非上場株式の譲渡や相続の方法・評価額について徹底解説!

非上場株式相続

日本の企業のほとんどは非上場株式を発行している非上場企業となっています。

したがって、あなたがお持ちの株式も非上場株式である可能性は高いです。

「非上場株式を売ってしまいたい」「非上場株式を相続したい」と考えているのではないでしょうか?

非上場株式を譲渡したり相続したりするには、手続きや税金について知っておくことが大切です。

今回は、非上場株式の譲渡や贈与、相続などの手続きについてご説明します。

非上場株式についてしっかり理解して、円滑に非上場株式を譲りましょう。

1.非上場株式とは

非上場株式 とは

非上場株式とは、上場株式と違い、証券取引所に上場していない株式のことです。

非上場株式のことは未公開株式とも呼びます。

株式を上場するというのは、株式を公開して自由に取引ができる状態にするということです。

非上場株式は上場株式のように投資家たちが自由に売買できないので、市場価格というものはありません。

1−1.上場企業と非上場企業の違い

証券取引所は、企業から上場の申請を受けると審査を行い、それに通った企業のみが上場企業となります。

審査のポイントは、事業の継続性や収益力などさまざまなものです。

日本の企業数は400万社を超えており、3,500社以上の会社が上場会社とされています。

したがって、上場株式を発行できる上場会社は、ほんの一握りなのが現状です。

企業を上場させるメリットは、社会的信用を得られたり、投資家から資金調達ができたりすることになります。

しかしながら、株式を公開して自由に売買できる状況にあるので、買い占められると企業運営に影響があることも出てくるので注意が必要です。

経営の自由度が下がることや、株主からの期待によって短期的な業績に左右されることを避けるため、あえて非上場企業のまま事業を行う企業もあります。

1−2.非上場株式は譲渡できる?

非上場株式は証券取引所に上場してはいませんが、譲渡することは可能です。

しかし、非上場株式のほとんどはその企業の役員や社員、関連会社などが持っています。

売買についてお互いに合意があれば譲渡はできますが、個人投資家が取引を成立させるのは難しいです。

1−3.非上場株式は担保にできる?

非上場株式も担保にすることができます。

注意点としては、非上場株式は市場価格がないということです。

したがって、担保価格を適切に決める必要があります。

市場での取引相場のない非上場株式の評価の方法を確認しておきましょう。

2.非上場株式の株価を評価する方法

非上場株式 株価

非上場株式は、取引相場のない株式とも言います。

非上場企業の評価額を決める流れは以下のようなものです。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定
評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定
評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定
評価手続き4.特定の評価会社の判定

順番に見ていきましょう。

評価手続き1.非上場株式評価上の株主の判定

評価したい非上場株式について、大株主か少数株主かを判断しなければなりません。

大株主とは、株式を会社の支配や経営権の行使のために使用していた場合です。

少数株主とは、株式の配当からのみ利益を得ていた場合です。

大株主の場合は原則的評価方式で株式評価がなされ、これには類似業種比準方式と純資産価格方式、これら2つの併用方式があります。

少数株主の場合は、特例的な株式評価である配当還元方式での評価です。

配当還元方式とは

配当還元方式とは、株式を所有することで受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

つまり、今、株主に配当をするならいくら出せるのかを計算します。

少数株主が用いるのは以下の計算式です。

配当還元価格 = ( 1株あたりの過去2年間の平均配当金額 / 10% ) × ( 1株あたりの資本金の額 ÷ 50 )

評価手続き2.非上場株式を発行する会社の規模を判定

取引相場のない株式は、評価会社の会社規模の大小に応じて、大会社、中会社、小会社に区分して評価をします。

大会社とは、従業員数が70人以上の会社です。

従業員数が70人未満の会社の場合は、以下のようになります。

卸売業
小売サービス
卸売業 小売サービス

(引用:取引相場のない株式等の評価(会社規模の判定基準の見直し等) – 国税庁

中会社はその中でも、大・中・小で区別されることに注意が必要です。

評価手続き3.類似業種比準価格及び純資産価格の算定

大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価格方式の併用方式、小会社は純資産価格方式で、価格を算定します。

ただし、大会社と中会社は純資産価格方式を選ぶこともでき、小会社は併用方式を選ぶことも可能です。

類似業種比準方式使用の際の類似業種比準価額の比率 (図表でのL) は、大会社は100%、中会社はさらに大・中・小と区分したうえで、大は90%、中は75%、小は60%となり、小会社は50%となります。

類似業種比準価格は、国税庁のホームページで確認してください。

(参考:平成29年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)- 国税庁 )

会社規模別の評価方法は以下です。

会社規模 評価方法
大会社 類似業種比準価格

又は、純資産価格

中会社 類似業種比準価格 × L +純資産価格 × ( 1 – L )

又は、

純資産価格 × L + 純資産価格 × ( 1 – L )

小会社 純資産価格

又は、

類似業種比準価格 × 0.5+純資産価格 × (1 – 0.5)

評価手続き4.特定の評価会社の判定

特定の評価会社とは、評価会社の資産の保有状況、営業状態などが一般の評価会社とは異なると認められる会社のことです。

それぞれの状況に応じた評価方法が定められています。

具体的な区分と評価方法は以下です。

区分 内容 評価方法
比準要素数1の会社 比準要素数1の会社の株式とは、類似業種比準方式で定められた以下の3つの金額のうち、いずれか2つの金額が0の会社で、なおかつ、直前々期末を基準にしてそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上の金額が0である会社

・1株当たりの配当金額
・1株当たりの利益金額
・1株当たりの純資産価額

純資産価格方式

又は、

L = 0.25とする併用方式

株式保有特定会社 課税時期において評価会社の総資産に占める株式などの保有割合が50%以上の会社 純資産価格方式
土地保有特定会社 課税時期における評価会社の総資産に占める土地などの保有割合が70%(中会社及び一定の小会社は90%)以上の会社 純資産価格方式
開業後3年未満の会社など 以下のいずれかに該当する会社

・課税時期において開業後3年未満の会社
・直前期末を基とした1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価格がいずれも0の会社

純資産価格方式
開業前又は休業中の会社 開業前の会社とは、会社設立の登記は完了したが、事業活動を始めていない会社

休業中の会社とは、課税時期において相当長期間にわたって休業中うの会社

純資産価格方式
清算中の会社 解散手続が完了し、課税時期において清算段階にある会社 清算分配見込額の複利現価による評価方式

非上場株式の評価額を決める方法は以上となります。

非上場株式の評価は複雑で、慣れていなければ難しいです。

少しでも不安がある方は税理士などの専門家に相談しましょう。

3.非上場株式を譲渡する手続き

非上場株式 譲渡

非上場企業の株式は譲渡制限株式の場合がほとんどとなっています。

譲渡制限株式とは、株式を譲渡するために会社の承認が必要となる株式です。

譲渡制限株式を譲渡する際の手続きは以下のようになります。

譲渡手続き1.株主から会社に株式譲渡承認の請求・臨時株主総会の開催決定
譲渡手続き2.臨時株主総会で株式譲渡を承認・株式譲渡人に承認した旨を通知
譲渡手続き3.株式譲渡契約書で契約締結・対価の支払い
譲渡手続き4.株主名簿の書換

譲渡制限株式ではないのなら、株式譲渡承認の請求は必要ありません。

順番に確認しておきましょう。

譲渡手続き1.株主から会社に株式譲渡承認の請求・臨時株主総会の開催決定

会社の定款などで持株が譲渡制限株式と規定されているのかを確認し、譲渡制限がある場合は株式譲渡承認の請求を行います。

株主譲渡承認請求書を作成して会社へ提出することで請求が可能です。

株主譲渡承認請求書には、譲渡する株式の種類や数、譲渡先などを記載します。

取締役は、株主から譲渡承認の請求を受けると臨時株主総会の開催を決定し、それぞれの株主へ招集通知を発しなければなりません。

招集通知は原則として、臨時株主総会の日の1週間前までに発します。

譲渡手続き2.臨時株主総会で株式譲渡を承認・株式譲渡人に承認した旨を通知

臨時株主総会では、株式譲渡の決議が行われます。

会社は株式譲渡承認請求を受けたなら、2週間以内に株主総会で承認するか否か決議を行い、株主に通知する必要があるのです。

2週間経っても通知をしなければ、請求が承諾されたものとみなされてしまいます。

承認には議決権の過半数を持つ株主の出席と出席株主の議決権の過半数の賛成が必要です。

承認が決定したら、会社は決定内容を株主に通知します。

また、取締役会設置会社の場合であれば、株主総会ではなく取締役会が決議を行わなければなりません。

譲渡手続き3.株式譲渡契約書で契約締結・対価の支払い

株式譲渡が承認されたら、株主と譲受人が株式譲渡契約を締結し、対価を支払います。

一般的には有償での譲渡となり、株式譲渡契約書を作成し、株主と譲受人の記名・押印をしなければなりません。

譲渡手続き4.株主名簿の書換

株式の譲受人と株主が共同で会社に対して、株主名簿書換請求を行います。

株主名簿に記載されている株主を売り手から買い手に変更するように会社に請求する手続きが必要です。

会社は、株主名簿書換の請求を受けたら、株主名簿を書換えなければなりません。

株式譲受人である買い手の新しい株主は、株主名簿記載事項証明書の交付を受けることができます。

株主名簿記載事項証明書によって、会社の株主名簿に自分の氏名などが記載されているのかを知ることが可能です。

4.非上場株式を贈与する手続き

スモールM&A

非上場株式を贈与する際の手続きについてご紹介します。

贈与手続き1.非上場株式贈与契約書の作成
贈与手続き2.非上場株式贈与の実行・株主名簿の書換
贈与手続き3.贈与税の申告

順番に見ていきましょう。

贈与手続き1.非上場株式贈与契約書の作成

非上場株式の贈与は、贈与する人と贈与される人でお互いに合意が成立すれば、口頭のみでも可能です。

しかし、あとから贈与について言い争いにしないためにも、贈与契約書を作成しましょう。

非上場株式の数や贈与の条件など、贈与契約の内容を明確に残しておくべきです。

贈与手続き2.非上場株式贈与の実行・株主名簿の書換

贈与契約書に基いて、実際に非上場株式の贈与を実行します。

贈与を行ったら、贈与した人と贈与された人が共同で会社に対して、株主名簿書換請求をしなければなりません。

株主名簿に記載されている株主を変更するように会社に請求する手続きが必要です。

会社は、株主名簿書換の請求を受けたら、株主名簿を書換えます。

新しい株主は、株主名簿記載事項証明書の交付を受けることが可能です。

株主名簿記載事項証明書によって、会社の株主名簿に自分の氏名などが記載されているのかを知ることができます。

贈与手続き3.贈与税の申告

贈与税は、贈与額が110万円を超える場合に課税対象となります。

贈与税額は以下の計算式で求めることが可能です。

(贈与された非上場株式の評価額-110万円)× 税率-控除額=贈与税額

贈与税を確定申告することで贈与を立証できる場合もあるので、しっかり申告しておきましょう。

5.非上場株式を相続する手続き

非上場株式 手続き

非上場株式を相続する際の手続きについてご紹介します。

相続手続き1.相続株式の調査
相続手続き2.非上場株式の評価額計算と遺産分割協議書の作成
相続手続き3.非上場株式発行会社で株式名簿の書換
相続手続き4.株式の被相続人(亡くなった人)の準確定申告と相続人の相続税申告

順番に見ていきましょう。

相続手続き1.相続株式の調査

相続される非上場株式がどこにどれくらい存在しているのかを調査します。

非上場株式は、株券を発行している会社に直接問い合わせて調査しなければなりません。

なぜなら、証券会社や信託銀行が管理をするものではないためです。

非上場株式を相続しようと考えている場合は、残された人のために株式の情報を伝えておくとスムーズになります。

相続手続き2.非上場株式の評価額計算と遺産分割協議書の作成

調査して存在がわかった株式を相続するために、遺産分割協議書を作成します。

株式は遺産分割を行わなければ、それぞれの相続人がどのように所有することになるか明確に決まりません。

遺産分割協議を行わないままでは、次の手続きに移ることができないのです。

遺産分割協議の手順としては、①相続人の確定、②相続財産の確定、③遺産分割協議書の作成というようになります。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で話し合って決めた内容を文書にしたものです。

それぞれの相続人が何をどのくらい相続するのか明記して、署名捺印を行います。

非上場株式の場合はこの段階で、評価額を計算しなければなりません。

遺産分割協議は原則としてやり直しは不可能なので注意してください。

相続手続き3.非上場株式発行会社で株式名簿の書換

非上場株式の相続人が決まったら、株券を発行している会社に相続人を伝えて、株式名簿の書換を行います。

株式名簿を書き換えるために必要な書類は、株券発行会社によって異なります。

例えば、以下のような書類が必要です。

  • 株券(株券がある場合)
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本または戸籍全部事項証明
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍全部事項証明

これら以外にも必要となる場合があるので、会社側に確認をしましょう。

譲渡制限付株式の場合は、売却して売渡し金を取得

非上場株式会社では、譲渡制限付株式を発行していることもあります。

譲渡制限付株式の場合は、会社から株式の売渡請求をされるかもしれません。

その場合、相続人は株式を相続するのではなく、売渡金を手に入れることになります。

相続で会社側が想定していない人が株主になって経営に参加することを防止するために、売渡請求が行えるようになっているのです。

相続手続き4.株式の被相続人(亡くなった人)の準確定申告と相続人の相続税申告

最後に、亡くなった人の準確定申告と、相続人の相続税申告を行わなければなりません。

被相続人の準確定申告

亡くなった人の死亡した年の所得は、相続人が申告して納税しなければなりません。それを準確定申告と言います。

亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を亡くなった人の住所地を所管する税務署に申告します。

相続人が2人以上いるときは、それぞれの相続人が連署で準確定申告書を提出しなければなりません。

相続人の相続税申告

相続をした人が納める相続税も税務署に申告することが必要です。

相続税の申告は、亡くなった人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内(申告期限が土曜日や日曜日、祝日の場合は、これらの日の翌日が期限)に亡くなった人の住所地を所管する税務署で行います。

財産を手に入れた人の住んでいる場所を所管する税務署ではないことに注意してください。

申告期限までに申告をしなかったり、少額に偽って申告すると、本来の税金の他にも加算税や延滞税がかかることがあります。

忘れずに正しい金額を申告しましょう。

非上場株式が不要になった場合は、会社へ買取請求が可能

非上場株式を持っている意味がなく手放したいという場合は、会社へ買取請求をすることができます。

例えば、その非上場企業で働いているわけではなく、特に配当をもらえるわけでもないときです。

買取請求をすることで会社に非上場株式を買い取ってもらえないか考えてもらい、合意が成立すれば買取を行ってもらえます。

6.非上場株式の譲渡や購入に関する税金関係について

跡継ぎ 補助金

非上場株式の譲渡にかかる税金は、以下のようなものがあります。

株式譲渡の税金1.所得税・住民税
株式譲渡の税金2.消費税
株式譲渡の税金3.法人税
株式譲渡の税金4.相続税

一般的には売り手側が課税されますが、場合によって買い手側も課税されることがあります。

それぞれの税金について理解し、納め忘れがないように気をつけましょう。

株式譲渡の税金1.所得税・住民税

非上場株式の売却の際に手に入れる所得は譲渡所得という名前です。

譲渡所得は、買った金額よりも売った金額が高ければ所得税や住民税の課税対象になります。

非上場株式の譲渡所得は、以下の計算式で計算が可能です。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額- 必要経費(取得費+委託手数料等)

この計算式を使い、譲渡所得の金額がプラスになった場合には、所得税や住民税を計算しましょう。

株式の譲渡所得への税率は、所得税15%、住民税5%で合計20%となっています。

株式の譲渡所得では、原則として申告分離課税という方式となることに注意が必要です。

申告分離課税とは、他の所得とは分けて税額を計算し、確定申告で納税する課税方式となります。

また、2013年から2037年までは、復興特別所得税の申告や納税も必要です。

それぞれの年の分の基準所得税額の2.1%を、所得税と一緒に申告して納めなければなりません。

基準所得税額は、日本に住所がある場合には、所得税の額となります。

株式譲渡の税金2.消費税

株式譲渡の売上は非課税売上ですが、株式譲渡の売上が多くなれば消費税額が高額になる可能性があることに注意が必要です。

事業者は、消費者から預かった消費税を税務署に納める必要があります。

しかし、預かった消費税を全て納税するわけではありません。

消費税の納税額を計算するには、預かった消費税から支払った消費税を差し引くことで計算ができます。

ただし、課税売上割合が95%以上で課税売上高が5億円未満のときだけ全額差し引くことが可能です。

課税売上割合が高いほど、消費税納税額は少なくなります。

課税売上割合=(課税売上高+輸出免税売上高)/(課税売上高+輸出免税売上高+非課税売上高)

非課税売上高が多ければ、課税売上割合は下がってしまうのです。

ただし、株式の場合は、非課税売上高のうち譲渡額の5%のみを課税売上割合を計算する際の分母に入れれば良いという配慮的な取り扱いが存在しています。

株式譲渡をたくさん行うと消費税が高額になる場合もあるので、配慮措置をうまく活用しましょう。

株式譲渡の税金3.法人税

売り手が法人の場合には、株式譲渡益が発生すれば法人税が課されることになります。

譲渡益=譲渡価額 - 取得価格
法人税は以下の計算式で計算することができます。
法人税額=課税所得金額 × 法人税率
法人税率は、原則23.4%です。自分の法人にかかる法人税率は、国税庁のホームページから調べられます。

(参考:法人税の税率 – 国税庁

株式譲渡の税金4.相続税

相続した株式を売却する場合には、相続税がかかります。

相続税を納めなければならないのは、株式を含めた相続財産全ての額が控除額を超えたときです。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

非上場株式の売買における適正時価とは?

非上場株式には取引相場がないため、適切な株価の評価をしなければなりません。

非上場株式の譲渡が適正な時価で行われなければ、買い手側も税金を納めなければならない可能性が出てきます。

例えば、安すぎる金額で売買する低額譲渡の状態になってしまうと、適正時価との差額に贈与税がかかるのです。

適正な時価より低い評価額や高い評価額での譲渡は行わないように気をつけましょう。

上場株式と非上場株式の譲渡損益の損益通算廃止

非上場株式を譲渡したときの譲渡損失は、平成28年からは上場株式の譲渡利益と損益通算できなくなりました。

損益通算とは、一定の期間内の売買をそれぞれ計算して利益と損失を出し、最終的に利益が出たのか損失となったのかを算出するものです。

損益通算をすれば、譲渡によって赤字となった部分の所得を黒字となった部分の所得から差し引き、納税額を減らすことができます。

上場株式と非上場株式の譲渡損益の損益通算が廃止されたことで、それら2つの損益通算は行えなくなったことに注意が必要です。

非上場株式同士での損益通算は今まで通りできるので安心してください。

非上場株式の相続に関する納税猶予制度

非上場株式の相続を行うなら、事業承継税制で納税猶予ができる場合があります。

事業承継税制とは、事業の後継者が相続や贈与で手に入れた自社株式などの税金の納税が猶予・免除されるというものです。

事業承継税制を利用することで大幅な節税が可能なこともありますが、いろいろな要件があるので注意が必要です。

非上場株式の相続の際に、事業承継税制を利用するときの要件をご紹介します。

要件1.都道府県知事から認定を受けること

都道府県知事の「円滑化法の認定」を受ける必要があります。

認定には、以下にご紹介する「会社の要件」、「後継者の要件」、「現経営者の要件」を満たさなければなりません。

要件2.次の会社のいずれにも該当しないこと

① 上場会社
② 中小企業者に該当しない会社
③ 風俗営業会社
④ 資産管理会社
⑤ 総収入金額が 0の会社、従業員数が0の会社

要件3.納税が猶予される贈与税・相続税の金額及び利子税の金額に見合う担保を税務署に提供すること

税務署に猶予される金額に見合う担保を提供する必要があります。

納税猶予対象の株式全てや、不動産、国債・地方債、税務署長が認める有価証券などが提供可能です。

後継者の主な要件

①相続開始日の翌日から5か月経った日に会社の代表権を有していること
②相続開始時、総議決権数の50%超の議決権数を保有していること
③相続開始の直前に、会社の役員であること

現経営者の主な要件

①会社の代表権を有していたこと
②相続開始直前において、総議決権数の50%超の議決権数を保有していること

非上場企業で事業承継をする場合、事業承継税制が活用できるかもしれません。

事業承継税制については、『事業承継税制とは?適用要件や平成30年度改正のポイントも解説』の記事で詳しく解説しています。

7.非上場株式の相続や贈与に関する課税

株式譲渡  確定申告

非上場株式の相続の際には相続税、贈与の際には贈与税を納める必要があります。

7−1.非上場株式の相続税

相続税とは、財産を相続した際にかかる税金です。

相続税の課税対象は、例えば、現金・預貯金、株式など有価証券、不動産といったものがあります。

非上場株式も相続税の課税対象なので、納税額や納税資金について事前に考えておくことが大切です。

また、相続税には一定金額までは課税されないという基礎控除があることに注意してください。

基礎控除は、3000万円 + (相続人の数 × 600万円) で計算した金額です。

相続税は以下の税率で計算することができます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

まずは、今のまま相続が起きた場合、どの程度の相続税が必要となるか考えてみましょう。

相続税を抑えるためには生前贈与が活用可能

生前贈与で非上場株式を相続する際の節税ができることがあります。

生前贈与で株式を移転する場合は、移転する時期を自分で決めることが可能です。

事前に株価対策を行うことで、株価を引き下げた上で贈与を行うことができます。

生前贈与の場合は、暦年課税贈与を使うことで、税負担を抑えるというのも1つの方法です。

暦年課税贈与での節税

暦年課税贈与とは、暦年課税を使って贈与を行うことです。

暦年課税とは、1年間に110万円までなら贈与税が課税されないという課税方法となります。

贈与者と株式を受け取る受贈者どちらにも必要な要件がないので、利用しやすいです。

相続までに長時間かけることができるのであれば、暦年課税贈与で毎年少しずつ株式を贈与して納税額を減らすことができます。

自社株の評価を引き下げ、生前贈与中心に非上場株式を承継すれば相続の際にも節税が可能です。

7−2.非上場株式の贈与税

贈与税とは、財産を贈与した際にかかる税金のことで、110万円を超える財産の贈与が課税対象です。

贈与税は、一般贈与財産と特例贈与財産の2パターンで税率が分けられています。

一般贈与財産は、夫婦間の贈与や親から子供への贈与で、特例贈与財産は、祖父母や父母などから20歳以上の人への贈与です。

当てはまるパターンの税率を求めれば、以下の計算式を用いて贈与税の計算ができます。

(贈与された非上場株式の評価額-110万円)× 税率-控除額=贈与税額

一般贈与財産の場合の税率や控除額

一般贈与財産の場合は、以下のようになります。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3.000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

特例贈与財産の場合の税率や控除額

特例贈与財産の場合は、以下のようになります。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 265万円
3.000万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 640万円

正確な税額がわからないときには、税理士など専門家に相談するのが良いです。

相続税や贈与税の申告は忘れずに行いましょう。

8.非上場株式による配当所得の税金は?

株式売却 分割

非上場株式の配当所得には、所得税及び復興特別所得税が合計で20.42%かかります。

配当所得は原則としては確定申告を行わねばならず、総合課税制度での申告です。

総合課税制度とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税金を計算するというものになります。

8−1.非上場株式配当所得の確定申告不要制度とは

非上場株式の配当所得には、所得税と復興特別所得税がかかりますが、一定金額以下なら確定申告が不要です。

1回で支払いを受ける配当金額が以下の計算式での結果を下回れば、確定申告が必要ありません。

10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12

確定申告をしない場合には、20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されることとなります。

8−2.非上場株式配当所得の源泉徴収とは

非上場株式の配当所得は、配当の支払の際に所得税や復興特別所得税が源泉徴収されます。

所得税や復興特別所得税はの源泉徴収は、20.42%の税率です。

源泉徴収された所得税などは、原則として、その年に納付すべき所得税額などの計算時に差し引きます。

8−3.非上場株式による配当所得では、住民税の確定申告が必要!

非上場株式の配当所得を確定申告する際に、一定金額以下であれば所得税と復興特別所得税の申告は不要であるとご説明しました。

しかしながら、所得税などを申告しない場合でも住民税は別途申告が必要な点には注意しておきましょう。

住民税には特別徴収制度がなく、確定申告不要制度もないためです。

8−4.非上場株式確定申告の添付書類や配当控除について

非上場株式 控除一覧

(引用:申告書に添付・提示する書類 – 国税庁

確定申告書を提出する際には、画像で示したような書類を必要に応じて添付するか提示しなければなりません。

書類を添付するなら、添付書類台紙などに貼って申告書と一緒に出します。

配当控除とは

配当金への課税について、配当控除という制度があるので確認しておきましょう。

配当金とは、企業が出した利益を株主に分配するもので、配当控除とは、所得税や住民税から一定の金額を還元するという制度のことです。

企業も利益について法人税を納めており、配当金からも税金を納めると二重課税になってしまいます。

そのため、それを申告することによって配当控除が行われるのです。

配当控除を受けるためには確定申告が必要となるので、忘れずに行うようにしましょう。

まとめ

非上場株式とは、証券取引所に上場していない株式のことです。

非上場株式でも譲渡や相続などが可能となっており、手続きが定められています。

非上場株式についてしっかり理解して、円滑に非上場株式の譲渡や相続を行いましょう。