MBOとは?メリットや注意点を確認して自社経営に役立てよう

MBO

MBOとは経営陣による自社の株式買収のことです。

「でもMBOって何のために行うの?」と疑問に思う人も多いはず。

そこで今回の記事では、MBOとは何かをわかりやすく解説しつつ、MBOのメリット・デメリット、日本国内での事例についても詳しく解説しています。

最後まで読んでMBOの手続き方法や注意点を理解し、自社の成長へと繋げてください。

MBOとは?

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MBOとは、Management Buyoutの略で、経営陣による自社の株式買収のことです。

社内の経営陣が自ら自社株を購入し、株式や一事業部門を買収することで経営陣が自社の経営権を持つオーナー経営者となります。

それではなぜ、わざわざ自社株を購入して経営権を取得するのでしょうか。

株式会社を経営している場合、所有と経営の分離の原則によって、会社を運営する経営者は会社の所有者である株主に対し利益を出し続けなければなりません。

そのため、中長期的な経営戦略の移行に制約を受けることもあり、自由な経営をしにくくなることがあります。

このような場合に、自社株を購入することで、株主への利益配分や経営戦略についての説明をする必要がなく、比較的自由な経営をすることが可能になります。

近年、少子高齢化やIT技術の発展にともない市場の変化の潮流が早くなってきていることから、MBOの件数は増加してます。

多くの企業において、この変化に遅れを取らないよう、中長期的な成長戦略の見直しを図る必要に迫られているということが背景にあります。

MBOのメリット

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次にMBOのメリットとデメリットをみていきましょう。

MBOのメリットは大きく3つあります。

長期的な視点で企業経営がしやすくなる

株式を公開していると、市場から短期的な利益追求を求められてしまいますが、経営者自身が大株主となることで、経営陣の自由な意思決定が可能になります。

意思決定のスピードが速くなる

大株主が経営陣であることで、株主総会を経なくても重要な決定事項をスピーディーに決定していくことが出来ます。

組織内の結束力の強化につながる

第三者による買収とは違って社内での買収なので、従業員の安心感や新たな挑戦ができるモチベーションに繋がります。

MBOのデメリット

MBOのデメリット

MBOのデメリットは大きく3点あります。

既存買い主との利益相反が発生しやすい

買取者である経営陣の利益を考えるのではなく、公正かつ公平な買取価格を決定しなければなりません。

そうでなければ、買取に応じない株主も出てきてしまい、MBOのメリットを出しづらくなってしまいます。

金融機関からの融資でMBOを行った場合、融資はそのまま債務となってしまう

MBOをするために株式の買い占めを行いますが、その際に莫大な資金が必要となります。

そのため金融機関からの融資を頼ることが一般的ですが、MBO完了後は返済をしなければなりません。

既存の債務者との関係や経営にも大きく影響することなので、MBO後の債務の割合を把握しておく必要があります。

市場からの資金調達が出来なくなってしまう

上場している会社がMBOを行うと上場廃止となるため、株式を通じた資金調達は出来なくなり、資金調達手段が減ることなります。

M&AやTOBとの違い

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会社や事業を買収するという意味ではM&AやTOBと同じですが、その方法や目的は異なります。

M&AやTOBとの意味を混合しがちなので、違いを抑えておきましょう。

MBOとM&Aの違い

MBOとM&Aの大きな違いは買い手です。

M&AもMBOも会社や事業を「買収する」という意味では同じ行為です。

しかし、M&Aの場合の買い手は自社とは別の第三者となりますが、MBOの場合の買い手は自社内の経営陣となります。

そのため、M&Aと比べると、会社や事業への理解度が高く、社風や伝統も継続されやすいです。

M&Aについては「初心者でも分かるM&Aとは?メリット・デメリットから対策方法まで解説」にて詳しく解説していますので、気になる方はぜひご確認ください。

MBOとTOBの違い

TOBは企業の買収方法の1つを指します。

TOBとは株式公開買付のことで、特定の企業を買収したいときに株価と期間を表明して不特定多数の株主から直接株式を買い付ける方法のことです。

一方、MBOは自社内の経営陣による買い付けですので、意味が違います。

また、MBOにより上場廃止にすることが出来るので、TOBによる買収を防ぐことが出来ます。

そのためTOBの防衛策としてMBOが実施されることもあります。

TOBについて詳しくは「TOBの手続き方法を徹底解説!TOBの事例から株価の影響まで」にて詳しく解説しています。

MBOをした日本企業の事例

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MBOを実施した日本企業の事例を2つみていきましょう。

ワールドの成功事例

2005年、アパレル大手のワールドはMBOを実施し、非上場会社となりました。

MBOの目的は、長期的・持続的に成長し続けるための企業価値最大化を目指すためです。

ワールドのMBOは成功したと言えます。

その成功要因はメザニンローンの利用にあると言われています。

1株4500円で全株を約2146億円で買い取り、さらに約150億円の増資を行い、この資金の7割は銀行からの融資で調達をしましたが、残り500億円ほどが不足してました。

そこで利用されたのがメザニンローンです。

メザニンローンとは銀行融資と自己資産で足りない部分を補ってくれる融資のことを指します。

このメザニンローン525億円を中央三井キャピタルが出してくれたことでMBOは成立しました。

また、ワールドのMBOには「社員全員に議決権を持たせる」という目的もあり、販売員であるパート・アルバイトの5000名を社員化するなどの大胆な計画を実施させました。

結果的に企業価値向上に結び付き、中長期的な戦略をスピード感を持って決定・実施させることが出来たのです。

すかいらーくの失敗事例

2006年にレストランチェーンを展開する「すかいらーく」は、MBOにより非上場化しましたが、2014年再び上場したことで話題となりました。

すかいらーくのMBOは失敗に終わっています。

2000年代に入り業績が悪化したすかいらーくは、野村プリンシパル・ファイナンスが100億円、CVCキャピタルが600億円、みずほ銀行などの19の銀行から2200億円の融資を受け、MBOを実施しました。

「5万人の株主がいたら改革が進まない」という判断があり、経営改革がMBOの目的です。

しかしその後も経営の立て直しは上手くいかず、2008年に野村プリンシパル・ファイナンスから追加融資を受けましたが、返済の目途は一向に立ちませんでした。

すかいらーくのMBOが失敗に終わった原因は、2つあります。

まず、オーナーが株式を経営陣から買い戻さずに解任されてしまったことです。

もともと創業一家は海外事業と投資の失敗により約600億円の借金を抱えており、MBO時に手にした約521億円を借金返済にあててしまいました。

通常であれば手に入れた資金を元に再出資し、株式を買い戻しオーナーとなるべきだったのですが、オーナーは保有株式の割合が3%となってしまい、解任されてしまいました。

一方、ファンド側の無理な利益計画にも問題がありました。

もともと再上場は5年後と計画していたすかいらーくですが、ファンドは出資者を募る関係で「3年にしてほしい」と言われたのだそうです。

早期に資金回収をするために無理のある利益計画書を作成したにも関わらず、すかいらーくは一向に業績回復の兆しがありませんでした。

そのため投資資金回収が危うくなり、株式売却を行って資金回収を優先したのです。

「売りやすい会社」にするため、経営改革は売り上げ増大からリストラの実施・店舗の閉鎖へと舵を切ることになってしまいました。

MBOによる株価の影響

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MBOの公募の際、1株あたりの価格が提示されます。

そのため、その価格近辺の価格を上場廃止まで維持することが多いです。

MBOによる株の買い取り価格はその企業が提示する一律の価格で買い取られます。

例えば、1株500円でMBOの募集がされている場合、これに応募すれば確実に1株500円で買い取ってもらうことが出来るのです。

一方で、応募せずに市場で売却することも可能ですが、その場合も500円近辺の価格となるケースが多いです。

少数株主となってしまうと対抗手段がないため、MBOを実施する会社の株は早期に売ってしまおうという株主がほとんどです。

90%の株式を持つ大株主になると強制的に少数株主の株を買い取ることができる制度もありますが、適切な株価設定を行わないと売却に応じる株主が少なくなるので注意が必要です。

MBOのスキーム

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ここではMBOの基本的な手続き方法をみていきましょう。

手続きの流れは大きく(1)買収目的会社設立(2)買取資金の調達(3)買収目的会社の株式取得(4)買収対象者と買収目的会社の合併 の4つの流れがあります。

(1)買収目的会社設立

まずは、買収対象会社の株式を購入するために買収目的会社を設立します。

こうした何かの目的のために設立する会社のことをSPC(Specific Purpose Company:特定目的会社)と呼びます。

SPCを設立することで、外部からの借り入れをSPC名義で出来るため経営陣が負債を負う必要がなくなるというメリットがあります。

(2)買取資金の調達

買収対象者会社の株式を購入するための資金を調達します。

金融機関や投資ファンドからの融資や投資をしてもらうには、事業計画書の作成と提出が必ず必要となり、それを元に融資や出資の審査を行われます。

融資や出資を得るためには最低2か月以上の期間が必要です。

資金調達が一番難航すると言われており、MBO成功できるかどうかのカギを握っている重要な位置づけです。

(3)買収対象会社の株式取得

SPCが買収対象会社の株式を購入します。

既存の株主から売却代金と引き換えに株を買い占めていきます。

経営権を握るためには株式の3分の2以上が必要です。

(4)買収対象者と買収目的会社の合併

買収対象会社とSPCを合併させ、経営権を握ることとなります。

その後は借入金を返済スケジュールに沿って返済していきます。

MBOを成功させるために気を付けること

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MBOの実施において、気を付けるべきことを3つ確認しておきましょう。

MBO完了後の債務負担

通常、MBOを行う際に金融機関による融資を利用しますが、もちろん融資された資金は債務となるため返済をしていかなければいけません。

MBOを完了させるためには株式の3分の2以上を買い占めなければならないため、多額の負債を背負うことなるのです。

やみくものMBOをするのではなく、MBOをすることで企業の利益が十分に生まれるのかを重視してMBOを実施しましょう。

利益相反の発生

自社の企業価値を出来るだけ高めたいと思っているはずである経営陣自らが株価の設定を行い、自ら株を購入をするため、必ず利益相反が発生してしまいます。

一方で自社の株を買い占めるために経営陣はできるだけ株価を安くして買い占めようとしますが、既存の株主はもちろん出来るだけ高い価格で売りたいと思っています。

しっかりと既存株主や投資家へ情報開示を行い、適切な株価を設定しましょう。

少数派株主への対応

MBO実施にあたり、必ずしもすべての株主が売却に応じるとは限りませんので、一定数少数株主が残ることとなります。

少数派の株主に対して強圧的な対応を取るのではなく、合理的かつ経済的利益を確保される対応をしてく配慮が必要です。

経産省のMBO指針の内容

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経済産業省は、平成19年9月に「企業価値の向上及び手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」を公表しました。

この指針には、利益相反が生じることや、買収者である経営陣と売却者である株主の情報格差に言及しています。

つまり株主の立場から、株価を低く設定されてしまうことで経営陣に不当な利益を享受しているのではないかという懸念があるのです。

経済産業省のMBO指針には、この懸念を解消するための公正なルールが記載されています。

まとめ

MBOとは経営陣による自社の株式買収のことです。

MBOの手続き方法や注意点を理解し、自社の中長期的な経営戦略に役立たせてください。