知ってると便利!相続人に相続させたくない人がいるときの廃除制度とその手続

相続税 排除制度

遺産相続は「争族」とも言われ、争いの種になってしまうことも多いですよね。
できれば、トラブルを招かないように相続をスムーズに済ませたいものです。

そんな無用なトラブルを避けるため、遺産相続をさせたくないという人に、財産が渡らないようにする方法があります。

ただし、気を付けておくべき事としては「遺産相続は相続人の権利」であるということです。
被相続人(遺産を遺す側の人)が勝手に相続人の権利を全て剥奪することは簡単ではありません。

今回は推定相続人の中に遺産を渡したくない方がいる場合に取るべき手段、その中でも相続廃除について特に詳しく解説します。

1. 相続をさせたくない場合の対応方法

まず、相続をさせたくない場合、相続廃除をはじめとしていくつかの方法があります。
その方法と特徴を簡単に説明します。

方法 1. 遺言で相続分をゼロとする

子供や配偶者など、複数名が推定相続人になる場合、その相続の割合を指定することができます。
その遺言の中で財産を遺したくない相続人には「相続分はゼロである」という指定をしておくことができます。

ただし、相続人には相続する権利がありますので、遺言に納得できない場合は遺留分減殺請求と言って、最低限の遺産相続ができるよう請求することができます。

方法 2. 遺贈や死因贈与で他人に贈与する

遺贈、死因贈与という方法で相続財産の全てを他人に贈与するという方法です。
こちらも他人に全て贈与してしまうので、相続人に財産が渡ることを回避できます。

しかし、この方法を取った場合でも遺言で「相続分はゼロ」と指定した場合と同じとなり、遺留分減殺請求が可能です。

完全に遺産を渡さないということはできませんので注意してください。

方法 3. 相続欠格制度

相続欠格制度は、相続廃除と混同されることもありますが、要件や手続きなどが異なります。
相続欠格者となるには殺害やその未遂、遺言の変造等に該当するなど特殊なケースに限られます。

一番の違いは被相続人(遺産を遺す方)の意思にかかわらず、民法に定められた「欠格事由に該当する行為」を行った相続人は「相続欠格者」となります。
その場合、裁判所の審判・調停という手続きがなくとも自動的に相続権が剥奪されます。

相続廃除の場合は被相続人が裁判所に対してアクションを起こす必要がありますので、欠格との違いを把握しておいた方が良いかと思います。

方法 4. 相続廃除の申し立てをする

相続廃除は、被相続人が家庭裁判所に申し立てをすることによって推定相続人から相続権を剥奪する方法です。

家庭裁判所で申し立てが認められれば、役場で推定相続人廃除届けの手続きが可能です。

欠格との明確な違いとしては、被相続人(遺産を遺す側の方)が意思を家庭裁判所に示す必要があることです。
相続人の廃除にも民法に定められた事由がいくつかありますが、遺言や遺贈・死因贈与と違って絶対に相続させたくない場合の方法としては強力です。

2. 相続廃除 できる?できない?

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相続廃除の条件を民法で見る

民法892条には相続人の廃除をすることができる条文が以下のように記載されています。

遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

  • 被相続人に対しての虐待
  • 被相続人に対しての重大な侮辱
  • 著しい非行

この3つのうちいずれかの事由がポイントとなります。
家庭裁判所の判断とはなりますが、犯罪となるような場合やそれに準じたレベルの行いがあれば、相続廃除できる可能性があります。

やはり「相続人には相続権がある」という事を考えると当然と言えば当然ですが、相続人を廃除するということはそう簡単なことではありません。

相続させたくない方が具体的に上記のケースに当てはまりそうな場合は、一度法律の専門家に相談してみることをオススメします!

注意!相続廃除が認められない事例

上記のようなケースに当てはまっていても、個別の事情によって家庭裁判所も判断をしますので、以下のような事情がある場合は注意してください。
(あくまで一例となります)

  • 相続人を廃除したいが、客観的に証拠と言えるほどの十分な資料が残っていない
  • 被相続人が、推定相続人に対して非道な行いや冷遇をしてきたことがあり、それに対しての反発などからトラブル(暴行・侮辱等)につながった
  • 被相続人の意図にそぐわない行動を取った事から相続廃除を希望した(職業選択の内容や結婚等)

もちろん最終的な判断は家庭裁判所の審議次第ということになります。
個別の事例や用意される資料などを元にして廃除を認めるかどうか決定されるということを知っておいてください。

3. 相続廃除の手続きの種類と流れ

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生前廃除と遺言廃除

相続権の廃除には、生前に家庭裁判所へ申し立てる方法(生前廃除)と、被相続人の死後に遺言によって書き遺した内容を遺言執行者が申し立てる方法(遺言廃除)があります。

それぞれ、被相続人の住所地(遺言廃除の場合は最後の住所地)を管轄する家庭裁判所に申し立てをすることになります。

相続廃除の必要書類や経費

まず、推定相続人廃除の申し立てをする場合、以下の書類が必要になります。

  • 推定相続人廃除申立書
  • 廃除対象の推定相続人の戸籍謄本
  • 申立人の戸籍謄本
  • 被相続人の除籍謄本(遺言廃除の場合のみ)
  • 遺言書の写し(遺言廃除の場合のみ)

費用は収入印紙代800円です。

これらの書類を被相続人の住所地(遺言廃除の場合は最後の住所地)を管轄する家庭裁判所に提出して申し立てします。
ここで家庭裁判所に認められるかどうかが重要ですので、きっちりと資料などを用意しておくことが重要となるでしょう。

続いて、推定相続人廃除の申し立てが認められた場合、調停調書か審判書の謄本を受け取ることができます。

次に、謄本を10日以内に相続人の本籍地、または届出人の所在地の市町村役場へ提出し、推定相続人廃除届の手続きをします。

ここまで来れば相続廃除はできると考えて大丈夫です。
以下のものを用意して役所へ届け出をしてください。

  • 推定相続人の廃除届
  • 家庭裁判所の調停調書(調停成立の場合)
  • 家庭裁判所の審判書の謄本(審判確定の場合)
  • 印鑑

費用は無料となります。

4. さいごに

いかがでしたでしょうか?

絶対に相続させたくない相手がいたとしても、意外と完全に相続をさせないということは簡単ではないことがおわかりいただけたかと思います。

ただし、相続廃除の事由に当てはまる場合は遺言などよりも確実に相続させないということが可能となります。

相続権は相続人に認められた最低限の権利です。
そのため相続人の廃除はハードルが高く、家庭裁判所でも認められることはあまりないと言われているようです。

しかし、ハードルが高い分、相続廃除は法的拘束力も強くなります。
遺言や死因贈与・遺贈よりも確実に対応できる方法ですので、是非検討してみてください。