事業承継税制とは?適用要件、チェックリスト、手続き方法を徹底解説

事業継承税制 

事業承継税制についてお調べですね。

事業承継をする際に、後継者に相続や贈与を行うと思います。その際は、相続税や贈与税が必要です。

「相続税や贈与税を後継者に納めてもらうための資金がない……」なんてお悩みではないですか?

事業承継税制を利用しないと損してしまいますよ!

なんと、事業承継税制を使えば、納税を免除してもらえることもあるんです!

今回は、事業承継税制の内容や適用要件、利用するための準備についてご説明します。事業承継税制を利用して、損せず事業承継をしましょう!

事業承継税制とは?

事業承継補助金 金額

事業承継税制とは、現経営者から後継者に株式を贈与するときや相続させるときに利用できる制度です。「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予・免除制度」とも呼ばれています。

贈与の場合は贈与税、相続の場合は相続税がかかりますが、要件を満たせば、納税を猶予・免除されることが可能です。例えば、相続で利用した場合には以下のように税負担を軽減できます。

事業継承税制 計算

引用:事業承継ガイドライン(中小企業庁)

事業承継税制を利用して必要な資金を抑え、円滑に事業を承継しましょう。

平成30年度改正の特例措置でどうなる?

事業継承税制 特例措置

事業承継税制は、平成30年度税制改正によって利用しやすくなりました。

しかし、平成30年度から10年間の特例措置であることには注意しなければなりません。

事業承継税制の平成30年度の改正のポイントは以下です。

平成30年度改正前 平成30年度改正後
①後継者人数 代表者1人のみ 最大3人まで
②猶予対象の株式  発行済み株式の3分の2が上限  取得した全ての株式
③猶予の割合  株式の相続税の80%、贈与税の100%  株式の相続税、贈与税の100%
④株式の取得  先代の代表者からのみ  誰からでもOK
⑤雇用確保要件  5年間は相続・贈与時の雇用の8割を維持しなければ猶予打ち切り  8割維持ができなくても、猶予は継続
⑥後継者が廃業や売却をする際の納税額  承継時の納税猶予額  廃業時の評価額や売却額で納税額を計算し、承継時の株価で計算した納税額との差額を減免

この中で特に注目すべきは、⑤雇用確保要件です。

雇用確保要件

改正前までは、事業承継後5年間の平均で、雇用8割を維持しなければなりませんでした。

雇用の8割維持ができなければ、猶予された贈与税・相続税を全額納付する必要があったのです。

しかし、平成30年度改正後は、5年間の雇用平均8割未満でも猶予が継続します。

雇用平均が8割維持できなかった場合は、都道府県に理由書を提出すれば良いのです。

雇用確保要件が緩和されたことによって、事業承継税制を利用しやすくなりました。

事業承継税制のメリット

事業承継コンサルタント 相談

事業承継税制を利用するメリットは、以下の2点が考えられます。

事業承継時の贈与税や相続税の負担が少なくなる

納税負担が少なくなることで、円滑な事業承継ができます。資金が少なくても後継者が安心して事業承継ができるのです。

また、納税資金を準備しなくて良いので、後継者の教育と経営に集中できます。

雇用を維持するため計画を練ることで、経営の安定や事業の発展につながる

雇用確保要件を満たすためには、長期的な事業承継の計画を練らなければなりません。

それは、雇用の維持だけではなく、事業の発展にもつながります。

この2つのメリットは、事業承継を成功させるには大切なものです。

それでは、どのような要件を満たせば事業承継税制を利用できるのか確認しましょう。

事業承継税制の適用要件チェックリスト

会社売却 条件

事業承継税制を利用するには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 贈与税・相続税共通の要件
  • 贈与税で事業承継税制を使う後継者・現経営者の要件
  • 相続税で事業承継税制を使う後継者・現経営者の要件

順番に確認しておきましょう。

贈与税・相続税共通の要件

都道府県知事から認定を受けること

都道府県知事の「円滑化法の認定」を受ける必要があります。

ご紹介する贈与税と相続税それぞれの場合の、「会社の要件」、「後継者の要件」、「現経営者の要件」を満たさなければなりません。

次の会社のいずれにも該当しないこと

  1. 上場会社
  2. 中小企業者に該当しない会社
  3. 風俗営業会社
  4. 資産管理会社
  5. 総収入金額が 0の会社、従業員数が0の会社

納税が猶予される贈与税・相続税の金額及び利子税の金額に見合う担保を税務署に提供すること

税務署に猶予される金額に見合う担保を提供する必要があります。

納税猶予対象の株式全てや、不動産、国債・地方債、税務署長が認める有価証券などが提供可能です。

贈与税で事業承継税制を使う後継者・現経営者の要件

後継者の要件

  1. 会社の代表権を有していること
  2. 20歳以上であること
  3. 役員等の就任から3年以上を経過していること
  4. 総議決権数の50%超の議決権数を保有していること

現経営者の主な要件

  1. 会社の代表権を有していたこと
  2. 贈与時に、会社の代表権を有していないこと
  3. 贈与の直前に、総議決権数の50%超の議決権数を保有していること

相続税で事業承継税制を使う後継者・現経営者の要件

後継者の主な要件

  1. 相続開始日の翌日から5か月経った日に会社の代表権を有していること
  2. 相続開始時、総議決権数の50%超の議決権数を保有していること
  3. 相続開始の直前に、会社の役員であること

現経営者の主な要件

  1. 会社の代表権を有していたこと
  2. 相続開始直前において、総議決権数の50%超の議決権数を保有していること

以上が事業承継税制の要件です。

利用できるか不安な点がある場合は、早めに専門家に相談しましょう。

事業承継税制利用のための準備や手続

事業継承税制 注意点

事業承継税制を利用するためには、申告書を準備して都道府県に提出しなければなりません。

準備するのは、贈与税や相続税の申告書に、事業承継税制を利用することを書いたものです。申告書には、事業承継税制を利用する非上場株式等の明細や納税猶予分の贈与税額の計算書などを記載した書類を添付します。

また、申告書の提出期限までに、納税猶予額と利子額に見合う担保を提供することが必要です。申告書は税金の申告期限までに提出する必要があるので、早めに準備に取り掛かりましょう。

事業承継税制に詳しい専門家は?中小企業庁の支援も活用しよう

事業承継税制に詳しい専門家は、税理士弁護士が考えられます。

また、中小企業基盤整備機構の支部(中小企業・ベンチャー総合支援センター)の相談窓口でも情報提供してもらうことが可能です。

(参考:中小企業・ベンチャー総合支援センター

事業承継税制は、相続や贈与をしてからでは適用できません。

利用したい場合や何か不安がある場合は、早めに専門家に相談に行きましょう。

事業承継税制の注意点!

事業継承 注意点

大幅な節税ができる事業承継税制ですが、2つの注意点が存在しています。

1つ目の注意点は、好条件な平成30年度改正はこれから10年間のみの特例措置だということです。それ以降の事業承継税制がどのような内容になるかはまだわかりません。10年後以降に事業承継税制を利用したいと考えている方は、10年以内に事業承継が行えないか考えてみてください。

2つ目の注意点は、事業承継税制を利用するためには贈与や相続を行う前から準備が必要ということです。事業承継税制を活用するためには、計画的な贈与・相続をする必要があります。それは事業承継の成功にもつながるのです。

注意点を理解して、事業承継税制を利用してください。

まとめ

事業承継税制とは、現経営者から後継者に株式を贈与するときや相続させるときに利用できる制度です。

事業承継税制を使えば、税金の負担をかなり軽減することができます。

税負担を減らして、円滑な事業承継を行いましょう!