社長交代の手続きを徹底解説!挨拶状のタイミングや例文を紹介

社長交代に必要な手続きを徹底解説!挨拶状の例文もご紹介

「社長を交代することになったけれど、どのような手続きをすれば良いのだろう?」なんて、お悩みではないでしょうか。

社長交代というと、経営権が新しい社長に移るだけとお考えの人も多いと思います。

しかし、実は、社長交代をするにあたって、社内や社外で行うべき手続きがあるのです。

社長交代の手続きをしっかり行っていなければ、今後の取引関係に影響が出るかもしれません。

今回は、社長交代の際に行うべき挨拶状の出し方や、社内外での手続きをご紹介します。

社長交代を円滑に行い、会社をさらに発展させましょう!

社長交代の手続きとは?

社長交代の手続きとは?

社長交代の手続きは、以下のようにさまざまなものがあります。

【社内で行うべき手続き】

  1. 定款・就業規則などの変更
  2. 社長交代の社内通知
  3. 書類や報告書、掲示物の整備
  4. Webサイトの修正

【社外で行うべき手続き】

  1. 社長交代の挨拶
  2. 代表者変更の登記
  3. 保険や税金関係の変更届
  4. 契約書の再締結
  5. 銀行口座の変更届

これらの手続きは、早めに行ってください。

手続きが遅れてしまうと、登記や税金関係で不備が生じるなど、会社経営にも影響が出てしまいます。

単に経営権を新社長に移動させるだけでは、社長交代が成功したとは言えないのです。

手続きを進めながら、社長が交代をしたことを取引先などに伝える準備も行わなければなりません。

まずは、社長交代の挨拶状の出し方を見ていきましょう。

社長交代のお知らせのために挨拶状を出そう

社長交代のお知らせのために挨拶状を出そう

社長の交代が起こった場合には、すぐに社外の関係者に挨拶状を出す必要があります。

それによって、新社長の就任と前社長の退任を知ってもらうのです。

挨拶状を出さなければ、関係者に社長交代について気づいてもらえずにトラブルになるかもしれません。

今後の会社経営を円滑に進めていくためにも、新社長による挨拶状は必須だと言えます。

社長交代の際には、挨拶状を忘れずに出しましょう。

「社長交代の挨拶状って、何を書けば良いのかな?」なんて、お悩みの人もいると思います。

社長交代挨拶状の内容について、詳しく確認しておきましょう。

社長交代挨拶状の例文

社長交代の挨拶状には、新社長の名前と挨拶を書きましょう。

読みやすいように、できるだけシンプルな内容にするべきです。

例文としては、以下のようなものが挙げられます。

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて 私儀 このたび◯◯会社の代表取締役社長に就任致しました。
つきましてはまだまだ未熟ではございますが社業の発展のため微力を尽くしてまいる所存でございますので何卒今後共一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
敬具

 

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて 私儀 このたび ◯◯会社の後任として代表取締役社長に就任いたすことになりました。
つきましては微力ながら社業の発展に精励いたす所存でございますので前社長同様のご厚情を賜りますようお願いいたします。
あわせてご高承の上 今後とも倍旧のご支援ご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
先ずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
敬白

このように、社長を交代したことがすぐにわかるような文章にしましょう。

前社長の退任挨拶を連名で行うこともある

ちなみに、前社長による退任の挨拶も併せて連名で行うことが多いです。

前社長の退任挨拶は、例えば以下のようなものとなっています。

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて 私儀 このたび代表取締役を退任し取締役会長に就任いたすことになりました。
社長在任中は格別のご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。
尚 後任社長には◯◯が就任いたしますので私同様何卒宜しくご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
先ずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
敬白

前社長の退任挨拶も、新社長の就任挨拶と同様に簡潔でわかりやすいものを心がけてください。

ていねいに伝えようとするあまり、重要なポイントがわからないということになるのは良くありません。

挨拶状では最低限の文章にとどめ、実際に顔を合わせたときに相手に応じた挨拶を行いましょう。

「挨拶状を出すタイミングはいつが良いのだろう?」なんて、疑問に思った人もいると思います。

社長交代の挨拶状を出すタイミングについて見ておきましょう。

挨拶状を出すタイミングは?

挨拶状を出すタイミングとしては、社長交代の当日に出すのが良いです。

当日が無理だとしても、社長交代が決まってから数日以内には出したほうが良いでしょう。

もしも遅くなってしまうと、取引先と仕事が円滑にできなくなる可能性があります。

社長の交代は事前に決めていることなので、交代当日に出せるように準備しておくべきです。

どれだけ遅くとも1週間以内には挨拶状を出すのがマナーとされています。

挨拶状はメールでも良い?

社長交代の挨拶は、原則としてメールではなく手紙で行うべきだと言えます。

なぜなら、本来は直接うかがってするべき挨拶を、手紙という形式ですでに省略しているためです。

したがって、挨拶をメールで行ってしまうと省略しすぎていてマナー違反とされる場合があります。

新社長にマナーがないと取引先に思われてしまうと今後の取引関係にも影響が出る可能性があるので気をつけてください。

特段の事情がない限りは、社長交代の挨拶状は手紙で行いましょう。

以上が、社長交代の挨拶状の出し方です。

挨拶状以外にも社長交代によって行うべきことが存在しています。

ここからは、社長交代の際に社内で行うべきことを確認していきましょう。

社長交代によって社内で行うべきこと

社長交代によって社内で行うべきこと

社内で行うべきことは以下のようなものです。

  1. 定款・就業規則などの変更
  2. 社長交代の社内通知
  3. 書類や報告書、掲示物の整備
  4. Webサイトの修正

それぞれの手続きについて、順番に確認していきましょう。

定款・就業規則などの変更

社長の交代によって、定款や就業規則などに社長の名前が記載されていた場合には、新社長の名前に変更しましょう。

定款の変更には、株主総会での合意が必要です。

就業規則の変更には、労働組合の意見を聴いてから、就業規則変更届を労働基準監督署長に提出しなければなりません。

ただし、定款や就業規則に社長の名前が書かれていないケースもあります。

そのため、まずは会社の定款などを確認することから始めましょう。

社長交代の社内通知

社長が交代したことは、社内にも通知する必要があります。

通知の方法に決まりはありませんが、書類やメールで知らせることが一般的です。

社内通知の際には、社長交代の事実だけではなく、今後の書類作成について社長名の変更を意識するべきであるということも書いておきましょう。

特に、見積書のような社外とやり取りする文書は注意が必要となります。

社内通知の例文

社内通知の例文としては、以下のようなものです。
件名:ΟΟ株式会社 社長交代のお知らせ
社員の皆様へ
お疲れ様です。ΟΟ株式会社 代表取締役交代のお知らせです。

Ο月Ο日付でΟΟ株式会社 代表取締役社長にОΟΟΟ様が就任しましたことをお知らせします。
つきましては、顧客データベースの変更や、契約書、見積書、発注書、請求書等の宛名に誤りのないようご注意ください。

————記————

1.前専務取締役 ΟΟΟΟ様
代表取締役社長就任
2.前代表取締役社長 ΟΟΟΟ様
会長就任
3.異動発令日
平成Ο年Ο月Ο日付

伝わり間違いがないように、簡潔に内容を伝えられるような文面にしましょう。

書類や報告書、掲示物の整備

社内で使っている書類や報告書のフォーマットに社長名が入っているなら変更しましょう。

さらに、オフィスに掲示しているものについても社長名を変更しなければなりません。

掲示物については変更し忘れが出やすいので、整備を終えてから再度すべて変更できたかどうかを確認するようにしてください。

Webサイトの修正

会社のWebサイトの社長名も修正を行う必要があります。

社外に挨拶状を送っているのにもかかわらずWebサイトの社長名が変更されていなければ、取引先に混乱をまねきかねません。

また、Webサイト上でも挨拶状と同様の内容を載せておくようにするとわかりやすいです。

Web上の手続きは後回しにされやすいので、早めに行っておきましょう。

以上が、社長交代によって社内で行うべきことです。

しかし、社長交代の手続きは、社内だけではなく社外についても行わなければなりません。

社外で行うべきことも確認しておきましょう。

社長交代によって社外で行うべきこと

社長交代によって社外で行うべきこと

社外で行うべきことは以下のようなものです。

  1. 社長交代の挨拶
  2. 代表者変更の登記
  3. 保険や税金関係の変更届
  4. 契約書の再締結
  5. 銀行口座の変更届

それぞれの手続きについて、順番に確認していきましょう。

社長交代の挨拶

挨拶状を送るだけではなく、できるだけ社外の関係者と直接会って社長交代の挨拶をするべきです。

その際に、新しい名刺を渡せるように新社長は忘れずに名刺を作っておきましょう。

挨拶状ですでに社長交代を伝えているとしても、顔を合わせて挨拶をすることで取引先などとの関係を良くしやすいです。

あくまでも挨拶状は簡易的なものと考え、直接訪問できる場合にはするようにしてください。

しっかり挨拶にうかがうことで、新社長として認めてもらう第一歩となります。

代表者変更の登記

会社の代表取締役社長に変更があった場合、登記も変えておかなければなりません。

登記は会社の本店がある場所の法務局で変更することができます。

代表者変更の登記に必要なのは、以下のようなものです。

  • 株主総会議事録
  • 前社長の辞任届
  • 新社長の就任承諾書
  • 印鑑届書
  • 印鑑証明書
  • 株主リスト

ケースによっては、必要書類が増える可能性があるので事前に法務局に問い合わせましょう。

変更登記申請は自分でも行うことができますが、司法書士に頼めばスムーズに不備なく行うことが可能です。

確実に登記を変更したいなら司法書士への依頼を考えてみてください。

保険や税金関係の変更届

社長が交代になった場合、保険や税金関係の変更も必要になります。

社会保険については、年金事務所に、健康保険・厚生年金保険事業所関係変更届を出さなければなりません。

税金については、会社を管轄している国税事務所と都道府県税事務所へ社長変更を届け出ることになります。

社長に変更があってからすぐに届出を行うものとされているので、早めに行いましょう。

ただし、変更を届け出る際には、代表者変更の登記の書類も必要になります。

したがって、先に代表者変更の登記を法務局で行ってから、年金事務所や国税事務所、都道府県税事務所での手続きを行ってください。

契約書の再締結

場合によっては、今までに結んだ契約書を再締結する必要があります。

原則としては、社長が交代しても契約書の効力はなくならないので新たに契約を結ぶ必要はありません。

ただし、契約書に、「社長変更の場合には契約を再締結すること」というような定めがあるなら、契約を結び直さなければならないのです。

定めがあるのにもかかわらず再締結を忘れていたら取引先とトラブルにもなりかねないので、気をつけてください。

また、定めがなくとも、挨拶状を送った際に相手側から契約書の再締結を頼まれることがあります。

そのときは必要に応じて契約を再度結んでおきましょう。

銀行口座の変更届

社長の交代が行われたら、銀行口座の名義変更も行わなければなりません。

銀行口座の名義変更に必要なものは、例えば以下のようなものです。

  • 会社の銀行通帳
  • 銀行印
  • 新しい社長名義の登記
  • 本人確認資料

ただし、具体的な必要書類は銀行によって異なるので問い合わせて確認してください。

口座番号はそのままで名義が変わるだけなので会社の電気代などの引き落としにただちに影響はありませんが、早めに手続きを行っておきましょう。

以上が、社長交代によって社外で行わなければならないことです。

社内・社外でさまざまな手続きがあるので、抜けがないように気をつけなければなりません。

「すべての手続きを不備なく行えるか不安がある…」というときには、専門家に相談するのも良いでしょう。

社長交代の手続きについて専門家に相談しよう

社長交代の手続きについて専門家に相談しよう

社長交代の手続きについて不安な場合には、専門家に相談するべきです。

交代手続きは、新社長が就任してから最初の仕事となるので、ミスがないように入念に注意しながら行ったほうが良いでしょう。

専門家に相談することによって、不備なくスムーズな社長交代の手続きを行ってもらえます。

社長交代の手続き全般について相談できる専門家は、事業承継アドバイザーです。

事業承継アドバイザーは、事業を後継者に引き継ぐことについてのプロフェッショナルなので、安心して相談できます。

また、登記の手続きなどを代行してもらいたいなら、司法書士に頼むことも可能です。

最初の相談は無料で行っているという専門家も多いので、まずは気楽に相談に行ってみましょう

【補足】社長交代の失敗事例 〜ファーストリテイリング〜

【補足】社長交代の失敗事例 〜ファーストリテイリング〜

今回は、社長交代後の手続きについて解説しました。

しかし、社長交代によって、経営が悪化するなど失敗してしまうケースも少なくありません。

社長を交代して失敗した事例としては、ユニクロで有名なファーストリテイリングのケースがあります。

最後に、ファーストリテイリングの社長交代事例と、そこから見える教訓について確認しておきましょう。

ユニクロというアパレルショップで有名なファーストリテイリングは、2002年に社長交代がありました。

前社長の柳井正氏から、玉塚元一氏に変更されたのです。

しかし、玉塚元一氏のもとでのファーストリテイリングは業績回復の失敗や株価の低迷があり、柳井正氏は不満を覚えました。

実は、柳井氏退任の前年2001年8月期は、ユニクロのフリースが大ヒットして売上高が4180億円まで伸びていました。

一方で、玉塚元一氏が社長となってからはヒット商品を生み出せず、2005年8月期には売上高が3800億円にまで落ちてしまっていたのです。

そこで、3年後にはまた柳井正氏自らが社長に戻ることとなりました。

そしてまた、柳井社長は、2017年10月の日本経済新聞で1年以内の社長引退の意向を示しています。

このように、自分の社長引退後も会社経営を任せられる後継者が育っていなければ、社長就任と退任を繰り返すことになりかねません。

社長が退任してから復帰を果たす事例はファーストリテイリングだけではなく、キャノンやスズキでも同様に行われました。

たしかに、会社経営は実際にやってみなければ結果がわからないことも多いです。

だからこそ、社長交代の際には、事前に後継者育成や、交代後のバックアップをするべきだと言えます。

社長の交代をするなら、書面的な手続きだけではなく、後継者の能力など目に見えない部分も意識しましょう。

手続きだけにとらわれず、会社経営を良くするために何を行うべきなのかについてをしっかり考えなければならないのです。

まとめ

社長交代の際には、社内・社外ともにやるべきことがあります。

今後の経営に差し支えないように、必要な手続きを不備なく行わなければなりません。

特に、社長交代の挨拶はこれからの取引関係を考えても重要なので忘れずに行ってください。

手続きの面で不安があるなら、早めに事業承継アドバイザーのような専門家に相談しましょう。

また、書面的な手続きだけではなく、会社経営を良くするための後継者育成や支援も大切です。