事業承継はいつから考えればいい?対策の検討開始時期は60歳で、65歳にバントンタッチが最適

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「事業承継に向けて、いつから考えたらいいんでしょうか?」

最近事業承継税制が変わって、事業承継に着目が集まり出す仲、そんな質問をよく頂くようになりました。

社長はまだまだ元気。
でも、万が一の事があったときの準備はできていない。

そんな悩みを持つ方は、経営者の中でもかなり多くいらっしゃいます。
一概に絶対にここまではという答えはありませんが、現在の経営者が60歳になったときが、ひとつの目安として上げられます。
そして、65歳にはバトンタッチできることが理想です。

今回は、そんな事業承継を考え始める時期について、考えてみたいと思います。

事業承継は簡単じゃない!

事業継承 いつから

事業承継を考えはじめる際、そもそも前提として、事業承継はかなりの時間と労力がかかる可能性が高いということを知っておく必要があります。
株式の譲渡みたいに簡単にできるものではありませんし、場合によっては後継者を育成するためや後継者に業務を引き継ぐために何年も必要になります。

事業承継にかかる労力

事業承継は、株式を譲渡したり、社長の役職を単に変わるだけではおわりません。
そんなにシンプルに事業が次の世代に引き継げたら、誰も苦労しないですよね。
一部、上場企業とかで、体制がしっかり整い、かつ人材も豊富とかなら話は別なこともあるかもしれませんが、基本的には、事業承継に向けて、様々な準備をしないといけません。

そして、その準備は、

  • 事業ポートフォリオを組み替える
  • リストラをする
  • 組織改変をする
  • ビジネスモデルを変える
  • 財務体質を健全化させる

などなど、現役の社長が健康で元気なうちにやらないと、なかなか一筋縄ではいかないことにまで手を付けないと行けなくなることもあります。
創業者のオーナー社長とかなら高齢になっても元気ですが、一般的にはそれでも高齢になってからこういったことにあまり手を付けたくないものです。
なので、まだまだ元気なうちに、ある程度将来の事業承継を見据えて、取り組みを少しずつしていくことが大切になります。

後継者の選別・育成期間

次に、事業承継といえば、後継者問題です。
後継者候補は、

  • 親族内や社内で探すケース
  • 外部から探すケース

の2つのパターンが多いかと思いますが、どちらのケースでも本当にその候補者に会社を任せていいのかを見極める期間が必要になります。
後継者候補が、創業社長と同じだけ優秀というケースはほとんどありません。
それは仕方がないとしても、少なくとも会社を潰さないだけの力があるのかを見極めないといけません。
社員やその家族の生活が掛っているので、単に息子だからという理由だけで無条件に承継させると、大変なことになりかねません。
もし力不足だった場合、違う後継者を探すか、もしくは後継者候補の方を育てる時間も必要になります。

事業承継を考える目安となる時期

事業継承 時期

では、事業承継には時間と労力がかかるとして、どれくらいの時期から事業承継を考えればいいのかという本題に入りたいと思います。
ここでは、目安をご紹介はしますが、事業承継は早く考えて準備すればするほど、選択肢も多くなります。

事業承継を考える目安としては、

  • 現経営者の社長が60歳
  • 子どもに承継する場合は30歳になったくらいのとき

というのがひとつの選択肢としてあります。
繰り返しますが、事業承継や早く準備するに越したことはないですが、状況によって、どちらかのタイミングがきたときは一度事業承継について考えたり、誰かに相談してみてもよいのではないでしょうか。

現経営者の社長が60歳

まず、現経営者の社長が60歳になったときというのが、ひとつの目安としていいと言われています。
というのは、厚生労働省が毎年発表している「簡易生命表」によると、男性の生存率は、

  • 60歳:92.826%
  • 65歳:89 083%
  • 70歳:83 344
  • 75歳:75 144
  • 80歳:63 282
  • 85歳:46 061

となっています。
つまり、60歳からあとは、年々生存率が急激に下がっていくのです。
女性でも、同様です。
このデータを見ていると、60歳に事業承継を考えはじめて、事業承継に5年かかるとすると、90%の確率で社長が生きている65歳に承継を終えるのが、会社としてはリスクが少ないといえます。
事業承継が5年遅れると、そのたびに10%前後の生存率が下がります。

一見は、大した確率の減少に思えないかもしれませんが、残される社員の立場に立ってください。
たとえ、6~7割の確率で社長が生きていても、3〜4割の確率で社長がいつ倒れるかわかりません。
心筋梗塞やガンなど、現在の死因になる病気は、突然やってきます。
やってきてから対策を立てていては、間に合わないかもしれません。
そして、会社の経営という社員とその家族の生活や人生が掛っている以上、間に合いませんでしたという失敗は許されません。
そう考えると、90%以上の確率で生存できている間に、事業承継について検討を始め、できれば承継を終わられてしまいたいものです。

子どもに承継する場合は30歳になったくらいのとき

次に、親族内承継をする場合は、事業承継する候補の子どもが、大体30歳くらいになったときに、検討をするのがよいかと思います。
あまりに若すぎると、経営する実力もないですし、そもそも跡継ぎ側に家業を継ぐ覚悟もできていないことが多いです。
10年弱社会人を積み、結婚したりや子どもが生まれたりと、身も固まってきたころに、社長を継ぐかどうか、別の道に歩むかも含めて、一緒に話し合うのがいいか思います。

実際に次年齢は、もっと遅くても構いません。
ただ、事業承継を準備するタイミングとして、30歳あたりをオススメします。
もちろん、社長がまだまだ元気ということもあるので、子どもを次期社長として経験を積ませて、いざというときにいつでも自分の変わりに社長につけるように育成していくのが重要です。
結果的に社長が80歳まで元気で、息子が社長を継いだのが50歳のときということになっても、それは問題ありませんし、よくあることです。

事業承継をまず誰に相談すればいい?

では、事業承継を検討始めるといっても、だれに相談すればいいのかわからないという声もよく聞きます。
中小企業庁の「企業経営の継続に関するアンケート調査」の事業承継に関する過去の相談相手を見ると、多くの方が、

  • 顧問公認会計士・税理士
  • 親族・友人・知人
  • 親族以外の役員・従業員
  • 他社の経営者
  • 取引先の経営者
  • 経営コンサルタント
  • 顧問以外の公認会計士・税理士
  • 弁護士
  • 民間のM&A仲介業者
  • 商工会・商工会議所
  • 事業引き継ぎ支援センター
  • よろず支援拠点

などに相談をしているようです。

オススメとしては、税理士です。
オーナー社長にとっては、

事業承継=資産承継

という側面があります。
事業の承継だけで結局株式がうまく後継者にわたらないと意味がないですし、株式だけもらっても経営できず潰れてもどうしようもありません。
相続と事業承継は、一体なのです。
なので、まずは、相続税務に詳しい税理士に相談するのがよいかと思います。
もしくは、事業承継に詳しい中小企業診断士に相談して、事業承継計画を作っていくのもよいでしょう。

その後、M&AならM&Aの仲介業者やアドバイザー、後継者人材探しだと人材会社という具合に、実際の経営をどう引き継ぐか次第で、専門家に相談していけば、スムーズに準備をすすめることができます。

まとめ

今回は、事業承継を考え始める時期について、解説してきました。
生存率がそこまで下がらない60歳のうちに検討を始めて、5年かけて承継を行うか、親族内承継をする際は子どもが30歳くらいになったときがいいと考えられます。
ただ、これらはあくまで目安で、実際は事業承継を早く検討始めればそれだけ準備もしっかりできるので、ベターです。

創業社長は、自分の事業をスムーズに引き継ぐ責任があります。
せっかくここまで気づきあげてきた自分の資産を守るという観点もありますが、同時に従業員やその家族の生活がかかっています。
人間はいつまでも生きていないので、だらだら運を天に任せて事業承継の時期やきっかけを待つのは、よくありません。
相談からだけでもいいので、事業承継を意識したら、すぐに行動してみましょう。