遺産分割が必要と述べましたが、その事例について説明したいと思います。

現物分割

これはさきほどの土地の事例で言えば、1/2の権利なら500㎡、1/4の権利なら250㎡など権利を有している割合に応じて実際の土地を取得するという方法です。

しかし、土地が小さくなるとメリットがなくなって活用できなくなってしまったり、接している道路の関係で建てられる建物が変わってしまうこともあるでしょう。

一つの土地を複数に分割して配分するのはうまく行くとは限りません。

代償分割

誰か1人の相続人が土地を全て取得する方法です。
土地を取得しなかった相続人は、持っている権利に応じてお金として遺産を相続する方法です。

家業の関係で土地を受け継ぐ必要がある場合などは、この代償分割などがわかりやすいかもしれません。

換価分割

換価分割は、土地を全て売却してしまって、そのお金をそれぞれの権利分に応じて分割して受け取るという方法です。

共同相続のままの相続登記

相続が発生したことによる不動産の名義変更のことを相続登記と言います。
不動産の管轄地となっている法務局で登記の申請ができます。

相続登記は遺産分割の協議が済む前、つまり共同相続の状態でもできます。
法定相続分に従って相続登記するのであれば、相続人全員ではなく、相続人のうち1人が申請するだけでも登記は可能となっています。

ただし、前述のように共同で不動産に対しての権利の持ち分があるまま登記してしまうと、デメリットがかなり多いため、注意が必要です。

例えば、いずれ相続人の間で遺産分割を行うのであれば、その際にあらためて登記が必要になってしまいます。
同じ土地の登記費用なのに、共同相続のまま登記をしてしまうことによって、結果的に手間と費用が二重にかかってしまいます。

相続登記自体には期限がなく、1年後でも10年後でも登記は可能です。
焦って相続登記をされるよりも、まずは遺産分割協議を速やかに行い、きっちりと遺産分割の方向性を決めてから相続登記をされることをおすすめします。

預貯金の共同相続は口座凍結される

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預貯金の相続に関しては、かつては相続人の法定相続の持ち分に限り引き出し可能でした。
しかし実情としては、トラブルの種になりかねないため、金融機関から相続人全員の同意などを求められるケースが多かったようです。

近年、最高裁での判決によって、預貯金に関しても遺産分割の対象となりました。
また、被相続人が亡くなった段階で、口座は「凍結」されてしまうことになっています。

相続人全員ときっちり協議をした上で、遺産分割の手続きをするまでは、基本的に口座は凍結状態のままですので、遺産分割協議を速やかに済ませる必要があります。

さいごに

今回は遺産相続の際の共同相続について解説をしてみました。

被相続人(遺産を遺す側の方)が亡くなってしまいますと、遺産相続はすぐに始まります。

相続の手続きは面倒と思われる方も多いかも知れませんが、手続きを後回しにして共同相続の状態が長く続くと、思いもよらないトラブルを招いてしまうことがおわかりいただけたかと思います。

相続人が複数いるようなケースでは、なかなか話が前に進まないこともありえますから、遺産分割協議や遺言の執行をいち早く進めて行きましょう。