相談するにあたり考えたい専門家の繁忙期

専門家 繁盛記

いま自分が直面している課題を解決すべく、はじめて専門家に相談するときは、とても緊張するもの。

たくさんの伝達事項があります。現状の課題や、これから自分はどうしていきたいのか。専門家に時間を確保して貰って、順序立てて説明していきたいものです。もちろん、その専門家にセンシティブな情報を相談してもいいのかという信頼関係の部分もあるでしょう。

専門家としても、顧客の人生を決める対応は、その悩みの背景を聞き、判断を伝えたいものです。そこには必然的に時間がかかるため、「大丈夫ですよ、一から話を聞きます」という方に話をしたい、という顧客の声は強いもの。

 

ただ、専門家にとって業務の忙しい「繁忙期」といわれる期間があります。この期間にアポイントをとったところで顧客にとっても、専門家にとっても望まない中途半端な状況になることは止むを得ず。

そこで今回は、専門家それぞれの「繁忙期」を紐解いていきましょう。

 

1. 各専門家の繁忙期

株式交換 事例

 

(1)税理士・公認会計士

税理士の繁忙期は主に2つあります。ひとつは「確定申告」です。

毎年2月16日~3月15日にかけて、前年度の「個人」の所得にもとづき所得税と住民税を支払う手続きです。主に各納税者が税務署に赴き手続きをすることになっています(郵送やメールによる方法もあります)。会社員ではなく個人事業主が対象となっていますが、住宅ローン減税利用者の初年度など会社員でも対象となる場合があります。

一般的に、個人事業主は税理士に依頼する必要性がありません。

現在の確定申告はfreeeやMFクラウド(マネーフォワード社)で簡単に出来るため、税理士に依頼する時間があれば手続きが終わってしまいます。ただ、実は会社の経営者も役員として確定申告をする必要があり、対象期間である2月末は社業も年度末として多忙を極める時期。レシートを入力する時間があるくらいなら会社にいたい。そんな状況で「丸ごと」税理士に頼む人も多いようです。

 

そのため税理士は、確定申告の始まる1月中旬(まさに年を明けてすぐ)から3月第2週にかけて業務がピークを迎えます。

この期間は何日も休んでいない税理士も多く、ほかの業務や人脈拡大をいったん止めて確定申告業務に集中します。確定申告が終わると日本の多くの地域はちょうど花見の季節。税理士にとって桜の花は、一年最大の繁忙期を終えたご褒美でもあるのです。公認会計士も税理士登録をすることができます。そのため公認会計士も、確定申告の時期は大忙し。

 

両者は確定申告が終わると、3月末の法人決算対策に集中する人も多いです。

日本全国の法人(株式会社、合資会社など)は一年に一回の「決算」を設定しておりますが、いわゆる年度末に合わせて決算を3月末としている法人は多いです。決算後、決算申告書を作成するときに、税理士や公認会計士の方々の力が発揮されます。ここは桜の散るまでに、とはいかないもので、本当の休みはゴールデンウィーク以降というところでしょうか。

 

(2)弁護士

一方の弁護士は忙しいスケジュールに季節感はありません。

依頼者からの訴訟案件の進捗次第といえるでしょうか。会社に関連した「企業法務」を中心に活動している弁護士は前述のように、決算のタイミングで活動の増える傾向があります。より細かくいえば決算で忙しくなる会計資格に対し、そのまえの企業買収や資本政策で忙しくなるのが弁護士という区分けができるでしょう。

 

(3)その他の資格

不動産資格の場合も決算がポイントです。

特に法人は決算の前に資産のポートフォリオを再構築するために不動産の購入・売却を行うことが多いため、やはり1月から3月にかけて繁忙期が訪れます。これは土地の評価算定をする不動産鑑定士や土地面積を測定する測量士、不動産を仲介する宅地建物取引士も同様です。

 

ここまでをまとめると、資格によらず2月や3月は専門家の繁忙期といえます。これを逆算すると、たとえば家族のあいだで「これは専門家に相談しよう」となり、「お正月にもう一度話し合ってからね」というタイミングは適切ではありません。秋から冬にかけての10月から11月に専門家に打診し、「いつ頃までに問題が解決するか」をともに探る方が効果的といえるでしょう。

 

2. 専門家に余裕がある時期とは

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では反対に、専門家に余裕がある時期はいつなのでしょうか。この時期は相談するにあたり、専門家も時間的な余裕があるため、相談しやすいといえます。

 

繰り返し3月に繁忙期とお伝えしましたが、この時期が落ち着くのが夏前です。7月や8月は専門家も落ち着いて1年の戦略を組み直したり、福利厚生で社員旅行に行ったりという動きが目立ちます。ここから年の後半になると次年度の準備などが増えてくるため、時間のある相談には「夏場」がお勧め。専門家に相談したい事柄があって、余裕がありある程度時間を費やす必要がある場合は、夏場を狙うことはお勧めです。

 

専門家にもよりますが、秋口は翌年の税制大綱の要点が出るため、セミナー講師や執筆活動が増えてくる人も多くなってきます。

 

3. 繁忙期を外すと顧客が得られるメリットとは

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では繁忙期を外して相談をすると、顧客はどのような点がメリットなのでしょうか。

それは何よりも「時間を割いて貰えること」です。

 

専門家に相談するにあたり、依頼者からすれば「こうだろう」という部分でも、専門家からすれば専門的な知見からアドバイスできることは少なくありません。そのためにはまず、依頼者の「現状」を専門家と共有することが大切です。

 

たとえば相続の対策を専門家に依頼するとしましょう。

具体的に相続の対策をどうするかの前に、現状の相続試算を把握する必要があります。顧客が「不動産を相続人の子どもたちに承継しようと思うのです」と相談してきても、それが家族にとって本当に正しいのか、このタイミングで生前承継(贈与)することが適切なのかを専門家は判断することができます。これは相続案件に限った話ではありません。

 

依頼者が「こうだ」と思って決めていたことでも、専門家に照らし合わせると別の選択肢が考えられるケースがあります。そのときに大切なのは、専門家とのあいだに信頼関係を築くこと。

相続でいえば、現時点で資産を有している被相続人のみならず、次段階で資産を得る配偶者や子どもなどの相続人とも距離を詰めていることが理想です。そのためには、専門家にも「余裕」のある時期に悩んでいる課題を共有し、信頼関係を築くようにしましょう。

 

4. 専門家に相談する前に「整備」しておくこと

専門家 繁盛記 整備

とはいえ、専門家に相談できるタイミングの時期を自由に対応できるとは限りません。

そこで、繁忙期でも専門家に効率よく的確なアドバイスを貰えるためには、依頼者が「準備しておくべき」ポイントがあります。それが現時点の状況です。

 

資産運用ならば現在の資産総額やポートフォリオ。相続であれば現状の資産額や被相続人の希望する配分など、まずは「当人たちがどうしたいか」を固めておくことが大切です。

特に相続の場合は、現状資産を持っている被相続人だけではなく、ほかの家族がどのように考えていくかの共通認識を持っておくことが大切です。

もちろん専門家はプロフェッショナルのため、繁忙期に来られたからといって邪険に扱われることはありません。ただ、時間は有限的なため、「繁忙期を避ける」という考え方は顧客サイドにとっても、専門家側にとっても歓迎したい考え方です。ぜひ活用するようにしましょう。