PPAとはどういう意味?PPA処理方法からのれんとの違いまで解説!

PPA

PPAとは、Purchase Price Allocationの略で、直訳すると取得原価の配分という意味です。

M&Aにおける買収先企業の資産・負債の受け入れ価格を確定する会計処理のことを指します。

PPAを正しく行わなかった場合、業績の悪化や監査に引っかかってしまう恐れがあります。

企業買収をした場合には、しっかりとした会計処理の仕方を学びましょう。

そこで今回は、PPAの流れや無形資産の評価方法などを詳しく解説。

最後まで読んで、PPAをしっかり理解し、M&A後に必要な会計処理を正確に実行しましょう。

PPAとは?

PPA とは

PPAはM&Aに欠かせない会計処理のことです。

一体どういう作業なのか確認していきましょう。

PPAとは

PPAとは、Purchase Price Allocationの略で、直訳すると取得原価の配分という意味です。

M&Aにおける買収先企業の資産・負債の受け入れ価格を確定する会計処理のことを指し、M&Aに欠かせません。

必ずM&A成立後、1年以内に会計処理をすると決まっています。

特許や商標権、知的財産、従業員の技術力などの物的な実体のない資産である「無形資産」をどのように計算するかは、PPAにおいて重要点です。

IFRS(国際財務報告基準)と日本基準の違い

IFRSよ日本基準の違いは無形資産の詳細な会計基準が異なります。

IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、ロンドンを拠点とする民間団体が制定する国際会計基準のことです。

「世界共通の会計基準」を作ることを目的にされておりますが、日本とアメリカではまだ正式に導入されていません。

日本基準とIFRSの最も大きな違いは、のれん償却の有無です。

日本基準ではのれんを20年以内に均等に償却する必要がありますが、IFRSでは減損のテストを行って、減損の兆候がなければ費用計上はしなくても良いとされています。

日本の基準では、無形資産について詳細な会計基準は設けられていませんが、IFRSでは無形資産をマーケティング・顧客・芸術・契約・技術という5つのカテゴリーに分類されています。

IFRSの5つのカテゴリーの中には無形資産の例も記載されており、日本基準と違って無形資産の範囲が広く、識別されやすくなっています

日本でも一部東証上場企業がIFRSを導入

日本では2010年3月よりIFRSの任意適用が始まり、東証上場企業の中でも導入をしているところもあります。

大規模のM&Aの場合、のれんも巨額となる傾向があるので、のれん償却の有無は、企業の毎期の損益に大きな影響を与えてしまいます。

自社にとって、日本基準とIFRSのどちらが会計処理に適しているのかを見極めましょう。

PPA処理の手続き方法・流れ

PPA 手続き

PPA処理の手続きをどのように行っていくのか、順番にみていきましょう。

初期分析

M&Aを成立させる前に法務・財務・税務などのデューデリジェンスの報告書、株式価値算定書、社内検資料などの必要書類を集め、買収目的を詳細に分析していきます。

無形資産の識別と認識

無形資産の識別と認識のために、M&Aにおける両社へヒアリングをおこなわれます。

質問やディスカッションを通じ、無形資産を特定していくのです。

無形資産の評価

特定した無形資産の価値の評価を行っていきます。

マーケットアプローチ・インカムアプローチ・コストアプローチで、最も適切だと思われる方法で評価を行います。

レポートの作成

無形資産の評価結果をレポートにまとめ、内容の最終確認を行います。

会計監査人による監査

レポートを会計監査人が確認し、無形資産の評価の信頼性や妥当性を検討します。

監査が終わるとレポートは確定となり、PPA処理は終了です。

PPAにおける無形資産の評価方法

PPA 評価方法

無形資産の評価方法には、マーケットアプローチ・インカムアプローチ・コストアプローチの3つの方法があります。

3つの評価方法をもとに、のれん計上するための無形資産を評価しましょう。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業が将来生み出すと予測される利益・キャッシュフローをもとに対象の無形資産を算出する方法です。

インカムアプローチでは、DCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)法が用いられます。

DCF法とは、会社が将来生み出す価値をフリーキャッシュフローで推計し、資本コストで割り引いた現在価値に換算します。

将来の利益はあくまでも事業計画書などによる予測のため、客観性に乏しく信頼性の低いものですが、将来に対する期待を反映するため、合理的な評価方法です。

無形資産評価で、ほとんどのケースに採用される評価方法です。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、上場企業の場合は市場株価を基礎とし、非上場会社の場合は上場している同業他社をもとに対象の無形資産を算出する方法です。

業種など類似した上場企業と財務諸表で対比率を出し、時価総額に倍率をかけて算出します。

しかし、無形資産のマーケットは皆無に等しく、類似の事例を見つけることは非常に困難です。

そのため、ライセンス契約のロイヤリティから算出されることがあります。

ロイヤリティ収入(将来キャッシュフローの現在価値合計)を無形資産の価値としており、インカムアプローチに近い方法です。

コストアプローチ

コストアプローチとは、企業が保有している純資産をもとに、企業価値を算出する方法です。

コストアプローチの中でも3つの算出方法があります。

  • 貸借対照表上の純資産額を株主価値とする簿価純資産額法
  • 貸借対照表の資産と負債を時価評価した上で時価純資産額を算出した後、その額を株主価値とする時価純資産額法
  • 時価純資産額と営業権の合計を株主価値とする時価純資産額と営業権を考慮した算出方法

これらの方法には、将来性を考量していなかったり、時価評価額を考慮していないというデメリットがありますが、シンプルに企業価値を算出することができます。

のれんに含まれる人的資産の評価に用いられます。

PPAに出てくる「のれん」って一体なんのこと?

PPA のれん

のれんとは、無形資産と同じ意味で、ブランド力・特許・ノウハウ・従業員の能力などを指します。

M&Aを行う際、買収する企業の純資産にのれん代を加えた額が、買収価格です。

つまり、買収金額から買収される企業の純資産を引いた値がのれんと考えることができます。

税効果会計上の「のれん」と税務上の「のれん」

会計上の「のれん」は税効果の対象となりません。

一方で、税務上の「のれん」は、税務上損金あるいは益金に参入することになり、一時差異として税効果の対象となります。

のれんと営業権の違い

会計上の「のれん」と営業権の違いは、営業権は超過収益力を表しているのに対し、「のれん」は交付対価を受け入れた純資産の差額と定義されてます。

しかし両方とも「無形資産」という意味で使われているため、会計上は同じ意味で使われます。

のれんと消費税の関係

M&Aの場合、「のれん」は課税取引となることはありません。

しかし、消費税法上において、「のれん」は資産に該当するため、消費税の課税対象となります。

なぜななら「のれん」に対価をつけ、取引していることから資産に該当するからです。

M&A取引に発生した「のれん」には消費税がかかるので注意が必要となります。

のれんの償却

日本基準において、「のれん」は減価償却する必要があります。

減価償却とは、計上した固定資産を費用化することを指し、固定資産の価値を消費していくことです。

「のれん」は20年以内に償却をしなければならないというルールが存在します。

例えば200万円の「のれん」を20年で償却する場合、初年度の仕訳の金額は10万円となり、以降20年間は毎年10万円ずつ「のれん」を償却していきます。

日本基準では「のれん」の償却を行いますが、国際基準のIFRSを採用した場合には「のれん」の償却は行いません。

無形資産の種類

PPA 種類

日本基準では無形資産の詳細は明記されていませんが、IFRSでは無形資産をマーケティング・顧客・芸術・契約・技術の5つのカテゴリーに分けて記載されています。

無形資産の種類とその例を見て、無形資産の認識の際に参考にして下さい。

マーケティング関連の無形資産

商品やサービスの販売促進価値を持つマーケティング活動に関係する無形資産です。

  • 商標・商品名・サービス商標・団体賞不応・照明商標
  • 商標上の飾り(独自の色・形・包装デザイン)
  • 新聞のマストヘッド
  • インターネットドメイン名
  • 競業避止契約

顧客関連の無形資産

商品やサービスを購入してくれる顧客情報や顧客との関係に関する無形資産です。

  • 顧客リスト
  • 受注残
  • 顧客との契約及び関連する顧客との関連
  • 契約外の顧客との関係

芸術関連の無形資産

娯楽や文芸も含めた芸術的創作物に関する無形資産です。

  • 演劇・オペラ・バレエ
  • 本・雑誌・新聞・その他著作権物
  • 楽曲・歌詞・コマーシャルソングなどの音楽作品
  • 写真・絵画
  • 映画・音楽ビデオ・テレビ番組を含む聴視覚作品

契約関連

商品やサービスを提供するために必要な契約に関する無形資産です。

  • ライセンス・ロイヤリティ・現状維持契約
  • 広告・建設・経営・サービス・サプライ契約
  • リース契約
  • 検察許可
  • フランチャイズ契約
  • 営業・包装許可
  • 抵当サービス権などのサービス契約
  • 雇用契約
  • 掘削・水利・空気・鉱業・木材切り出しおよび認可路線などの利用権

技術関連の無形資産

商品やサービスを提供するために不可欠な技術に関する無形資産です。

  • 特許権を得た技術
  • コンピューターソフトウェアおよびマスクワーク
  • 無特許の技術
  • タイトルプラントを含むデータベース
  • 秘密の製法・工程・調理法などのトレードシークレット

PPA処理は専門家へ任せよう

後継者 募集

PPAは専門家に依頼をすることがオススメです。

理由は3つあります。

専門的な知識が必要だから

PPAの計算はとても複雑で専門的な知識が不可欠です。

無形資産の計算方法には正解がなく、無形資産の認識や評価には専門知識とさまざまなケースを経験している必要があります。

正解がないとしながらも、論理的に計算をしていくことは知識と経験が豊富な専門家にしかできないことなのです。

監査手続きの対応が難しいから

PPAに対する監査手続きの対応は厳しくなっており、とても難しいものとなっています。

10年ほど前までは無形資産を認識せずに会計処理をしていても容認されていましたが、最近では厳格に無形資産の手続きをするよう監査人から求められることが多くなっています。

このような対応は素人では難しく、専門家に任せた方が安心だといえます。

業績へ直接影響が出てしまうから

PPAにおいて評価された無形資産をどのように償却をするかで、会社の利益に直接的な影響を与えます。

無形資産の評価や償却期間が適切でない場合、会社の利益計算が大幅に変わる可能性があるのです。

正しく無形資産の評価や償却期間の設定をするためにも、M&Aにおける初期段階から専門家に相談することをオススメします。

PPAの専門家とは?

PPA 専門家

PPAの専門家は会計士となります。

特に、M&AアドバイザーにM&Aに強い会計士を紹介してもらうことをオススメします。

PPAにおける無形資産の評価は、M&A成立前に行うデューデリジェンスの結果を元に算出していくため、同じ会計士に任せることが良いでしょう。

「なぜこの買収価格で買収したのか」が分かっている方がPPA処理においても役に立つからです。

M&Aを行う際には、成立後のPPAに備えて、必ずM&Aに強い会計士をM&Aアドバイザーに紹介してもらって下さい。

まとめ

PPAとは、M&A成立後に買収価格を買収先企業の資産や負債を時価におきかえて、買収先企業の資産および負債に配分する会計手続きのこと。

正しい処理をするために専門家に頼って、正しい会計処理を行いましょう。