成年後見制度とは?わかりやすく簡単に制度のメリットや手続きを解説!

成年後見制度とは何?制度のメリットや手続きを分かりやすく解説!

成年後見制度とは、判断能力が十分でない方が不利益を被らないように、サポートしてくれる人を付けることです。

例えば、認知症の方や知的障害を持つ方が利用します。

でも、「成年後見制度を利用したら何が出来るの?」と、制度をよく理解していない人も多いはず。

そこで、成年後見制度について、わかりやすく解説。目的やメリット・デメリットを説明します。

また、どういう人が成年後見制度を利用するべきかも伝えているので、あてはまる人が家族にいる場合は手続きをして、家族を守りましょう

成年後見制度とは

成年後見制度とは

成年後見制度とは、判断能力が十分でない方が不利益を被らないように、サポートしてくれる人を付けることです。

例えば、認知症・知的障害・精神障害などにより、日常的にものごとを判断することが難しい人が対象者となります。

まずは、成年後見制度がどのような制度なのか、詳しく確認していきましょう。

成年後見制度をわかりやすく解説

成年後見制度を利用することで財産管理を全般的に成年後見人が代理することになります。

成年後見人とは、本人の代わりに物事の判断を行う保護者のような存在です。

特に、認知症の場合は、日常生活におけるお金の管理が困難となってしまいます。

そのため、詐欺の被害に合う確率も高くなってしまうのです。

そのような被害を受けないように、成年後見制度があります。

成年後見制度には、大きく分けて法定後見制度と任意後見制度の2つの制度があります。

それぞれについて見ていきましょう。

法定後見制度

法定後見制度とは、本人の判断能力が低下してしまった後に申請を行う制度です。

対象者は、日常の生活においても、外出が出来ないくらい判断能力がない方となります。

そのため、制度を利用するかの判断も家族など第三者が行うことになるのです。

申請をするためには、家庭裁判所での手続きをしなければなりません。

また、後見人は家庭裁判所から選任された人がなります。

任意後見制度

任意後見制度とは、本人の判断能力が低下する前に成年後見人を選任しておくことです。

将来判断能力が低下したときに、「成年後見人はこの人にしてもらう」と指定することが出来ます。

申請場所は、公証役場です。

法定後見人制度と比べて、自分自身で信頼する人を選べる点が大きな違いとなります。

成年後見制度のパンフレット

参考:家庭裁判所

裁判所が成年後見制度について、わかりやすくパンフレットにまとめています。

より詳しく知りたいという方は、以下よりダウンロードして下さい。

成年後見制度を利用する3つの目的

成年後見制度を利用する3つの目的

「どんな制度かは分かったけど、どういうときに使う制度なの?」と気になっている人もいると思います。

成年後見制度を利用する目的を3つにまとめましたので、確認していきましょう。

財産の管理

成年後見制度を利用するほとんどの人が、財産の管理を本人が出来ず、代わりに管理してもらうことを目的としています。

具体的には、預貯金通帳や印鑑の管理、年金や給料の受取などが行われるのです。

また、公共料金や税金の支払いなども代理で成年後見人が行うことになります。

さらに、所有している不動産の管理や処分も代理で成年後見人が行ってくれるのです。

身上監護

身上監護とは、本人の生活や健康を考慮して、安心した生活が送るために必要な契約を行うことです。

具体的には、家賃の支払いや、医療機関・介護施設などへの手続きや費用の支払いを行います。

また、本人が変わりなく生活できているか、定期的に成年後見人は自宅への訪問もしてくれるのです。

直接介護や看護が行われることはありませんが、本人の生活を見守る役割を果たしてくれます。

相続手続き

相続が発生したけども遺産分割協議ができない場合にも、成年後見制度が利用されます。

成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加し、本人の権利を主張してくれるのです。

また、土地や預金など、相続するために手続きが必要な際も、代理で行ってくれます。

成年後見制度のメリットとデメリット

成年後見制度のメリットとデメリット

では、成年後見制度はどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

良い面だけでなく、悪い面もしっかり把握しておきましょう。

メリット1.本人の生活を見守ってもらえる

成年後見制度を利用すると、本人の生活を家庭裁判所に見守ってもらえます。

なぜなら、成年後見人によって生活が安全に送れているか定期訪問を行うからです。

その中で、介護サービスが必要だと判断すれば、本人に代わって手続きをしてくれます。

メリット2.本人の財産管理をしてもらえる

本人だけでは行えない必要な契約や、支払い、財産の処分などを成年後見人に任せることが出来ます。

介護施設などの契約・入居費用、生活に必要なお金の管理などを任せることが出来るので、同居している家族がいなくても安心です。

メリット3.不正な契約から守ることが出来る

万が一、詐欺などで不正な契約を交わしてしまった場合でも、成年後見人がいれば契約を取り消すことが出来ます。

例えば、高額な商品を購入してしまったり、土地などの財産を安く売ってしまった場合でも、後から取り消すことが可能です。

本人に不利益なことから守ることが出来ます。

デメリット1.本人の財産に家族も手が出せなくなる

成年後見制度を利用すると、家族で会っても本人の財産を簡単に使うことが出来なくなります。

もし、孫の学費や教育費を援助していたなら、それらは打ち切られることになるのです。

なぜなら、本人が介護が必要になったときに資金不足で良いサービスが受けれなくなる、といったことをなくすためです。

デメリット2.一般人が成年後見人になると大変

司法書士や弁護士などの専門家以外の人が成年後見人になると負担が大きくなり、大変です。

本人の財産目録を作成したり、定期的に家庭裁判所に報告書を提出する必要があります。

本人の判断能力が回復しない限り、このような業務から逃れることは出来ません。

業務が長期化することが多く、成年後見人の負担は大きいです。

デメリット3.専門家が成年後見人になると報酬が必要

成年後見人を専門家に依頼した場合、報酬を払わなくてはなりません。

報酬の相場は月額2万円程度です。

基本的に、一度成年後見制度を利用すると本人の存命の限りは、利用し続けることになります。

つまり、月額2万円を長い間支払い続けることになるのです。

こんな人は成年後見制度を利用すべき

成年後見制度とは何?制度のメリットや手続きを分かりやすく解説!・こんな人は成年後見制度を利用すべき

では、どんな人が成年後見制度を利用すべきなのでしょうか。

成年後見制度を利用するためには、条件を満たさなければなりません。

また、1章でも説明をしたように、成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2つの制度があります。

どのような場合にどちらの制度を選ぶべきか、事例を挙げながら一緒に確認していきましょう。

法定後見制度と任意後見制度の利用条件

法定後見制度を利用するためには、「本人の判断能力が十分でない」と医学的に確認する必要があります。

そのため、医師による鑑定を行わなければなりません。

鑑定は認知症などの専門医ではなく、かかりつけの医師に頼むことも可能です。

一方、任意後見制度は、まだ本人の判断能力がある状態で行います。

将来自分が判断能力が低下したときに、あらかじめ自分が選んだ成年後見人に財産管理などの代理を頼むのです。

そのため、特に条件はありません。

事例で見る制度を利用すべき人

ここからは、実際に成人後見制度を利用すべき人を具体的に挙げていきます。

自身や家族が当てはまるか、確認をしていきましょう。

法定後見制度を利用すべき人

すでに1人では外出できないほど判断能力を失っている人は法定後見制度を利用することをオススメします。

ただし、同居する家族がいて、生活をしっかりと支える人がいる場合は不要です。

以下のような場合には、法定後見制度を利用を検討して下さい。

  • 息子が重度の知的障害者で、両親が亡くなった後が心配
  • 母が1人暮らしをしているが、認知症が発症してしまった
  • 同居している家族が勝手に認知症本人のお金を使っている疑いがある
  • 介護している母からお金の管理を頼まれたが、他の親せきから使い込んでいないか疑われる
  • 相続人となった父が認知症のため、遺産分割協議に参加できない

このようなケースに当てはまるときは、第三者に財産の管理を任せ、本人の安心できる生活を守ってもらいましょう。

法定後見制度もしくは任意後見制度を利用すべき人

まだ判断能力はあるけれど、この先が心配だという人は任意後見制度がおすすめです。

しかし、医師の鑑定を受けると、すでに法定後見制度を利用した方が良いと判断されることもあります。

どちらを選ぶかは、弁護士や司法書士などの専門家に相談して判断するようにしましょう。

  • 1人暮らしになってから、高額な商品を売付にくる人が増えて心配
  • 子どもが遠方に住んでいて老人ホームに入りたいけど、お世話してくれる人がいない
  • 物忘れがひどくなってきて、1人暮らしの老後が不安

このようなケースに当てはまるときは、専門家に相談することをオススメします。

成年後見制度の手続きの流れ

成年後見制度の手続きの流れ

もし、成年後見制度を利用する場合には、手続きをしなければなりません。

この章では、法定後見制度の手続き方法を説明します。

法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てが必要です。

申立人となれる人は、本人・配偶者・四親等内の親せきに限られています。

必要な書類や費用、家庭裁判所への提出方法を確認しましょう。

必要な書類と費用

必要な書類は以下の通りです。

書類の名称 入手先
収入印紙(申立て手数料)800円分 郵便局
郵便切手 4,000円分
(500円×5枚、82円×10枚、50円×5枚、20円×10枚、10円×20枚、2円×10枚、1円×10枚)
郵便局
収入印紙(登記用) 2,600円分 郵便局
鑑定費用 10万円
※必要な場合のみ(裁判所から連絡あり)
鑑定費用の余剰金を返金する申立人名義の金融機関の口座番号控え
※鑑定費用が必要な場合のみ
制度を受ける本人の戸籍謄本 本籍のある市町村役場
制度を受ける本人の住民票または戸籍附票 住所地もしくは本籍のある市町村役場
後見人候補の住民票または戸籍附票 住所地もしくは本籍のある市町村役場
申立書と添付書類 ダウンロード (記載例
後見登記されていないことの証明書 法務局
診断書 病院の主治医などに書いてもらう
本人の健康状態が分かる資料
(精神障碍者手帳や療養手帳など)
チェックリスト ダウンロード

これらの書類を揃えて、家庭裁判所へ申立てを行います。

家庭裁判所へ申立て

必要の書類と費用を準備したら、家庭裁判所へ提出し、申立てを行いましょう。

家庭裁判所は、制度を利用する本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

審問・調査・鑑定

申立てが終わったら、裁判所の職員から申立人や制度を利用する本人から詳しく話を聞きます。

必要に応じて裁判官が事情をたずねることもあるので、対応しましょう。

このとき、本人の判断能力について鑑定を行うこともあります。

審判

事情を詳しく聞いた後、家庭裁判所は成年後見人を付けるべきか審判をします。

同時に、最も適任と思われる成年後見人が選任されるのです。

成年後見人が審判書を受領すると、2週間で成年後見人が確定します。

もし、審判に不服があれば、2週間の間に不服申し立ての手続きをすることが可能です。

成年後見制度を利用するなら専門家に相談しよう

成年後見制度を利用するなら専門家に相談しよう

成年後見制度の手続きをするには、必要資料の作成が多く大変な作業が必要です。

また、制度を利用するべきか悩む人も多いでしょう。

そこで、成年後見制度を考えているのであれば、まずは専門家に相談することをオススメします。

成年後見制度の手続きをすることが出来る専門家は弁護士と司法書士のどちらかです。

どの専門家に任せるべきなのか、確認しましょう。

手続きをすべて任せたいなら弁護士

  • 煩雑な手続きをすべて任せたい
  • すでにトラブルを抱えている

上記に当てはまる場合は、弁護士に相談することをオススメします。

必要書類の作成はもちろん、申立人の代理人としてすべての手続きを任せることが出来るのが弁護士です。

裁判所とのやりとりもすべて済ませてくれるので安心して任せることが出来ます。

また、制度を利用しようとしているご本人が、既に詐欺にあったり、家族による財産の使い込みなどトラブルがある場合も弁護士がオススメです。

成年後見制度の手続き以外のトラブルに関しても解決してくれます。

しかし、司法書士と比べると報酬の相場は高いです。

着手金が20万円程度、財産調査に10万円程度、成年後見人に指定をするとさらに20万円程度かかります。

さらに、成年後見開始の審判がされた場合には報酬金として10万円程度が必要です。

合計で、約60万円は必要と考えておきましょう。

費用を抑えたいのであれば司法書士

  • 手続きをする費用を抑えたい
  • 現時点でトラブルは抱えていない

上記に当てはまる場合は、司法書士に相談することをオススメします。

司法書士は弁護士と比べて、報酬が非常に低く設定されている事務所が多いです。

報酬相場は、10万円~20万円程度と考えておきましょう。

申立て自体は自分で行う必要がありますが、一番手のかかる必要書類の作成は任せることが出来ます。

費用を安く済ませたいのであれば、司法書士に相談しましょう。

しかし、弁護士に比べると、裁判所への提出や裁判所とのやり取りは申立人が行わなければならないので、注意しましょう。

まとめ

成年後見制度とは、判断能力が十分でない方が不利益を被らないように、サポートしてくれる人を付けること。

大切な家族を守るための制度です。

もし、成年後見制度を利用した方が良いと感じるのであれば、まずは弁護士などの専門家に相談しましょう。

制度を利用することで、ご家族が安心して生活することが出来るようになります。