スモールM&Aとは?案件の探し方や売りやすい物件、個人売買の注意点を解説

スモールM&A

スモールM&Aということばが、最近いろいろなところで聞かれるようになりました。

スモールM&Aという名前の研究会やセミナーなども、いくつも開かれているので、見たことがあるという方も少なくないかと思います。

M&Aというと、大企業や中堅企業をイメージする方が多く、事実近年は大企業や中堅企業のM&Aが盛んに行われてきました。

それが、近年、中小企業や店舗のM&Aが増えてきて、大企業のM&Aと区別するのによくスモールM&Aということばが使われます。

今回は、そんなスモールM&Aについて、基礎的な知識を解説していきたいと思います。

スモールM&Aって?

スモールM&A

そもそもよく使われるスモールM&Aですが、明確な定義が定まっているかというと、そんなことはありません。

いまのところは、それぞれのM&Aアドバイザリー会社や仲介をやっている方々が、「小規模の小さいM&A」というくらいの認識でばらばらの定義で使っていることが多いです。

会社によって、M&Aや事業譲渡の規模を

  • 年商数千万〜10億円規模
  • 売買代金数百万〜1億円程度
  • 簿価純資産5,000万円未満の譲渡希望企業・個人事業者

などとそれぞれが定義しています。

M&Aの仲介業者によっては、それ以下の個人事業やアフィリエイトサイト、ECサイトなどのサイト売買もスモールM&Aに含めることもあります。

要するに、細かい規模や業種・業態は置いておいて、小規模のM&AのことをスモールM&Aというと思っておけばいいかと思います。

なぜスモールM&Aが注目を集めているの?

スモールM&A

最近、スモールM&Aが注目を集めています。

これまではM&Aというと大企業や中堅企業ばかりが着目されていたのですが、最近では中小規模、零細規模のM&Aがかなり注目されています。

なぜこんなにスモールM&Aが着目を集めているのかというと、

  • 事業承継
  • 投資
  • 起業

などでの活用に使われているのです。

まず最もスモールM&Aに着目されている理由が、事業承継です。

中小企業庁が2017年7月に出した「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」によると、

  • 今後5年間で30万以上の経営者が70歳になるにもかかわらず、6割が後継者未定
  • 高齢化が進むと企業の業績が停滞 (売上増は70代で14%、30代で51%)
  • 70代の経営者でも承継準備を行っている経営者は半数

という点が指摘されています。

このままだと、多くの企業が後継者不足で廃業せざるを得なかったり、後継者が見つからない高齢経営者による消極的な事業展開がされる企業ばかりになってしまいかねません。

そこで、注目されているのが、スモールM&Aです。

親族内承継ができない中小企業経営者は、廃業させるのではなく、第三者承継させるためにM&Aを活用するという流れが活発になってきています。

また、投資案件としてのM&Aにも注目が集まっています。

株や不動産とは違う投資のひとつとして、特に事業経営に関心や経験のある方の間で広がっています。

たとえば、コンサルティング会社で飲食店のコンサルをずっとやってきた方が、飲食店を複数買収して、業績を回復させて売りぬくというようなケースです。

買収した事業が必ずしもうまく成長したり再生したりするとは限りませんし、場合によっては手をかけないといけないので、純粋な投資よりも大変なことがある分、回収までの期間が早かったり、ROIの高い投資ができることが多々あります。

さらに、ひとつの案件で成功事例や勝ちパターンを作ると、2つ目や3つ目の案件にも手を出しやすく、そうするとどんどん事業が拡大していく方も多くいらっしゃいます。

最後に、起業の新しいカタチとして、M&Aという選択も広がりつつあります。

つまり、ゼロから事業や店舗などを起業するよりも、すでにうまくいっている事業や店舗をM&Aや事業譲渡で譲り受けることで、事業を始めるという方法です。

この方法だと、

  • 黒字の店舗を引き継ぐことができる
  • 固定客や顧客リストがすでに存在する
  • 事業を引き継いでからのキャッシュフローがある程度予測できる
  • ノウハウが引き継げる

などという点で、ゼロから起業するよりも失敗する可能性が低いというわけです。

また、退職金でフランチャイズに加盟することでビジネスを始める方も多いですが、フランチャイズの高額な加盟金を払うくらいならすでにうまくいっている事業を買収してビジネスを始めた方が、その後の投資資金の回収も早く、また利益率もよくなることがあります。

なので、なにか事業をはじめようと思う場合、なんでもかんでもゼロから立ち上げないといけないという認識を捨て、既存事業を買えないかということをまず考えるのがオススメです。

さすがに従業員がめちゃくちゃいるようなある程度の規模のある会社を買収しようと思うと個人では厳しいですが、スモールM&Aくらいの規模の事業買収なら、不動産投資しているような感覚でできる案件も多くあります。

スモールM&Aで売りやすい案件は?

スモールM&A

反対に売る側の立場で考えると、スモールM&Aといて売りやすい案件というのは、

  • 黒字であること
  • 売り手の売却理由があまりネガティブでないこと(引退や事業の選択と集中など)
  • 許認可を持っていて、その許認可が取得困難なこと
  • スタッフがM&A・事業譲渡に理解してくれていて、継続的に勤務してくれること
  • 管理がしっかりしていて、決算資料などが信頼できること

などです。

もちろん、全て当てはまる必要はありません。

ただ、赤字の物件の売れないかというと、決してそんなことはありません。

たとえば、

  • 自社のノウハウを使えばすぐに黒字になる
  • 許認可がほしい
  • スタッフ不足による譲渡で、自社のスタッフで保管できる
  • 居抜き物件と同じ感覚で買収後ゼロからやり直す

といったケースなど、買い手にメリットがある場合は、赤字でも全く問題なく売ることができます。

実際、赤字案件を投資物件として格安で購入し、自社の豊富なキャッシュで広告費を大量につぎ込み、数ヶ月後には黒字にして、半年から1年以内に回収している方も結構いらっしゃいます。

スモールM&Aの注意点

スモールM&A

スモールM&Aが注目を集めている一方、スモールM&Aは市場がまだまだ未成熟な点も否定できません。

特に、注意する必要があるのは、怪しい仲介業者が多いことです。
怪しい仲介業者から、M&Aや事業譲渡をしてしまうと、

  • 契約締結前に聞いていた話と全然違う
  • 引き継げるはずの従業員がやめてしまった
  • 聞いていない支払いや債務が見つかった
  • 相手が引き継ぎに全然協力してくれない

ということが起こるケースもあります。

そうすると、トラブルの処理に弁護士費用や時間がかかり、大変な目に会うことになります。

怪しい仲介業者の案件は避けた方が良いですが、逆にいい案件なことももちろんあります。

なので、しっかりと契約書を弁護士を入れて作ることや、事前にデューデリジェンスや調査をしっかりした上で買収する、場合によっては総勘定元帳まで遡って費用などをチェックしておくなど、気をつけることが大切になります。

場合によっては、セカンドオピニオンを専門の方に依頼するものいいかもしれません。

デューデリジェンスとは?その種類や方法、M&Aで使用する際の注意点を解説

スモールM&Aの案件はどこで買える?

スモールM&A

スモールM&Aは、これまであまり案件が流通することはありませんでした。

多くが、知り合いの紹介などでの売買でした。

というのも、M&Aアドバイザーや仲介業者からすると、数百万円〜数千万円のM&A・事業譲渡の案件は、仲介料があまり取れない「美味しくない案件」だったのです。

同じ10%が手数料として入るとして、1億円のM&A・事業譲渡だと1,000万円のフィーが入るのに対して、100万円の案件だと10万円しか売上られません。

当然、どのアドバイザーや仲介業者もやりたいのは大きい規模の案件で、スモールM&Aはこれまで放置されてきました。

最近では、マッチングや検索ができるWEBサイトが立ち上がっています。

これまでは、M&Aの仲介というと、人が時間と労力をかけて行っていたのですが、Web上でのマッチングにより仲介手数料がかからないマッチングまで可能になってきました。

WEBサイトでいい案件を定期的にチェックすることで、スモールM&Aのいい案件が見つかります。

不動産と同じで、出物という側面があるので、タイミングが重要になります。

まとめ

スモールM&A

今回は、スモールM&Aについて、基礎的な知識を解説してきました。

スモールM&Aは、事業承継の盛り上がりとともに、ますますこれから注目されていく分野です。

投資や起業に活用するのもいいですし、すでに事業をやられている方が事業の拡大や新規参入に拡大する需要もあります。

一方で、高齢化や事業の出口戦略としてのスモールM&Aの活用も増える見込みで、譲渡希望案件の供給も急増しています。

小さな事業の売り買いがもっと盛んに行われていくと、様々な案件が流通し、またスモールM&Aの活用も多様化していくことが予想され、大変おもしろい市場になるのではないかととても楽しみです。