中小企業のための事業承継スキーム完全ガイド!会社を後継者へ引き継ぐ方法

中小企業のための事業承継スキームまとめ|会社を後継者へ引き継ぐ方法

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を信頼できる親族や従業員など、後継者に引き継ぐことをいいます。経営者にとっては、会社を存続させるために行う最後の重要な仕事です。

事業承継では、経営権だけでなく、不動産や株式といった資本も引き継ぎの対象となります。また、身近な人に経営権を引き継ぐ場合、後継者育成に時間がかかるため、事前の準備が欠かせません。

最近では少子高齢化による後継者不足からM&Aによる事業承継の事例も増えてきました。

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しかし、後継者が見つからず、やむを得ず廃業するというパターンも増えてきています。そうならないためにも、事前にどのように事業承継を行うのか考えておく必要があります。今回は、事業承継の3つのパターンについて解説していきます。

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子供への事業承継|親族への贈与

現経営者が生きている間に計画的に子供へと会社を承継する方法です。子供に経営の資質があって、なおかつ会社を継ぐ気持ちがあるなら(なかなか無いかもしれませんが..)メリットが大きい承継スキームでしょう。現経営者にとっても家族のために会社を残せるので納得がいくのではないでしょうか。

継承スキームとしては、株式を生前贈与することで子供に後継者として事業承継をします。

ここで気になるのが生前贈与することでの税金面ですよね。生前贈与は、相続よりも税率が高くなるため非課税である基礎控除(年間110万円まで)の範囲内で数年間かけて贈与していく方法などがあります。また「承継円滑化法」によって贈与税が免除される方法もあります。(適用の要件が厳しいのですが..)

また具体的に承継を進めるに当っては専門家である税理士や弁護士への相談をして進めていくのが良いでしょう。

また注意点として、銀行からの借り入れをしている場合には銀行との調整も必要になるかもしれません。現経営者が個人で連帯保証をしている可能性があります。その場合には子供へ経営を引き継ぐのなら資金を貸している銀行との連帯保証の扱いについて問題が置きます。銀行は現経営者に対する信用で資金を貸しているのですから、子供が新しく経営者になるにあたって連帯保証を子供に巻き直すのは認めない可能性があります。

そうすると現経営者は連帯保証を外すことができない可能性もあります。経営を続けて数年で返済ができるなら良いのですが、そうできない場合には対応を考える必要があります。

従業員への事業承継

経営ができそうな従業員へ株を譲渡することで事業承継するスキームです。会社が置かれている立場や社内の事情を理解している従業員へと承継するので仕事面での引継ぎが比較的スムーズな点がメリットです。

問題点としては、株式を譲渡するときの資金を、譲受する側の従業員が持っているか?という点です。会社員として給与で働いてきた人にとっては株を買取る資金力が足りない可能性もあります。もし親族がいなく、株を売却しなくとも十分な資金があるのなら(珍しいケースかとは思いますが..)前述の「承継円滑化法」を使って従業員に贈与も選択肢の一つかもしれません。承継円滑化法の贈与税の免除は親族以外でも適用の対象です。

またここでも現経営者が銀行からの借り入れで個人で連帯保証をしている場合には銀行側との調整が必要になる可能性があります。

他社に株式、事業を譲渡する事業承継

M&Aによって他社に株式譲渡または事業譲渡をして事業承継をするスキームがあります。M&Aというと大企業だけのイメージを持つかもしれません。しかしM&Aによる事業譲渡は近年、増えている傾向にあります。

株式譲渡

株式譲渡は純粋に会社の株式をM&Aで他社に売却することになります。他社に株式を売却するため、経営者の個人に売却益が入ります。また株式の売却益のため税率20%と低めになることがメリットといえます。

また、手続きが簡単で、スムーズに手続きができることや、売却株式の比率を柔軟に決めることができるといったメリットもあります。

株式譲渡について詳しくは以下の記事を参考にしてください。

株式譲渡の手続きや契約書・税金などについて丁寧に解説!

ただし株主が複数いる場合には、各株主との調整などに苦労するかもしれません。

事業譲渡

事業譲渡による事業承継スキームもあります。

これは今の会社は残したまま、事業資産だけを他社に売却する方法です。会社には資産だけでなく、債務や不利な契約などを負債となるものもあるかと思います。そういった、譲受する側の会社がそういった負債を引継ぎたくない場合に、株式を譲渡するのではなく事業資産だけを譲渡します。

この場合には、売却益は経営者個人ではなく会社に入ります。そのため、経営者個人にお金を戻す場合には、所得税が課税されますのでご注意ください。

またここでも借り入れに連帯保証がある場合には銀行との調整が必要です。ただ、他社への売却する場合においては、借入金を一括返済する金額も含めて株式譲渡、事業譲渡の売却金額を設定することが一般的かと思います。

現経営者は売却益を使って、銀行に一括返済をすることで連帯保証を解消できます。このようにして連帯保証があっても他社への事業承継を完了することが可能です。

事業譲渡について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

事業譲渡に必要な手続きを丁寧に解説!契約書の書き方や会計処理まで

まとめ

事業承継のスキームについて理解頂けたでしょうか?細かい点までは説明しませんでしたが実際の事業承継はケースバイケースになるので顧問弁護士や顧問税理士へ相談しながら進める必要があるでしょう。

また承継を進めるにあたり弁護士と会話をするためにもある程度の知識は頭に入れておく必要があります。そこで読みにくくはあるのですが中小企業庁が出している「事業承継ガイドライン」を一度、お読み頂くことをオススメします。(承継スキームについてもより細かく記載されています。)

身近に後継者がいないからと、せっかく育ててきた会社を廃業してしまうのは経営者として悲しいことかと思います。ぜひ何らかの形で事業承継を模索して次の後継者への事業を引継ぎをご検討頂ください。