コングロマリットとは?日本企業の事例からメリットとデメリットを学ぼう

コングロマリットとは

コングロマリットとは、直接関係を持たない独立した事業をいくつも営む企業のことです。

でも、「コングロマリットってどういうメリットがあるの?」と疑問に思っている人も多いはず。

今回は、コングロマリットのメリットとデメリット、日本を代表するコングロマリットの事例、コングロマリット型M&Aについて詳しく解説しています。

最後まで読んで、コングロマリットについての理解を深め、自社の企業価値向上の参考にしてください。

コングロマリットとは

コングロマリット とは

コングロマリットとは、直接関係を持たない多種類の事業をいくつも営む企業のことです。

英語では、「conglomerate」と表記され、複合企業とも訳されます。

日本の企業だと楽天のように、Eコマース、旅行、金融など、様々な事業を行なっている企業をコングロマリットと呼びます。

日本ではまだまだコングロマリットは少ないですが、世界ではコングロマリットは多く存在します。

日本でも成長戦略としてM&Aの成約件数は上がってきており、今後コングロマリットが増えていくのではないかと予測されているのです。

コングロマリット・ディスカウントとコングロマリット・プレミアム

コングロマリット 種類

コングロマリット・ディスカウントやコングロマリット・プレミアムという言葉があります。

コングロマリットによって企業価値が上がったり下がったりするという意味なのですが、具体的に内容を確認しましょう。

2-1.コングロマリット・ディスカウント

コングロマリット・ディスカウントとは、多種多様の事業をたくさん営んでいるそれぞれの事業価値を合わせたものより企業の価値が低くなってしまうことです。

原因は大きく3つあります。

まず、それぞれの事業の独立性が高く、事業幅が広いからこそ投資家が評価しずらい点です。

投資家に正しい評価を受けることができなければ株価に反映されないのです。

次に、利益率の低い事業部門が利率の高い事業部門の利益を食いつぶしてしまう点です。

事業ごとには利益が出ているのに、会社全体を見ると結果的に高い利益を生み出せていないことが多くあります。

最後に、それぞれの事業間でのシナジー効果が感じられにくい点です。

実際はシナジー効果がある場合でも、それが市場に伝わらないことも多くあります。

2-2.コングロマリット・プレミアム

コングロマリット・プレミアムとは、それぞれの事業価値を合わせた時よりも企業価値が上がっている状態のことです。

コングロマリット・プレミアムとなる要因は以下の3つと考えられています。

まず1つ目は、事業間のシナジーが発揮されることです。

それぞれの事業間でのスキルやノウハウの移転をしたり、活動の共有をすることでシナジーを生み出すことが期待されています。

2つ目は、コーポレートシナジーが発揮されることです。

例えばブランド力を活かして顧客を増やしていくなど、複数の事業を持つ企業だからこそ可能となる事業運営をしていく必要があります。

3つ目は、負のシナジーを回避することです。

それぞれの利益を食いつぶすような事業間でのマイナス効果を発生させない対策が必要となります。

コングロマリット・プレミアムとなることはとても難しく、グループ経営の課題とも言えます。

コングロマリットのメリット

コングロマリット メリット

コングロマリットのメリットは2つあります。

1つ目は、それぞれの事業間でシナジー効果を得ることができることです。

全く異なる事業間でシナジー効果を出すことは難しいですが、M&Aをする際にシナジー効果を計測することで実現が近づきます。

2つ目は、経営のリスク分散ができることです。

1つの事業だけで経営をしていると、業界不況に陥った場合に経営が安定しません。

複数の独立した事業を持つことで不調な事業が出たとしても、他の事業でカバーすることができます。

これらのメリットを生かすことができると、コングロマリット・プレミアムと呼ばれるようになるのです。

コングロマリットのデメリット

コングロマリット デメリット

続いてコングロマリットの2つのデメリットを見ていきましょう。

1つ目は、事業部内の情報が会社全体に伝達されにくいことです。

事業を広げすぎて、内部で何が起こっているのか経営陣でさえ把握することが困難になってしまうことがあります。

しっかりと伝達するシステム作りが必要となります。

2つ目は、コングロマリット・ディスカウントとなってしまう可能性が高いことです。

つまり事業価値があるにも関わらず、企業の時価総額が低く評価されてしまいがちなのです。

コングロマリット・ディスカウントを回避するには、メリット部分を外部にも見えるよう経営陣がアピールしていく必要があります。

コングロマリット企業と呼ばれる日本の企業例

コングロマリット 企業

日本でのコングロマリットと呼ばれている3つの企業がどのように成功・失敗しているのか、それぞれ見ていきましょう。

5-1.日立製作所

日本最大のコングロマリットと言われているのは総合電機業界の日立製作所です。

日立製作所のサービスは、情報通信システム、電力システム、電子装置システム、社会産業システム、建設機械、高機能材料、生活エコシステム、オートモティブシステム、金融サービス、その他の10の事業と多岐にわたります。

日立製作所はこれらの事業のシナジーをしっかりと発揮させています。

例えば、自社にある電池・モーター・ITS(情報システム)を利用してハイブリッド車を開発しました。

自社内にある事業部を上手く利用し、新しいサービスや商品を作り出しているのです。

5-2.ソフトバンク

近年、コングロマリットとして急成長したのはソフトバンクです。

ソフトバンクは創業以後さまざまな会社とのM&Aを成立させ、現在では国内通信、スプリント、ネット広告、流通、金融、プロ野球など多くの独立した事業を抱えています。

最近ではIoTやAI、ロボティクス事業へ力を注いでおり、まだまだ手広く事業を広げていくようです。

ソフトバンクには、コア事業であるソフトバンクモバイルと関連のない企業がたくさんあり、これから成長しそうだと思う企業は迷わず買収しています。

収益も企業によっては赤字が出ていて、ソフトバンクグループとして黒字であれば良いという孫氏の考えは、日本ではまだまだ珍しい考え方です。

5-3.東芝

東芝は電機製品のみでなく、エネルギー、社会インフラ、ストレージ、ICTなどにも参入しているコングロマリットです。

本業であった電機製品事業は海外からは撤退し、白物家電事業は赤字が続いています。

東芝は常に「チャレンジ」をキーワードにさまざまな事業に手を広げ、無理をしてきました。

赤字が出た事業を上手く切り離すことができず、特別シナジー効果のない事業への参入をし続けてしまったのです。

東芝は「迷走している」とまで評価されてしまい、再度1本の強い柱となる事業を構築するべきだと言われています。

コングロマリットにはM&Aが有効的な手段

コングロマリット M&A

コングロマリットを目指す場合、M&Aを利用することをオススメします。

なぜなら、既にその事業で成功している企業を事業をお金で買うことができるからです。

全く新しい事業へ進出するには労力と時間がかかる上、リスクが伴います。

そうした心配をせずに、新規事業へ進出できるのがM&Aなのです。

異業種の企業や事業を買収するM&Aは、コングロマリット型M&Aと呼ばれ、買い手の企業が異業種の企業や事業を買収することで、新規事業へ進出しようとすることを指します。

コングロマリット型M&Aの狙いは、本業からかけ離れた異業種へ参入することで企業価値自体を高めることです。

一見、本業との繋がりがなさそうな事業であっても、何かしらの共通点を見つけ、シナジー効果の発揮が見込める企業や事業を買収する必要があります。

M&Aについては、M&Aとは?その目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説にて詳しく説明しています。

コングロマリット型M&Aの流れ

コングロマリット 流れ

ここからはM&Aについて詳しく見ていきましょう。

M&Aの流れは(1)事前準備(2)企業選び(3)契約(4)統合プロセスの4つの過程に分けることが出来ます。

この4つの過程の中にさらに多くのステップがあり、時間と労力がかかります。

M&Aの検討から契約の成立までの必要な時間は、大体3ヶ月~1年ほどといわれています。

もちろん、契約の規模・複雑さなどによってケースバイケースです。

(1)M&Aアドバイザーの選定・契約

経験と実績が豊富なM&Aアドバイザーをしっかりと選び、機密保持や業務内容・報酬で揉めないように契約を結びます。

M&Aアドバイザーを選ぶときには、以下のポイントは必ずチェックしておきましょう。

・経験や実績が豊富か

・法律/会計/税務/経営/交渉理論の専門知識があるか

また、中堅企業・中小企業に対するM&Aアドバイザーは、会計事務所や税理士事務所、経営コンサルティング会社などの独立系M&A業者が取り扱っています。

(2)売り手企業選び

①買収候補先絞込みの評価基準作成

売上高、地域、商品、ブランドなど詳細に基準を策定していきます。

②売り手への打診

ノンネムシートと呼ばれる匿名の企業概要を使って買い手に打診していきます。

打診する前には必ず重要な資料を渡して良いか(ネームクリア)の確認が行われます。

③秘密保持契約

売り手候補が興味を示し、さらに詳細な情報を求められた場合、秘密保持契約を結びます。

このタイミングで社名や詳細な情報が相手の企業に開示されます。

④トップ面談の実施

双方ともに売却・買収を進めたいということになれば、経営陣同士のトップ面談を行います。

売却・買収に至った経緯を離したり、経営方針など疑問を解消しあう場です。疑問をなくす場としましょう。

(3)M&Aの契約・クロージング

①意向表明書の提示

トップ面談で納得のいく相手だと判断された場合、買い手側より意向証明書が提出されます。

意向証明書とは、買収方法や買収価格などの提案が書かれた資料のことです。

また、同時にアドバイザーが双方の間に立ち、条件面の調整をおこなっていきます。

②基本合意契約書の締結

意向表明書に合意した場合、改めて双方で合意している条件が明記された基本合意契約書を作成し、締結します。

基本合意契約書とは、買主候補企業が買収する意思を固めたことを表明するための契約書です。

基本合意契約書を締結することで、売り手が他の買い手候補との交渉するリスクを回避することができます。

また、売り手側も情報漏洩のリスクを回避できるメリットがあります。

売り手側は、買い手に内部情報を開示するため、機密情報までもが漏洩してしまう可能性があります。

このリスクを回避するために、基本合意契約書を締結し、買い手候補が会社や事業を買収するという約束を明確にするというわけです。

以下の記事で、基本合意契約書作成のポイントやタイミングについて解説しているので参考にしてください。

LOI(基本合意書)とは?M&Aにおける締結の目的や内容を解説

③デューデリジェンス

買い手は売り手企業をより詳細に把握するためにデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスとは、ビジネス・法務・会計・税務など分野に分けて売り手に資料の提出を求めたり、実際に専門家が売り手会社に訪問をすることです。

デューデリジェンスをすることで、出来るだけ企業の実態を知り、リスクを予防・対策することが出来ます。

デューデリジェンスについては、「デューデリジェンスとはどういう意味?財務・労務・税務から方法を解説」にて詳しく説明しています。

④条件交渉

デューデリジェンスの結果で問題がなければ、さまざまな条件を細かく決定していきます。また、最終的な売却価格はこの時点で決定します。

・従業員の処遇

・最終契約までのスケジュール

・買収価格の支払い方法

・株価

なども、この時点で決めるようにしましょう。

⑤最終契約・クロージング

最終譲渡契約書の締結によってM&Aの契約は完結します。

しかし、実際には細かな手続きが残っている場合が多く、譲渡対価の決済や株券・会社代表印の引渡しなどすべてが完了をもってクロージングとします。

(4)統合プロセス(PMI)

PMIとはPost Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、M&A成立後の統合プロセスのことです。

M&Aの効果を早期に得るため、両社の従業員意識や管理体制、情報システムなどを機能させる必要があります。

中小企業の特徴として、従業員数は少なく、オーナー色が強い「顔の見える経営」がなされていることが多いです。

社長や経営陣がいなくなってしまうと、従業員が新しい会社になじめないという場合もあります。

M&A自体が成功してもPMIが上手くいかないと期待したシナジーやメリットは得れないため、売り手と綿密に計画を立てておきましょう。

PMIについては『PMIの意味とは?PMIのポイントを押さえてM&Aを成功させよう』に詳しく解説しています。

M&Aをする時には必ずM&Aアドバイザーに相談しよう

敵対的買収 相談

M&Aを検討するのであれば、優秀なM&Aアドバイザーに相談をするようにしましょう。

M&Aは検討から成立までに約3~12か月ほどかかるので、その間本業の経営が疎かになってしまう恐れや、予測できないトラブルやリスクが発生してしまう可能性があります。

そんな時に頼れるのが、優秀なM&Aアドバイザーです。

M&Aアドバイザー業務を行っている会社は、M&Aコンサルタント会社、銀行などの金融機関、弁護士・税理士等の士業事務所があります。

それぞれ特徴を確認し、優秀なM&Aアドバイザーに企業買収を任せましょう。

8-1.M&Aコンサルタント会社

M&Aコンサルタント会社とは、大手コンサルタント会社や金融機関で経験を積み、独立した個人が経営している会社のことです。

M&Aを専門に仕事をしているため、情報量が多いのはもちろん、経験と実績が高いです。

ただし大手企業になるほど大規模案件を優先する傾向があるため、自社の求めるの事業規模の案件が存在しているか事前にチェックしましょう。

販路拡大を目的とする場合など、地域に捉われないM&Aを考えている場合はM&Aコンサルタント会社がオススメです。

8-2.銀行などの金融機関

金融機関は預金情報など、ほかの会社では把握できないデータベースがあることが強みです。

メガバンクでは社内にM&A専門のチームも存在しています。

地方銀行や信用銀行でも、地域に根付いた活動をしていることを強みに、M&A業界に参入しています。

まずは気軽に銀行の担当員に相談し、情報収集してみましょう。

企業規模が大きい場合はメガバンク、地域内でのM&Aを考えている場合は地方銀行への相談がオススメです。

8-3.弁護士・会計士などの士業事務所

弁護士や会計士、行政書士、社会保険労務士など専門知識を持っている事務所が企業買収のアドバイスをする場合があります。

扱う規模は中小ベンチャー企業が多く、地域や労力が限られる場合があるので注意が必要です。

その他にも、M&Aに強い弁護士や会計士の知り合いがいる場合は気軽に相談できる相手となります。

M&Aアドバイザーについては、『優秀なM&Aコンサルタントとは?仕事内容から選び方まで解説』にて詳しく解説しています。

まとめ

コングロマリットとは、異なる分野の独立した事業を複数営む企業のこと。

むやみに新規事業へ進出するのではなく、シナジー効果を出せるM&Aをすることで企業価値が向上します。

しっかりと勉強をし、企業価値を最大化していきましょう。