敵対的買収とは?メリット・デメリットやM&Aの買収事例を公開!

敵対的買収

2005年のライブドアによるニッポン放送の敵対的買収が国民の注目の的となりましたが、「敵対的買収って何?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。

敵対的買収とは、相手の経営陣の同意を得ずに行われる株式買収のことです。

今回は敵対的買収の事例や方法、防衛策を分かりやすく解説。最後まで読んで、敵対的買収を防ぎ、安定した経営に役立てて下さい。

敵対的買収とは?

敵対的買収 とは

敵対的買収(Hostile Take Over)とは、相手の経営陣の同意を得ずに株式を買収し、対象会社の経営権を取得することです。

また、相手の経営陣の同意を得て行われる株式買収を「友好的買収」といいます。

株の売買は株主の自由なので、株主さえ同意すれば敵対的買収は成立します。

敵対的買収というと悪いイメージを持ってしまいがちですが、よくないものと決めつけるべきではありません。

経営陣が変わることでより多くの収益を上げることに繋がったり、敵対的買収の防衛策を通じて経営効率が向上することがあるからです。

ただし、敵対的買収が成立した場合、経営陣はその地位を失ってしまう可能性があります。

ライブドアとニッポン放送・フジテレビの攻防

敵対的買収 事例

2005年、ライブドアはニッポン放送に対して敵対的買収を仕掛けましたが、失敗に終わっています。

もともとライブドアが狙っていたのはフジテレビの経営権でした。

しかし、フジテレビの筆頭株主はニッポン放送だったため、まずはニッポン放送を支配し、ニッポン放送の持っているフジテレビ株を取得しようとしたのです。

ライブドアは株式市場で大量のニッポン放送の株を買い集め、最大株主となりました。

慌てたフジテレビもニッポン放送を子会社にしようと株を集めていましたが、その間にもライブドアは次々にニッポン放送の株を買い占めていきます。

その後、ニッポン放送が持つフジテレビ株(全体の13.8%)をすべてソフトバンク・インベスメントに5年間貸株することとなり、ニッポン放送が持っていたフジテレビの議決権はソフトバンク・インベスメントに移りました。

ライブドアはニッポン放送の支配に成功したものの、目的であったフジテレビ株を持つことができなくなったのです。

その後、フジテレビとライブドアは和解しています。

ライブドアが保有していたニッポン放送株50%超をすべてフジサンケイグループに売却。

フジテレビはニッポン放送を完全子会社化することとなり、その代わりにフジテレビはライブドア株12.75%を保有することとなったのです。

ベンチャー企業であったライブドアが歴史ある大企業の買収は日本中で注目を浴び、2005年は日本の敵対的買収元年とも呼ばれています。

敵対的買収のメリットとデメリット

敵対的買収 メリットデメリット

敵対的買収によるメリットとデメリットを順番にみていきましょう。

敵対的買収のメリット

敵対的買収のメリットは、経済効率が高まって、適切な資源配分が成されることにあります。

敵対的買収によって不適格な経営者が淘汰され、企業価値が増すことで株主は儲けを出すことが可能です。

また、敵対的買収がされる恐れがあると、現経営陣に一定のプレッシャーがかかり、株主重視の経営に切り替える可能性があります。

経済全体の発展に繋がったり、株主にとっての選択権ができることはメリットと言えます。

敵対的買収のデメリット

敵対的買収のデメリットは「買収成立後の運営が困難」「十分なデータの入手が困難」の2つがあります。

買収成立後の運営が困難

一般的に、敵対的買収が行われた場合、現経営陣よりも買収者の方が企業価値を高めることができるという理屈があるため、経営陣は後退します。

そのため、代わりの経営者候補を見つける必要がありますが、日本にはプロの経営者が少ないため候補者を見つけることが難しいです。

また、従業員には「買収されてしまった」という負け意識が生まれ、仕事に対するモチベーションが低下してしまう恐れがあります。

買収成立後の運営が難しいことは、買収者にとってデメリットといえます。

十分なデータの入手が困難

敵対的買収では、買収前に買収先企業の詳細データを入手することが非常に困難です。

なぜなら、経営陣と合意が取れていないため、十分な調査が出来ないからです。

そのため、いざ買収してみると、見込み違いだったというリスクにも繋がります。

敵対的買収の方法

敵対的買収 方法

敵対的買収の方法は、支配株の取得に限られます。

よくTOBという言葉が使われますが、Take Over Bidの略で、株式の公開買付のことです。

一般的には経営権を支配できる議決を取得するため、総株主の議決権の過半数の株を取得することを目指します。

公開買付の手続き方法をみていきましょう。

 

公開買付開始公告と公開買付届出書の提出

公開買付を開始するにあたり、買付者は氏名などの個人情報と株の買付けを行う旨や目的、買付機関などを公告する必要があります。

買付けは時価の2~5割増しで行われることが一般的です。

また、公開買付者は公開買い付けを行った日に内閣総理大臣へ公開買付届出書を提出します。

買付けの価格、買付け予定の株券などの数、公開買付の目的などを記載します。

公開買付届出書の提出をもって、売付け申込みの勧誘などが可能となり、公開買付けが開始されるのです。

買収先企業の意見表明報告書の提出と回答

公開買付公告が行われてから10営業日以内に、公開買付に関する意見を書いた意見表明報告書を内閣総理大臣へ提出します。

内容に質問が記載されている場合、公開買付者は、5営業日以内に質問に対する回答を対質問回答報告書に記し、内閣総理大臣への提出が必要です。

公開買付説明書の交付

公開買付者は、公開買付届出書と同じ内容が書かれた公開買付説明書を作成し、売付けへの応募株主に交付します。

公開買付報告書の提出

公開買付者は、公開買付期日最終日の翌日に、結果を公告もしくは公表します。

そして公開買付報告書を内閣総理大臣に提出し、公開買付の手続きは終了です。

この時点で、総議決権の過半数を有していれば会社支配権を有していることとなり、敵対的買収が成立したと言えます。

敵対的買収をされない10の防衛策

敵対的買収 対策

敵対的買収の一番の防衛策は「企業価値の最大化」です。

経営者が買収者より高い企業価値を生み出して、今後も株主の利益が確保できることを説明することができれば、株主は株を手放さないからです。

本質的には企業価値を上げていくことが最大の防衛策となりますが、また違った視点からの防衛策がたくさんあります。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、自社の株主の利益保護のためにはどの防衛策が適切か判断をしましょう。

ポイズンピル(毒薬条項)

ポイズンピルとは、敵対的買収者が一定比率以上の議決権を取得する場合に、買収者以外の株主に対して安い価格で新株を発行することができる仕組みです。

最も有名な敵対的買収の防衛策で、ライツプランと呼ばれることもあります。

ポイズンピルがあることで、買収者が株を買い占めていったとしても、株の総数が多くなり議決権比率が大きく下回ります。

そのため、議決権の過半数を取得することができないのです。

しかし、ポイズンピルは経営者の保身につながりかねないという批判があります。

アメリカでは良い買収提案があった場合には、経営者判断でポイズンピルを消すことができます。

つまり、買収提案をすべて拒否するための防衛策ではなく、買収提案の良し悪しを株主の代わりに経営陣が判断する仕組みという位置づけとなっているのです。

黄金株(ゴールデンシェア)

黄金株とは、拒否権がついた特殊な株式のことで、ごく一部の友好的な株主に保有してもらいます。

黄金株を持っている株主が反対さえすれば、他の株主が賛成でも否決されるという株なのです。

そのため買収者はいくら株を買い集めても会社を支配することができません。

一方、黄金株は買収者以外の一般株主の議決権も無力化してしまうため、株主のための経営から遠ざかってしまう可能性があります。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、経営陣が辞める際に多額の退職金を支払うことをあらかじめ定めておくことです。

この仕組みには買収コストを高め、買収意欲を減退させるという目的があります。

また経営陣に多額の退職金を支払うことを嫌がる株主は、買収者に株を売り付けないため、簡単には会社支配できないという理屈もあります。

ただ、買収総額が巨額な場合、買収意欲を減退させる効果はあまりないという点がデメリットです。

スタガードボード

スタガードボードとは、取締役の任期満了をずらすことによって、取締役の改選が一度に行われないようにすることです。

買収者が一気に過半数の取締役を送り込まれないようにすることが目的です。

しかし、買収者が多額の株式を取得してしまうと任期途中でも解任させられてしまうこともあるので、あまり効果的とはいえません。

安定株主工作

安定株主工作とは、取引先や従業員など、自社に関わる人に株の長期保有を要請し、買収しにくくすることです。

日本では昔から行われてきた方法ですが、近年では企業価値が高くなければ株を安定保有してもらうことは難しくなっています。

結局は株主の利益追求のための経営をすることが大切になります。

防戦買い

防戦買いとは、買収者に負けないくらいの株を第三者に買ってもらう方法です。

自社で買い集めることもできますが、会社からの資金流出を招いてしまい、結果的に株主に損害を与える可能性があります。

配当引き上げ

配当引き上げとは、配当を大幅に引き上げ、現在の株主を繋ぎとめるために行われる防衛策です。

また高配当が高株価へとつながれば、買収が難しくなります。

しかし、将来にわたって高配当を維持しなければその場しのぎとなってしまい、配当が下がった時点で株主が株を手放してしまう可能性があります。

クラウンジュエル(焦土作戦)

クラウンジュエルとは、買収者が魅力に感じている事業などを第三者に売却してしまい、買収意欲を低下させる方法です。

しかし、資産を売却することが株主の望むことなのかは、よく検討する必要があります。

パックマンディフェンス

パックマンディフェンスとは、買収者を逆に買収してしまう方法です。

完全に買収ができなくても、相手の株式を4分の1以上持つことができれば、相手が自分に対して持っている議決権は停止します。

効果のある防衛策ではあるものの、買収のためにはかなりの資金が必要となり、投資後どう活かすのか検討しなければいけません。

ホワイトナイト(白い騎士)

ホワイトナイトとは、より好ましい第三者に買収してもらう方法です。

しかし敵対的買収者よりも自社にメリットのある相手を見つけてくるのは非常に困難で、株主に賛同を得ることも難しいです。

 

敵対的買収を防衛するならプロに相談しよう

敵対的買収 相談

敵対的買収を防ぐためには経営コンサルタントに頼ることがオススメです。

コンサルタントの業務内容と優秀なコンサルタントの選び方をチェックしましょう。

経営コンサルタントがやってくれる3つのこと

経営コンサルタントがやってくれることは大きく3つあります。

まずは、敵対的買収のリスクを評価してもらいます。

割安度や買収者にとっての魅力度、株主の構成などからリスク要因を洗い出します。

次に、企業価値を向上させるためのアドバイスをしてくれます。

敵対的買収の本質的な防衛策は企業価値を最大化することです。

企業コンサルタントは経営・収益・資金調達や資金繰りなど、さまざまな面からアドバイスをしてくれます。

さらに、最適な敵対的買収の防衛策の選定と実行のアドバイスをしてくれます。

記事内で10個の防衛策を紹介しましたが、どの防衛策が自社に最適なのか判断は難しいです。

プロのアドバイスを聞きながら、実行の手続きまで指導をしてもらいましょう。

経営上コンサルタントの選び方

コンサルタントの選び方には3つのポイントがあります。

まずは、さまざまな分野での経験と実績がある人を選ぶようにしてください。

つい同じ業界で経験が豊富なコンサルタントを選んでしまいそうになるのですが、新しい角度からのアドバイスが期待できません。

会社の価値を上げ、敵対的買収を防ぐためには、今までとは違うアイディアをもたらしてくれる人が最適です。

次に、相性が合うコンサルタントを選んでください。

企業価値を上げるために、そもそも経営や提供している商品やサービスの見直しを行う必要が出てくることもあります。

そんな時、「この人と一緒に経営をしていくんだ」と思える人ではないと、考え方や価値観の違いから目指している企業とは異なるアドバイスや指導を受けることになってしまうのです。

依頼をする前に、しっかりと面談を設け、この人になら会社任せられるという人を選びましょう。

最後に、マーケティング系に強いコンサルタントがオススメです。

マーケティング系に強いコンサルタントは、株主の気持ちを理解し、それをどう会社経営に反映させるかを熟知しています。

株主の期待に応えることは、敵対的買収の防止に繋がるのです。

まとめ

敵対的買収とは、相手の経営陣の同意を得ずに行われる株式買収のこと。

自社が敵対的買収をされないよう、防衛策をしっかり学び、プロのコンサルタントに任せることで安定した会社経営をしましょう。