事業譲渡の税務を徹底解説!消費税や法人税の課税対象と金額の目安とは

事業譲渡 税金

今回は会社ごと売却する株式譲渡ではなく、事業の一部だけを他社に売却する事業譲渡の税金について解説します。

売り手として売却益を得る側の税金はもちろん、買い手としても税金を支払う場合があります。事業譲渡の後になって焦ることがないように、事前に把握しておきましょう。

主に、中小企業による規模の小さな事業譲渡を想定した注意点などもまとめます。

売り手からみた事業売却・事業譲渡益に関する税金

まずは運営している事業を売却した立場としての税金です。株式譲渡と比較してどちらがメリットが大きいか?というのも簡単に解説します。

※中小企業に多い、株主であり経営者であるオーナー会社においての事業譲渡を想定

売却益を得る/税金を支払うのは株主?企業?

まず事業譲渡をした場合には、売却益を受け取るのは企業の株主個人ではありません。

所得として会社に譲渡代金が入ります。当然ですがそれに関わる税金も会社が支払います。株主である個人は、事業譲渡においては直接的には一切関係してきません。

発生する税金

事業譲渡をして得た売上に対して消費税、法人税、事業税、事業住民税などがかかります。ポイントは消費税とその他の税で課税対象が変わることです。

法人税等

事業譲渡して得たキャッシュのなかでも法人税や事業税などの課税対象になるのは譲渡益の部分です。ここでいう譲渡益は(売却額 ー 譲渡資産の簿価)のことです。

1億円で事業譲渡したけれど引き渡す資産の簿価が4000万なら、課税対象になるのは残りの6000万です。もちろん、会社自体が赤字であれば、その赤字と相殺できますので必ずしも6000万に対して課税されるわけではありません。

あなたが株主であり経営者でもあるなら、この点も考慮して株式譲渡と事業譲渡のどちらがメリットがあるかを比較すると良いでしょう。

消費税

消費税は、譲渡する資産の種類によって課税/非課税が変わります。つまり譲渡はするけどそこに消費税を請求しない資産があるのです。

ただ、在庫だったりノウハウなどの有形・無形資産においてはほとんどが課税対象です。

まとめると次のようになります。

課税対象の資産
  • 有形資産
  • 無形資産
  • 営業権
  • 棚卸し資産(在庫)
課税対象にならない資産
  • 土地
  • 有価証券(株など)
  • 債権(売掛金など)

 

有価証券や債権を譲渡するケースは少ないかと思いますので、簡単に言えば譲渡した金額から土地の金額は消費税の対象から差し引けるということです。

売却額が1億で土地の評価額が3000万なら7000万が消費税の課税対象です。

 

またご存知かと思いますが、あなたの会社が消費税の適用事業者であれば赤字でも消費税は発生します。これは事業譲渡においても同じことですのでご注意ください。

 

より具体的には下記の国税庁のHPに掲載されている内容となります。

営業の譲渡は営業に係る資産、負債の一切を含めて譲渡する契約であり、資産の譲渡については、課税資産と非課税資産を一括して譲渡するものと認められますから、課税資産と非課税資産の対価の額を合理的に区分して課税することとなります。

引用元:営業の譲渡をした場合の対価の額|消費税目次一覧|国税庁

買い手からみた事業売却・事業譲渡益に関する税金

買い手の立場でみた場合には支払う税金というのは複雑ではありません。さっそく見ていきましょう。

消費税

買い手としては当然、事業買収する代金のなかに消費税が含まれています。請求される消費税を支払うだけなので通常は買い手としては消費税にとくに考慮は不要かと思います。

ただし譲渡を受ける元の会社と直接、事業譲渡を交渉している場合には注意が必要です。大きな会社同士の事業譲渡であれば売買の間にM&Aの仲介会社やファイナンシャルアドバイザーを挟むので問題はありません。ですがM&Aのプロを挟むことなく事業譲渡をする場合には、前述の通り土地や債権には消費税はかからないなどの細かな税が絡んできます。

そこで、もし債権や土地を引き受ける場合には、それらに対する譲渡代金にかかる消費税が入っていないのか確認は必要でしょう。専門家が間に入っていない以上は正しい税計算をされずに請求が来る可能性もゼロとはいえませんので。

不動産を取得した場合には2つの税金が課税される

また事業譲渡の買い手として注意したい税金は、不動産の取得税と登録免許税です。土地や建物の譲渡を受ける場合にはこれらが課税されます。それぞれ計算式は次のとおりです。

不動産の取得税 = 土地の譲渡額 × 4%
※ただし2018年3月31日までは軽減税率で3%

不動産の登録免許税 = 不動産の譲渡額 × 2%
※ただし2018年3月31日までは軽減税率で1.5%

その他、より詳細な税については登録免許税の税額表|印紙税その他国税|国税庁をご確認ください。

まとめ

事業譲渡に関わる税金についてご理解頂けたでしょうか?不動産が譲渡資産に入ってくると税計算が少し複雑になる印象を持たれたかと思います。

金額が小規模な事業譲渡の場合には手数料の問題で仲介会社や会計士などを間に挟まずに行う場合があるかと思います。その場合に、あとで税金で困ることが無いように今の内に把握しておきましょう。