遺産分割協議書について初心者でも知っておくべき知識を全て解説!

遺産分割協議書

遺産分割の際に、財産分与を協議した結果をまとめる「遺産分割協議書」
相続になれた税理士、弁護士、司法書士に相談にいくと、相続ではあまりにも一般的なものではたしかにあるので、

「遺産分割協議書」

って単語、あたかも知ってるかのごとく話されます。

でも、普通の一般の人にとって、相続人になることなんて、一生に何度あるかわからないくらい滅多にないことなので、最初はちんぷんかんぷん。

そこで、今回は初めて相続人になった方のために、遺産相続協議書について初心者でも知っておくべき知識を全て解説していきたいと思います。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書 とは

では、まずは、遺産分割協議書とは何かという、基本的な話から初めます。

遺産分割協議書というのは、読んで字のごとくなのですが、全相続人が集まって遺産分割をどうするかの協議をした結果を記載する書類のことをいいます。

遺産分割協議で決められた内容をあとでひっくり返されないように、遺産分割協議書と言うかたちで残す契約書のようなものです。

といってもどんなものかイメージできないと思うので、遺産分割協議書のサンプルを掲載しておきます。
このような感じで、だれのどの遺産を、だれが引き継ぐのかを記載してまとめたものです。

実際の作り方は、このあと順番に解説していきますね。

遺産分割協議書

被相続人 田中一郎(昭和47年1月27日生まれ)
死亡日(相続発生の日)  平成30年4月7日
本籍地  東京都目黒区目黒本町〇〇
最終の住所地 東京都新宿区〇〇

 

被相続人田中一郎の遺産相続について相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに被相続人の遺産を分割取得することに合意した。

 

1.相続財産中、次の不動産については、被相続人の妻田中梨花が相続する

所在  大阪府北区〇〇
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇平方メートル

 

所在 大阪府北区〇〇
家屋番号 〇〇番
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建て
床面積 1階部分 〇平方メートル
2階部分 〇平方メートル

 

2.下記の預貯金は長男田中直樹が相続する

みずほ銀行難波支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 田中一郎

 

3.被相続人のその他の財産については、次男田中和宏が取得する

 

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証明するため、本協議書を4通作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各1通ずつ所持する。

 

平成30年4月30日(作成日)

 

住所 大阪府北区〇〇
生年月日 昭和39年2月1日
相続人 田中梨花  実印

 

住所 東京都大田区〇〇
生年月日 昭和61年6月6日
相続人 田中直樹  実印

 

住所 埼玉県さいたま市〇〇
生年月日 昭和63年2月23日
相続人 田中和宏 実印

遺産分割協議はどういうときに必要?

換価分割とは 遺産分割協議

遺産分割協議は、遺産の分割を協議しないといけないケースで必要になります。

  • 相続人が複数いる場合
  • 遺言がない・完全でない場合
  • 相続人の合意による分割

それ以外で、たとえば遺言状があって、遺産分割をそれ以上に協議する必要がないような場合は、遺産分割協議は必要ありませんし、したがって遺産分割協議書も作成する必要がありません。

相続人が複数いる場合

そもそも遺産分割協議は、遺産を分割する協議です。

つまり、遺産を分割する相手がいないと、協議するにもできません。
相続人が自分ひとりしかいないような場合は、自動的にその人が100%を相続するので、協議する必要もありません。
当然に遺産分割協議書の作成も不要です。

なので、遺産分割協議は、相続人が複数いる場合で、遺産の分割に議論の余地のあるときに行われます。

遺言がない・完全でない場合

次に、遺産分割協議が必要なケースは、遺言がない場合や、遺言だけで遺産分割が完全にできない場合です。

有効な遺言状があって、その遺言で全ての相続財産の分割が定められていたら、もうそれ以上相続人で集まって協議する必要はありませんよね。
なので、遺言のない場合に、遺産分割協議は必要になります。

また、仮に遺言状が残されていた場合でも、

  • 分割方法が包括遺贈(「全財産のXXX%を○○に渡す」という遺贈)の場合
  • 一部についてのみ処分方法が指定されている場合

などの場合は、相続人でどう遺産を分けるかという協議を持たなければならないので、遺産分割協議が必要になります。

包括遺贈については、「遺言によって財産を渡す包括遺贈と特定遺贈の全て!どっちを選択すればいい?」に詳しくまとめてありますので、ご参考にしてください。

相続人の合意による分割

仮に遺言があったとしても、絶対にそれに縛られないといけないというわけではありません。

相続人全員が合意すれば、遺言状に書かれた分割とは別の財産分割が可能です。その場合は、遺言状のない場合と同様に、全相続人が集まり、遺産分割協議をする必要があります。

なぜ遺産分割協議書は必要?

敵対的買収 とは

上記で、遺産分割協議の内容をまとめるのが、遺産分割協議書という旨を解説しました。

でも、別に遺産分割協議の内容を、わざわざ堅苦しい文書でまとめなくてもいいじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

遠い親戚や疎遠な親戚が相続人にいる場合は別ですが、たとえば仲のいい2人兄弟が協議で親の財産を分ける場合で、しかも円満に協議ができた時などは、そんな堅苦しい形式的な書類が必要ないようにも思います。

でも、遺産分割協議書は、

  • 遺産分割協議内容の第三者への明示
  • トラブルを防止
  • 相続登記の必要書類

という理由で、基本的に作成する必要があります。
それが、かりに仲のいい兄弟がごく円満に遺産分割をした場合でもです。

遺産分割協議内容の第三者への明示

遺産分割協議書を作成することで、遺産分割協議内容を第三者へ明示することができます。
身内の中でこっそり分割しただけですと、第三者から見ると、誰が権利者かわかりません。

そうすると、不動産や、骨董品、宝石など少し効果なものを売却する際に、本当にその人が持ち主なのかを確認しようと思うと、遺産分割協議書を使うことで所有権の所在を主張することができたります。

そんなしょっちゅう第三者に明示するために使うことがあるわけではありませんが、役立つときもあります。

また、いまは遺産分割協議をした相続人が生きているので問題ないかもしれませんが、相続人がさらに死んで、また相続が発生したときなど、次の相続人が相続内容を知ることが出来る手段にもなります。

つまり、祖父から父親にどう相続が起きたかを、孫が父親の財産を相続する際に知ることができるのは、遺産分割協議書が残っているからだったりします。

トラブルを防止

遺産分割協議書は、のちのちのトラブル防止にも役立ちます。

遺産分割協議は、いくら円満に協議が終わったとしても、あとでいろいろ揉めることがしょっちゅうあります。
たとえ、親兄弟でも、お金の話で揉めている家族はたくさんあるのと同じで、そのときはよくても、あとで様々な問題が起きてきかねません。

そんなときのために、契約書として、遺産分割協議書を作っておくことで、

  • 聞いてなかった
  • 聞いていたことと違う
  • やはりこっちの方が良い
  • そこは合意したつもりはない

などという点を防止することができます。

相続登記の必要書類

遺産分割協議書は、不動産の相続登記の際に、必要になります。
これは必要書類なので、もしなかったら、相続の登記が行われません。

相続登記に必要な書類については、「初心者でも相続登記を自分で行う方法を解説!必要書類から手続きまで司法書士なしで節約する裏技!」にまとめましたので、ご参考にしてください。

遺産分割協議書が必要なのに作らないとどうなる?

遺産分割協議書は、特に作る義務があるわけではありません。
とくに遺産分割協議書を作らないからといって、罰則を受けることも、追徴課税を支払う必要があることもありません。
不動産の相続登記がなければ、提出する先すらありません。

ところが、それでも遺産分割協議書は作っておかないと、

  • 各種相続手続き
  • トラブル再発
  • 勝手に資産を処分される危険
  • 予期せぬ相続税の課税

というリスクはあります。

一つずつ解説していきたいと思います。

各種相続手続き

遺産分割協議書がないと、各種名義変更手続きができません。
具体的には、

  • 不動産の登記
  • 株の名義変更
  • 車や電話番号などの名義変更
  • 銀行預金の解約や払い戻し
  • 相続税の申告・更正の請求

ができないことになります。

別に名義変更できないと勝手に所有権を国に取り上げられるとかではありませんが、いろいろ不都合はあります。
また、名義変更を放置していて、さらに相続人がなくなってもう一度相続が起こってしまうと、さらにややこしいことになります。
特に不動産は、時間が立てば経つほど、相続登記が困難になりますし、場合によってはお手上げの状態になることも珍しくありません。

トラブル再発

遺産分割協議書がないと、あとで遺産分割についてトラブルが再発することがあります。

ようやくまとまった遺産分割なのに、もう一度やらせろと主張してくる人や、あれは無効だったとか、間違っているとかいうことを言って、再度遺産分割協議をやることになることも少なくありません。
場合によっては、いきなり家庭裁判所で遺産分割調停を起こしてくる人もいることがあります。

一度まとまった遺産分割協議の内容を、契約書や証明書という意味で、遺産分割協議書としてまとめておくことで、あとでこのようなトラブルになることを防止することができます。

勝手に資産を処分される危険

遺産分割協議書を作成しないと、他の相続人が勝手に売却されたり、抵当権を設定されてしまう危険があります。
預金についても、相続人は法定相続分に応じた額を出金することができます。
遺産分割協議の内容は第三者にはわからないので、遺産分割協議書を作成して、所有権を明確にしておかないと、勝手に資産を処分される危険や、勝手に処分されたときに原状回復をする手段が限られてしまいます。

予期せぬ相続税の課税

最後に、予期せぬ相続税の課税を受けることがあります。

どういうことかというと、相続税の様々な控除を受けるために、遺産分割協議書を相続税申告の際に添付することを求められることがあります。
遺産分割協議書がないと、税理士が控除を受けられるからとアドバイスをくれていても、実際に控除を受けられなくなり、予期せぬ相続税が課税されることになります。

特に、遺産分割協議によって、本来の法定相続分より少ない遺産を分与される場合は、注意が必要です。
通常あら、法定相続分は課税される前提で税務署も考えるので、それ以下の相続分しかもらわないことは、別途証明する必要があるというわけです。
その証明のために、遺産分割協議書が必要になるので、本来より少ない分を相続する方は、かならず遺産分割協議書を準備するようにしましょう。

遺産分割協議書の作成方法

跡継ぎ 方法 遺産分割協議書

では、次に遺産分割協議書の作成方法について、解説していきたいと思います。
遺産分割協議書は、遺産分割協議が終わったら、その遺産分割協議の内容にもとづいて作成します。

書き方は、上記で載せたサンプルのように、

  • タイトル「遺産分割協議書」
  • 被相続人の情報:氏名、本籍地、住所、生年月日、死亡日
  • 全相続人:住所、氏名、被相続人との関係
  • 遺産内容
  • 分割の方法

を記載していきます。
特に形式があるわけではないので、以下のようにサンプルに従って作成すれば問題ありません。
上記でも一度サンプルを掲載していますが、もう一度載せておきますね。

遺産分割協議書のサンプル

遺産分割協議書

被相続人 田中一郎(昭和47年1月27日生まれ)
死亡日(相続発生の日)  平成30年4月7日
本籍地  東京都目黒区目黒本町〇〇
最終の住所地 東京都新宿区〇〇

 

被相続人田中一郎の遺産相続について相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに被相続人の遺産を分割取得することに合意した。

 

1.相続財産中、次の不動産については、被相続人の妻田中梨花が相続する

所在  大阪府北区〇〇
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇平方メートル

 

所在 大阪府北区〇〇
家屋番号 〇〇番
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建て
床面積 1階部分 〇平方メートル
2階部分 〇平方メートル

 

2.下記の預貯金は長男田中直樹が相続する

みずほ銀行難波支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 田中一郎

 

3.被相続人のその他の財産については、次男田中和宏が取得する

 

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証明するため、本協議書を4通作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各1通ずつ所持する。

 

平成30年4月30日(作成日)

 

住所 大阪府北区〇〇
生年月日 昭和39年2月1日
相続人 田中梨花  実印

 

住所 東京都大田区〇〇
生年月日 昭和61年6月6日
相続人 田中直樹  実印

 

住所 埼玉県さいたま市〇〇
生年月日 昭和63年2月23日
相続人 田中和宏  実印

遺産分割協議書作成のポイント・注意点

遺産分割協議書 注意点

遺産分割協議書自体の作成は、サンプルの通りに記載していけば、そんなに難しくありません。
特に、弁護士や司法書士、税理士などの先生にお願いする必要もなく、簡単に作成できます。

ただ、何点か作成のポイント・注意点があるので、解説していきたいと思います。

資産目録を作成

遺産分割協議書には、資産目録もつけるようにしましょう。
遺産の内容と評価額をまとめて一覧にしておくことで、特に資産一覧が多いときに、あとでなにかと便利です。
分割内容を遺産分割協議書に書くので、必ずしも必要ではありませんが、残しておくことをおすすめします。

作成枚数は相続人の人数分

遺産分割協議書は、通常の契約書と同様、相続人の数だけ作成します。
そして、ひとりだけが保管するのではなく、各相続人がそれぞれ1部ずつ保管しておくことになります。

売買契約書とかだと2者で結ぶことが多いので、2通で済むことが多いですが、遺産分割協議書は相続人が多数になることもあります。
そうすると、作成しなけらばならない部数も多くなりますが、それは仕方がありません。

特に、全員がなんらかの不動産を相続したりすると、それぞれの持ち分の登記をそれぞれの相続人が行うことになります。
そうすると、遺産分割協議書が全員必要になります。

相続人が多くなると、たしかに人数分作るのはめんどくさく、代表者だけが持つようにしたい気持ちはわかります。
でも、トラブル防止や手続きのために、10通でも20通でも全員分を作成するようにしてください。

各相続人の押印は実印

遺産分割協議書は、遺産の分割について協議した結果の契約書みたいなものです。
なので、各相続人の印鑑が必要ですし、基本的には実印を使用します。

有効か無効かでいうと、別に実印である必要はありません。
ただ、実印は印鑑証明と一緒に使用されることで、確実にその相続人が合意した遺産分割協議書であることを証明できます。
実印以外ですと、相続人以外の人が、相続人の印鑑を勝手に使って契約したものだと主張されてしまうと、どうしようもなくなることがあります。

そんなことありえないと思われるかもしれませんが、お金がからむと、本当にそれくらいのトラブルはよくある話です。
なので、のちのちのトラブルを避けるという観点でも、実印を使用された方がよろしいです。

さらに、不動産の相続などで登記の変更が必要な場合は、実印を押してある遺産分割協議書が必要になります。

実印以外の認印を使用した遺産分割協議書も法律上は有効ですが、法務局は手続きの際に使用する遺産分割協議書としては受け付けてはくれません。
なので、認印で遺産分割協議書を作ってしまうと、不動産の相続登記の際に再度実印を用いて作り直すことになります。

契印が必要

契印というのは、ページとページの間に押印することです。
契約書などで、複数のページの契約書になった場合、この印鑑を通常は押しますよね。
あれと同じで、遺産分割協議書も長くなって複数枚になった場合は、各ページの間に印鑑を押して、勝手に差し替えられないようにします。

もしくは、ホッチキスでとめた遺産分割協議書に製本テープで製本して、製本テープと表紙の間に印鑑を押すことでも問題ありません。
製本テープはamazonなどで安く購入でき、枚数が多くなるときにオススメです。

割印が必要

遺産分割協議書は、相続人の数分を作ることを上で解説しました。
その際、どの遺産分割協議書も同じ内容であることを証明する必要があります。

そのためにするのが、割り印と呼ばれるものです。
遺産分割協議書に限らず、よく契約書とかでもやりますよね。

割り印は各契約書をすこじずらして、両契約書にまたがる形で印鑑を押します。
印鑑はひとりではなく、全相続人が押すことで、それらの遺産分割協議書の内容は同じであることを証明します。

遺産分割協議書を作成する際はだれに相談すべき?

後継者問題 選び方 遺産分割協議書

遺産分割協議書は、弁護士に相談するのがおすすめです。
もちろん自分で作成しても構いませんが、

  • 遺産の棚卸で抜け漏れを作らない
  • 登記や名義変更で利用するので正確性が必要
  • 未成年や認知症の方がいる場合にややこしい
  • 相続放棄や相続分の譲渡があった際に、法律構成が複雑

などの観点で、プロに依頼するのが効率的ではあります。
とはいいつつ、弁護士は使い方も重要です。

遺産分割や遺産分割協議書の作成を丸投げで包括的に頼むのもアリですし、一旦自分で作ってみてできない部分だけ依頼したり、チェックをお願いしたりすることで部分的に依頼して、コストを下げることもできます。

どういう依頼の仕方がいいのかは一概には言えませんが、相続人の数、遺産の多さ、法律関係の複雑さなどから、判断すればいいと思います。
相続人が母親と自分の2人しかおらず、相続財産も家だけなのに、わざわざ全てを弁護士に任せる必要はないですよね。

一方で、多くの資産があり、相続人が揉めていたりして、しかもその中に認知症の方がいるような場合は、遺産分割自体に弁護士が入った方がスムーズにいきます。
自分の場合、どういう弁護士の使い方がいいのかも含めて、弁護士の先生に相談してみるのがよいかと思います。

遺産分割協議書は手書きでもOK?

遺産分割協議書は、当然、パソコンで作成しても問題ありません。

いまどきパソコンで作成できない文章なんてほとんどないです。
ほとんどというのは、相続でいうと自筆証書遺言など、必ず自筆で記載しないといけないものも、たしかにまだ残っているからです。
ただ、遺産分割協議書については、通常の契約書などと同様に、特に効力発生が特定の形式に依存しません。
どんな形式で書いても問題ありません。

ただし、契約書と同様に、全相続人の署名は、自筆にしましょう。

契約書でも、最後の署名と押印だけは、自筆でやりますよね。
それと同じです。

遺産分割協議書を公正証書にすることも可能?

遺産分割協議書 公正証書

遺産分割協議書は、公正証書として作成することも可能です。
遺産分割協議書を、公証人役場で、公証人が公文書として作成することで、信用性が高くなります。

  • 相続でトラブルになりそうなとき
  • 遺産分割の内容をあとで蒸し返される危険があるとき
  • 代償分割で不動産を相続した場合
  • 遺産分割協議書を紛失しないため

などの場合は、公正証書による遺産分割協議書にしておくのがよいかと思います。

公正証書による遺産分割協議書にすると、あとで遺産分割協議書の真偽が問題になった争いになった場合などで、基本的に裁判所でも有効になります。

また、公正証書による遺産分割協議書に基づいて、遺産分割協議の内容に従わない相続人がいるときに、差し押さえなどの強制執行をすることもできます。

もしあとから相続の分割内容で蒸し返されたくなかったり、ちょっとトラブルになりそうだなというときは、公正証書による遺産分割協議書にしておくと安心です。

また、公正証書による遺産分割協議書にすると、公証役場に保存されるため、保管や紛失の心配がありません。
いつでも写しを発行してもらえるので、非常に便利です。

費用的には、公正証書による遺産分割協議書にすると、2万円〜8万円程度がかかります。
幅は、遺産の評価額によります。
長期の保管料と考えるだけでも、そんなに高くないかと思います。

遺産分割協議書の保管方法は?

遺産分割協議書は、自宅の金庫や銀行の貸金庫で保管する人が多いようです。
やはり大切な書類ですし、普段は必要なくても、いざかつての遺産分割協議が問題になったときなどに、役立つ書類です。
なくしてしまうと大変なので、基本的には通帳などの重要なものを扱うのと同様に、しっかり管理しましょう。

遺産分割協議書はいつまで保管する?

遺産分割協議書 期限

遺産分割協議書は、法律や制度的に、保管期限はありません。
一応、相続登記など一連の遺産相続の手続きが終わるまでは保管しておくとよいですが、それ以降は別に捨てたところで問題ないといえばないです。

ただし、将来的に、

  • 当時の遺産分割の内容を証明しないといけない場合
  • 遺産分割の内容を蒸し返してくる相続人がいたときなどのトラブル
  • 新たな相続人が見つかって遺産分割協議をやり直す

などは起こりえます。
なので、基本的に、遺産分割協議書の保管期限はありませんが、いつまでも保管しておいた方がいいでしょう。

いつまでも保管するのがめんどくさい場合は、前述の公正証書による遺産分割協議書を作成するといいかと思います。
銀行の貸金庫とかも毎月数千円かかりますし、遺産分割協議書の保管のために借り続けるのも高くつきます。
公正証書による遺産分割協議書だと、最初は資産額に応じて少し必要が発生しますが、それでも、長期的に見れば十分に元が取れると思います。

 

相続人に未成年がいる場合はどうなる?

遺産分割協議書 未成年

相続人に未成年の方がいる場合、いくら法定相続人であろうとも未成年者本人の署名押印では、遺産分割協議書は有効に成立しません。
ちょうど、契約書を作るときに、未成年者は、親の同意がいることと似ています。
スマホとかの契約でも、未成年は親の同意がいりますよね。

感覚的に相続で遺産分割協議書を作成する際、未成年が相続人にいたら親の同意がいるのかなというのはおわかり頂けると思います。
民法的な考え方を解説しておくと、未成年は、単独で有効な法律行為ができないので、法定代理人としての親権者が署名押印をする必要があるわけです。

未成年は、やはり判断能力に限界があるので、遺産分割協議で他の相続人にいいように騙されるかもしれませんよね。
そうならないために、しっかりと判断能力があり、未成年のために行動できる大人である法定代理人が、当該未成年が行った行為に同意しないと、法律的に有効といえなくなるわけです。

「でも、普通、未成年だけで相続人にならず、親も相続人になることが多いんじゃないの?そしたら、いいように親に丸め込まれて、未成年保護の観点では問題あるんじゃ・・・」

という意見、ごもっともです。
通常は、片方の親が亡くなった場合は、もう片方の親(亡くなった方の配偶者)と子どもが相続人になります。
そうすると、親の利害と子どもの利害が必ずしも一致するとは限りません。
たとえば、複数土地がある場合、駅前のいい土地は親が全て相続して、山の方の使いみちはないけど広い土地だけ子どもに相続をさせるなどが考えられます。
法定相続分は決められているのである程度は平等にわけられますが、相続税評価額が同じでも市場価格の高いところを自分が貰ってしまうというようなことも十分考えられますよね。

そうならないように、相続人に未成年がおり、かつその未成年の法定代理人も相続人の場合は、家庭裁判所に申し立てをすることで、未成年の特別代理人を選任することができます。
そして、その特別代理人の同意がない限り、未成年が相続人にいる場合の遺産分割協議書は有効になりません。
そうすることで、親と子どもの利害が対立したときに、一方的に親にだけ有利な遺産分割にならないようにすることができるという制度になっています。

相続人に認知症がいる場合はどうする?

後継者問題 後継者不足 相続

相続人に未成年がいる場合と同様に、相続人に認知症の方がいる場合も注意が必要です。

認知症の方も、未成年の方と同様に、はっきりした意思決定ができないにもかかわらず、他の相続人にいいように言いくるめられて同意してしまうのを保護する必要があります。

ただし、認知症の場合は、全員が自動的に保護する対象となるわけではありません。
成年後見などのケースで、民法上単独で意思能力を制限している場合だけは、遺産分割協議についても単独で行ったら有効にはなりません。

通常の契約の場合と同様に、成年後見人がいる場合は、その成年後見人が認知症の相続人の代わりに署名押印をすることで、遺産分割協議書は有効になります。

相続人が外国にいる場合はどうする?

売却 海外 外国籍

最近は、定年後に海外に住まれる方も多くなってきました。
若い人でも、海外に赴任していたり、そもそも移住している方も多くいます。

そうすると、相続の際に、相続人の中に海外に住んでいる人がいる場合があります。
その場合は、少し面倒なので、注意が必要です。

というのは、海外に住んでいると、海外で印鑑登録証明書が取得できません。
意外と知られていないのですが、日本に住民票を残している場合でないと、海外居住者は印鑑証明がないのです。

考えてみれば、印鑑証明は、市区町村役場などの自治体が発行していますよね。
日本で住民票を抹消している場合、どこの自治体に登録するかというと、どこも印鑑を登録できる自治体がありません。
そもそも、海外に住んでいて、日本の印鑑証明を求められることもほとんどないですし。
そうすると、実印を使う契約書が作れないことになります。

では、どうするかというと、日本大使館や領事館などの在外公館で、印鑑証明の代わりに、サイン証明書という証明書を発行してもらう必要があります。

サイン証明書は、署名証明ともいいます。
このサイン証明書が、海外では印鑑証明書の代わりになります。

サイン証明書は、日本大使館や領事館などの在外公館で、担当の領事の目の前でサインをして、そのサインが本人が書いた本物であることを証明してもらいます。
手数料は1,700円で、それぞれの現地通過で支払いをします。

このサイン証明書を在外公館で取得したら、あとはそれを印鑑証明と同じ感覚で、各種書類に添付すればいいです。
念のため、多めに取得しておくと便利です。

遺産分割協議書作成後に新しい財産が見つかったらどうする?

遺産分割協議書 新しい遺産

遺産分割協議を行う際に、遺産内容についていくらしっかり調査をしていても、あとで新しく財産が見つかるときがあります。
その場合は、基本的には再度相続人が集まって遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作り直します。
つまり、やり直しですね。

ただし、最初に遺産分割協議書を作成する際に、将来新たな遺産が見つかったときに、どのように分配するかを決めておくことができます。
そうすると、そのときに再度相続人が集まって、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作り直す手間は省けます。

 

まとめ

今回は、初めて相続人になることになった方のために、遺産相続協議書について初心者でも知っておくべき知識を全て解説してきました。

遺産分割協議書は、ただ遺産分割協議の内容をまとめるだけなのですが、公正証書にすると便利だったり、未成年や認知症の方などややこしい場合もあります。

間違いようのない公正証書にするか、専門家に相談しながら作成するのがよいかと思います!