個人で会社を買うことはできる!会社の探し方、契約手順、注意点まとめ

M&Aコンサルタント 契約

会社を買う、買収する、というと大企業だけが行っているイメージがありますよね。

でもじつは個人でも会社を買うことはできます。個人でも会社を買ってその会社のオーナーとなったり、経営を引き継いでいくことは可能なのです。

ただし個人で買うのは世の中的にはやはり少数な事例ですから、どうやって会社を探して買えばいいのかが分かりにくいのが現状です。

そこで、個人が会社を買うにあたって知っておきたい一般的な事柄をまとめました。

個人で会社を買うことはできる

個人で会社を買うといっても、まず何から始めればいいか分かりませんよね。

大まかには買収完了まではこの手順となります。

  1. 売りに出ている会社を探す
  2. 希望に合う会社に売買交渉の申し入れ
  3. 秘密保持契約などの締結
  4. 相手企業のオーナーとの条件の交渉
  5. 最終契約書の締結
  6. 買収金の支払い

最初のステップはあなたが「買いたい!」と思う会社を探すところからですね。

もし見つけたら売買の交渉を売り手の企業に申し入れて、秘密保持契約を締結してから会社のビジネスの中身、財務や法務などを把握していきます。

その会社の内容を見て、それでも買いたいと思ったなら相手の会社のオーナーと買収金額などの条件について詰めていきます。

金額や、支払い回数、従業員の処遇などの条件が整えばそれらを盛り込んだ契約書を締結します。そして契約にそった方法で買収金をオーナーに対して支払うことであなたが株主となり買収が完了します。

かなりザックリですが大まかな流れは上記のように進みます!

個人でも買える会社の探し方

ここでは2つの探し方をご説明します。

一番手軽なのはネットで探すことです。あなたの予算や、買いたい希望の業種などの条件に当てはまる候補の会社を広く探しましょう。

ただし個人で買うとなると資本力的にせいぜい1000万〜2000万程度になる人が多いのではないかと思います。そうなると地域の飲食店や、美容系のサロン、学習塾などか、またはネット通販サイト、ネットサービスなどのネットサービスが中心になるのではないかと思います。

その他、グーグルで「M&A案件」と探してみましょう。ネット上で募集しているサイトがいくつかあります。

また経済産業省と地域の商工会議所が運営している公的な事業引継ぎ人材の募集から探すこともできます。ここは経営者が引退しようとしているけど、後継者がいない会社に対して後継者人材の紹介をしています。ここに登録して会社の後継者として会社を買うことができます。

地域によってある都道府県と無い都道府県があるので検索してみてください。

ここでは一部だけ紹介します。

気になる会社があったらまずは交渉を申し入れましょう。

webサイト上では始めは通常、売り手の会社は匿名になっていることが多いです。これは秘密保持契約(NDA)を締結することで社名が公開されます。

その後、会社を買うためにその会社についての情報を公開してもらい、対象の会社の内情をすべて把握する段階に入ります。(専門用語でデューデリジェンス、DDと言われるもの)

より詳しくデューデリジェンスを知りたい方は「デューデリジェンスとはどういう意味?財務・労務・税務から方法を解説」をご覧ください。

ちなみに、個人ではなく会社同士による買収の場合には通常、売り手側と買い手側との間に専門知識を持った仲介会社や、知識のある税理士などの第三者が入って交渉を進めます。

しかし、その仲介会社は通常、仲介にあたっての手数料が数百万円〜などと高額になります。そのため個人が会社を買う場合には仲介会社を使うことは稀でしょう。

売り手の会社とあなたが直接交渉や契約の締結を進めることになるケースが多いかと思います。

経営者が引退ラッシュで優良な会社を買うチャンス到来

最近できた新しい会社を買うのも面白いですが、実はいま古い会社を買うチャンスが到来しているのです。

日本では中小企業の経営者で一番多いのは70歳前後、まさに団塊世代でそろそろビジネスから引退しようとしているタイミングです。

直近の経営者の平均引退年齢は、中規模企業で67.7歳、小規模事業者では70.5歳となっている。(図2) ⇒ 2020年頃に数十万の団塊経営者が引退時期にさしかかる。

出典:事業承継に関する現状と課題について|中小企業庁

こういった会社は、取引先との関係がしっかりできていて急成長はないけれども、しっかり売上、利益ともに出ていて、人材さえいれば将来にわたって長く経営が続けられる会社も少なくありません。

実際に、上記の中小企業庁の資料によると、廃業を予定している会社のなかでも同業他社よりも業績がいいのに、後継者不足などの問題で廃業する会社が20%もあるのです。

これらの好条件の会社を買い取って引き継ぐことができれば、買収で大きな資金を投入した後でも安心して経営をしていくことができますよね。

数十万という中小企業があと10年以内には、後継者を見つけるか、廃業をするかの2択に迫られます。

優良な企業が割安に買えるチャンスが到来している、と言えるのではないでしょうか。

リスクと注意点

ここまではメリットやいかにチャンスがあるかのポジティブな面を説明してきました。

逆にここから個人で会社を買うにあたってのリスクや注意点について説明していきます。

債務や契約に注意

個人が会社を買う場合には、大まかに方法は2つあります。

  • 会社の株式を買うことで会社を丸ごと買う方法。(株式譲渡)
  • 会社の事業だけを買う方法。(事業譲渡)

前者はあなたがそれまでの会社を引継いで経営することとなります。あなたが前の会社のオーナーに変わってオーナーになるのです。

株式譲渡の場合には、当然それまでの会社が負っている債務(平たくいうと借金)や、様々な契約まで引き継ぐことになります。

そのためデューデリジェンスの段階でしっかりリスクを見極めることが大切です。買収後に都合の悪い契約が見つかったときに「以前のオーナーによる契約だから関係ない」では済まされないのです。

後者の事業譲渡はあくまで事業に必要な施設や機材、ノウハウや人材を買取る形です。

東芝などの大手企業でもパソコンの事業部だけを海外の企業に売ったりしていますよね。あれは東芝としての企業体は売っていないのですがパソコンの製造販売に関する事業を売っているのです。

より詳しい買収の手法については「M&Aとは?その目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説」の記事にまとめました。

連帯保証によって引き継げない場合も

売り手企業もあなたもお互いに売買をしたいと思っても成立しない事があります。それは売り手会社のオーナーが金融機関から借り入れをしているときによく起きます。

中小企業だとオーナーが個人で連帯保証をして銀行から借り入れをしているケースがよくあります。通常は、会社を買取るにあたってこの連帯保証もあなたが引き継ぐ必要があります。

ですが、あなたの資金力やこれまでの経歴によっては銀行が連帯保証の引継ぎを認めない事が多々あります。

銀行側から見れば前オーナーの個人の信用力に対して資金を貸し付けているので、それをあなたに付け替えるのを認めないのです。

こうなると連帯保証のハードルを超えられずに会社を買うことができません。

それでも買う場合には前オーナーの借り入れ金も含めた買収金額にするという方法をとることが多いです。

極めて単純化した例ですが、500万の借り入れがある資本金500万の会社を買うときに、あなたは1000万でその会社を買います。すると前オーナーは株の売却益である1000万から銀行への500万を一括返済をします。これで連帯保証をあなたに付け替えることなく、売買ができるのです。

ただこれは個人で会社を買うときには現実的ではないかと思います。というのも会社が会社を買うときには事業上のシナジーなどがあるから、その利益を見越して買収ができます。

でもあなた個人が買う場合には事業シナジーなどが見込めないので、妥当な金額よりも高値で買うことになる可能性が考えられます。

(ご実家でも商売をされていて、そことシナジーが見込めるなどの場合はこの限りではないかもしれませんが)

また近年、「経営者保証に関するガイドライン」というのが全国銀行協会と中小企業庁で策定されており、オーナー個人による連帯保証なしで資金の借り入れができる環境ができつつあります。

これで会社を買う資金まで借りることが無担保無保証でできるように思えるかもしれませんが、実務としてM&Aを手がけている方にお話しを聞くとそこまで浸透はしていなく、いまだに個人による保証が必要な状況は大きくは変わっていない現状のようです。

必要な資金は買収金のみではない

あなたが会社を買うにあたって当然、予算があるかと思います。会社を買うにあたってはこの買収の代金で予算を使い切ってしまうのは危険です。

というもの、これまで経営をした経験があるなら分かると思いますが、事業には運転資金というものが必要です。

会社の口座に残っている資金で売掛金などを全て賄えればいいのですが、場合によってはオーナーであるあなたが個人の資金を会社に貸し付けて事業の運転資金をまかなう必要も出てきます。

そのため買収資金で100%予算を使い切ってしまうと、その後の運転資金不足による倒産や、すぐに銀行を回っての借り入れなどが必要になる可能性もあります。

買った後の資金繰りも含めて、会社を買うときには検討をしなくてはいけません。

まとめ

個人で会社を買いやすい環境ができつつあります。それはネットで売っている会社を探せたり、日本全体が事業承継のタイミングに差し掛かっているからです。

注意点やリスクまで把握してあなたにあった会社をトコトンこだわって探しましょう。