初めてでも迷わず株式会社を設立できる全ステップ!必要書類や手続きを解説

起業をいずれ考えている人にとっては、一番に「自分で会社を作りたい」「自分の会社を持ちたい」と思う人もいるのではないでしょうか。起業といっても、手段は色々あります。「株式会社を作る」、「合同会社を作る」、「個人事業主になる」など。そんな中、今回は「株式会社を設立する」という内容で、初心者でもなるべく理解できるように株式会社設立までの流れをまとめてみました。

株式会社にする「メリット」「デメリット」

株式会社の具体的な設立手順に入っていく前に、まずはどのような形態で会社を立ち上げるのが良いか(法人化)、「選択肢」についてお話ししていきます。日本では現在、主に「株式会社」か「合同会社」の2種類になります。もちろんそれぞれメリットもあればデメリットも存在します。

ここでは、株式会社を選ぶことへの「メリット」「デメリット」について詳しくみてみましょう。

「メリット」

詳しく説明をする前にメリットを一言で言ってしまいます。それは、「イメージの良さ」です。「株式会社」という名前がつくだけで、周りからの信用度が上がるというのが最大のメリットになります。

それでは、主なメリットを細かくみていきましょう。

1.社会的信用が増す

先ほど一言でも書きましたが、イメージの良さという点において、取引先や顧客からの信用においては最大のメリットになる部分です。

2.法人に限られたビジネスに参入できる

業種によっては個人事業では参入出来ないビジネスもあるので、法人化すると可能なビジネス枠が広がるという点になります。

3.「co.jp」ドメインが使用できるようになる

会社設立後、ホームページなどを作る際にこの「co.jp」ドメインを使うことによって、国内外関わらず「日本法人」ということをアピールできるのです。

ドメイン取得の方法は以下のサイトを参考にしてみて下さい。

https://nippon-kigyo.jp

4.資金調達の手段が増える

株式会社は設立後、新たに株主を募集し、出資してもらうことも可能になります。他にも銀行からの資金調達などの間接金融も可能になり、多方面からお金を集めやすいというのがあります。

5.出資者の責任が限定される(有限責任)

事業に失敗し多額の借金をしてしまったとしても、株式会社の場合、基本的に資本金(出資)の範囲内での有限責任になります。つまり、資本金の範囲で返済すればいいということです。

ただ、社長が連帯保証人になっている場合は有限責任というわけにはいきません。

6.事業継承がスムーズ

もし、急に社長が何らかの事情で退任ということになっても、株式会社の場 合だと、さほどのことがない限り事業の継承には問題はありません。例えば、親族を新たに取締役に迎え入れたり、代表者個人が所有している株式を周りの信頼してる人間や家族に譲渡しておくなど、事業継承はスムーズにいきます。

7.人材確保に有利

1で書いたことと似た内容になりますが、就職先を探している人にとって「株式会社」とつくだけで、他の同じ法人格(合同会社、有限会社など)に比べて人が集まってきやすいというところです。

理由は「株式会社」という名前の認知度が世間では圧倒的に高く、採用面で差が出やすいという点にあります。

8.税金の負担が軽くなる

この項目では主に個人事業主との差になりますが、株式会社(法人化)にすることによって納める税率が安くなるのです。

例えば、株式会社と個人事業主がそれぞれ同じ年間所得が800万円だとしたら

  • 個人事業主の場合、納める所得税は23%になります。
  • 株式会社の場合、納める所得税は15%です。

一目瞭然ですね。しかし年間所得が800万を超える場合、株式会社の所得税は23.2%になります。税率は上がってしまうのですが、それ以外の項目でメリットがある分やはり株式会社化はした方がいいと言えます。

9.社会保険に加入できる

会社であれば、代表者も、代表者の配偶者も社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することができます。

従業員分の社会保険を会社が払うことになるのでデメリットにもなるのですが、保険料の会社負担分は会社の経費になりますし、健康保険の手厚い給付や国民年金より格段に多い年金を受け取れるようになります。

ここまで主なメリットをあげていきましたが、いかがだったでしょうか。「こんなことも株式会社にするとできるの?」という項目もあったかと思います。

他の法人格と比べてのメリット

上記のメリット一覧と少し内容が被るところもありますが、他の法人格(合同会社・一般社団法人・NPO法人)と比較した時に出てくるメリットを簡単にみてみましょう。

【合同会社と比べた場合】

  • 社会的知名度がある
  • 広く一般から資金を募ることができる
  • 株式公開(上場)できる
  • 優秀な人材を社長に迎えられる
  • 会社をエグジット(売却)しやすい

【一般社団法人と比べた場合】

  • 一人でも設立できる(一般社団法人は二人以上必要)
  • 利益が出ると株主に配当することができる
  • 取締役の任期が最長10年(一般社団法人の理事は最長2年)
  • 会社のオーナーが誰か明確である
  • 会社をエグジット(売却)しやすい

【NPO法人と比べた場合】

  • 一人でも設立できる(NPO法人は10人以上必要)
  • 利益が出ると株主に配当することができる
  • 設立の行政庁の認証を受ける必要がない
  • 設立後も監督されない(監督庁がない)
  • 事業活動の範囲に制限がない
  • 役員の親族制限がない
  • 設立までにかかる期間が早い(NPO法人は4ヶ月から半年)
  • 会社のオーナーが誰か明確である

デメリット

次はデメリットについてです。もちろんデメリットも存在するのですが、結果から言ってしまうと、メリットに比べたらデメリットは断然少ないです。それではデメリットも細かく項目ごとに見ていきましょう。

1.赤字でも税金が発生する

事業がどんなに赤字だろうと無関係に課せられる税金が存在します。それは法人住民税均等割というものです。簡単に言えば、会社を置いている場所が東京都の場合、「東京都に家賃として年間7万円支払う」ということになります。

2.社会保険へ加入しなければならない

法人は、健康保険と厚生年金保険に加入しなければなりません。この保険料は、会社と本人が折半となるもので、従業員が多ければ多いほど、その支払う給料が高ければ高いほど、法人として支払うべき金額が高くなります。

3.設立手続きや解散・清算手続きに費用がかかる

会社設立の際には、株式会社の場合、登録免許税や印紙などの必要最低限の実費で約25万円必要になります。逆に廃業になった場合、基本的には解散・清算といった手続きが必要になり、最低数十万必要になります。最近では費用もかかるので、実務的に事業を休止状態にしているところも多くなっています。

4.交際費に限度がある

この項目は主に個人事業主との比較になってしまうのですが、会社の場合、年間の交際 費の上限は800万円となります(個人事業主の場合は無制限)。なので一人・二人で会社を動かしている人は、これを理由に法人化しないという人も少なくないです。

ざっとデメリットを書いてみましたが、いかがだったでしょうか。もちろん上記以外にも細かく見ればありますが、特にこの分野だけ押さえておけば問題ないかと思います。

株式会社の設立には何が必要?

それでは、株式会社設立に対してメリット・デメリットを理解した上で、次は実際に「どうしたら株式会社って作れるの?」というところを、必要資金から設立までの流れを書いていきたいと思います。

株式会社を設立するにあたって、まず誰もが気になるであろう資金問題。最低限用意しておかなければならないは費用は「約25万円」となります。これを詳しく内訳すると

  • 定款に貼る収入印紙代:4万円
  • 定款の認証時に公証人に払う手数料:5万円
  • 登記手続きに必要な定款の謄本手数料:約2千円(250円/1ページ)
  • 登記手続きの際の登録免許税:最低15万円

となります。ちなみに、会社設立やその準備にかかった費用は、設立する会社の経費(創立費)として算入することができるので、領収書などは保管しておくと後に課税対象額が減らせます。

必要資金を用意できたら、下図のように、設立までは大体6ステップになります。この6ステップは実作業で1週間ほどで完了するようになっています。

 

1~6までのステップを詳しく見ていきましょう。

 

1.会社設立項目の決定

ここでは主に9項目あります。株式会社設立手続きを始める前にやっておかなければならない項目になります。

1.1.商号(会社名)

一目見ただけで取引先から覚えられるぐらいのインパクトがあり、会社法上の決まり事が守られた商号を考えておきましょう。

1.2.事業目的

あなたの会社が「どのような事業を行って利益を生み出すのか」を明文化することです。

1.3.本店所在地

定款を作るときまでに、会社の本社住所を決めておく必要があります。

1.4.資本金

資本金とは、あなたが始める株式会社の元手となる資金です。資本金を使ってパソコンや業用車など、会社の運営に必要なヒト・モノを確保した上で、最低半年の運転資金を賄える額を用意するといいでしょう。

1.5.資本金の調達場所

4で書いた資金をどこから用意するのかということです。これによりこの後の6が変わってきます。

1.6.機関設計

資本金を全て発起人(創業メンバー)の自己資金で賄う場合は考える必要ありません。一方で、最初の株主の中に、経営判断に介入してきそうな者がいる場合は、取締役会の設置の可否を考えたりします。

1.7.事業年度はどうするか

事業年度は会社を運営する上で大切な要素です。税理士からのアドバイスを受けやすい時期にしたり、免税期間を長く取ったり、住民税の均等割の支払額を少なくしたりと、決定する上で、様々な要素を考慮しておく必要があります。

1.8.会社の印鑑を4種類用意

株式会社の設立登記の書類や定款に、早速会社印が必要になる箇所があります。会社を運営するにあたって頻繁に使う物なので、あらかじめ用意しておきましょう。

  • 代表者印:法務局に届けを出して登録をすべき印鑑です。
  • 銀行印:銀行の法人口座の解説や、手形や小切手の振り出しに使う物です。
  • 社印(各印):領収書などの代表印を押すほど重要でない書類に使う物です。
  • ゴム印:本店所在地、電話、FAX番号、会社名、代表者名が彫られている、各種契約書の署名欄などに自筆サイン代わりに使う印鑑です。

1.9.印鑑証明書

印鑑証明書は、次項で出てくる定款の認証時に必要になります。

2.定款の作成と認証

2.1.定款の作成

定款とは、あなたの会社の基本ルールを書面でまとめたものになります。会社に対して作成が義務づけられているので、設立登記の際は必ず必要になります。

ただ、定款の作成は正直かなり難しいものとなっております。そんな初めて作る人でも、簡単に穴埋めするだけで作成が可能なサイトもありますので参照してみて下さい。

2.2.電子定款

定款を紙ではなく、PDFの電子定款にすると、定款に貼らなければならない収入印紙代4万円を節約することができます。しかし、実際には専用の機器を用意したり、特殊なソフトウェアなどがいるので、結局紙の定款の方が安くおさまります。

なので周りの知り合いなどで、この特殊道具を持っている人は利用させてもらった方がお得に定款を作成できます。

2.3.定款の認証

定款を作成したら、次にその定款が正しく作られたものであることを第三者に証明してもらうために公証役場で「定款の認証」というものが必要になります。定款の認証には、用意するべき書類などがありますので、詳しくは下記のサイトで詳しく説明します。

3.「株式会社設立登記」の書類作成・用意

定款を作成したら、いよいよ株式会社設立登記という作業に入ります。この作業もいくつか用意しなくてはならない書類があるので、一つ一つ見ていきましょう。

3.1.定款

先ほど説明したものです

3.2.資本金の振込証明書

定款で記載されている資本金額が実際に入金されていることを証明する書面

3.3.発起人の決定書

本店所在地が発起人の同意をもって決定されたことを証明する書面

3.4.設立時役員の就任承諾書

会社の役員になるメンバーの承諾書

3.5.印鑑証明書

会社登記の際は、役員全員の印鑑証明書が必要になります。

3.6.株式会社設立登記申請書

法務局に設立登記の申請をする際の申請書です。

3.7.登録免許税貼付用台紙

法務局に納める登録免許税を貼る紙のことです。

3.8.登記すべき事項を保存したCD-R又はフロッピーディスク

あなたの会社の登記事項をまとめたものです。紙で用意してもいいのですが、CD-Rかフロッピーディスクで用意した方が早いでしょう。

ここまであげた書類の入手方法などは、ここに詳しく載ってますので見てみてください。

http://inqup.com/papers-needes

 

4.株式会社設立登記の「登記方法」

設立登記の書類などの用意が完了したら、「法務局」で登記を行います。法務局に登記を行なった日が、その会社の会社設立日になりますので、感情的にも大事な作業になりますね。登記自体の手順はとても簡単なので、不備がない場合だと1週間ほどで登記完了の通知が来ます。

登記の方法は3パターンです。

  • 実際に法務局に行って行う
  • 郵送で行う
  • オンラインで行う

5.開業の届出等

この項目が株式会社設立完了までの最後のステップになります。法人設立の際の開業届と、個人事業主が出す開業届では少し内容が変わってくるので、気をつけてください。今から書く内容を税務署や労働基準監督書、都道府県に提出が完了し、株式会社の誕生となります。それでは詳しく見ていきましょう。

ちなみに個人事業主に対しての開業届の出し方については、ここにちょっと詳しく書いてます。

5.1.法人設立届出書

設立した会社の概要を税務署に知らせるための書類。都道府県や市町村にも地方税を納めるために開業届として必要になります。

5.2.青色申告の承認申請書

税制上、大きなメリットのある青色申告をするために提出しておくべき書類です。

5.3.給与支払事務所等の開設届出書

役員賞与や従業員の給料を会社の費用として計上するために必ず出しておくべき書類です。

5.4.源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書

源泉徴収を毎月ではなく年2回の納付にして創業後の負担を軽くするための書類です。

5.5.棚卸資産の評価方法の届出書

会社の在庫商品の計算方法を届け出る書類。これは必要ない場合もあるのですが、業種によっては節税のために非常に重要になります。

5.6.減価償却資産の償却方法の届出書

同上

5.7.労働保険 保険関係成立届

従業員を雇う上で必須になります。労働保険に関する届出です。

5.8.労働保険 概算保険料申告書

同上

5.9.雇用保険 適用事業所設置届

同上

5.10.雇用保険 被保険者資格取得届

同上

5.11.健康保険・厚生年金保険新規適用届

同上

5.12.健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

同上

5.13.健康保険被扶養者(異動)届

同上

 

ここまでの書類をそれぞれの管轄する場所に持っていくことになります。

詳しい、書類の作成方法や、何をどこに持っていくなどかは、こちらを参照ください。

http://inqup.com/registration

ここまでの作業、一人でやるの?

株式会社設立の流れを1~6まで書いて来ましたが、いかがだったでしょうか。「今までの流れを流れを一人でやるのか・・・。」と思って人もいるのではないでしょうか。

人によっては「自分の会社を作るのだから、これくらいへっちゃら!」なんて言う人もいるかもしれませんが、正直やることかなりありますよね。

実は、ここまでの作業を「専門業者に頼む」こともできます。もちろん追加で費用はかかりますが、かなり時間を削減できるのは間違いありません。

など、他にも様々な会社が、会社設立の支援を行なっております。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

今まで書いてきた内容は、株式会社の設立完了までの流れを記載したものになります。なので実際の会社経営は、ここからがスタートになるわけです。

株式会社を設立する(起業する)ということは、単に会社・事業を大きくするというだけではありません。

他の法人格と比べてのメリットでも少し触れましたが、近年、起業する目的を「エグジット(売却)するため」ということに、重きを置いている人が増えてきています。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。ここまで読んだということは、大雑把に「起業したい」と考えている人だと思います(そうじゃない人もいるかもしれませんが)。

でも、もしまだ会社設立などに躊躇いや不安があるという人、最後にこの言葉を書いて終わりにしたいと思います。

連続起業家・TIGALA株式会社代表取締役社長 正田圭

「起業するのに、崇高な理念や、世界を変革するような志は、とりあえず必要ない。起業とは、まず、自分が幸せになるためのものだ。」

(『サクッと起業して、サクッと売却する』より)