遺産相続で不動産を分割する方法の全て!家や土地を相続したらこうやって分ける!

遺産相続 不動産

遺産相続で不動産が相続される際、複数の法定相続人がいると、ひとりに必ずしもその不動産が単独で相続されるとは限らず、場合によっては複数の相続人で共有することになるケースも多々あります。
ただ、よく言われていることですが、不動産の共有名義は絶対に避けたいものです。
百害あって一利なしといっても過言ではありません。
というのは、共有にすると、民法でいう変更処分行為や管理行為が単独でできなくなるだけでなく、「不動産の相続登記で初心者でも知っておくべき知識を全て解説!」した様に、様々な弊害が生まれます。

そこで、不動産を共有で相続しないために、複数の法定相続人で協議し、不動産を分割することができます。
今回は、そんな遺産相続における不動産分割について、解説していきたいと思います。

遺産相続での不動産の分割って?

相続税 生前贈与 遺産相続

遺産相続で相続財産に不動産が含まれていると、もめるケースが多くなります。
相続財産に不動産があると、不動産の特徴として、

  • 現金などの他の財産と違い分割しにくい
  • 高額になる
  • 先祖代々から引き継いでいるもので、金銭面以外の側面がある

ということがあるので、問題になることが多くなります。
問題になったからといって、不動産を共有登記してしまうと、

  • 共有物の変更・処分行為を行うための共有者全員の同意が困難
  • 相続人の世代交代で、さらに共有者が増える
  • 共有持分譲渡などで第三者が共有持分権者になる
  • 利益や費用の分担が持分割合通りに実行されない
  • 評価額、売却価格の同意が困難

などの問題がおき、いいことはなにもありません。

そこで行うひとつの手段が、不動産の分割です。

民法改正で遺産分割はこう変わる!

遺産分割 変更

2022年4月から、改正民法が施行される見込みです。
相続に関する部分も、大きく変わり、特に遺産分割の規定が変わり、死後に残された配偶者を保護する点に重点が今後置かれることになりました。

具体的には、特に特徴的な改正として、「配偶者居住権」という権利が新設されます。
配偶者居住権というのは、残された配偶者が亡くなるまでは、これまで通り住んでいる住居に住める権利です。

例えば、夫名義で持っていた不動産に、妻も住んでいたとします。
それで、ある日夫がなくなってしまったとき、妻が住んでいた住居も含めて、相続財産として、法定相続人に法定相続分に応じて分割されることになります。
その際、他にもいろんな財産を持っていて、妻だけにいま住んでいる住居がいくような遺産分割ができればいいですが、法定相続人が揉めたりすると、いま住んでいる住居を売って分割しないといけなくなるということがおきます。
まだ、妻が若ければいいですが、高齢だったりすると、次賃貸も借りれず、悲惨なことになります。
また、仮に遺産分割協議で住んでいる住居の所有権を得られたとしても、預貯金などの他の遺産の取り分が少なくなり、特に高齢の配偶者になると生活が困窮する可能性があります。

そこで、今回定められる配偶者居住権では、特に定めがない場合、原則として配偶者自身が死ぬまで住めるということになりました。
遺産分割の規定も見直され、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、

  • 配偶者に住居を生前贈与
  • 遺言で贈与の意思を示す

のどちらかの場合は、これまで住んでいた家を遺産分割の対象から外れるということになります。
家が遺産分割の対象からはずれると、法定相続分で分割すべき対象から家が外れるので、仮に家を相続した場合でも、それ以外の預貯金などの遺産の取り分が減ることになりません。

遺産分割協議による不動産分割の方法

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遺産分割協議による不動産の分割方法には、

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有

の4つがあります。
どれがいいというのは、それぞれにメリットとデメリットがありますが、共有は避けた方が良いです。

では、順番にそれぞれを解説していきたいと思います。

現物分割の基礎知識とメリット・デメリット

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まずは、現物分割について、そもそも現物分割とは何なのかや、メリット・デメリットについて、解説していきたいと思います。

現物分割とは?

現物分割というのは、そもまま不動産を相続人の1人が現物で取得するという方法です。
不動産を、特に分割とかもせず、現状そのままを引き継ぐというものです。
たとえば、

  • 配偶者と子ども2人が相続人→配偶者が住んでいる実家の土地と建物を相続
  • 配偶者と子ども1人が相続人→配偶者が住んでいる実家の土地と建物を相続、子どもが別荘を相続

などのケースが、この現物分割に当てはまります。

現物分割のメリット

現物分割のメリットは、なんといっても、シンプルで手間が掛からないという点です。
だれが不動産を相続するかさえ決まってしまえば、代償金の支払いや不動産売却など、手間のかかる手続きを取る必要がありません。
また、共有にもならないので、不動産の管理・処分など全ての変更を、ひとりの相続人が他の同意なしでできます。
一番シンプルに相続において不動産を分割する方法といえます。

また、先祖代々の土地や不動産などを相続する場合も、この現物分割だと、ひとりが相続することになるので、都合がいいケースがあります。
せっかく代々地主というか、地域で大きい屋敷や財産を持ってきて、しかもそれが重要文化財に指定されていたなんてケースもあります。
そんなとき、分割するよりも、ひとりが相続して、次の代に引き継いでいくことが、その家や地域の習わしになっていることもあります。
そうすると、共有などせずに、ひとりが全ての不動産を一括で相続する、現物分割が代々受け継いでできたものを、そのやり方に則って引き継いでいく都合のいい方法になります。

現物分割のデメリット

現物分割は、シンプルな一方で、公平な分割が困難であるという点がデメリットです。
やっぱり不動産というと、どうしても他の相続財産よりも高額になるケースが多くなります。
地方とかで山を相続しているくらいだと、預貯金の方が高くなることもありますが、東京などの地下の高いところで一軒家を相続したりすると、それだけで他の相続財産を圧倒する額になったります。
そうすると、その高額な不動産を、特に分割せずにひとりが単独で相続するとなると、通常はだれがそのひとりになるか揉めることが多くあります。

ということで、この現物分割は、シンプルでいいのですが、現実的に現物分割ができるケースが限られてきます。
相続人全員が納得して、高額の不動産をひとりの相続人に相続させることができる場合のみが実現するということになります。
たとえば、

  • それまで住んでいた家を、住んでいた人が相続する
  • 代々続いている家で、次の代を引き継ぐ人が全ての不動産を相続する

など、なんらかの理由で、不動産をひとりの人が相続することに、納得感のある場合が多くなります。

代償分割の基礎知識とメリット・デメリット

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次に、代償分割について、そもそも代償分割とは何なのかや、メリット・デメリットについて、解説していきたいと思います。

代償分割とは?

代償分割というのは、呼んで字のごとく、代償を払うことで分割させる不動産分割の方法です。
つまり、ある不動産をある相続人が取得するのですが、そのかわり当該不動産を相続した相続人が、他の相続人に対して代償金を払うというものです。
例えば、

  • 相続財産に5,000万円の不動産がある
  • 法定相続人は、兄弟2名

というケースで、家を継ぐ長男が不動産を相続しますが、そのかわりに長男が弟に半分の2,500万円を代償金として支払います。
そうすることで、不動産を家を継ぐ長男に相続させつつ、公平に相続財産を分配できるということになります。

この代償分割は、現物分割と比較すると公平感があり、かつ不動産を処分したりしなくてもいいので、遺産相続の不動産を分割する方法で、非常によく用いられている手法です。

代償分割のメリット

代償分割のメリットは、相続人の間で公平に遺産分割が行うことができるという点です。
不動産を相続したひとりが、めちゃくちゃ得をするということがなく、みんな公平に分割することになります。

その一方で、不動産を相続した人も、代償金は支払う必要がありますが、それでも不動産を単独所有できます。
不動産を単独所有できると、管理や処分など全てのことを、自身の判断でだれの同意もいらずにできるので、その後不動産の価値を高めたり、活用する上で、非常に有利になります。

代償分割のデメリット

一方、代償分割のデメリットは、代償金の支払いがいるということです。
つまり、資力の問題などで、代償金を支払うことができなければ、この方法は不可能です。
先祖代々の土地や家を、長男が相続したい一方で、長男が必ずしも他の相続人に代償金を払うことのできるだけの財力があるとは限りません。
そうすると、この代償分割での不動産の分割はできず、結果として先祖代々の土地や家を売却して、兄弟で分け合うということにもなりかねません。

また、代償分割をする際、不動産の評価で争いになることもあります。
仮に代償金を支払う能力があったとしても、代償金をいくらにするのかという、不動産の評価に争いが生じる可能性があります。
平等に分割するために代償分割にするはずが、そもそもの不動産の評価額でもめてしまうというわけです。

換価分割の基礎知識とメリット・デメリット

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次は、換価分割について、そもそも換価分割とは何なのかや、メリット・デメリットについて、解説していきたいと思います。

換価分割とは?

換価分割というのは、相続の対象となった不動産をだれも引き継がずに売却してしまい、その売却代金を相続人間で分け合うという手法です。
たとえば、相続財産に不動産が含まれていて、それを換価分割をするとすると、

  • 相続財産に含まれている不動産を5,000万円で売却
  • 兄弟姉妹で4人の相続人がいて、それぞれが1/4の1,250万円を取得

という感じで分割をします。

この換価分割は、

  • 相続人のいずれもが不動産の取得を望まない
  • 不動産を取得した際に代償分割ができるほどの資力がある相続人がいない

というような場合に、用いられることが多くなります。

換価分割のメリット

換価分割のメリットは、完全に平等に遺産分割ができるという点です。
売却した価格で分配するので、不動産の評価額に関しての争いもありません。
ただ、売却して現金にして、その現金を相続人でわけあおうという発想なので、もっとも平等といえば平等です。

また、不動産が相続後に残らないという点も、捉え方によってはメリットになります。
不動産は、特に建物は、管理をしっかりしないとすぐに傷んでいきます。
土地でも、そこでホームレスが住み着いたり、殺人事件でもおきようものなら、大変。
そう考えると、自身で管理や活用できない土地や建物は、持たない方がいいという面もあります。
さらに、不動産を処分してしまうので、その後の維持管理や固定資産税なども掛かかりません。

最後に、代償分割との比較にはなりますが、特定の相続人が代償金を支払わなくていいというメリットもあります。
これもケースバイケースですが、例えば自分が住んでいる土地と家を相続するために、代償金を支払う選択をしたとします。
そうすると、実質的には、これまで住んでいた不動産に住むために現金が出て行くだけなので、生活が苦しくなることも考えられます。
先祖代々の土地や家とかなら別ですが、そんなにこだわりのある不動産でなければ、そのような事態を避けるために、一旦不動産を売却して、換価分割するというのもひとつの選択になるわけです。

換価分割のデメリット

換価分割のデメリットは、当然ですが不動産を売却するので、不動産がなくなることです。
特に、先祖代々ずっと守ってきた土地や建物を売却するのは、非常に抵抗があるかと思います。
先祖代々守ってきた土地や建物でなくても、自分が小さいころから育ってきた思い入れのある大切な家や土地を売却したいとはなかなか思いませんよね。
たしかに、不動産を持ち続けることでコストがかかったりするというデメリットがある面もありますが、それ以上に不動産を失わないといけないデメリットを感じる方もいらっしゃいます。

また、不動産の売却には、様々なコストがかかります。
仲介手数料や譲渡所得税などの金銭的な負担が、結構大きいです。
また、不動産を売却するにあたって、仲介業者と交渉したり、手続きに時間を割いたりと、手間がかかります。

共有の基礎知識とメリット・デメリット

不動産を売却して納税する場合のメリット・デメリット 共有知識

最後に、共有について、そもそも共有とは何なのかや、メリット・デメリットについて、解説していきたいと思います。

共有とは?

共有とは、不動産の所有権を、複数の相続人で共有することです。
たとえば、兄弟姉妹4人が親の不動産を共有で持ち合うと、ひとり25%ずつの所有権を持ちます。

共有のメリット

共有のメリットは、遺産分割協議が揉めにくいということです。
だれかひとりが不動産を取得するわけでも、不動産評価額を決めないといけないわけでもなく、単に平等に共有することさえ決まってしまえば、それでおしまいです。
手続きも、法務局で相続登記によって、共有名義にすればいいだけという、極めてシンプルなものです。

  • 遺産分割協議でもめそう
  • 兄弟姉妹や両親との仲がよくない
  • 相続人の中に認知症など意思能力がない人がいる
  • 他の相続人と連絡が付かない

などのケースで、特に交渉したりしなくていいので、共有はメリットがあります。

共有のデメリット

不動産の共有には、実はデメリットが非常にたくさんあります。
というより、共有のメリットを少しご紹介しましたが、そんなメリット、ほとんどどうでもいいくらいです。
絶対に不動産の共有は避けるべきです。

具体的にどういうデメリットがあるかというと、

  • 不動産の処分が困難になる
  • 不動産の管理や活動がやりにくい
  • さらに相続が起きるとどんどん共有の所有者が増え複雑化

などのデメリットがあります。

たとえば、不動産が賃貸物件などでずっとキャッシュを生み続けてくれているうちはいいのですが、使わなくなって固定資産税だけが毎年毎年出ていくようなときなど、売却したいですよね。
そういうときに、意見がわれたりして、大変です。
または、あまり借り手がつかないときに、家賃を下げるかどうかとかを揉めている間に、どんどん時間がたって、赤字が拡大するとかもあります。

さらに最悪なのは、その共有名義になっている相続人が、ひとりでも死んでしまうケースです。
そうすると、また次に共有で相続されたりすると、不動産の所有者がどんどん増えていき、しかも顔すらしらない人が共有名義になっているようなことにもなりかねません。
そうなると、処分することすらもできない悲惨な状況になりえます。

不動産分割には遺産分割協議が必要

不動産分割

今回は、遺産相続における不動産の分割について、解説してきています。
不動産の分割には4つの方法がある旨を説明してきましたが、共有以外の方法で不動産を分割して相続する場合には、遺産分割協議を行い、その結果を遺産分割協議書というかたちでまとめる必要があります。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書というのは、遺産分割協議の結果をまとめた書面です。
売買契約でいうと、いろいろ売買条件を交渉してまとめた契約書みたいなものですね。
なので、一旦遺産分割協議が合意に達して、遺産分割協議書にサインとハンコを押すと、あとはもうそれをひっくり返すことは原則的にできなくなります。
その後は、遺産分割協議書にもとづいて、粛々と遺産を分割していきます。
不動産の遺産相続でいうと、遺産分割協議書で定めた分割方法にもとづいて、相続登記をしていくことになります。

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書は、特に弁護士の先生などにお願いしなくても、ご自身で作成することができます。
特に、最近では、ネットに「遺産分割協議書 雛形」とか検索すると、たくさんのサンプルが落ちています。

ただ、あとでトラブルになるのを防止するために、プロの弁護士の先生にお願いするのがいいかもしれません。
特に、遺産額が大きかったり、相続財産の把握や評価が難しかったり、相続人の間でもめそうなときは、弁護士の先生にお願いする方が安心ですね。

自分でやる場合は、ネットでヒラってきた雛形を参考に、必要な事項を順番に記載していきます。
特に、預貯金や不動産などの財産の特定は、正確にかつ慎重に行うようにしてください。
たとえば、

  • 預貯金→金融機関名、支店名・番号、預金の種類(普通、当座など)、口座番号
  • 不動産→全部事項証明書に記載している事項

などというように、なんとなくではなく、しっかりと調べながら記載してください。
正確に記載しないと、たとえば不動産の場合はあとで相続登記ができなかったり、なにかと不都合が生じます。

遺産分割協議書の書き方など詳しいことは、「遺産相続協議書について初心者でも知っておくべき知識を全て解説!」にまとめましたので、ご参照ください。

一応、サンプルとしては、こういうのを作成します。

遺産分割協議書

被相続人 田中一郎(昭和47年1月27日生まれ)
死亡日(相続発生の日)  平成30年4月7日
本籍地  東京都目黒区目黒本町〇〇
最終の住所地 東京都新宿区〇〇

 

被相続人田中一郎の遺産相続について相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに被相続人の遺産を分割取得することに合意した。

 

1.相続財産中、次の不動産については、被相続人の妻田中梨花が相続する

所在  大阪府北区〇〇
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇平方メートル

 

所在 大阪府北区〇〇
家屋番号 〇〇番
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建て
床面積 1階部分 〇平方メートル
2階部分 〇平方メートル

 

2.下記の預貯金は長男田中直樹が相続する

みずほ銀行難波支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 田中一郎

 

3.被相続人のその他の財産については、次男田中和宏が取得する

 

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証明するため、本協議書を4通作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各1通ずつ所持する。

 

平成30年4月30日(作成日)

 

住所 大阪府北区〇〇
生年月日 昭和39年2月1日
相続人 田中梨花  実印

 

住所 東京都大田区〇〇
生年月日 昭和61年6月6日
相続人 田中直樹  実印

 

住所 埼玉県さいたま市〇〇
生年月日 昭和63年2月23日
相続人 田中和宏 実印

遺産分割協議に応じない相続人がいる時はどうすればいい?

遺産分割協議に応じない相続人がいるときは、本当にめんどくさいです。
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。
ひとりでもかけていたら、無効になります。
欠席裁判もゆるされません。

「じゃあ、どうしても応じてくれないとき、どうしたらいいの?」

という気持ちはわかりますが、たとえ応じてくれない相続人がいたとしても、その人を抜きで勝手に行ってよいというものではありません。
遺産分割協議に応じてくれない相続人がいる場合は、

  • なんとかして説得して遺産分割協議に参加してもらう
  • 距離的に厳しいときは、電話、スカイプ、LINE、チャットワークなど、オンラインで参加してもらう

などというような手段で、なんとか参加させてください。

それでも、どうしてもだめなときは、

  • 調停を申し立てる
  • 調停にも応じてくれない場合は、審判を申立てて、家庭裁判所で分割

という手段があります。
最終手段なので、本当はなんとかして、遺産分割協議に出てきてもらうのがベターです。

遺産分割協議はやり直せる?

遺産分割協議は、そんなに簡単にやり直せるものではありません。
原則として、一度合意した遺産分割をやり直すことは、不可能です。

ただし、民法の考え方と同様、

  • 取り消し
  • 解除
  • 無効

にあたる場合は、やり直すことができます。

取り消しにあたるケース

遺産分割協議が取り消しできる場合は、錯誤や詐欺などにあたるときです。
つまり、

  • 事実を誤って聞かされていた
  • 詐欺をされた
  • 脅迫を受けて本意ではなく合意した

などのとき、当該遺産分割協議は取り消すことができます。

解除にあたるケース

次に解除ができるのは、契約に基づく債務不履行があった場合です。
通常の債務不履行責任と同様の考え方をしていきますが、遺産分割協議においては、相続人の1人が協議で決まった債務の不履行があった場合でも解除できないという最高裁判例があります。
債務不履行に基づく解除ではなく、まずは履行を請求していくことになります。

また、相続人全員が、解除に同意した場合は、当該遺産分割協議は解除されます。

無効にあたるケース

最後に、無効の場合は、取り消しや解除のように一旦は有効な遺産分割協議にならず、はじめから無効な遺産分割だったということになります。
かなり強い効果ですよね。
これはどういうケースでおきるかというと、

  • 相続人以外の関係のない第三者が参加して遺産分割協議が行われていた場合
  • ひとりでも本来参加すべき相続人が参加せずに遺産分割協議が行われていた場合
  • 意思表示できない人や判断能力がない相続人がいた場合(成年後見人などの法定代理人がいない)
  • 行方不明だった相続人が遺産分割協議の合意後に見つかった場合
  • 新たな相続財産が見つかった場合

というようなケースです。
これら場合は、遺産分割協議が取り消しというよりは、はじめから無かった無効ということになります。

遺産分割協議終了後に遺言が見つかったら?

身内が亡くなり、遺言の存在を聞かされておらず、遺産分割協議を行ったあと、家の中を片付けていたら、遺言が見つかったなんてこと、よくあります。
そんなとき、

「遺産分割協議が終わってるんだけど、遺言が見つかっちゃった。どうしたらいい?」

という質問をよくいただきます。
この場合、基本的には、遺言が優先されます。
なので、遺産分割協議の上で作成した遺産分割協議書があったとしても、それは無効という扱いになり、もう一度遺産分割協議をやり直す必要があります。

「でも、相続人のだれも遺言書通りの分割を希望していないけど、それでも遺言通りに分割しないとだめ?」

という質問もありました。
相続人全員が遺言書の内容をしっかりと確認し認識した上で、それでもなお全員が遺産分割協議で決まった遺産分割の内容で合意している場合、遺産分割協議を再度行う必要はありません。

ただし、1点だけ注意点があります。
遺言が相続人に財産を分けるという内容だといいのですが、まれに相続人以外の人に財産を分けると書かれているケースがあります。
これを遺贈というのですが、この遺贈が書かれた内容の遺言書だった場合は、その部分に関してはいくら相続人の合意があったとしても遺言の内容が優先されます。

土地や建物の登記はどうすればいい?

相続税対策 物件 登記

遺産分割協議が終わり、無事に遺産分割協議書が作成できたら、次は土地や建物などの不動産の相続登記をする必要があります。
遺産分割協議書を持って、不動産の登記を行ってください。

相続登記は、不動産を相続する相続人がする必要があります。
共有のときは、代表してひとりが登記の手続きを行ってください。

シンプルな相続登記ですと、ご自身で必要書類を揃えて登記することも不可能ではありません。
その場合は、「初心者でも相続登記を自分で行う方法を解説!必要書類から手続きまで司法書士なしで節約する裏技!」にいろいろと手続き等をまとめましたので、ご参照ください。
ただ、時間がもったいなかったり、金銭的に余裕がある方は、登記のプロの司法書士に任せるとよいでしょう。

なお、不動産の相続登記については、「不動産の相続登記で初心者でも知っておくべき知識を全て解説!」に詳細にまとめておりますので、ご参照ください。

まとめ

今回は、遺産相続で不動産を分割する方法について解説してきました。
遺産相続の中で大きな割合を占めることが多い不動産ですが、分割でもめたり、放置して共有のままで後々手がつけられなくなったり、問題が多く発生します。
専門家の知識や知見も借りながら、うまく不動産の分割を取りまとめることが大切です。